ぎゅっ。

桜花(sakura)

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結果オーライじゃん

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   一週間後の、火曜日の。   


    午後17:00時過ぎ。   

  仕事帰りにマミは。   


  返却する本を抱え。ストーリーを考え、まとめた。紙芝居を持参して。   拓眞の働く図書館を訪れていた。  

(あれ? 考えなしに来ちゃったけど) 

 「で、出塚さん、 火曜日休みって言ってませんでしたっけ? 私、今日を指定しちゃったけど……」   

「ん? 大丈夫だよ。一応、俺が責任者だからね。シフト変更や、他の子に休み代わってもらうのとか……ね?」

  「今日のために、迷惑かけちゃった職員さんがいらっしゃるんですか?」   

(私のために?)    

 マミが、青ざめていると。  

「 ごめんなさい。違います。先週はたまたま、火曜日に休んだんだよ。バイトの男の子がさ『用事があるから、シフトを変えて下さい』って言うからさ 。俺も、本当は水曜日が休みなの。だから大丈夫。本当にごめんね。マメちゃん」  

  マミの真面目な性格を考えたら。自分のために、誰かが……なんて。

  (ちょっと、悪ふざけが過ぎちゃった。気をつけなきゃ)  

 拓眞の言葉に、安心するとマミは。   

「伝わるでしょうか ?」   

話の内容、分かりますか? と。

心配そうに拓眞に尋ねるマミに。  

「凄い、よく伝わったよ」  

  そう、拓眞が答えると。   

「よかった……」    

  胸に手を当てて。「良かった」と ちっちゃく呟いたマミ。   


それにしても……   

「で、出塚さん、凄いこだわりですね」  


 (噛まなくてよかった……)    


  拓眞の名前を、噛まなくて良かった。と、   ホッとしていると。  


  「子供達にね。分かりやすく伝えるためにね。こういうのを作っている友達にね。借りたの。マメちゃんこそ絵上手いね」   


  「私…… 絵心ないんです……友達に。手伝ってもらって描いてもらったんです」   

 「なるほど……お互いに。友達。様々なわけね。……マメちゃん、話変わるけど。出塚が言いにくかったらさ。下の名前で呼んでくれたらいいから」 


  「し、下の名前?」   

   あの日以来、透明のマスクを使用し始めた拓眞。        

  それは、マミも同じ。        

  でも、見慣れないのもあって。     


   透明のマスクをしているのを、同僚とかに。     ちょっと、バカにされているなって。   

 感じているマミだけど。       

透明のマスクをしていても、相手が早口で喋ったりすると。   

 どうしても。やっぱり聞き取れないこともあって。        


   でも、拓眞は違う。       

    いつだって。自分の目を見て。ゆっくりと。     大きな口開けて、話すように心がけてくれる。     

『マメちゃん』      

 とか。呼び方を改めてくれないけど ……     


 さっきみたいに、からかったりするけど……     

    「 私、どうしても『た』行と『さ』行が苦手なんです。お言葉に甘えて 『拓眞さん』って、呼ばせていただきますね」    

「うん。それにしても『でづかさん』には『た』行の『て』と『つ』が。それも濁点付きで二つと『さ』も入ってんじゃん。『たくまさん』は『た』と『さ』でしょ? 本人でさえ、噛む名前ってさ。かんべんしてよ。って、感じだよね」     

「アハハ。本当だ。私『かんざき まみ』の『ざ』が『じゃ』になって恥ずかしいって思ってきたけど。上には上の名前があったんですね」    

  時に、自分の名前で噛むって、何故に? って。      


 そっか。だからか。    

(府に落ちたよ)      

  言いにくい名前で、マミが笑ってくれたたなら。     

(結果オーライじゃん)        

 そう、拓眞は思った。       




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