強引に婚約破棄された最強聖女は愚かな王国に復讐をする!

悠月 風華

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第一章 最強聖女の復讐

第2話 クシオンside 「美しき元婚約者」

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今日、やっと俺は
地味女と婚約破棄をすることができた。
3ヶ月ほど前に知り合った
美しいエメラルダスに出会い、
真実の愛を知った俺は、今度の建国記念パーティで
あの地味女と婚約破棄し、
美しく、優しいエメラルダスとの
婚約を大々的に宣言する計画を立てていた。


エメラルダスは気立ても良く、
いつも愛らしく、まるで女神のような微笑みを
俺に向けてくれるのに対して、
婚約者であったルミエールは固かった。
何に対しても厳しく、これはダメ、あれはダメと
我儘し放題なやつだった。

でも、神の意思により
選ばれた聖女であるルミエールを、
邪険に扱えば我が国の
守護神ソルティアの怒りを買うと神官達に
言われたことを思い出しては、我慢してきた。

そうして、迎えた今日という至高の日々の始まり。
婚約破棄を言い渡されたルミエールは、
次期王太子妃の座を欲していたから、
きっと騒ぎ立てるだろうと目論んでいたのに、
彼女はあっさりと婚約破棄を受け入れたのだ。

その目は、王太子妃の座など欠片も興味などないと
いうような呆れた冷ややかな色を宿して。
そうして、最も驚いたことは
地味な容姿だったルミエールが、
会場を去る前に見せた姿

美しき月の女神のような容姿に、
俺はただただ言葉が出なかった。
あまりの美しさにこの足は動くことも出来ず、
ただただルミエールがこの会場を去っていく後ろ姿を
見つめることしかできなかった。

「うそでしょ……ッ!
あの地味女の本来の姿があんな綺麗なわけ……ッ!」

隣から、エメラルダスが睨みつけるように
去っていくルミエールの後ろ姿を見つめて、
今まで聞いたことのない罵倒の言葉が聞こえてきた。

「殿下……ッ!
何故ルミエール様を追放したのですか!」

突然俺の後ろから、焦ったような声が聞こえてくる。
振り返れば俺よりも
少し身長の高い騎士団の格好をした男が、
こちらに駆け寄ってくる。

コイツは確か、ルミエールの護衛をしていた…… 
ユージオとか言うやつだったか。

「ルミエール様が
あんなにもお美しかっただなんて……」
「殿下の言葉に騙されたな」
「今から追いかければ、婚姻を結べるか?」
「えッ、マジでかっ?!なら急がないと!!」
「あんな綺麗なわけ人を妻にもてたら、
どれだけ自慢できるか……」

そんな声が会場中に響き渡っていて、
集まっていた男性貴族たちが、
我先にと会場から走り去っていく。
きっと、美しいルミエールに
婚姻を申し出に行ったのだろう。

「で、殿下……
殿下はわたくしを見捨てたりなんてしませんよね?」

「あぁ、もちろんだよエメラルダス」

今にもその綺麗な瞳から、美しい涙が零れそうになる
エメラルダスに見上げられて、
『あぁやっぱり、
俺の真実の愛の相手はエメラルダスだ』
と実感して、その小さな身体をギュッと抱きしめる。

すると、嬉しそうに
その身を預けてくるエメラルダスが
何としても愛らしくてたまらなかった。

「ッ……殿下、俺はこれで失礼します」

苦々しい顔をしたルミエールの護衛が、
早足に会場から去っていく。
美しく、聡明で、優しい新たな……
いいや、真の婚約者との
優雅で、優美で、愛らしいこれからの日々。
それを思えば、チクリと胸を刺す痛みも忘れられる。

誰もいなくなった王城の大広間で、
俺は真の愛を捧げる女性の
その艶やかな唇に口付けを落とした。
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