最強使い魔軍団を従えて

K.K

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クラス対抗屋台バトル

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「ソフィアちゃん、怖くないですよ。椅子の下から頭を出しましょうね。」

「うん。」

「…なあ、俺は本当にソフィアに負けたのか。」

「そうだよ。それにしてもソフィアは、ギャップが凄いよね。」

 ルースに言われて顔を上げたソフィアの顔は青い。あの強さで何を怯えているのか、イオが問い詰めたくなる程だ。

「はい。これを装着すれば安心だよ。」

 ルースがソフィアに仮面を着ける。するとソフィアの顔色がどんどん良くなっていく。そして、ソフィアのもう1つの女王様スイッチがオンになった。

「私の話を聞きなさい。」

 ソフィアは足を組んで席に座る。ソフィアの突然の変わりように、一斉に生徒達はソフィアの前で跪く。立っているのは、ソフィアの変化に戸惑い口を開けているサラと、この変化に慣れて普通に立っているルースだけだ。

(何で僕たち跪いているの。でも何故か逆らえない。)

(超カッコイイ。イオ様、リオ様と違う魅力があるわ。)

(お姉様。違うわ。女王様の誕生よ。) 

 この時、女子達のソフィアに対する好感度はかなり上がっていた。今までのソフィアに対して女子達は、男子に対して弱い自分を見せて媚を売る子だと誤解していた者や、普段人を寄せ付けないイオが、ソフィアとは普通に仲良くしている事に嫉妬していた者達がいた。その為、ソフィアの好感度は低かった。
 だが蓋を開けてみれば、そんな事はない。体中から溢れるカリスマのオーラ。この人に従いたいと感じさせる才能。そして、なんといっても普段とのギャップ。生徒達は既にソフィアの虜になっていた。

「言いこと。これは商売と言う名の戦争よ。勝つためには、手段を選ばない。他のクラスの客を奪うつもりで行くわよ。」

「「「「「はい。女王様。」」」」」

 流行の変化により、自分自身も変化していくのが優秀な商人である。流行の波に乗るのは商人にとって必要なスキルである。その点で言えば、生徒達は皆が合格ラインに届いていた。
 だが、サラの心は何かが違うと叫んでいた。此処は学園だ。身分関係なく誰でも平等に友人を作り、学び、競い会う場である。

(これは1度止めた方が…。でも身分で脅しているのとは違うわよね。)

 結論から言って、サラはクラス全員がソフィアを女王様扱いするのを止めなかった。それはサラがまだ若く、経験が少ない教師だという事もあるだろう。何か問題が起こったら止めよう。そう楽観的に捉えていた。

「私の考えた作戦として、このスタンプを使います。」

「スタンプって何だ?」

「良い質問ね。これは私の屋敷で使っている道具よ。こうして、紙に押し付けると模様が映し出されるの。」

 イオの質問にソフィアが、実践して見せる。細長い棒の先端にインクを付けて、紙に押す。すると、モコの絵がくっきりと紙に描かれていた。

「判子みたいな物ね。文字ではなく、絵が出るのね。」

「それで、これを何に使うんですか。」

「これを私たちの屋台で商品を買ったお客様が持つ紙に、押していくの。何個かスタンプが集まったら、割引やクッキー1枚無料等の、サービスをするの。」

 ソフィアの話に生徒達の目が輝く。

「素晴らしいアイディアです。私は去年この学園祭に、お父様と見学に来ましたが、誰もこのようにクラスで協力していませんでした。」

「ええ。クラス対抗と言っても、クラスで協力なんて殆んどしない。協力なんて仕入の時に安く買う為に一緒に購入するくらい。その考えをソフィア様は破られましたわ。」

 この中には反対する者はいない。ソフィアは既に班だけではなく、クラスのリーダーにまで登り詰めていた。

「さあ、皆で準備するわよ。商売と言う名の戦争は、私たちが勝利を納める。」

「「「「「オオオオオゥー。」」」」」

 クラスの気持ちが1つになる。学園祭の当日まで、生徒達は一致団結して取り組むのだった。



閲覧ありがとうございます。自分が想像していた以上のお気に入り数に感謝の気持ちでいっぱいですo(^o^)o
これからもよろしくお願いします。
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