ぎゅっ。

桜花(sakura)

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『勇気』と『ありがとう』

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 みんなで、ようやく安心《あんしん》してね。    

  気がつくとね。お昼《ひる》になっていたんです。  

 二つのピクニックシートを並《な》らべてね。   みんなで。  

 お弁当《べんとう》を食《た》べることにしたんです。

  「あのね。がっこうのせんせいがね。デイジーちゃんの、おみみ。についてるのが、おみみ。なんだよって」  

 ル-ナが、病院《びょういん》のお友達《ともだち》も、補聴器《ほちょうき》をしているよって。   

  「おや、ボウヤ。良《よ》く知《し》っているね。これはね、補聴器《ほちょうき》っていうんだよ。デイジーは、ちいちゃな音《おと》しこえないんだけど。補聴器《ほちょうき》をつけるとね。ハッキリと聞《き》こえる。デイジーを助《たす》けてくれるモノなんだ」   

  って、デイジーちゃんのパパ。

  「ぼくたちの、おみみ。とおなじ。デイジーちゃんの、おみみ。なんだね」


   補聴器《ほちょうき》が、デイジーちゃんの、お耳《みみ》。なんだね。   

  ってヴィント。 

 「ぼくと、ヴィントにぃちや、ルーナにぃちゃ、ブー二ャのおはなち、きこえるのね?」

    って。ベルク。


   「うん。パパとママのこえもきこえるよ!」 

  デイジーちゃんにも、笑顔《えがお》が戻《もど》ってニコニコって。  

 可愛《かわい》らしく、笑《わら》っています。   

    みんなも。 

  ニコニコ、笑《わら》っています。 


 「『たすけてマーク』をみかけたら『なにか。お手伝《てつだ》いをしましょうか? 』って。声《こえ》を、かけることが大切《たいせつ》なのね」


   って、ヴィントとルーナとベルクのママ。


 「とっても、勇気《ゆうき》がいるわよね。でも、今日《きょう》みたいに。デイジーが困《こま》っていたら……いえ『たすけてマーク』をつけている人《ひと》たち、みんなに。同《おな》 じように、声《こえ》をかけてくださったら。本当《ほんとう》にありがたいわ」    

  デイジーちゃんのママが、オメメをうるませていました。    


 「勇気《ゆうき》。をだして。 デイジーに話《はなし》かけてくださって、本当《ほんとう》にありがとうございました」  


 デイジーちゃんのパパの、オメメにも。涙《なみだ》が浮《う》かんでいます。


   「ありがとう。ヴィントくん。ルーナくん。ベルクちゃん。ブーリャちゃん」  

 デイジーちゃんは、きちんと。 

 「ありがとう」 


  が言《い》えました。

   「デイジーちゃん『ありがとう』が言《い》えてえらいね。いい子だね」

   って。  


 ヴィントと、ルーナと、ベルクのパパが、明《あか》るく言《い》いました。


   「ぼく、ベルクくんよ。おとこのこだもん」    

  ベルクはね、じぶんだけ、ベルクちゃんて、呼《よ》ばれたのが……


  「あはは! ベルクちゃん。って、かわいいのにね」 


  ヴィントがちょっと、ベルクをからかっちゃいました。

  「おとこのこでも。ベルクちゃんでもいいんだよ」  

 ルーナも、いつもより。ちょっとイジワルです。 

 「むー」 

  いっちょまえに。ムーって。お口《くち》をとがらせて。

   すねてしまったべルク。  

 デイジーちゃんは、お話《はな》しをしているみんなの。   

   お口《くち》をね。しっかりみつめています。  

「ベルクくんあいがと!」

   デイジーちゃんが、そう言《い》うと。

  「 デイジーちゃんは、おともらちらもん!」   

 ベルクはうれしそうに、ニッコリしました 。   


   デイジーちゃんもうれしそうに、ニッコリしました 。  

 「キャンキャン!」   

  ブーリャも。  

「ボクも、おともだちだよ!」  

 って鳴《な》きました。
























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