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それぞれの想い3(詠史)

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 詠史side

 楓禾姫を見つめていた。

湖紗若の目線の高さに身を屈め、湖紗若に微笑みながら話掛けたり、頬を摘まんでみたり。撫でて差し上げたりしておられる。

 まるで美しき絵を見ている様な……

 多少、趣味程度に絵を描く私は、楓禾姫と湖紗若を描いてみたいと思いつつ……なぜだか、冷静ではいられなくて…

 その時だった。フイに湖紗若が同じ様にお二方を見つめていた。稜弥様と私の方に視線を送って来られたかと思うと。

 ニヤっ。と右口角を軽くお上げになられて……

(……ホー……やりますね? 湖紗若)

 思わず(内心は動揺しているのに)余裕ぶって。右口角上げて微笑み返してしまったのだけど……隣におられる稜弥様の ご様子を横目に伺うと。やはり同じ様に左口角を上げられ、微笑まれている。

 そして湖紗若は、私達に見せつける様に楓禾姫に抱き付かれたりと、 思いっきり甘えられていて。

 お小さいのに……

「ふふ……中々……侮れませんね。詠史殿」

「本当に……侮れませんね。稜弥様」


 などと同意しつつ。

 私にとっては、貴方様も侮れないと思っているのですがね……

 そんな事を考えつつ。視界の隅では、鈴様となずな殿がお二人の世界を醸し出しておられて。

 何かが起きる予感に、私は、心がザワつくのを 感じていたんだ……
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