王道学園に通っています。

オトバタケ

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君色アルバム1

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 春夏と俺達が見上げ、俺達を見守ってくれた中庭の木々。
 俺達みたいに生命感溢れる緑だった葉が、茶色に変わってヒラヒラと地面に舞い落ちていく。

「なんで、こんなに葉っぱ落ちてんだよ」
「秋だからだろ」

 中庭の掃除を任された俺達。
 掃いても掃いても減っていかない大量の落ち葉に、苛立ち叫んだそいつは箒を放り投げると、ヒラヒラ舞い落ちる落ち葉をキャッチし始めた。

「そんなことしてっと、いつまで経っても掃除終わんねぇぞ」
「五分だけ。どっちがたくさん取れるか競争な」

 少年みたいな笑顔ではしゃぐそいつに、仕方ねーなーって付き合う。
 そいつが喜んでる顔が嬉しくて、俺も必死で落ち葉キャッチをしていたら瞬く間に時間は過ぎ、気付いた頃には太陽がだいぶ傾いてた。
 急いで掃除を済ませた頃には、辺りは夕焼け色に染まっていた。

「さみぃ。早く部屋戻ろうぜ」
「いや待て、今からがメインディシュではないか」

 寒さに震える俺にムフフと笑ったそいつは、上着のポケットからサツマイモを二本取り出した。

「それ、いつから持ってたんだ?」
「掃除の前から」

 ニカァと顔をクシャクシャにして笑うそいつ。
 ご褒美があるから頑張ったわけか。こいつらしくて笑みが漏れる。
 闇に包まれ始めた中庭で、焚き火の柔らかな火が俺達を優しく包む。
 冷たい北風が吹き抜けていく中庭。目の前の暖だけでは、冷えきった手はなかなか暖まらない。

「そんなに寒いか?」

 掌を擦りあわせて息を吹き掛けている俺を見て、焼きイモはまだかまだかと何度も火の中を確認しているそいつが聞いてくる。
 子供みたいに体温の高いそいつ。その掌に触れたい。
 衝動にかられて、そいつの指の間に自分の指を絡ませて所謂恋人繋ぎをする。

「冷てっ」

 温かな掌は、すぐに離れていってしまう。

「何すんだよ」
「秋だから」
「はぁ?」

 あ、目にクエスチョンマークが浮かんでる。

「秋って、こーゆーことしたくなんねぇ?」
「あぁ、分かるわ、それ。おセンチになるっつーの? でも、男とはしたくねぇな」

 屈託のない笑顔で言うそいつ。
 俺も合わせて笑うけど、心臓が痛てぇよ。

「なぁ、彼女とは、手ぇ繋いだりすんの?」
「もちろん」

 聞いたって心臓が痛くなるだけなのに。

「キスは?」
「もちろん」

 心臓に何千本もの針を刺されたみたいに痛てぇ。

「その先も?」
「もちろん。って、なに聞いてんだよ。あ、女とはどういうものか知りたいのかね、チェリーくん」

 ニヤリといやらしい笑みを浮かべて、教師気取りで人差し指を立てるそいつ。
 知りたくねぇよ、俺が知りたいのはお前だよ。
 激痛で麻痺して、心臓が動いてんのかどうかも分かんねぇよ。

「なぁ、俺にもキスしてくんねぇ?」

 痛みで理性の枷が外れて、心の叫びを口にしてしまう。

「な……なに言ってんだよ」

 八の字眉に、おちょぼ口。これ、本気で困ってる時の顔だ。

「ごめん、俺、欲求不満でおかしくなってるわ」
「俺にぶつけて来るってこたぁ、相当溜まってんな。いいエロサイト知ってっから教えてやるよ」

 俺の発言の真意が分かったとでも思ってんのか、安堵の笑みを浮かべてバシバシと背中を叩いてくるそいつ。
 掌が当たった場所が、火傷したみたいに熱い。
 そんなやり取りをしているうちに、サツマイモが焼けた。
 モフモフと幸せそうに食べるそいつ。
 燻り続ける焚き火が俺みたいで、消えてしまうのが怖くて息を吹きかけてみる。

「食わないなら食っちゃうぞ」

 右手に握った半分ほど食べた焼きイモが、そいつの口の中に消えていく。
 あ、間接キス……と思った刹那、息を吹きかけたお陰か、焚き火が再び火柱を上げた。

 今日この日、俺と焚き火をして焼きイモ食ったって思い出を、いつまでもお前の心の中にしまっておいて。
 お前の中に俺の記憶を、少しでも多く残したい。
 お前のことを想ってる、俺の姿を。
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