31 / 43
みんな、誰かのために……偉いな
しおりを挟む「プロジェクターは、だいぶね、普及されたから。皆も一番知ってるかな? 紙芝居の絵を映し出してみました。アクリル板に政治家さんたちのために、字を写したりしてるの見た事ある? 子供たちの側に、字を浮かび上がらせてみました。流行り病の感染予防に立てた板。を逆手にとって」
と。朔弥。
耳の聞こえない子。聞こえずらい子。車椅子の子。図書館に通う子。町の子たちのために。
「さすがだな」
と。拓眞。
「目が見えにくい子たちにも、少しでも見えるように。絵の色をしっかり塗るよう心がけました。お話の世界観からしたらさ。淡い色合いの絵が良かったんでしょうけど」
目の見えずらい子たちのために……
愛朱実も続いて。
「いいの。子供たちみんなが喜んでくれたら、それで」
マミは微笑んで。
「基本黒色の、文の中に。ヴィントは青色。ルーナは黄色。 ベルクは赤色。ブーリャは緑色。デイジーは桃色。 三兄弟パパは紫色 。デイジーパパは藍色。三兄弟ママは橙色。 デイジーママは赤橙色。セリフの文字を変えたのがさ。秀逸だよな」
耳の不自由な子たちのために……
拓眞が唸り。
「凄い開発ね」
愛朱実が素直に感心している。
「子供たち、一人一人に渡したイヤモニ型の声の変換機で、登場人物の声も変えたんですものね」
耳の聞こえずらい。それから、目の不自由な子たちのために……
マミも感嘆している。
それらは、もちろん、車椅子の子も。図書館に通うの子も。街の子たちも。 より一層楽しんでもらうためのモノで
「拓眞に。紙芝居を楽しんでもらいたい子供たちの様子を聞いてさ。 必要なモノをみんな揃えてあげたい。って思ってさ」
「やっぱり、中庭くんは『ビックリさせたいモノ』を考えたんじゃなくて『人を助けるためのモノ』を作ったのよ」
愛朱実が、そう言うと。
「考えるだけの側って無責任に、ドテカイ事を言いがちじゃん? それを形にしてくれたさ。依頼した会社の人達に感謝しなきゃだよね。会社の上司に『独りよがりなモノばっか考えるんじゃない!』って怒られてばっかで。とか言いつつ、商品化を決定してはくれたけど。 俺自身が、疑心暗鬼になってたから……」
「 全部さ。実用化出来るモノ考えたじゃん。朔弥。 上司は、時に理不尽なこと いうもんなんだよ」
「拓眞……サンキュ」
「愛朱実も、絵本の絵や。小説の挿し絵を描いて。色を付けて。物語に色を吹き込んで。素敵な仕事してるわよね。拓眞さんは、本が大好きな子供たちのために。 大人に。癒しの空間の場所や物語を提供したり。 みんなえらいな……子供たちも、耳のこと、目のこと、足のこと、病を言い訳にしないで、頑張っているし……なのに私は……」
寂しげに。苦しげに呟いたマミ。
「 マメちゃん、自己評価低すぎだよ。俺、マメちゃんが、誰よりも『頑張り屋さん』だって思っているよ?」
(マメちゃんこそ頑張ってるのにさ。 何言ってんだろうね)
------
*イヤモニ型声色変換機
アクリル板の文字の色
あったら良いな という願望です
**フィクションとして
それらの『ある』世界
と 思ってお読み下さると ありがたいです。
0
あなたにおすすめの小説
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同窓会~あの日の恋をもう一度~
小田恒子
恋愛
短大を卒業して地元の税理事務所に勤める25歳の西田結衣。
結衣はある事がきっかけで、中学時代の友人と連絡を絶っていた。
そんなある日、唯一連絡を取り合っている由美から、卒業十周年記念の同窓会があると連絡があり、全員強制参加を言い渡される。
指定された日に会場である中学校へ行くと…。
*作品途中で過去の回想が入りますので現在→中学時代等、時系列がバラバラになります。
今回の作品には章にいつの話かは記載しておりません。
ご理解の程宜しくお願いします。
表紙絵は以前、まるぶち銀河様に描いて頂いたものです。
(エブリスタで以前公開していた作品の表紙絵として頂いた物を使わせて頂いております)
こちらの絵の著作権はまるぶち銀河様にある為、無断転載は固くお断りします。
*この作品は大山あかね名義で公開していた物です。
連載開始日 2019/10/15
本編完結日 2019/10/31
番外編完結日 2019/11/04
ベリーズカフェでも同時公開
その後 公開日2020/06/04
完結日 2020/06/15
*ベリーズカフェはR18仕様ではありません。
作品の無断転載はご遠慮ください。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる