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17章 崩壊の時
崩壊の足音
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龍の姿へと変化したアニムは、眼下で狼狽えるハルクエルを見下す。
その体は、有り余る財力を誇示するかのように作られた、千の人を収容する広大な謁見の間を、半分も占めてしまう程巨大だ。
ハルクエルは人生の中で一度も、これだけの巨大生物を見たことが無かった。それだけではない。四つの足の先についた爪の鋭さ。鳥とは違う純白の翼。どれをとっても生来初めて目にするものだ。
その創作物の中でしか見た事のない姿を見て、ハルクエルは漠然とした恐怖に身を固める。
ハルクエルが呆然と龍を見上げていると、頭上から美しい声が降りかかった。
『人間とは確も身勝手な生き物だな。誰もが自らの事しか考えぬ。我はこれまでの王にも同じことを問うてきた。「お前が同種である人間に害をなすのは何故か」。その問いかけに貴様の祖父はこう答えた。「男に生まれたのならば頂点を目指すのは当然の事」だと。その問いかけに貴様の父はこう答えた。「親の遺志を継ぐのは子として当然の事」だと。貴様も父と同じような理由を答えていたなハルクエルよ。全く思い違いも甚だしい』
「思い違いだと!? 先人たちの思いを受け継ぎ後世に残す。それは残されたものに課せられた使命だ! 人間はこれまでそうして進化を続けてきた。私はそれが正しいと確信している!」
『それを正しいと思い込んでいるからいけないと言っているのだ。貴様らが当然だとか使命だとか語るものは全て、貴様ら人間が設けた常識でしかないのだよ。男は頂点を目指すもの? 子は親の遺志を継ぐもの? 後世に残すが使命? 何と酷い決めつけだ。その常識が通用するのは、貴様らだけの極小さい世界の中でだけなのだ。そしてその行いの善し悪しを決める権利は、貴様ら人間にはない』
それからアニムは羽を広げると天井を仰ぎ咆えた。
天を穿つ咆哮。
だが不思議なもので、すぐそばにいるハルクエルはその声を煩いと欠片も思わなかった。むしろ神々しささえ感じ、寝る前に聞かされた子守唄のような心地よさも覚える。
(いかん……これはいかんぞ)
突如として湧き上がる恐怖の感情。目の前で起きている光景と、耳に届く音に齟齬が生じ、その激しい落差に身体を震わせる。
そしてその咆哮は、ハルクエルの耳に届くのと同じ強さで城の中を駆け抜けた。
すると謁見の間前で待機していた衛兵が、先の咆哮を受け部屋の中に駆け込んだ。
「王よ! 如何成されましたか!?」
「いっ、今の雄たけびは一体……」
「ひぃっ!? なんだこの化け物は!!」
勢いよく開け放たれた扉から見える人ならざる者の姿。
数にして十にも満たない兵士らは、竜に向けて剣を抜く。
アニムは喚く人間を見ては更に口元を歪ませた。
『百年の間こういった者らを見ていたが、なんとも滑稽なものだ。誰もが正しき行いを遂行していると胸を張る。嘆かわしい……貴様らは悪事を働いているという認識が一切ないのだろうな。争いのないこの完璧な世界で、どれだけ小さくとも争い事を起こすこと自体が悪事だというのに』
アニムの心底見下したような視線、声音、全ての物事を見透かしたかのような言葉に、ハルクエルは必死に抗おうとする。
「争うことの何がいけない。種と文明の発展に闘争は必至だ。それを繰り返すことで、私たちはより気高く、より高潔な存在に生まれ変わっていくのだ」
狼狽える兵士らの下へ、凛々しく力強いハルクエルの声が響く。
人間の進化は、常に闘争と共にあった。
エルフのような魔力も与えられず、セリオンのような身体能力も与えられず、また彼らの持つ知識の一切も与えられずに産み落とされた人間は、野を駆ける獣に抗うために棒を握り石を手に取った。
それでも叶わぬと悟ると、自然と彼らは寄り添い合い協力することを覚える。
更に時を経て賢くなると、より高度でより規模の大きな集落を作り出し始めた。村、町、国と呼ばれたそれらのおかげで、人間の生活は急速に発展をしていく。
それらは当初、同じ人間を守る為に作り出したものだ。だが彼らは次に同じ人間同士で争いを始めた。互いの領地、資源、財を奪い合う『戦争』を引き起こしてしまう。
戦争が起きる度に、多くの血が流れ多くの命が無くなった。だがその度に人は、新たな技術を発見し、新たな兵器を開発し、新たな境地へと到達する。
更に時は過ぎ、振り回していた棒きれは鋭く研ぎ澄まされた剣へと変わり、放り投げていた石ころもより洗練された弓矢へと変わった。
多くの命を奪った闘争により、人間はこれまで進化することが出来たのだ。
だがアニムは、ハルクエルのこの主張を受けても蔑んだ微笑みを絶やさない。
しわがれた老人の声はいつしかひどく中性的な声に変わっていて、更に眼下で立ち竦む人間を非難する。
『起こる理由、事の大小、結果がどうであろうとも一切関係ない。争いとはこの世界に不必要な物。須らく悪である。だが、世界が不必要と判断したのは闘争その物ではない。争いを起こす貴様ら人間その物だ。自らの欲望を満たすためだけに森を荒らし、野を荒らし、海を荒し山を荒らす。神が創り給うたこの完璧で美しい世界を、悪戯に貪る病魔。世界は、その病魔を排除しようと動き出している』
龍はそこまで語ると目を瞑った。
突如として、白龍の前に黒い穴が現れた。
全てを吸い込みそうな極黒色。その異様な現象に、地に立つ人間は皆視線を奪われる。
アニムの静かな声が聞こえた。
『短い時間とはいえ、共に世界を生きたものが死に絶える事実は少々心苦しいが、どうやら世界の判断は正しかったようだ。これ以上この世界を汚す前に、貴様らは死に絶えるべきだろう』
「……その巨大な足で、私たちを踏み潰そうというのか?」
恐怖に自然と笑みが零れる。だがハルクエルは強がって見せた。兵士の手前ということもあっただろう。だがそれだけではない。龍の語ることに頷いていしまえば、これまで先人たちが培ってきたものを否定することになってしまう。そしてそれは、亡くなった父と祖父の誇りを貶めることと同義だ。
「私は……世界の為に生きているわけではない! 亡き父と祖父の為に生きているのだ! それに、例え私が貴様に殺されようとも、それで人間の進化を止めることは出来ない!」
確かな闘志を持って、ハルクエルは腰に差した剣を抜き放った。
部屋を照らす魔法光が金色の剣身を輝かせる。その切っ先は純白の龍の方へ。しかしどうにもその間にある黒い穴が気になって目が離せない。
『威勢は素晴らしいが、その点でも貴様は勘違いをしている。手を下すのは我ではないのだよ。手を下すのは……』
黒い穴に真っ赤な光が一つ灯った。
それとほぼ同時に、聞いたことのない音が上がる。
キュアアアア!!
それは泣き声だ。甲高いその声と共に、穴から何かが飛び出した。
飛び出した何かは目にもとまらぬ速さで移動を始め、部屋の入口付近にいた兵士の一人目掛けて飛びかかる。
「な、なんだ!? うわっ!」
それは宙に浮かんだ穴と同じ、真っ黒な体の四つ足の化け物。
形状は犬に近いが、目に当たるところに真っ赤な光が一つ灯っているだけで、とても生き物とは思えない。
化け物の鋭い爪が兵士の腕に食い込み、鋭い牙がのど元をかみ切る。
「ひっ! ぎゃああああ!!」
部屋に響く悲鳴。吹き出る血飛沫。一瞬で部屋の中に鉄の臭いが漂う。その悲鳴と匂いに呼ばれるように、更に穴から二つの影が飛び出した。
キィィイイイ!!
現れた影も先のとほぼ同型。
化け物たちは瞬く間に兵士を食い殺し、戦力が次々と減っていく。
「召喚魔法か!? くそ! 早く応援を呼べ!」
『召喚魔法だなんてとんでもない。これは世界の自浄作用だ。貴様らは正式に、世界の敵となったのだ』
全ての衛兵を食い殺した三つの影は、次にハルクエルへと襲い掛かる。
「くそっ! 唯でやられてなる物か!」
ハルクエルは立派な装飾の施された高価な剣を振り回して見せた。
だが影はそれを意に介すことも無く、ハルクエルへと群がる。
鋭い爪が腕を切り落とす。鋭い牙が足を食いちぎる。
「ぎゃあああ!! 腕がっ! 腕ガアアア!!」
もはや人間の者とは思えぬ悲鳴を上げ、ハルクエルはなくなった箇所を手で押さえた。
「た、助け……」
終いには命乞い。天にいる父を願って、ぽつりと口から零れる。
『お疲れさまでございました、王よ。ご安心ください。後はこのジェイクが、万事滞りなく終わらせときます故」
アニムは歪んだ笑みを湛えながら、ジェイクの声を使ってハルクエルに語り掛けた。
その声は当然、ハルクエルの耳には届かない。
若き王は悲痛な表情のまま、無数の鋭い牙で食い殺される。
「イ……ア‶……ドウ、サマ……ガアサ……」
ぶくぶくと口から血のあぶくを出し絶命する。やがて物言わぬ肉塊は、骨の一本残すことなく化け物に食われてしまった。
黒の獣は、床に流れた血を一滴残らずなめとる。
そして無人となった部屋にアニムの呟きが響いた。
『さて、もう抑える事もない。世界がどういった判断を下したのか、見物させてもらうとしよう』
アニムが力を抜くと、その周囲に無数の黒穴が現れる。
十や二十ではきかないその穴から、更に無数の影が飛び出す。
地に降りた化け物たちは駆け出す。部屋を飛び出し、何も知らぬ人間の下へ。
それから幾許もしないうちに、バルドリンガ国は人間の悲鳴で埋め尽くされた。
その体は、有り余る財力を誇示するかのように作られた、千の人を収容する広大な謁見の間を、半分も占めてしまう程巨大だ。
ハルクエルは人生の中で一度も、これだけの巨大生物を見たことが無かった。それだけではない。四つの足の先についた爪の鋭さ。鳥とは違う純白の翼。どれをとっても生来初めて目にするものだ。
その創作物の中でしか見た事のない姿を見て、ハルクエルは漠然とした恐怖に身を固める。
ハルクエルが呆然と龍を見上げていると、頭上から美しい声が降りかかった。
『人間とは確も身勝手な生き物だな。誰もが自らの事しか考えぬ。我はこれまでの王にも同じことを問うてきた。「お前が同種である人間に害をなすのは何故か」。その問いかけに貴様の祖父はこう答えた。「男に生まれたのならば頂点を目指すのは当然の事」だと。その問いかけに貴様の父はこう答えた。「親の遺志を継ぐのは子として当然の事」だと。貴様も父と同じような理由を答えていたなハルクエルよ。全く思い違いも甚だしい』
「思い違いだと!? 先人たちの思いを受け継ぎ後世に残す。それは残されたものに課せられた使命だ! 人間はこれまでそうして進化を続けてきた。私はそれが正しいと確信している!」
『それを正しいと思い込んでいるからいけないと言っているのだ。貴様らが当然だとか使命だとか語るものは全て、貴様ら人間が設けた常識でしかないのだよ。男は頂点を目指すもの? 子は親の遺志を継ぐもの? 後世に残すが使命? 何と酷い決めつけだ。その常識が通用するのは、貴様らだけの極小さい世界の中でだけなのだ。そしてその行いの善し悪しを決める権利は、貴様ら人間にはない』
それからアニムは羽を広げると天井を仰ぎ咆えた。
天を穿つ咆哮。
だが不思議なもので、すぐそばにいるハルクエルはその声を煩いと欠片も思わなかった。むしろ神々しささえ感じ、寝る前に聞かされた子守唄のような心地よさも覚える。
(いかん……これはいかんぞ)
突如として湧き上がる恐怖の感情。目の前で起きている光景と、耳に届く音に齟齬が生じ、その激しい落差に身体を震わせる。
そしてその咆哮は、ハルクエルの耳に届くのと同じ強さで城の中を駆け抜けた。
すると謁見の間前で待機していた衛兵が、先の咆哮を受け部屋の中に駆け込んだ。
「王よ! 如何成されましたか!?」
「いっ、今の雄たけびは一体……」
「ひぃっ!? なんだこの化け物は!!」
勢いよく開け放たれた扉から見える人ならざる者の姿。
数にして十にも満たない兵士らは、竜に向けて剣を抜く。
アニムは喚く人間を見ては更に口元を歪ませた。
『百年の間こういった者らを見ていたが、なんとも滑稽なものだ。誰もが正しき行いを遂行していると胸を張る。嘆かわしい……貴様らは悪事を働いているという認識が一切ないのだろうな。争いのないこの完璧な世界で、どれだけ小さくとも争い事を起こすこと自体が悪事だというのに』
アニムの心底見下したような視線、声音、全ての物事を見透かしたかのような言葉に、ハルクエルは必死に抗おうとする。
「争うことの何がいけない。種と文明の発展に闘争は必至だ。それを繰り返すことで、私たちはより気高く、より高潔な存在に生まれ変わっていくのだ」
狼狽える兵士らの下へ、凛々しく力強いハルクエルの声が響く。
人間の進化は、常に闘争と共にあった。
エルフのような魔力も与えられず、セリオンのような身体能力も与えられず、また彼らの持つ知識の一切も与えられずに産み落とされた人間は、野を駆ける獣に抗うために棒を握り石を手に取った。
それでも叶わぬと悟ると、自然と彼らは寄り添い合い協力することを覚える。
更に時を経て賢くなると、より高度でより規模の大きな集落を作り出し始めた。村、町、国と呼ばれたそれらのおかげで、人間の生活は急速に発展をしていく。
それらは当初、同じ人間を守る為に作り出したものだ。だが彼らは次に同じ人間同士で争いを始めた。互いの領地、資源、財を奪い合う『戦争』を引き起こしてしまう。
戦争が起きる度に、多くの血が流れ多くの命が無くなった。だがその度に人は、新たな技術を発見し、新たな兵器を開発し、新たな境地へと到達する。
更に時は過ぎ、振り回していた棒きれは鋭く研ぎ澄まされた剣へと変わり、放り投げていた石ころもより洗練された弓矢へと変わった。
多くの命を奪った闘争により、人間はこれまで進化することが出来たのだ。
だがアニムは、ハルクエルのこの主張を受けても蔑んだ微笑みを絶やさない。
しわがれた老人の声はいつしかひどく中性的な声に変わっていて、更に眼下で立ち竦む人間を非難する。
『起こる理由、事の大小、結果がどうであろうとも一切関係ない。争いとはこの世界に不必要な物。須らく悪である。だが、世界が不必要と判断したのは闘争その物ではない。争いを起こす貴様ら人間その物だ。自らの欲望を満たすためだけに森を荒らし、野を荒らし、海を荒し山を荒らす。神が創り給うたこの完璧で美しい世界を、悪戯に貪る病魔。世界は、その病魔を排除しようと動き出している』
龍はそこまで語ると目を瞑った。
突如として、白龍の前に黒い穴が現れた。
全てを吸い込みそうな極黒色。その異様な現象に、地に立つ人間は皆視線を奪われる。
アニムの静かな声が聞こえた。
『短い時間とはいえ、共に世界を生きたものが死に絶える事実は少々心苦しいが、どうやら世界の判断は正しかったようだ。これ以上この世界を汚す前に、貴様らは死に絶えるべきだろう』
「……その巨大な足で、私たちを踏み潰そうというのか?」
恐怖に自然と笑みが零れる。だがハルクエルは強がって見せた。兵士の手前ということもあっただろう。だがそれだけではない。龍の語ることに頷いていしまえば、これまで先人たちが培ってきたものを否定することになってしまう。そしてそれは、亡くなった父と祖父の誇りを貶めることと同義だ。
「私は……世界の為に生きているわけではない! 亡き父と祖父の為に生きているのだ! それに、例え私が貴様に殺されようとも、それで人間の進化を止めることは出来ない!」
確かな闘志を持って、ハルクエルは腰に差した剣を抜き放った。
部屋を照らす魔法光が金色の剣身を輝かせる。その切っ先は純白の龍の方へ。しかしどうにもその間にある黒い穴が気になって目が離せない。
『威勢は素晴らしいが、その点でも貴様は勘違いをしている。手を下すのは我ではないのだよ。手を下すのは……』
黒い穴に真っ赤な光が一つ灯った。
それとほぼ同時に、聞いたことのない音が上がる。
キュアアアア!!
それは泣き声だ。甲高いその声と共に、穴から何かが飛び出した。
飛び出した何かは目にもとまらぬ速さで移動を始め、部屋の入口付近にいた兵士の一人目掛けて飛びかかる。
「な、なんだ!? うわっ!」
それは宙に浮かんだ穴と同じ、真っ黒な体の四つ足の化け物。
形状は犬に近いが、目に当たるところに真っ赤な光が一つ灯っているだけで、とても生き物とは思えない。
化け物の鋭い爪が兵士の腕に食い込み、鋭い牙がのど元をかみ切る。
「ひっ! ぎゃああああ!!」
部屋に響く悲鳴。吹き出る血飛沫。一瞬で部屋の中に鉄の臭いが漂う。その悲鳴と匂いに呼ばれるように、更に穴から二つの影が飛び出した。
キィィイイイ!!
現れた影も先のとほぼ同型。
化け物たちは瞬く間に兵士を食い殺し、戦力が次々と減っていく。
「召喚魔法か!? くそ! 早く応援を呼べ!」
『召喚魔法だなんてとんでもない。これは世界の自浄作用だ。貴様らは正式に、世界の敵となったのだ』
全ての衛兵を食い殺した三つの影は、次にハルクエルへと襲い掛かる。
「くそっ! 唯でやられてなる物か!」
ハルクエルは立派な装飾の施された高価な剣を振り回して見せた。
だが影はそれを意に介すことも無く、ハルクエルへと群がる。
鋭い爪が腕を切り落とす。鋭い牙が足を食いちぎる。
「ぎゃあああ!! 腕がっ! 腕ガアアア!!」
もはや人間の者とは思えぬ悲鳴を上げ、ハルクエルはなくなった箇所を手で押さえた。
「た、助け……」
終いには命乞い。天にいる父を願って、ぽつりと口から零れる。
『お疲れさまでございました、王よ。ご安心ください。後はこのジェイクが、万事滞りなく終わらせときます故」
アニムは歪んだ笑みを湛えながら、ジェイクの声を使ってハルクエルに語り掛けた。
その声は当然、ハルクエルの耳には届かない。
若き王は悲痛な表情のまま、無数の鋭い牙で食い殺される。
「イ……ア‶……ドウ、サマ……ガアサ……」
ぶくぶくと口から血のあぶくを出し絶命する。やがて物言わぬ肉塊は、骨の一本残すことなく化け物に食われてしまった。
黒の獣は、床に流れた血を一滴残らずなめとる。
そして無人となった部屋にアニムの呟きが響いた。
『さて、もう抑える事もない。世界がどういった判断を下したのか、見物させてもらうとしよう』
アニムが力を抜くと、その周囲に無数の黒穴が現れる。
十や二十ではきかないその穴から、更に無数の影が飛び出す。
地に降りた化け物たちは駆け出す。部屋を飛び出し、何も知らぬ人間の下へ。
それから幾許もしないうちに、バルドリンガ国は人間の悲鳴で埋め尽くされた。
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