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第二章:妖精の愛し子
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あれから何度か厨房を借りてお菓子作りをしている姿を何度も目撃している。初頭の頃は焦がすことも目撃したこともあるが、今では火加減も一人で出来るようにまで成長し、作れるお菓子の種類も増えて、シェフや執事長や侍従達にも作ったお菓子を披露している。騎士の団員たちも評価版を押すほどに腕前も上がった。胸あたりがモヤモヤする。
最近できた友達のフレイ・ニコリ嬢やテルマ・フォレスト嬢にも手作りを配り、美味しいと言ってくれたと、嬉しそうに話すステラの姿は、出逢った頃と比べて生き生きしており喜ばしいことだ。
友達が出来たことは喜ばしい。友達にステラが作ったお菓子を配るのはいい。だが、騎士団にまでステラの手作りのお菓子を持っていく必要があるのかとリュカは思っているが言えずにいる。彼自身も、何故、そんな事を思うのかも解っていないからもどかしい気持ちで言えないでいる。悶々とした気持ちが彼を支配していた。
✳︎ ✳︎
騎士団も休みで、王立学園も休みとあって、ステラは張り切って数種類のお菓子を作った。
今、妖精達も一緒に芸園でティータイムを楽しんでいる。
『さいしょと比べて腕あげたじゃねえか』
パウンドケーキを口いっぱいに頬張って、どこか上から目線のこの妖精はリク。口は悪いがリュカ様の火傷の痕を治せると教えてくれたのもリク。お菓子と引き換えに妖精から落ちる鱗粉をくれると言ってくれたのもリク。そして、一番の食いしん坊。
『ぼく、これがいちばん好き』
この子は、フゥー。初めて出会った妖精のひとり。シナモンが効いたアップルパイが一番のお気に入り。
『わたしは、とうぜんこっち』
この子は、スー。いちごタルトがお気に入り。いちごタルトというよりは甘酸っぱいものが好きな感じ。ブルーベリーのチーズケーキも好きだと言っていた。
私の元によく現れる主な妖精は、この三匹……三人なのかな。
他の妖精も匂いに釣られてお菓子を貰いに遊びに来たりはする。この妖精のように。
『おいしそうな匂いにつられてきちゃった』
「どうぞ、好きなも食べて」
『え、いいの!?』
「みんなで食べた方が美味しいわ」
パタパタと小さな羽を音を立てて、お菓子の周りを飛び回る小さな女の子の姿の妖精。かわいい。
私が誘うと何処に隠れていたのか妖精たちが一気に姿を現し、お菓子の前に集まってくる。この子ひとりだと思っていたのに、集まってきた妖精たちに驚いた。
「ええぇ――!?」
たくさんあったはずのお菓子があっという間に消えた。
「不思議な感じがするな。消えたようにしか見えない」
驚くリュカ様に、これは私も賛同した。
私達と正反対に、この世の絶滅といった感じで嘆くように肩をがっくりと落とすのは、リク。
『おれのお菓子が――』
「また、今度作るから」
ちぇ、と不満そうなリクにステラは苦笑いをした。
私ももっと食べたかった。リュカ様とティータイムをもっと楽しみたかった。ひとりだと思っていた妖精がたくさん出てきただから仕方がない。ダメだって言えるわけない。
それも、あの小さな身体で大食いが多いのも妖精の特徴で、何処に入っていくのか不思議な程。
『私は、ララよ。ララ様とお呼びなさい』
………。また、強烈なキャラの妖精が現れた。
『あなたの名前を教えなさい』
「ステラ・カメロンと言います」
『わたしは、ハナ。ステラ、よろしくね』
『ススです』
『俺様は、レンだぜ』
『ハクと申します』
『……ジン』
礼儀が正しい者も居れば、態度のでっかい者も、控え目な子もいる。
一つ共通点と言えば、妖精は気まぐれ。お腹いっぱいに食べた妖精たちは、何処に飛んでいくものも居れば、そのままお昼寝タイムに入るものもいる。
ティータイムを終わらせると使用人がお皿やティーカップを片付けていく。思ったよりもティータイムが早く終わってしまったのがとっても残念に思う。
「……ステラが良ければだが、外出しないか?」
「行きます!」
ステラは、即時に返した。
最初の頃は距離を置かれていたけど、最近は、ふたりで過ごす時間を増やすようになった。そして、今回は、リュカ様からの初めてのデートのお誘いを断る理由なんてない。気分上々で準備に取り掛かる。
「ステラ様、嬉しそうですね」
「リュカ様からの初めてのお誘いなの」
「そうでした。とびっきりお洒落をしましょう」
「ええ」
✳︎ ✳︎
いつも見ている騎士の正装もかっこいいけど、私服も違った魅力的でかっこいい。
街行く人が驚かないようにと、リュカ様は外を出歩くときは仮面をつける。それは、リュカ様の優しさからくるものだとわかってはいるけど、少し寂しく感じる。一部にリュカ様を見て不快そうに顔を歪める人はいる。全てでは無い。リュカ様の魅力を解ってくれる人達も多い。
リュカ様に誘われたデートを気分上々でめいっぱい、いつもよりメイクをして、ドレスも気合いを入れてお洒落をした。好きなひとを思ってするお洒落をするのはやっぱり楽しい。そして、褒めてくれると照れくさくて嬉しく思う。
「綺麗だ」
「ありがとうございます。――リュカ様もかっこいいです!」
「……そうか」
ふふふ、リュカ様、耳が赤いわ。
「はい」
リュカ様の婚約者としてこの邸に来て半年は経ったけど、ふたりで外出をした事が無いことに今更ながら気づいた。いつも、邸か騎士団の鍛錬所の食堂にいることが多く、それもふたりでは無く周りに人が多くいた。別にそれが嫌ではないけど、2人きりで過ごすと思うと胸が高まった。それも、こうして腕を組んで歩くことも初めてで心音が速くなる。
「とってもドキドキしています」
「……俺も同じ気持ちだ」
「本当に?」
リュカ様の瞳を覗き込むように見つめると、その瞳の奥は熱を持っているように感じた。
「ああ」
「リュカ様が婚約者で良かったです」
仮面越しからでも照れているのがわかった。
特に予定を決めていなかった私達は、目についたお店に入った。
片隅にあるひとつの店が無性に気になった。
「リュカ様、あの店に行ってみませんか?」
「ああ」
導かれるかなように入ると、ひとつのネックレスが気になった。幸運を呼ぶとされる、四つ葉のクローバーのネックレス。
「それが気になるのか?」
「違うの。出ましょう」
私達は、このお店を出た。その後も、散歩デートを楽しんで邸へ帰った。
私が可愛いと思っていた四葉のクローバーのネックレスを、いつ買ったのか判らないけど、邸につくと自然に流れるようにプレゼントを贈ってくれて、私の首につけてくれた。
「リュカ様、ありがとうございます」
初めてのリュカ様の贈り物に嬉しくて、私はリュカ様のお母様であるアシュリお義母様に報告をした。
アシュリお義母も一緒になって喜んでくれた。
✳︎ ✳︎
翌朝――。
王立学園に身につけられないことは残念だけど、最近出来たお友達のフレイとテルマにその事を話す。
「昨日、リュカ様とお外デートをしたの」
「どちらに行かれたのですか?」
と、フレイに聞かれてステラは答える。
「外出は予定には無かったから王都で馬車を降りてお散歩をしながらお店を見て回っていただけよ。――フレイはどうなの?」
「最近人気のカフェに行ってきたのです。人混みは嫌だと言って彼の方は渋々だったですけど、最終的には彼の方がそのカフェの虜になってまた一緒に行く約束を取り付けられたましたわ」
フレイの婚約者ケビンは、一つ年上の兄様の友人の次男。貴族では珍しい恋愛からの恋人同士になった。今の企業が成功し功績を残したことで、結婚すると男爵を受け継ぐことになると嬉しそうに話してきた。
「あそこは、男性一人で入るには勇気が要りますからね」
「テルマは?」
「私? うーん、婚約者のアランと領地の視察に行ってきましたわ。勉強も兼ねてですけど」
恥ずかしそうにテルマは、婚約者のアランの話をする。
テルマとアランは領地が隣同士ってことで幼いときにお互いの両親が決めた婚約者同士だけどすごく仲のいいお似合い恋人同士って感じで、ふたりを見ていると幸せな気持ちになる。
友達同士で恋バナはいつの時代も一緒で盛り上がる。
好きな殿方の話は幸せな気持ちになり、心も暖かくなる。
お昼の終わりを知らせる鐘がなり、広げていたお弁当を片付けて午後の授業の準備に取り掛かる。
最近できた友達のフレイ・ニコリ嬢やテルマ・フォレスト嬢にも手作りを配り、美味しいと言ってくれたと、嬉しそうに話すステラの姿は、出逢った頃と比べて生き生きしており喜ばしいことだ。
友達が出来たことは喜ばしい。友達にステラが作ったお菓子を配るのはいい。だが、騎士団にまでステラの手作りのお菓子を持っていく必要があるのかとリュカは思っているが言えずにいる。彼自身も、何故、そんな事を思うのかも解っていないからもどかしい気持ちで言えないでいる。悶々とした気持ちが彼を支配していた。
✳︎ ✳︎
騎士団も休みで、王立学園も休みとあって、ステラは張り切って数種類のお菓子を作った。
今、妖精達も一緒に芸園でティータイムを楽しんでいる。
『さいしょと比べて腕あげたじゃねえか』
パウンドケーキを口いっぱいに頬張って、どこか上から目線のこの妖精はリク。口は悪いがリュカ様の火傷の痕を治せると教えてくれたのもリク。お菓子と引き換えに妖精から落ちる鱗粉をくれると言ってくれたのもリク。そして、一番の食いしん坊。
『ぼく、これがいちばん好き』
この子は、フゥー。初めて出会った妖精のひとり。シナモンが効いたアップルパイが一番のお気に入り。
『わたしは、とうぜんこっち』
この子は、スー。いちごタルトがお気に入り。いちごタルトというよりは甘酸っぱいものが好きな感じ。ブルーベリーのチーズケーキも好きだと言っていた。
私の元によく現れる主な妖精は、この三匹……三人なのかな。
他の妖精も匂いに釣られてお菓子を貰いに遊びに来たりはする。この妖精のように。
『おいしそうな匂いにつられてきちゃった』
「どうぞ、好きなも食べて」
『え、いいの!?』
「みんなで食べた方が美味しいわ」
パタパタと小さな羽を音を立てて、お菓子の周りを飛び回る小さな女の子の姿の妖精。かわいい。
私が誘うと何処に隠れていたのか妖精たちが一気に姿を現し、お菓子の前に集まってくる。この子ひとりだと思っていたのに、集まってきた妖精たちに驚いた。
「ええぇ――!?」
たくさんあったはずのお菓子があっという間に消えた。
「不思議な感じがするな。消えたようにしか見えない」
驚くリュカ様に、これは私も賛同した。
私達と正反対に、この世の絶滅といった感じで嘆くように肩をがっくりと落とすのは、リク。
『おれのお菓子が――』
「また、今度作るから」
ちぇ、と不満そうなリクにステラは苦笑いをした。
私ももっと食べたかった。リュカ様とティータイムをもっと楽しみたかった。ひとりだと思っていた妖精がたくさん出てきただから仕方がない。ダメだって言えるわけない。
それも、あの小さな身体で大食いが多いのも妖精の特徴で、何処に入っていくのか不思議な程。
『私は、ララよ。ララ様とお呼びなさい』
………。また、強烈なキャラの妖精が現れた。
『あなたの名前を教えなさい』
「ステラ・カメロンと言います」
『わたしは、ハナ。ステラ、よろしくね』
『ススです』
『俺様は、レンだぜ』
『ハクと申します』
『……ジン』
礼儀が正しい者も居れば、態度のでっかい者も、控え目な子もいる。
一つ共通点と言えば、妖精は気まぐれ。お腹いっぱいに食べた妖精たちは、何処に飛んでいくものも居れば、そのままお昼寝タイムに入るものもいる。
ティータイムを終わらせると使用人がお皿やティーカップを片付けていく。思ったよりもティータイムが早く終わってしまったのがとっても残念に思う。
「……ステラが良ければだが、外出しないか?」
「行きます!」
ステラは、即時に返した。
最初の頃は距離を置かれていたけど、最近は、ふたりで過ごす時間を増やすようになった。そして、今回は、リュカ様からの初めてのデートのお誘いを断る理由なんてない。気分上々で準備に取り掛かる。
「ステラ様、嬉しそうですね」
「リュカ様からの初めてのお誘いなの」
「そうでした。とびっきりお洒落をしましょう」
「ええ」
✳︎ ✳︎
いつも見ている騎士の正装もかっこいいけど、私服も違った魅力的でかっこいい。
街行く人が驚かないようにと、リュカ様は外を出歩くときは仮面をつける。それは、リュカ様の優しさからくるものだとわかってはいるけど、少し寂しく感じる。一部にリュカ様を見て不快そうに顔を歪める人はいる。全てでは無い。リュカ様の魅力を解ってくれる人達も多い。
リュカ様に誘われたデートを気分上々でめいっぱい、いつもよりメイクをして、ドレスも気合いを入れてお洒落をした。好きなひとを思ってするお洒落をするのはやっぱり楽しい。そして、褒めてくれると照れくさくて嬉しく思う。
「綺麗だ」
「ありがとうございます。――リュカ様もかっこいいです!」
「……そうか」
ふふふ、リュカ様、耳が赤いわ。
「はい」
リュカ様の婚約者としてこの邸に来て半年は経ったけど、ふたりで外出をした事が無いことに今更ながら気づいた。いつも、邸か騎士団の鍛錬所の食堂にいることが多く、それもふたりでは無く周りに人が多くいた。別にそれが嫌ではないけど、2人きりで過ごすと思うと胸が高まった。それも、こうして腕を組んで歩くことも初めてで心音が速くなる。
「とってもドキドキしています」
「……俺も同じ気持ちだ」
「本当に?」
リュカ様の瞳を覗き込むように見つめると、その瞳の奥は熱を持っているように感じた。
「ああ」
「リュカ様が婚約者で良かったです」
仮面越しからでも照れているのがわかった。
特に予定を決めていなかった私達は、目についたお店に入った。
片隅にあるひとつの店が無性に気になった。
「リュカ様、あの店に行ってみませんか?」
「ああ」
導かれるかなように入ると、ひとつのネックレスが気になった。幸運を呼ぶとされる、四つ葉のクローバーのネックレス。
「それが気になるのか?」
「違うの。出ましょう」
私達は、このお店を出た。その後も、散歩デートを楽しんで邸へ帰った。
私が可愛いと思っていた四葉のクローバーのネックレスを、いつ買ったのか判らないけど、邸につくと自然に流れるようにプレゼントを贈ってくれて、私の首につけてくれた。
「リュカ様、ありがとうございます」
初めてのリュカ様の贈り物に嬉しくて、私はリュカ様のお母様であるアシュリお義母様に報告をした。
アシュリお義母も一緒になって喜んでくれた。
✳︎ ✳︎
翌朝――。
王立学園に身につけられないことは残念だけど、最近出来たお友達のフレイとテルマにその事を話す。
「昨日、リュカ様とお外デートをしたの」
「どちらに行かれたのですか?」
と、フレイに聞かれてステラは答える。
「外出は予定には無かったから王都で馬車を降りてお散歩をしながらお店を見て回っていただけよ。――フレイはどうなの?」
「最近人気のカフェに行ってきたのです。人混みは嫌だと言って彼の方は渋々だったですけど、最終的には彼の方がそのカフェの虜になってまた一緒に行く約束を取り付けられたましたわ」
フレイの婚約者ケビンは、一つ年上の兄様の友人の次男。貴族では珍しい恋愛からの恋人同士になった。今の企業が成功し功績を残したことで、結婚すると男爵を受け継ぐことになると嬉しそうに話してきた。
「あそこは、男性一人で入るには勇気が要りますからね」
「テルマは?」
「私? うーん、婚約者のアランと領地の視察に行ってきましたわ。勉強も兼ねてですけど」
恥ずかしそうにテルマは、婚約者のアランの話をする。
テルマとアランは領地が隣同士ってことで幼いときにお互いの両親が決めた婚約者同士だけどすごく仲のいいお似合い恋人同士って感じで、ふたりを見ていると幸せな気持ちになる。
友達同士で恋バナはいつの時代も一緒で盛り上がる。
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