37 / 43
みんなの声が聞こえたよ
しおりを挟む
「マミちゃんがさ。 耳が聞こえないことは『しょうがないこと』だって 。でも 、いろんなこと言われると…… って、話してくれたんです。すごい、いっぱい悲しい思いしてきたんだろうなって、 俺心が苦しくなったんです」
拓眞の苦しげな表情に。
「本当に理不尽よね 。小学校に入って。さぁ、これから楽しいことがいっぱい起こるって、マミは ワクワクしてたのよ。マミは、 牛乳が嫌いなの。 飲めないの よ。きちんと担任の女の先生にも伝えたのに『飲み終わるまで、お昼休みの時間、遊んではいけません』って。 意地悪をしていた男の子たちが、パンを、 ある男の子の机の中に入れたのよ。それをマミがしたって。 聞く耳持たないで 。一度は私、謝りに行ったわ。けれど主人が、麻那斗《まなと》さんが。担任の間違いを。すごい剣幕で怒って。学校に訴えに行って。 その担任を。担任から降ろすところまで頑張ってくれたわ
「ナミさん……」
ナミの後悔と、マミの父麻那斗の怒り。切なくて。
「 私ね。保育園と小学校を。転勤族で、一回ずつ変わってるの。 その度に 、友達になった子と離れるのが悲しくて 『いつかお別れなら、誰とも仲良くなんかならない!』って……」
「岡ちゃん……」
朔弥は、なんて声をかけてあげれば良いか分からなくて。
「小学校四年でと出会って。マミに嫌がらせをしてる男子四人組がいたんだけど。 四人組は、私が秋に転校していた時に提出した、家の絵をからかって来たの。『お題は夏の思い出なのに』って。 担任も一緒になって笑ってたわ。近くで哀しそうに、じっと話を聞いてる女の子がいるなって『岡さんは、 てんこうせいだもん。まえのガッコウのしゅくだいと、ちがうはずだもん 』って。前の学校のお題は『大好きな場所』でさ」
「岡ちゃん……」
「やっぱりね。マミちゃんが、困っている子を 助けないはずないんだ 『自分ばっかりが岡さんや、ママに助けられてる』なんてさ。言うんだもん」
「うん。マミと仲良くなりたいって。心から思ったわ。お互いに『友達いらない』って心が泣き始めてた時で。でも、彼女なら信じられるって。マミも『あすみを、しんじる』って言ってくれて。ねぇ、四人組はね、小一の時、自分たちが入れたパンをマミに押し付けた奴らなのよ。信じられる? 三年以上いじめてさ」
「マジか……」
拓眞はツブやいて。
考えたくないけど…… もうそれしか頭に浮かばなくて……
「 好きな女の子を、いじめてしまう 男って、ガキよね」
愛朱実の切れ味鋭い正論に。
拓眞は。
「やっぱり」
と、項垂れ。
「岡ちゃん、カッコいいけど心痛くなった」
朔弥は、 心当たりがなくもないセリフに。心をえぐられて。
「マミから聞き出したの。 あの子。決して自分からは人を悪く言おうとしないんだもん。 四人組がどうしても許せなくてさ。あ、誤解しないでね? 四人組が、マミのことを好きなのは私が気がついたことで。マミは、気がついていないから。マミにとっては、嫌がらせ以外に他ならないもの。私を助けてくれたマミを今度は、私が守るんだっ。て決心したの」
「愛朱実ちゃんには感謝しているわ。マミは 女の先生とは相性が合わなくて…… 『意地悪されるのはあなたのせいじゃないですか?』 四年生の時の担任そう言われて 。我慢強い子が、こらえきれずに、私に訴えてきて 。私は猛抗議したわ。 もう絶対に 後悔したくない。マミを守り抜くんだって。あの小学校一年のパン事件の時に誓ったんですもの。 その子達の親に、抗議しても。学校に抗議しても。 力不足で全然収まらなくて。八方塞がりだった時に。愛朱実ちゃんも担任に猛抗議してくれてたのよ。 そこから徐々に、悪ガキの 嫌がらせも、収まっていったわ」
「ママ……ありがとう……」
「マミっ」
熱で、苦しい中。マミは。
「みんなの声がね、ハッキリ聞こえたよ……」
「ママが、助けてくれたから……嫌がらせ止まったんだよ。あす……み。ありがとう」
「大事な、みんなの言葉が聞こえてよかった」
って、微笑み、再び目をつむったマミ。
「マミちゃんは、人の心を温かくする、女の子ですね」
拓眞は、だからこそ、なおさら。無理解から、マミを苦しめる人たちが許せなかった。
(俺が、守るから。マメちゃん。もう泣かせたりしないんだ)
拓眞は、決意したのだった。
拓眞の苦しげな表情に。
「本当に理不尽よね 。小学校に入って。さぁ、これから楽しいことがいっぱい起こるって、マミは ワクワクしてたのよ。マミは、 牛乳が嫌いなの。 飲めないの よ。きちんと担任の女の先生にも伝えたのに『飲み終わるまで、お昼休みの時間、遊んではいけません』って。 意地悪をしていた男の子たちが、パンを、 ある男の子の机の中に入れたのよ。それをマミがしたって。 聞く耳持たないで 。一度は私、謝りに行ったわ。けれど主人が、麻那斗《まなと》さんが。担任の間違いを。すごい剣幕で怒って。学校に訴えに行って。 その担任を。担任から降ろすところまで頑張ってくれたわ
「ナミさん……」
ナミの後悔と、マミの父麻那斗の怒り。切なくて。
「 私ね。保育園と小学校を。転勤族で、一回ずつ変わってるの。 その度に 、友達になった子と離れるのが悲しくて 『いつかお別れなら、誰とも仲良くなんかならない!』って……」
「岡ちゃん……」
朔弥は、なんて声をかけてあげれば良いか分からなくて。
「小学校四年でと出会って。マミに嫌がらせをしてる男子四人組がいたんだけど。 四人組は、私が秋に転校していた時に提出した、家の絵をからかって来たの。『お題は夏の思い出なのに』って。 担任も一緒になって笑ってたわ。近くで哀しそうに、じっと話を聞いてる女の子がいるなって『岡さんは、 てんこうせいだもん。まえのガッコウのしゅくだいと、ちがうはずだもん 』って。前の学校のお題は『大好きな場所』でさ」
「岡ちゃん……」
「やっぱりね。マミちゃんが、困っている子を 助けないはずないんだ 『自分ばっかりが岡さんや、ママに助けられてる』なんてさ。言うんだもん」
「うん。マミと仲良くなりたいって。心から思ったわ。お互いに『友達いらない』って心が泣き始めてた時で。でも、彼女なら信じられるって。マミも『あすみを、しんじる』って言ってくれて。ねぇ、四人組はね、小一の時、自分たちが入れたパンをマミに押し付けた奴らなのよ。信じられる? 三年以上いじめてさ」
「マジか……」
拓眞はツブやいて。
考えたくないけど…… もうそれしか頭に浮かばなくて……
「 好きな女の子を、いじめてしまう 男って、ガキよね」
愛朱実の切れ味鋭い正論に。
拓眞は。
「やっぱり」
と、項垂れ。
「岡ちゃん、カッコいいけど心痛くなった」
朔弥は、 心当たりがなくもないセリフに。心をえぐられて。
「マミから聞き出したの。 あの子。決して自分からは人を悪く言おうとしないんだもん。 四人組がどうしても許せなくてさ。あ、誤解しないでね? 四人組が、マミのことを好きなのは私が気がついたことで。マミは、気がついていないから。マミにとっては、嫌がらせ以外に他ならないもの。私を助けてくれたマミを今度は、私が守るんだっ。て決心したの」
「愛朱実ちゃんには感謝しているわ。マミは 女の先生とは相性が合わなくて…… 『意地悪されるのはあなたのせいじゃないですか?』 四年生の時の担任そう言われて 。我慢強い子が、こらえきれずに、私に訴えてきて 。私は猛抗議したわ。 もう絶対に 後悔したくない。マミを守り抜くんだって。あの小学校一年のパン事件の時に誓ったんですもの。 その子達の親に、抗議しても。学校に抗議しても。 力不足で全然収まらなくて。八方塞がりだった時に。愛朱実ちゃんも担任に猛抗議してくれてたのよ。 そこから徐々に、悪ガキの 嫌がらせも、収まっていったわ」
「ママ……ありがとう……」
「マミっ」
熱で、苦しい中。マミは。
「みんなの声がね、ハッキリ聞こえたよ……」
「ママが、助けてくれたから……嫌がらせ止まったんだよ。あす……み。ありがとう」
「大事な、みんなの言葉が聞こえてよかった」
って、微笑み、再び目をつむったマミ。
「マミちゃんは、人の心を温かくする、女の子ですね」
拓眞は、だからこそ、なおさら。無理解から、マミを苦しめる人たちが許せなかった。
(俺が、守るから。マメちゃん。もう泣かせたりしないんだ)
拓眞は、決意したのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる