迷いしつじさん、いらっしゃい。今宵も‥‥ 〈 アンソロジー 〉

luna - ルーナ -

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story08:何もしていないのに、結局は断罪される運命

 ピーチ色の髪の毛の彼女を見て前世を思い出した私。
 これは"月の姫"の小説で、数百年に一度現れると言われる月詠み少女。
 未来視る力のある少女。
 私は悪役令嬢ローリーヒロインコリネを虐め、下賤の者に襲わそうとして失敗し断罪される。
 たまたま通ったフレッド殿下がヒロインコリネの彼女を助けて、ヒロインコリネを襲おうとした理由を問いたところ悪役令嬢ローリーの私の名前が上がった。
 元は小説だけど、文字だけの小説なんて読めないからコミックになったときは嬉しかったのを覚えている。
 虐めなんてしなければ虐めをした理由で断罪されることは無い。
 例え、シナリオの強制が出たとしてもしていないものを認める訳にはかない。
 不思議な事は、シナリオと違って卒業パーティーの舞台で断罪されていないこと。
 密室で、フレッド殿下と側近のデロン様と私。
「君には失望したよ」
「私はコリネを虐めておりませんわ」
「虐め? 君は何を言っているだ。そのよう当たり前の事を」
 虐めをしていないから当然よね。
 では、私は何故フレッド様に咎められているでしょうか。
「自分が何をしたのか、判らないのか」
「私は何もしておりませんわ。もちろん、取り巻きにも指示しておりません」
 フレッド様はため息を零す。
 何よ! 不貞をしたのはフレッド様の方じゃない。
 私は何一つ悪いことなんてしていないのに。
 そうよ。
 悪いのはフレッド様。
「フレッド様は随分とコリネ様と親密なご関係なことで」
「君は何を言っているだ?」
 不愉快そうに眉を顰めるフレッド殿下。
「君にも話をしたはずだが。国王の命でドブソン男爵令嬢を保護する事になったと」
「聞いておりません!」
 何よ! ため息を吐きたいのは私の方よ。
「王家の保護管にある事を証明する為にドブソン男爵令嬢を、しばらくの間優先することを」
「ですから、聞いておりません!」
「それなのに、君はなんて事をしてくれた。―――逢瀬だけでは無く、こんな愚かな行為をするとは、王族になる身として恥だ」
 声はないもの、それは―――‥‥。
 私とある殿方との事情の映像が映し出されている。
「何を見せるのですか! こんなハレチンな」
「君の行いを見せているのだが?」
 恥ずかしさで顔に熱が集まるのを感じる。
「こんなもの誰が撮ったのですか! 嫌がらせですわ」
「何を言っている。我々には常に王家の影が付いている。君のように愚かな行いをしないように―――‥‥、君とは今日をもて、婚約を破棄する」
 フレッド様は、私に婚約破棄を告げると早速と出ていた。
 出て行く際に聞こえ「ドブソン男爵令嬢も、理解できない行動をとっていたが、何か悪い流行病か」と―――。
 私は悪くないのに何故責められ無いといけないのかちっとも解らない。
 私に淋しい思いをさせるフレッド様が悪いのに決まっている。
 私は悪くないのに婚約破棄をされた事を、お父様やお母様につげたら慰めるどころが家を追い出された。
 恥晒しって何よ!
 婚約破棄された娘に対しての言葉ではないわ。
 推しとちょっと遊んだたげの何が悪いのよ。
 彼女は知らなかった。
 この『月の姫』のには二部があることを。
 二部では、王子が主人公で物語が進む。
 次代国王になるはずのフレッド・メンデンホール自身が彼の父、国王によって断罪され国外追放される。
 男爵令嬢のコリネ・ロブソンの虐めは確かに存在した。
 だが、虐めをしていたのは公爵令嬢のローリー・ヴァイツェネガーでも、関係者でも無かった。
 何も関係のない第三者の仕業で、下賤に襲われたのはコリネ・ロブソン自身が金を使い自作自演だった。
 欲が出て月読みの力を私欲に使ったことが判明した。
 コリネ・ロブソンは幽閉になり、ブラッド元王子は国外追放に。
 国王の影は、国王以外には聞かれない限りは、例え王太子にも話さない。
 事実確認を怠り無実の令嬢を公衆の面で断罪した。
 その罪に問わられたのだ。




 ✳︎ ✳︎ ✳︎



 私は、フレッド・メンデンホール。
 この国の次期国王となるもの。
 父王の命を受け、男爵令嬢のコリネ・ドブソン嬢を保護するように言われ受けた。
 王家の保護管にある事を証明する為に常に一緒に共にしている。
 在らぬ疑いをいだか無いように側近のデロンも一緒だ。
 ドブソン男爵令嬢から虐めを受けていると破かれた教科を見せられ、虐めがエスカレートして危害に遭わないようにと、もし、危害に遭うことがあっても直ぐに助けられるようにと父王に頼み彼女にも王家の影をつけた。
 これで少しは安心できる。
「フレッドさまぁ」
「ドブソン男爵令嬢。私はドブソン男爵令嬢に名を呼ぶ許可をだした覚えはないのだが?」
「そんな事よりも」
 私の腕に絡み着こうとするドブソン男爵令嬢の手をやんわりと、あくまでやんわりとだ。
 避ける。
「フレッド様、これを見てください。大切なお母様の形見が壊されたですぅ。きっと、コリネとフレッド様の関係を知ったローリーが嫉妬して壊したに違いありませんわ」
 何かの手違いで勘違いしているに違いない。
 俺だけではない。
 俺の婚約者でもある彼女、ローリーにも王家の影は常についている。
 そんな愚かな行いをするわけない。
 早速、影を呼び出し、調べてみたら信じられない事に、壊されたと訴えたドブソン男爵令嬢自身の足を使い踏み潰して壊している姿。
 これは何か、企んでいると思いそのまま泳がすことにした。
 思った通り、あの女は何がしたい。
 ドブソン男爵令嬢本人が下賤の者を雇い、自分を襲うように指示をする行いをするとは。
 父王に話をして、今後どうするか話し合いをし、王家では取り扱え無いとそのままにすることが決まった。
 襲われたい願望がある女性を助けるのは野暮なことだろ。
 何故か俺は今。
「フレッド様! なんで、コリネを助けなかったのですかー。コリネ、フレッド様が助けに来るの待っていたのに」
 何を言っている?
 俺の頭が可笑しいのか、ドブソン男爵令嬢が言っている事が理解できない。
「これもローリーが雇ったに違いありません! 断罪してください。卒業パーティーで! みんなの前でどんな非道な行いをしたのかを」
 ドブソン男爵令嬢がそれを望みならば、あの映像を元にドブソン男爵令嬢を断罪することを決めた。
 私の婚約者のローリーといい、ドブソン男爵令嬢も、何か悪い流行病に侵されているのかと、俺は疲れから身体の力が抜けた。

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