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水城の泉の家出事件
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「ソフィア様、この辺りで1度休憩をしましょう。」
「ええ。スイレンも疲れたよね。ゆっくり休んでね。」
スイレンにお姫さま抱っこされること、数時間。スイレンは汗ひとつかかず、ずっと走り続けていた。だが、見た目は大丈夫でもスイレンは疲れているに違いない。そう思ったソフィアは、スイレンに優しく声を掛けた。
「この位は僕は平気です。それよりも、余り早く走りすぎて、ソフィア様が酔わないよう加減していたほどですよ。」
あれでも一応加減していたんだ。ここに来るまでの間、人の家の屋根から屋根へ飛んだり、谷を落ちたり、ヒヤヒヤした場面を思い出したソフィアは苦笑いを浮かべる。
『今度はもっと高い所から落下したいな。あれ、凄い楽しいんだよね。』
「ええ、ソフィア様がもう少し大きくなったら、やりましょうね。」
『うん。』
もう勘弁してほしい。そう切実に願うソフィアの心はスイレン達に届くことはなかった。最上級使い魔との生活にも慣れ、常識はずれに育ったソフィアだが、一応は人間としての常識も持っている。だがーー
(大きくなっても、怖いからあれより高い谷から落ちるなんてしたくないよ。同じくらいの谷がいい。)
谷から落ちる行為事態は否定しない辺りは、人間よりも最上級使い魔達と感覚が似てきたとしか、言い様がなかった。
「休憩の間に昼食を食べましょう。」
スイレンが何処からかバスケットを取り出した。そう言えば、今日はまだ昼食を食べていなかった。ソフィアのお腹が思い出したように鳴る。
「可愛らしい音ですね。すぐに準備しますね。」
「からかわないでよ。」
顔を若干赤くはしたものの、お腹が空いているのは事実だ。スイレンが用意したサンドイッチを顔を下にして、目を合わせないようにして受け取ると、ソフィアはサンドイッチを口にする。
「モコ様もどうぞ。」
『ありがとう。そう言えば、さっきから聞きたかったんだけど、何で水城の泉に向かっているの。』
「私も聞きたい。」
モコの質問にサンドイッチを食べていたスイレンの手が止まった。そして言いづらそうに口を開いた。
「実は僕が妹ととある理由でケンカをしまして、納得が出来なかった妹が家出をしてしまい、水城の泉へ迎えに行く所なんです。」
「スイレンには妹がいたんだ。でも、妹を迎えに行くのになんで私が一緒に行く必要があるの?」
「それは……だからです。」
スイレンの口がもぞもぞと動く。何か話しているようだが、ソフィアには聞き取れない。だが、ソフィアに聞こえないのが分かったのだろう。スイレンは息を吸い込むと大きな口を広げて叫んだ。
「僕の可愛い妹がソフィア様のお母様と契約しているスイナールだからです。」
「エ、エエ、エエエエエエェ。」
「ええ。スイレンも疲れたよね。ゆっくり休んでね。」
スイレンにお姫さま抱っこされること、数時間。スイレンは汗ひとつかかず、ずっと走り続けていた。だが、見た目は大丈夫でもスイレンは疲れているに違いない。そう思ったソフィアは、スイレンに優しく声を掛けた。
「この位は僕は平気です。それよりも、余り早く走りすぎて、ソフィア様が酔わないよう加減していたほどですよ。」
あれでも一応加減していたんだ。ここに来るまでの間、人の家の屋根から屋根へ飛んだり、谷を落ちたり、ヒヤヒヤした場面を思い出したソフィアは苦笑いを浮かべる。
『今度はもっと高い所から落下したいな。あれ、凄い楽しいんだよね。』
「ええ、ソフィア様がもう少し大きくなったら、やりましょうね。」
『うん。』
もう勘弁してほしい。そう切実に願うソフィアの心はスイレン達に届くことはなかった。最上級使い魔との生活にも慣れ、常識はずれに育ったソフィアだが、一応は人間としての常識も持っている。だがーー
(大きくなっても、怖いからあれより高い谷から落ちるなんてしたくないよ。同じくらいの谷がいい。)
谷から落ちる行為事態は否定しない辺りは、人間よりも最上級使い魔達と感覚が似てきたとしか、言い様がなかった。
「休憩の間に昼食を食べましょう。」
スイレンが何処からかバスケットを取り出した。そう言えば、今日はまだ昼食を食べていなかった。ソフィアのお腹が思い出したように鳴る。
「可愛らしい音ですね。すぐに準備しますね。」
「からかわないでよ。」
顔を若干赤くはしたものの、お腹が空いているのは事実だ。スイレンが用意したサンドイッチを顔を下にして、目を合わせないようにして受け取ると、ソフィアはサンドイッチを口にする。
「モコ様もどうぞ。」
『ありがとう。そう言えば、さっきから聞きたかったんだけど、何で水城の泉に向かっているの。』
「私も聞きたい。」
モコの質問にサンドイッチを食べていたスイレンの手が止まった。そして言いづらそうに口を開いた。
「実は僕が妹ととある理由でケンカをしまして、納得が出来なかった妹が家出をしてしまい、水城の泉へ迎えに行く所なんです。」
「スイレンには妹がいたんだ。でも、妹を迎えに行くのになんで私が一緒に行く必要があるの?」
「それは……だからです。」
スイレンの口がもぞもぞと動く。何か話しているようだが、ソフィアには聞き取れない。だが、ソフィアに聞こえないのが分かったのだろう。スイレンは息を吸い込むと大きな口を広げて叫んだ。
「僕の可愛い妹がソフィア様のお母様と契約しているスイナールだからです。」
「エ、エエ、エエエエエエェ。」
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