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1章
情報収集
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病気を治してもらったお礼ということで、その日の夕食はとても豪勢だった。
シチューにパン。新鮮なサラダにメインは牛の肉のステーキ。
他にも小鉢のようなものがちょこちょこと付いていた。
味もなかなかよく、食が進む。
ただ……ご飯がほしかった……切実に思う。
夕食後、その日は色々あったから、頭の整理をするために早く寝ることにした。
翌朝、朝食を頂いた僕は、一人で町中を散策していた。
護衛の件だが、盗賊団は町の中で発見されたことが無いことから、町の中ではある程度の自由を保障して貰えた。
ヤナは今彼女の母親、“クァルマ”さんと一緒に家事をしている。
少し心配だけど、ずっと張り付いているわけにもいかない。確認したいこともあるし……
とりあえず道具屋、武具屋あたりを見てみようか。
幸いなことに、ゲームのキャラクターが持っていた金額がそのまま、袋に金貨で入っていた。
特に金持ちというわけではなかったが、無一文よりは遥かにいいだろう。
もしかしたら何か買えるかもしれないしね。
僕はまず、昨日ヤナが薬を買った店へと向かった。
「あらぁ、いらっしゃぁい。ヤナちゃんは一緒じゃないのかい?」
しわくちゃな顔を更にしわくちゃにして、店主のおばあさんが声をかけてきた。
「ヤナは今お母さんの手伝いをしています。昨日はゆっくり見る時間もなかったんで、どんなものが売ってるのかなぁと思ってきてみました」
そう言いながら僕は散策を開始する。
薬を売っていたし、どうやら薬屋らしい。
果実を液体に漬けたものも、薬の材料のようだ。
他にも薬草、魔法薬等々、ゲームの世界でもよく目にするものばかりだった。
それでも見たこともない物も多数あって、これからいろいろ確かめなければならなそうだ。
店に立ち寄って何も買わないのも悪いので、試しに一つの魔法薬を買ってみる。
手持ちの金額からしたら大した値段ではないが、だからといって使いすぎるのもよくないだろう。
この町にいればいつでも買いに来られるだろう。
「まいどありぃ」
商品を受け取り、その代価を支払うと、その店を後にした。
次は武具屋だ。
位置はあらかじめヤナに聞いていたけど、ゲームの中での場所と同じところにあるようで、僕としても助かった。
戸を開けると威勢のいい声がかけられる。
「いらっしゃい!お?なんでい、ヤナの彼氏じゃねぇか」
にこやかに笑いながら無視できない言葉を発した。
昨日の今日でどれだけ広まっているのか。どうやら色々脚色されてしまっているようだ。
僕には別に損はないからどうでもいいんだけど、ヤナの為に否定しておくべきだろう。
「彼氏じゃないですよ。盗賊団に襲われた時の為に、護衛役を引き受けてるものです」
感心したようにため息をつく店主。
火のように赤い短髪。火の前で作業をするせいか、服は薄着だ。
「盗賊団か……あいつらには俺たちも困ってるんだよ。いっそのこと一網打尽にしてくれや」
肩をバンバンと叩きながら無理難題を言ってくる。
何かに気付いたように手を止めると、徐に手を差し出してきた。
「護衛ということは、暫くこの町にいるんだろ?俺は“ロックス・セイロン”。この店は赤の金槌だ。宜しくな」
僕は自己紹介をしながら差し出された手を取り握手をした。
それから暫く、店内を散策する。
剣に……槌……槍に……弓……お、斧もある。
めぼしい武器は一通りあるようだ。
更によく見たらゲームの中にないジャンルの武器も置いてあった。
鎖鎌かな……薙刀のような物も……手裏剣や吹き矢なんてものもあって、バリエーションは豊かだ。
僕は武器が無くても戦えるように『格闘技』を使うから、必要ないかもしれないけど、値段もお手頃なので何かあればお願いしてみよう。
冷やかしと思われたくなかったので、苦無のようなものを十本買ってみた。
店から出た足で、宿へと戻る。
宿に戻る途中。
町中を慌てて走る少年がいた。
その様子は普通ではない。何か事件だろうか?
「君!どうかしたのかい?」
現実では人見知りな僕はこんなに簡単に声なんてかけられないのだが、キャラクターの姿を取っているからだろうか。すんなりと声も出る。
走り過ぎた少年は振り返り大声で叫んだ。
「邪魔するなよ!妹が……妹が連れて行かれちまったんだ!」
その声に驚き、辺りの町民がざわめきだした。
シチューにパン。新鮮なサラダにメインは牛の肉のステーキ。
他にも小鉢のようなものがちょこちょこと付いていた。
味もなかなかよく、食が進む。
ただ……ご飯がほしかった……切実に思う。
夕食後、その日は色々あったから、頭の整理をするために早く寝ることにした。
翌朝、朝食を頂いた僕は、一人で町中を散策していた。
護衛の件だが、盗賊団は町の中で発見されたことが無いことから、町の中ではある程度の自由を保障して貰えた。
ヤナは今彼女の母親、“クァルマ”さんと一緒に家事をしている。
少し心配だけど、ずっと張り付いているわけにもいかない。確認したいこともあるし……
とりあえず道具屋、武具屋あたりを見てみようか。
幸いなことに、ゲームのキャラクターが持っていた金額がそのまま、袋に金貨で入っていた。
特に金持ちというわけではなかったが、無一文よりは遥かにいいだろう。
もしかしたら何か買えるかもしれないしね。
僕はまず、昨日ヤナが薬を買った店へと向かった。
「あらぁ、いらっしゃぁい。ヤナちゃんは一緒じゃないのかい?」
しわくちゃな顔を更にしわくちゃにして、店主のおばあさんが声をかけてきた。
「ヤナは今お母さんの手伝いをしています。昨日はゆっくり見る時間もなかったんで、どんなものが売ってるのかなぁと思ってきてみました」
そう言いながら僕は散策を開始する。
薬を売っていたし、どうやら薬屋らしい。
果実を液体に漬けたものも、薬の材料のようだ。
他にも薬草、魔法薬等々、ゲームの世界でもよく目にするものばかりだった。
それでも見たこともない物も多数あって、これからいろいろ確かめなければならなそうだ。
店に立ち寄って何も買わないのも悪いので、試しに一つの魔法薬を買ってみる。
手持ちの金額からしたら大した値段ではないが、だからといって使いすぎるのもよくないだろう。
この町にいればいつでも買いに来られるだろう。
「まいどありぃ」
商品を受け取り、その代価を支払うと、その店を後にした。
次は武具屋だ。
位置はあらかじめヤナに聞いていたけど、ゲームの中での場所と同じところにあるようで、僕としても助かった。
戸を開けると威勢のいい声がかけられる。
「いらっしゃい!お?なんでい、ヤナの彼氏じゃねぇか」
にこやかに笑いながら無視できない言葉を発した。
昨日の今日でどれだけ広まっているのか。どうやら色々脚色されてしまっているようだ。
僕には別に損はないからどうでもいいんだけど、ヤナの為に否定しておくべきだろう。
「彼氏じゃないですよ。盗賊団に襲われた時の為に、護衛役を引き受けてるものです」
感心したようにため息をつく店主。
火のように赤い短髪。火の前で作業をするせいか、服は薄着だ。
「盗賊団か……あいつらには俺たちも困ってるんだよ。いっそのこと一網打尽にしてくれや」
肩をバンバンと叩きながら無理難題を言ってくる。
何かに気付いたように手を止めると、徐に手を差し出してきた。
「護衛ということは、暫くこの町にいるんだろ?俺は“ロックス・セイロン”。この店は赤の金槌だ。宜しくな」
僕は自己紹介をしながら差し出された手を取り握手をした。
それから暫く、店内を散策する。
剣に……槌……槍に……弓……お、斧もある。
めぼしい武器は一通りあるようだ。
更によく見たらゲームの中にないジャンルの武器も置いてあった。
鎖鎌かな……薙刀のような物も……手裏剣や吹き矢なんてものもあって、バリエーションは豊かだ。
僕は武器が無くても戦えるように『格闘技』を使うから、必要ないかもしれないけど、値段もお手頃なので何かあればお願いしてみよう。
冷やかしと思われたくなかったので、苦無のようなものを十本買ってみた。
店から出た足で、宿へと戻る。
宿に戻る途中。
町中を慌てて走る少年がいた。
その様子は普通ではない。何か事件だろうか?
「君!どうかしたのかい?」
現実では人見知りな僕はこんなに簡単に声なんてかけられないのだが、キャラクターの姿を取っているからだろうか。すんなりと声も出る。
走り過ぎた少年は振り返り大声で叫んだ。
「邪魔するなよ!妹が……妹が連れて行かれちまったんだ!」
その声に驚き、辺りの町民がざわめきだした。
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