1 / 7
1章
アンドリュー・パーカー
しおりを挟む
アンドリュー・パーカーは汗だくになって、ハッと目覚めた。自室のクーラーが切れてじっとりとした暑さが部屋を支配していたが、スウェットに染みた汗は暑さからの汗ではなかった。深いため息をついて体を起こすと、カーテンの隙間から朝の光が差していた。自分をなだめるようにブラウンの短い髪を撫で付けてベッドから出ると、リモコンを手に取りテレビをつけた。
天気予報、今日は快晴。占い、蠍座は2位。するすると流れていく情報を聞き流しながら、アンディはスウェットから、半袖のポロシャツとチノパンに着替えた。
すると、突然『緊急速報です』と画面が切り替わった。清潔感のある爽やかなニュースキャスターが深刻そうな顔をしていた。何事だろうか。
『速報です。昨年、カンニング疑惑で世間を騒がせたアンドリュー・パーカー氏に、新たに窃盗容疑での逮捕状が出されました。見かけた方はすぐに通報をして下さい。』
画面には、『この顔にピンときたらすぐに電話を』と表示され、自分の顔がテレビに映し出されていた。
アンディは、テレビ画面から目を離せず、雷に打たれたように身体は動かなかった。頭の中がしびれて真っ白になっていたが、目の前の現実を処理しようと必死になっていた。
タイホジョウ....アンディはそう心の中で呟き、この一単語のみを処理した。
次の瞬間から、アンディは、スマホ、財布、麻酔銃、時計、食べ物、水、手当たり次第必要そうなものをリュックに詰め込んでいた。アドレナリンが体中を駆け巡り、心の中を掻きむしられるような激しい焦燥感に襲われていた。
ここ、アムスヨーク孤児院の学校捜査局であるSBIの捜査員が、彼らのオフィスから出動するのは朝7時。現在6時50分。確か、7時を過ぎるまではオフィスに居なければならない規則だ。まだ間に合う。
遠くからパトカーのサイレンがかすかに聞こえてきた。この音は余計に焦燥感を煽ってくる。アンディは、慌ただしく部屋を出た。男子寮の廊下に出ると、まだ誰も起き出していないのか、シンとしている。廊下を足音を立てないように神経を使いながらできるだけ早く歩いた。
非常階段を使い、呼吸を弾ませながら、3階から最上階である8階に登った。屋上に出るための非常扉の前まで来ると、アンディはかがみつつリュックを降ろして、時計を見る。7:00A.M.だ。SBIが自室に突入しただろうか。
焦る気持ちを抑え、後ろを気にしながら、リュックを探り、マイナスドライバーとクリップを取り出した。クリップに指で力を加えて形を変えてから、マイナスドライバーの先を鍵穴に差し込む。胸が早鐘を打つ。ドライバーを持つ手は震えていた。
「大丈夫、大丈夫」
アンディは小声で呪文のように唱えながら、マイナスドライバーを捻って鍵がまわるように一定の圧をかけた。次に形を変えたクリップを鍵穴に大雑把に抜き差しをする。集中して幾度か試すと、確かな手応えがあった。
「オッケー」
アンディは小さくそうつぶやき、ガチャという開錠の音が廊下にこだました。
扉を開けると、外は日差しが照りつけ、ムンとしていた。アンディは屋上に出て扉を閉めて施錠し、ポツンと設置されている非常用の発電機の裏に隠れ、身を潜めた。
天気予報、今日は快晴。占い、蠍座は2位。するすると流れていく情報を聞き流しながら、アンディはスウェットから、半袖のポロシャツとチノパンに着替えた。
すると、突然『緊急速報です』と画面が切り替わった。清潔感のある爽やかなニュースキャスターが深刻そうな顔をしていた。何事だろうか。
『速報です。昨年、カンニング疑惑で世間を騒がせたアンドリュー・パーカー氏に、新たに窃盗容疑での逮捕状が出されました。見かけた方はすぐに通報をして下さい。』
画面には、『この顔にピンときたらすぐに電話を』と表示され、自分の顔がテレビに映し出されていた。
アンディは、テレビ画面から目を離せず、雷に打たれたように身体は動かなかった。頭の中がしびれて真っ白になっていたが、目の前の現実を処理しようと必死になっていた。
タイホジョウ....アンディはそう心の中で呟き、この一単語のみを処理した。
次の瞬間から、アンディは、スマホ、財布、麻酔銃、時計、食べ物、水、手当たり次第必要そうなものをリュックに詰め込んでいた。アドレナリンが体中を駆け巡り、心の中を掻きむしられるような激しい焦燥感に襲われていた。
ここ、アムスヨーク孤児院の学校捜査局であるSBIの捜査員が、彼らのオフィスから出動するのは朝7時。現在6時50分。確か、7時を過ぎるまではオフィスに居なければならない規則だ。まだ間に合う。
遠くからパトカーのサイレンがかすかに聞こえてきた。この音は余計に焦燥感を煽ってくる。アンディは、慌ただしく部屋を出た。男子寮の廊下に出ると、まだ誰も起き出していないのか、シンとしている。廊下を足音を立てないように神経を使いながらできるだけ早く歩いた。
非常階段を使い、呼吸を弾ませながら、3階から最上階である8階に登った。屋上に出るための非常扉の前まで来ると、アンディはかがみつつリュックを降ろして、時計を見る。7:00A.M.だ。SBIが自室に突入しただろうか。
焦る気持ちを抑え、後ろを気にしながら、リュックを探り、マイナスドライバーとクリップを取り出した。クリップに指で力を加えて形を変えてから、マイナスドライバーの先を鍵穴に差し込む。胸が早鐘を打つ。ドライバーを持つ手は震えていた。
「大丈夫、大丈夫」
アンディは小声で呪文のように唱えながら、マイナスドライバーを捻って鍵がまわるように一定の圧をかけた。次に形を変えたクリップを鍵穴に大雑把に抜き差しをする。集中して幾度か試すと、確かな手応えがあった。
「オッケー」
アンディは小さくそうつぶやき、ガチャという開錠の音が廊下にこだました。
扉を開けると、外は日差しが照りつけ、ムンとしていた。アンディは屋上に出て扉を閉めて施錠し、ポツンと設置されている非常用の発電機の裏に隠れ、身を潜めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる