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story09:冬は裏切り、春が消えた世界
四季の聖職者のお告げでこの次の春の聖女はピアソン伯爵家の長女カメリア・ピアソンと四季を司る神からお告げを受け、冬の聖者のウォーディントン王国の第一王子ノエル・ウォーディントンの婚約者に選ばれた。
カメリアは、愛し、愛され幸せな未来を思い浮かべていた。
燃え上がるよう恋ではなくても、お互いに尊愛しあえる関係を築けれると思っていた。
それは私の思い違いだったみたい。
いつ、どこ、何がきっかけで彼女と出逢ったのか知らないけど、ノエル様と彼女は親しげに見つめ合い楽しそうに話をしている。
婚約者の私ではなく、彼女の方がまるで恋人のように見える。
胸の辺りがチクチク痛む。
カメリアは彼女に苦言を申し上げた。
「婚約者のいる男性に密着しすぎではありませんか。淑女としてあるまじき行動です」
それがいけなかったのか、婚約者のノエル様からお叱り受けた。
「嫉妬にかられてセルマを虐めたそうだな。見損なったぞ」
「私は婚約者として、注意を申し立てただけです」
「注意と言えば響きはいいが、君の行動は立派な虐めだ」
私の声は、ノエル様には届かなくなった。
「セルマの母の形見を壊したそうだな。形見だぞ、唯一無の!」
物を壊すような愚かな真似なんかしないのに、私と殿下の数年はこんなにも壊れやすい関係だったのですね。
何だったのでしょうか。
貴方に恋をしていた。
雪のような白いシルバーホワイトの煌めく髪に。
蒼く透き通るような瞳に。
何よりも、貴方に初めて顔合わせをしたその日に雷に撃たれたかのように心を奪われた。
同じ熱量で愛して欲しいとは言わないけど、お互いに信頼し、尊敬し、親愛でもよかったの。
その願いすらも打ち砕かれた。
「殿下には私の声はもう届かないのですね」
カメリアは窓の外へ飛んだ。
誰かの手が見えたけど、掠れることもなく空へと舞う。
―――落ちて行く風が冷たくて、気持ちがいい。
遠くから私を呼ぶ声が聞こえてくるけど、カメリアはそっと目を閉じた。
その日、春が消えた。
事が事なだけに王家総出で真相を調べて明かされた真実に息を呑む。
カメリアに虐められていると訴えて涙した全てが事実無言ででっち上げだった。
母の形見と言っていた物も最近買ったばっかりの宝石でセルマ本人が壊した物だと判明する。
「何故! そんな嘘を付いた」
「だってぇノエル様に愛されているのはセルマだから、愛されているセルマのほうが王太子妃に相応しいだもん」
俺はなんて事を知ってしまっただろうか。
婚約者であるはずのカメリアを信じずに出逢ったばっかりの女の言葉を鵜呑みにするなんて、どうかしていた。
今更謝ったところでどうにもならない。
嘘でカメリアを嵌め、陥れた彼女は公開処刑の斬首刑となった。
最後まで非を認めることもなく刑が執行された。
第一王子のノエルは幽閉されることが決まった。
春が去り、夏か訪れて、夏が終わり、冬が訪れた。
あたり一面の雪景色は春が消えたことで雪が溶けることなく一年中白の世界が数年続いた。
―――十年目の冬。
白の世界に春を知らせる小鳥の囀りが聞こえて来て、フローラルの香りが鼻を掠める。
「―――カメリア様が、‥‥カメリアさまが目を覚ましました!!」
「あなたは―――?」
「覚えていませんか? ナルです」
「ナルは私と同じ歳のはずよ」
「カメリア様は十年眠りになられていたのです」
ポロポロと涙を流すナルの姿にカメリアは昔と変わらない笑顔で笑った。
人々はこの月の日を四季の福日呼び、祭りごとで祝い、あの悲劇を忘れるぬようにと人形劇で伝えていくことにした。
カメリアは、愛し、愛され幸せな未来を思い浮かべていた。
燃え上がるよう恋ではなくても、お互いに尊愛しあえる関係を築けれると思っていた。
それは私の思い違いだったみたい。
いつ、どこ、何がきっかけで彼女と出逢ったのか知らないけど、ノエル様と彼女は親しげに見つめ合い楽しそうに話をしている。
婚約者の私ではなく、彼女の方がまるで恋人のように見える。
胸の辺りがチクチク痛む。
カメリアは彼女に苦言を申し上げた。
「婚約者のいる男性に密着しすぎではありませんか。淑女としてあるまじき行動です」
それがいけなかったのか、婚約者のノエル様からお叱り受けた。
「嫉妬にかられてセルマを虐めたそうだな。見損なったぞ」
「私は婚約者として、注意を申し立てただけです」
「注意と言えば響きはいいが、君の行動は立派な虐めだ」
私の声は、ノエル様には届かなくなった。
「セルマの母の形見を壊したそうだな。形見だぞ、唯一無の!」
物を壊すような愚かな真似なんかしないのに、私と殿下の数年はこんなにも壊れやすい関係だったのですね。
何だったのでしょうか。
貴方に恋をしていた。
雪のような白いシルバーホワイトの煌めく髪に。
蒼く透き通るような瞳に。
何よりも、貴方に初めて顔合わせをしたその日に雷に撃たれたかのように心を奪われた。
同じ熱量で愛して欲しいとは言わないけど、お互いに信頼し、尊敬し、親愛でもよかったの。
その願いすらも打ち砕かれた。
「殿下には私の声はもう届かないのですね」
カメリアは窓の外へ飛んだ。
誰かの手が見えたけど、掠れることもなく空へと舞う。
―――落ちて行く風が冷たくて、気持ちがいい。
遠くから私を呼ぶ声が聞こえてくるけど、カメリアはそっと目を閉じた。
その日、春が消えた。
事が事なだけに王家総出で真相を調べて明かされた真実に息を呑む。
カメリアに虐められていると訴えて涙した全てが事実無言ででっち上げだった。
母の形見と言っていた物も最近買ったばっかりの宝石でセルマ本人が壊した物だと判明する。
「何故! そんな嘘を付いた」
「だってぇノエル様に愛されているのはセルマだから、愛されているセルマのほうが王太子妃に相応しいだもん」
俺はなんて事を知ってしまっただろうか。
婚約者であるはずのカメリアを信じずに出逢ったばっかりの女の言葉を鵜呑みにするなんて、どうかしていた。
今更謝ったところでどうにもならない。
嘘でカメリアを嵌め、陥れた彼女は公開処刑の斬首刑となった。
最後まで非を認めることもなく刑が執行された。
第一王子のノエルは幽閉されることが決まった。
春が去り、夏か訪れて、夏が終わり、冬が訪れた。
あたり一面の雪景色は春が消えたことで雪が溶けることなく一年中白の世界が数年続いた。
―――十年目の冬。
白の世界に春を知らせる小鳥の囀りが聞こえて来て、フローラルの香りが鼻を掠める。
「―――カメリア様が、‥‥カメリアさまが目を覚ましました!!」
「あなたは―――?」
「覚えていませんか? ナルです」
「ナルは私と同じ歳のはずよ」
「カメリア様は十年眠りになられていたのです」
ポロポロと涙を流すナルの姿にカメリアは昔と変わらない笑顔で笑った。
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