最強使い魔軍団を従えて

K.K

文字の大きさ
40 / 54
AクラスVSBクラス

40

しおりを挟む
「イオ。リオ。」

「「おばあ様。」」

 この学園の理事長であり、自分たちの祖母であり、ヒカフル一族の間でも最強の女と呼ばれるマリアンヌの登場に、イオ達の背筋は自然と伸びる。

「うふふ、2人とも大きくなったわね。」

 久しぶりの孫たちとの再会だ。少し背が伸びたかしら?孫の成長を内心喜ぶマリアンヌだが、その目は冷たい。なぜなら、マリアンヌの心を支配する感情はそれだけではないのだ。

「ですがーー」

 マリアンヌは老人とは思えぬ素早い動きでイオの懐に入り込むと、イオの体をがっしりと掴んで投げ飛ばした。イオは地面に体をぶつけて、顔を歪ませる。

「イオ。」

 地面に倒れたイオを慌てて、リオが起き上がらせる。

「愚か者は助ける必要はありません。担任のサラから話は聞いています。せっかく、自分が尊敬する剣の使い手であるソフィアを見付けたのに追いかけないとは、何事ですか。」

 マリアンヌの言葉にイオがはっとする。

「弱い者は私の孫には不要です。ソフィアの元で学ばせて貰いなさい。きっとあなたを強くするでしょう。」

「はい、おばあ様。」

 どんなに凄い騎士や剣士と出会う時でも、イオをこれほど笑顔にした者はいただろうか。いや、いないだろう。笑顔のイオとは違い、リオは複雑そうな顔をする。
 リオの知るイオは、無口でクールな騎士。他人を寄せ付けぬ威圧感を放ち、家族以外とは必要最低限しか会話をしない。そんな子だった。兄であるリオはイオの将来を心配しながらも、内心は喜びで満ちていたのだった。

(自分にしか素で話さない弟、超カワイイ。)

 そう、リオは隠れブラコンだった。女の子に甘い言葉を掛けるのも、自分に興味を惹き付け悪い虫がレオに付くのを防ぐため。イオと同じ剣の道に進まなかったのは、カワイイ弟との戦いが出来ないからだ。
 リオの行動の全ては、イオを中心として行われていた。だからこそ、突然現れたソフィアに納得がいかないのだ。リオの方がイオを知っている筈なのに、リオの知らないイオの顔をソフィアには向ける。リオはソフィアに嫉妬していた。

「ですが、イオが水城の泉に向かう前にふたつ私からお願いがあります。ひとつはリーフをイオのシャドウをリオの使い魔として契約をすることです。」

「おばあ様の使い魔と契約なんて出来ません。」

『そうよ。私たちずっと一緒。』

「私はもう年です。死ぬ前に自分のパートナーを自分の信頼する孫たちに託したいのよ。それに、リーフはソフィアに恩がある。きっとレオの役に立つわ。」

 マリアンヌが首を横に降る。子供の頃からずっと一緒に居たリーフを手放すのだ。簡単な覚悟ではなかっただろう。イオは拳を握ると、リーフに向き合った。

「イオ・ヒカフルだ。将来はおばあ様を越える騎士になるつもりだ。」

『私はリーフ。まだ貴方を完全に認めてないけど、レオを仮の主人として認めるわ。』

「契約成立ね。」

 マリアンヌの右手から、葉っぱの形の紋章が消えていく。そして、イオの右手に先程マリアンヌの右手から消えたのと同じ形の紋章が浮かび上がった。その紋章はマリアンヌに合ったのと比べて、色は薄く形も小さい。だが、イオとリーフの契約が成立したことを現していた。

「リーフ、イオを支えてあげてね。」

『ええ。』

 マリアンヌは微笑む。そして、思い出したというようにふたつめのお願いを口にした。

「そうそう。イオたちの屋台だけど大変なことになっているわよ。凄い行列よ。私がこの学園の理事長になって、こんなに行列の出来る屋台は初めて見たわ。お客さんの相手しっかりお願いね。」

「大変だ。おい、ルース。屋台に戻るぞ。」

 時間を確認した2人は顔色を悪くする。午後の屋台の開店まで10分しかない。イオは遠くでリアムや大勢の人と話すルースに大声で声を掛ける。

「はーい。そうだ。クロードとリアムも手伝ってよ。」

「良いですよ。」

「僕もです。変わりに、後で僕にもクッキーをくださいね。」

「最上級使い魔と王族に手伝わせるな。…って、ルースも最上級使い魔か。」

 自分の言葉にイオは突っ込む。ルースが近くに来たのを確認すると、イオたちは屋台に向かって走った。

「おばあ様?」

「リオ。シャドウをお願いね。この子は野望があるみたいなの。きっと、リオと仲良くなれるわ。」

 走ろうとしたリオの手を掴み、マリアンヌは耳もとでそっと囁いた。そしてシャドウをその場に残すと、イオたちの走っていった反対方向に歩きだした。

「どういう意味だ。」

 マリアンヌの言葉の意味は気になるが、今は時間がない。リオは急いでシャドウと契約するとイオたちの後を追った。



 後にこの学園祭は伝説に残る。入学したての1年生が、上級生を抑えて売上のトップに輝いたのだ。ソフィアのクッキーのお陰だ。
 最上級使い魔と美形集団が販売したクッキーは平民だけではなく、貴族や王族までを魅了したと言われた。だが、その後この味を再現できた者はいない。なぜなら、販売した者の全員が学園を去ったからだ。しかし、全員が去ってもAクラスは学園を卒業するまで売上のトップを守り抜いた。スタンプ作戦や、クラス全員で強力する大切さを学んだ彼等は卒業後、全員が優秀な商人になったのだった。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

娘を返せ〜誘拐された娘を取り返すため、父は異世界に渡る

ほりとくち
ファンタジー
突然現れた魔法陣が、あの日娘を連れ去った。 異世界に誘拐されてしまったらしい娘を取り戻すため、父は自ら異世界へ渡ることを決意する。 一体誰が、何の目的で娘を連れ去ったのか。 娘とともに再び日本へ戻ることはできるのか。 そもそも父は、異世界へ足を運ぶことができるのか。 異世界召喚の秘密を知る謎多き少年。 娘を失ったショックで、精神が幼児化してしまった妻。 そして父にまったく懐かず、娘と母にだけ甘えるペットの黒猫。 3人と1匹の冒険が、今始まる。 ※小説家になろうでも投稿しています ※フォロー・感想・いいね等頂けると歓喜します!  よろしくお願いします!

戦国転生・内政英雄譚 ― 豊臣秀長の息子として天下を創る

丸三(まるぞう)
ファンタジー
中世近世史を研究する大学講師だった男は、過労の末に倒れ、戦国時代へと転生する。 目覚めた先は、近江・長浜城。 自らの父は、豊臣秀吉の弟にして政権の屋台骨――豊臣秀長。 史実では若くして病没し、豊臣政権はやがて崩れ、徳川の時代が訪れる。 そして日本は鎖国へと向かい、発展の機会を失う。 「この未来だけは、変える」 冷静で現実主義の転生者は、武ではなく制度と経済で歴史を動かすことを選ぶ。 秀長を生かし、秀吉を支え、徳川を排し、戦国を“戦”ではなく“国家設計”で終わらせるために。 これは、剣ではなく政で天下を取る男の物語。 「民が富めば国は栄え、国が栄えれば戦は不要となる」 豊臣政権完成を目指す、戦国転生・内政英雄譚。 ※小説家になろうにも投稿しています。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

処理中です...