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『マメちゃん頑張ったね!』
しおりを挟む「サンキュー、岡ちゃん」
少し照れたように笑った朔弥。
「岡ちゃん? 馴れ馴れしいわね」
急に『岡ちゃん』って呼び始めた朔弥に、毒舌を噛ます愛朱実。
「ハハハ! 朔弥が照れてる。珍しい!」
「うるさいぞ! 拓眞!」
(さすがだね。愛朱実。いつも真っ直ぐで)
そんな愛朱実に、自分はいつも助けられてるって思ってるマミ。
今日の紙芝居で、自分の役割をきっちり果たした3人。マミは、なおさら、途中で退席した自分が不甲斐なくて。
「マメちゃん、何変なこと考えてるの?」
拓眞は、ちょっと元気のないマミを気にしてた。
「拓眞さんたちに、後のことを任せて最後まで頑張れなかったから……」
「誰だって具合悪くなることあるでしょ? 緊張しちゃったら尚更さ。それより、マメちゃんは子供たちのことを、一番に考えて紙芝居を読んでいた。目の不自由な子達には、情景がしっかり浮かべられるように。 耳にしっかりセリフが届くように。耳の不自由な子たちには、目でしっかりと文字が追えるように。絵で把握出来るように。もちろん、 車椅子の子たちにも、図書館に通っている子、町から参加した子にも。平等に届けてた。 自分の役割をきっちり果たしたんだよ。マメちゃんは」
「拓眞さん……」
マミは、瞳に涙が浮かんで来て。それ以上言葉が紡げなくて。
「ホントにもう、泣き虫さんなんだから。マミは。出塚くんの言う通りよ。間違いない」
「以下同文」
愛朱実の言葉の後に、そう言った朔弥に。今度は笑いがこみ上げてきて。
「ありがとうございます。中庭さん。愛朱実、いつも励ましてくれてありがとう。拓眞さん。私、子供たちの反応を見る余裕が本当になくて。 ヴィントに、ルーナ、 ベルクに、ブーリャ、デイジーちゃんたちの声が。それぞれ違う声で聞こえたり。アクリル板に文字が浮かんだり。子供たちは どんなリアクションをとっていましたか? 喜んでくれてたでしょうか?」
「間違いなく、ビックリしていたし。 喜んでくれたよ。マメちゃん頑張ったね!」
満面の笑みで、マミの不安を吹き飛ばしてくれた拓眞。
「マメちゃん頑張ったね!」
そう言ってくれたのが嬉しくて。
「良かった……」
マミは、そう呟いたのだった。
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