4 / 19
第一章 最強聖女の復讐
第3話 「忘れ去られた神殿にて」
しおりを挟む
あの馬鹿王子に婚約破棄と
国外追放を言い渡された私は、
王城の一室にある私の部屋から、
予め纏めていた自身の荷物だけを持ち出して、
王城から城下町へと飛び出していた。
「さて……とりあえず、
この国に張った結界を解くために
どこか騒音のない静かな場所に行かないと……」
どれほど小さい雑音が耳に入ったとしても、
そちらに意識が向くこともある。
しっかり、念入りに集中できる場所を探さねば!と
私は意気込んで、何やら私を追ってきている
あの王城の大広間にいた
男性貴族たちに見つからないようにすぐさま隣国との
国境付近に瞬間移動することにした。
そこは森の中だった。
適当にとりあえず彼らから見つからない遠い場所に
行こうと強く思っていたからか、
全く知らない場所へ瞬間移動してしまったようだ。
まぁ、地面に埋もれたりする
ようなことがなかったのは
不幸中の幸いなのかもしれないけれど。
「どうしよう……」
全く知らない森の中となると、
私の土地勘など全く無意味だ。
やれやれと思いつつも、どうにか憎たらしい人たちの
元から離れられたという喜びで、
これからどうしようかとワクワクしてくる。
それにしては、私の本来の姿を見せた瞬間に、
求婚してこようとするなんて。
私は神聖力を使って、彼らの言動をビジョンとして
何もない宙に映し出した。
『早くルミエール嬢を見つけろ!』
『俺が先に婚姻を結ぶに決まっているだろう?!』
『いいや、こっちが!』『いいや、私が!!』
「なんて醜い人達なのかしら……。
私をここ6年間散々虐げておいて、求婚を
受け入れてくれるとでも思っているのかしら……?」
私は森の中を歩きながら、ビジョンに映し出された
男性貴族たちの醜い争いを
他人事のように見つめながら、
どうしようもなく呆れ返るしかなかった。
◆◆◆◆◆◆
「ん?ここは……?」
どれほど時間が経ったかは分からないけれど、
ある程度適当に森の中を歩いていると、
手入れのされていない
もうボロボロになっていた神殿を見つけた。
私がデルソーレ王国から離れた為に、
結界の効力は弱まっているだろうが、
完全になくなっているわけではないため、
彼らに復讐ができない。
もしかしたら、私のこんな醜い姿を見て、
ソルティア様は幻滅なさるかもしれないけれど。
そんな自嘲気味な思いで、
馬鹿馬鹿しくて微笑んでいると
廃れてしまった神殿に、
ソルティア様の紋章を発見した。
「ここは……
ソルティア様を信仰していた神殿なのかしら?」
こんな場所、初めて見た。それは勿論、
デルソーレ王国の外に出たことがないから
という理由もあるけれど、この神殿の構造が、
光の女神の時代と言われた太古の昔のものだったからだ。
デルソーレ王国ができる、数万年前。
悪神ズローがこの世を混沌の闇に包もうとしたとき、
救いもなく、ただ絶望するしかなかった人々の前に
光の女神ソルティアが降り立ち、勇気ある青年と、
純白な心を持つ少女に浄化の力を与え、
人々に光をもたらした───という神話。
その話を、幼い頃に
ソルティア様にお聞きしたことがあった。
『ソルティア様、
この神話は本当にあったことなんですか?』
『あら、何とも懐かしい話です……。
そうですね、かつてこのようなこともありました』
女神であり、人が崇拝するべきお方に、
幼い頃の私は思ったことを次々と発していったのに、
ソルティア様はそんな私に優しく微笑みながら、
真実かどうか話してくれた。
今となってはとんでもない無礼を
働いていたものだと思っているけれど。
『───ルミエール。我が愛しの子よ』
「ッ!?」
神殿の大きな扉の前に立つと、
中から懐かしい声が聞こえてきた。
久々に聞く声に私は
ビクリッとその場から動けずにいると、
ゴゴゴゴゴッ!と重く、大きな岩の扉がゆっくりと
自動で開いていく様を見て、私はただただ呆然とする。
『ルミエール、こちらへ』
この大きな岩の扉を開いたのは、
紛れもなく光の女神本人だろう。
中に入りなさい、とその声が私を導いている。
私はただ、もう廃れてしまった神殿の中に
ゆっくりと歩を進めることにした。
国外追放を言い渡された私は、
王城の一室にある私の部屋から、
予め纏めていた自身の荷物だけを持ち出して、
王城から城下町へと飛び出していた。
「さて……とりあえず、
この国に張った結界を解くために
どこか騒音のない静かな場所に行かないと……」
どれほど小さい雑音が耳に入ったとしても、
そちらに意識が向くこともある。
しっかり、念入りに集中できる場所を探さねば!と
私は意気込んで、何やら私を追ってきている
あの王城の大広間にいた
男性貴族たちに見つからないようにすぐさま隣国との
国境付近に瞬間移動することにした。
そこは森の中だった。
適当にとりあえず彼らから見つからない遠い場所に
行こうと強く思っていたからか、
全く知らない場所へ瞬間移動してしまったようだ。
まぁ、地面に埋もれたりする
ようなことがなかったのは
不幸中の幸いなのかもしれないけれど。
「どうしよう……」
全く知らない森の中となると、
私の土地勘など全く無意味だ。
やれやれと思いつつも、どうにか憎たらしい人たちの
元から離れられたという喜びで、
これからどうしようかとワクワクしてくる。
それにしては、私の本来の姿を見せた瞬間に、
求婚してこようとするなんて。
私は神聖力を使って、彼らの言動をビジョンとして
何もない宙に映し出した。
『早くルミエール嬢を見つけろ!』
『俺が先に婚姻を結ぶに決まっているだろう?!』
『いいや、こっちが!』『いいや、私が!!』
「なんて醜い人達なのかしら……。
私をここ6年間散々虐げておいて、求婚を
受け入れてくれるとでも思っているのかしら……?」
私は森の中を歩きながら、ビジョンに映し出された
男性貴族たちの醜い争いを
他人事のように見つめながら、
どうしようもなく呆れ返るしかなかった。
◆◆◆◆◆◆
「ん?ここは……?」
どれほど時間が経ったかは分からないけれど、
ある程度適当に森の中を歩いていると、
手入れのされていない
もうボロボロになっていた神殿を見つけた。
私がデルソーレ王国から離れた為に、
結界の効力は弱まっているだろうが、
完全になくなっているわけではないため、
彼らに復讐ができない。
もしかしたら、私のこんな醜い姿を見て、
ソルティア様は幻滅なさるかもしれないけれど。
そんな自嘲気味な思いで、
馬鹿馬鹿しくて微笑んでいると
廃れてしまった神殿に、
ソルティア様の紋章を発見した。
「ここは……
ソルティア様を信仰していた神殿なのかしら?」
こんな場所、初めて見た。それは勿論、
デルソーレ王国の外に出たことがないから
という理由もあるけれど、この神殿の構造が、
光の女神の時代と言われた太古の昔のものだったからだ。
デルソーレ王国ができる、数万年前。
悪神ズローがこの世を混沌の闇に包もうとしたとき、
救いもなく、ただ絶望するしかなかった人々の前に
光の女神ソルティアが降り立ち、勇気ある青年と、
純白な心を持つ少女に浄化の力を与え、
人々に光をもたらした───という神話。
その話を、幼い頃に
ソルティア様にお聞きしたことがあった。
『ソルティア様、
この神話は本当にあったことなんですか?』
『あら、何とも懐かしい話です……。
そうですね、かつてこのようなこともありました』
女神であり、人が崇拝するべきお方に、
幼い頃の私は思ったことを次々と発していったのに、
ソルティア様はそんな私に優しく微笑みながら、
真実かどうか話してくれた。
今となってはとんでもない無礼を
働いていたものだと思っているけれど。
『───ルミエール。我が愛しの子よ』
「ッ!?」
神殿の大きな扉の前に立つと、
中から懐かしい声が聞こえてきた。
久々に聞く声に私は
ビクリッとその場から動けずにいると、
ゴゴゴゴゴッ!と重く、大きな岩の扉がゆっくりと
自動で開いていく様を見て、私はただただ呆然とする。
『ルミエール、こちらへ』
この大きな岩の扉を開いたのは、
紛れもなく光の女神本人だろう。
中に入りなさい、とその声が私を導いている。
私はただ、もう廃れてしまった神殿の中に
ゆっくりと歩を進めることにした。
1
あなたにおすすめの小説
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。
かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。
謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇!
※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる