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AクラスVSBクラス
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しおりを挟むソフィアはニッコリと母親のハンナ譲りの黒い笑みを浮かべると、無言で空間魔法を発動させて、中から仮面を取り出して装着した。
「イオ、リオ。ソフィアちゃんを止めて。完全に切れてるよ。」
「止めないで、ルース。私はあの子達にひと言言わないと気がすまないの。」
「理由は知らないが落ち着け。」
ソフィアの行動に慌てたのはルースだ。使い魔の本能が、ソフィアを行かせてはいけないと叫んでいた。
「へぇ、面白い事態になっているな。」
「ス、スイレンお姉様。どうしてこの場所に居るんですか。」
「ルースが招待状を僕に送ったんだろう。ソフィア様も落ち着いて下さい。彼女達は僕が成敗しますよ。」
だが事態は思わぬ方向に急展開した。颯爽と現れた男装をした騎士が、ソフィアの仮面を外したのだ。それにより、人前に出るのが恥ずかしくなったソフィアはその場に座り込む。
「あいつは誰なんだ。周囲にはルリアミーナ家の護衛が居るのに、ひとりで行かせて大丈夫なのか。」
「彼女はスイレン。私の剣術の師匠だよ。」
「万が一戦いになれば、100%勝てるよ。」
ソフィアの強さをイオ様は知っている。そのソフィアの師匠。負ける姿は想像すらできない。
「それよりどうしたの。さっきのソフィアいつもと全然違っていたよ。」
「…説明するより、見ていた方が分かるよ。」
頭が冷静になったソフィアは苦笑いを浮かべる。危うく彼らに自分がルリアミーナ家の娘だと、バレる所だったと胸を撫で下ろし、スイレンに視線を移すのだった。
「ドレスを見ても宜しいですか。」
「勿論です。素晴らしいドレスでしょう。お姉さんはイケメンなので、特別に銀貨15枚で売りますよ。」
ミルクはうっとりとした表情でスイレンを見つめる。たぶん本来の値段よりかなり安くしてくれているのだろう。だが、銀貨15枚とは成人男性1ヶ月分の給料だ。かなり高い。貴族以外の客は手が出せない値段だ。スイレンは暫くドレスを見ると小さく鼻で笑い、ミルクの前に立った。
「貴女があの噂の、ルリアミーナ伯爵家の娘さんですか。」
「そうよ。この美貌を見れば分かるでしょう。」
スイレンはミルクを上から下まで眺める。確かに美人だ。クリスとハンナにも少し似ているかも知れない。だが、ただ似ているだけだ。頭が良いようには見えなかった。
「少し質問をして宜しいですか。」
「良いわよ。」
「このドレスに着いている布。これは噂のフリルですか?」
「そうよ。」
「偽物ですね。」
「えっ。」
スイレンの突然の偽物発言にミルクの頭は思考を停止する。だがスイレンの猛追は終わらない。
「少し触っただけで糸が見えています。これでは、すぐに解けます。本当にこれはルリアミーナ家のドレス何ですか。」
「それは偶々よ。沢山の人に触れられて解けだけよ。」
「触っただけで解けるとは、随分脆いドレスですね。」
スイレンが周囲に聞こえるように大声で話す。スイレンの声に、ドレスを買おうか迷っていた客は戸惑う。
「貴女に何の権利があって、そんな事を言うの。営業妨害で訴えるわよ。」
「失礼。自己紹介を忘れていました。私はスイレン。ルリアミーナ家の護衛騎士をしている者です。」
「で、出鱈目よ。私がルリアミーナ家の娘よ。貴女なんて知らないわ。私を敵にしてただで済むと、思わないでね。」
どちらが嘘を言っている。周囲の注目が集まる。ミルクの顔は悪いが、彼女にはこんな学園祭に本物のルリアミーナ家の知り合いが居るはずが無いと変な自信で自分を保っていた。
「そんなに言うなら証拠を出しなさい。貴女が証拠を出さない限り、誰も貴女を信じないわよ。ほら、結局はウソ何でしょう。」
自分は証拠すら出せないのに、ミルクは言いたい放題だ。だが黙って聞いているだけのスイレンではなかった。
「分かりました。それでは、全員が納得する証拠を出しましょう。」
ミルクは自分が檻に入った獲物だと、気付いていない。大勢が見守る中でスイレンの狩りが始まった。
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