9 / 31
日向ぼっこ1
しおりを挟む
「来週クリスマスじゃん?」
「……」
「パーティーとかしちゃう?」
「……」
話しかける俺を無視して小難しい歴史小説を読み続ける日向(ひなた)に、鼻先がくっつくくらいの至近距離まで顔を近付けてみる。
「お前、クリスマスがなんの日か知ってんのか?」
やっと小説から俺に視線を移してくれた日向が、溜め息混じりに言う。
「恋人がイチャイチャする日」
「じゃあ、俺達には関係ないだろ」
「俺達、恋人同士じゃん?」
「……」
え、なんでビックリした顔してんの? 俺達、エッチしてるじゃん。
一ヶ月前から体の関係が始まった俺達だけど、互いに好きだからそういうことしてるんだと思ってた。口では酷いこと言っても、重ねた肌からはいつも優しさが伝わってきてたし。
改まって告白とか日向はそういうの嫌がるかなって、わざと言わなかったし聞かなかった。
モデル体型で、切れ長の目の整った顔に、艶やかな黒髪。一匹狼で近付いてくるなオーラだしてて、日向って名前なのに日陰のが似合うミステリアスな雰囲気で、クールビューティーって言葉がピッタリの日向。
次の生徒会のメンバーに選ばれるんじゃないかって噂されてて、生徒会の親衛隊のチワワからノンケの野郎まで、様々な奴に何度も告白されているのを見た。街に行くと、女子からもよく声を掛けられていたのを知っている。
やりたきゃ他でいくらでもできるのに、俺以外には特別な関係の奴はいない。俺が知らないだけで、実は他にもいるのか?
俺は特別格好いいわけではないし、可愛いわけでもない。同室だから、手軽にやれるオナホ代わりなのか? 恋人だと思って浮かれているのは俺だけなのかよ?
「お前、やっぱり馬鹿だな」
「馬鹿ですけど、何か?」
馬鹿馬鹿言われまくって、もう慣れました。
恋人なのかどうかはっきり聞いて、違うとか言われたら死にたくなるんで聞くのはやめよ。
俺は日向が好きだから、日向に気持ちがなくてもこの関係を続けたい。なるようになれだ、こんちくしょう。
「お前、宗教は?」
「仏壇あるし、仏教なんじゃねぇ?」
馬鹿が馬鹿なりに考えてるのに、日向はいつもの涼しい顔で訳分かんねぇことを聞いてくる。
「クリスマスはイエス・キリストの誕生日だろ? 違う宗教の教祖の誕生日を祝ってどうする?」
「楽しけりゃいいじゃん。日向、キリスト教だった? 仏教徒がクリスマス楽しんじゃってるのにムカついてた?」
俺は、お前にムカついてます。
「ウチは禅宗だ。母親がこういう考えだからクリスマスなんてやったことがない」
「ツリーも? ケーキも? プレゼントも?」
「全部ない」
楽しいのにな。あの楽しさを知らないなんて、なんか可哀想。
今日は、クリスマスイブ。
実家からツリーを送ってもらい、折り紙で作った鎖を部屋中に飾り、お洒落な料理とケーキを用意した。
俺の手作りだ。これでも料理は得意なのだ。
委員会を終えた日向が帰ってきた。部屋の様子を見て固まっている。
喜んでくれるかな? あ、溜め息つかれた。
「なんだ、これは?」
「も、模様替えしたんだよ。いいインテリアだろ?」
「本当にお前は馬鹿だな」
あ、表情が緩んだ。
料理でいっぱいのテーブルに案内して、シャンメリーで乾杯。うん、クリスマスパーティーっぽいぜ。
「料理はどう?」
「馬鹿にも特技があるんだな」
それ、褒めてくれてるんですよね? よっしゃ、胃袋掴んだぞ。
「あれは、なんだ?」
「クリスマスツリーだけど?」
窓際に置いたツリーを、怪訝そうに指差す日向。
「なんで短冊が掛けてあるんだよ」
「ウチでは昔からそうだけど?」
憐れんだ目で俺を見る日向。
我が家では七夕飾りとクリスマスツリーの飾りは一緒だったんですが、何か問題でもありますか?
「馬鹿な願い事ばっかだな」
ツリーの前に移動した日向が、短冊を眺めて溜め息をつく。
『日向とずっと幸せでいられますように』
『日向がいっぱい愛してくれますように』
『日向ともっとラブラブしたい』
はいそうですよ、馬鹿ですよ。日向馬鹿で、悪かったですね。
「日向も書くか?」
「欲しいものは自力で手に入れるから、願うようなことなどない」
そんな格好いい顔で、格好いいセリフ吐かないでください。あなたになら抱かれてもいいわ、ってもう抱かれてるんだけどさ。
例のごとく口は悪いけど、日向の表情は終始にこやかで、なんだかんだでパーティーを楽しんでいるみたいだった。
「プレゼントやるよ」
赤いリボンを乗せた掌を差し出した俺を見て、日向ははてなマークを浮かべている。
「どうぞ」
リボンを自分の頭に乗せて、鏡の前で練習を繰り返したセクシーな表情を浮かべる。
「本当に馬鹿だな、お前」
「やっぱ、寒かった?」
俺がしたって萌えないよね。
アハハと照れ笑いしていると、ベッドに押し倒された。
「そんな顔して誘って、体がガタガタになっても文句言うなよ」
え、喜んでもらえちゃったの? 練習しといて正解でした。
って、なんか、いつもより激しくありません? 本当に体が持ちそうにないかも……。
一回戦終了後のベッドの上。
「俺達って恋人同士だよな?」
「言わないと分からないなんて、本当に馬鹿だな、お前」
それって、恋人同士だよってことですか?
「日向、大好き」
嬉しくて、日向にぎゅうっと抱きつく。
「好きじゃなきゃ、抱かねーよ」
その言葉、今までもらった中で一番嬉しいクリスマスプレゼントだよ。
「……」
「パーティーとかしちゃう?」
「……」
話しかける俺を無視して小難しい歴史小説を読み続ける日向(ひなた)に、鼻先がくっつくくらいの至近距離まで顔を近付けてみる。
「お前、クリスマスがなんの日か知ってんのか?」
やっと小説から俺に視線を移してくれた日向が、溜め息混じりに言う。
「恋人がイチャイチャする日」
「じゃあ、俺達には関係ないだろ」
「俺達、恋人同士じゃん?」
「……」
え、なんでビックリした顔してんの? 俺達、エッチしてるじゃん。
一ヶ月前から体の関係が始まった俺達だけど、互いに好きだからそういうことしてるんだと思ってた。口では酷いこと言っても、重ねた肌からはいつも優しさが伝わってきてたし。
改まって告白とか日向はそういうの嫌がるかなって、わざと言わなかったし聞かなかった。
モデル体型で、切れ長の目の整った顔に、艶やかな黒髪。一匹狼で近付いてくるなオーラだしてて、日向って名前なのに日陰のが似合うミステリアスな雰囲気で、クールビューティーって言葉がピッタリの日向。
次の生徒会のメンバーに選ばれるんじゃないかって噂されてて、生徒会の親衛隊のチワワからノンケの野郎まで、様々な奴に何度も告白されているのを見た。街に行くと、女子からもよく声を掛けられていたのを知っている。
やりたきゃ他でいくらでもできるのに、俺以外には特別な関係の奴はいない。俺が知らないだけで、実は他にもいるのか?
俺は特別格好いいわけではないし、可愛いわけでもない。同室だから、手軽にやれるオナホ代わりなのか? 恋人だと思って浮かれているのは俺だけなのかよ?
「お前、やっぱり馬鹿だな」
「馬鹿ですけど、何か?」
馬鹿馬鹿言われまくって、もう慣れました。
恋人なのかどうかはっきり聞いて、違うとか言われたら死にたくなるんで聞くのはやめよ。
俺は日向が好きだから、日向に気持ちがなくてもこの関係を続けたい。なるようになれだ、こんちくしょう。
「お前、宗教は?」
「仏壇あるし、仏教なんじゃねぇ?」
馬鹿が馬鹿なりに考えてるのに、日向はいつもの涼しい顔で訳分かんねぇことを聞いてくる。
「クリスマスはイエス・キリストの誕生日だろ? 違う宗教の教祖の誕生日を祝ってどうする?」
「楽しけりゃいいじゃん。日向、キリスト教だった? 仏教徒がクリスマス楽しんじゃってるのにムカついてた?」
俺は、お前にムカついてます。
「ウチは禅宗だ。母親がこういう考えだからクリスマスなんてやったことがない」
「ツリーも? ケーキも? プレゼントも?」
「全部ない」
楽しいのにな。あの楽しさを知らないなんて、なんか可哀想。
今日は、クリスマスイブ。
実家からツリーを送ってもらい、折り紙で作った鎖を部屋中に飾り、お洒落な料理とケーキを用意した。
俺の手作りだ。これでも料理は得意なのだ。
委員会を終えた日向が帰ってきた。部屋の様子を見て固まっている。
喜んでくれるかな? あ、溜め息つかれた。
「なんだ、これは?」
「も、模様替えしたんだよ。いいインテリアだろ?」
「本当にお前は馬鹿だな」
あ、表情が緩んだ。
料理でいっぱいのテーブルに案内して、シャンメリーで乾杯。うん、クリスマスパーティーっぽいぜ。
「料理はどう?」
「馬鹿にも特技があるんだな」
それ、褒めてくれてるんですよね? よっしゃ、胃袋掴んだぞ。
「あれは、なんだ?」
「クリスマスツリーだけど?」
窓際に置いたツリーを、怪訝そうに指差す日向。
「なんで短冊が掛けてあるんだよ」
「ウチでは昔からそうだけど?」
憐れんだ目で俺を見る日向。
我が家では七夕飾りとクリスマスツリーの飾りは一緒だったんですが、何か問題でもありますか?
「馬鹿な願い事ばっかだな」
ツリーの前に移動した日向が、短冊を眺めて溜め息をつく。
『日向とずっと幸せでいられますように』
『日向がいっぱい愛してくれますように』
『日向ともっとラブラブしたい』
はいそうですよ、馬鹿ですよ。日向馬鹿で、悪かったですね。
「日向も書くか?」
「欲しいものは自力で手に入れるから、願うようなことなどない」
そんな格好いい顔で、格好いいセリフ吐かないでください。あなたになら抱かれてもいいわ、ってもう抱かれてるんだけどさ。
例のごとく口は悪いけど、日向の表情は終始にこやかで、なんだかんだでパーティーを楽しんでいるみたいだった。
「プレゼントやるよ」
赤いリボンを乗せた掌を差し出した俺を見て、日向ははてなマークを浮かべている。
「どうぞ」
リボンを自分の頭に乗せて、鏡の前で練習を繰り返したセクシーな表情を浮かべる。
「本当に馬鹿だな、お前」
「やっぱ、寒かった?」
俺がしたって萌えないよね。
アハハと照れ笑いしていると、ベッドに押し倒された。
「そんな顔して誘って、体がガタガタになっても文句言うなよ」
え、喜んでもらえちゃったの? 練習しといて正解でした。
って、なんか、いつもより激しくありません? 本当に体が持ちそうにないかも……。
一回戦終了後のベッドの上。
「俺達って恋人同士だよな?」
「言わないと分からないなんて、本当に馬鹿だな、お前」
それって、恋人同士だよってことですか?
「日向、大好き」
嬉しくて、日向にぎゅうっと抱きつく。
「好きじゃなきゃ、抱かねーよ」
その言葉、今までもらった中で一番嬉しいクリスマスプレゼントだよ。
0
あなたにおすすめの小説
兄のやり方には思うところがある!
野犬 猫兄
BL
完結しました。お読みくださりありがとうございます!
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!
第10回BL小説大賞では、ポイントを入れてくださった皆様、そしてお読みくださった皆様、どうもありがとうございました!m(__)m
■■■
特訓と称して理不尽な行いをする兄に翻弄されながらも兄と向き合い仲良くなっていく話。
無関心ロボからの執着溺愛兄×無自覚人たらしな弟
コメディーです。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー
夏目碧央
BL
強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。
一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
王道学園の書記には過保護な彼氏がいるようで
春於
BL
「王道学園の副会長には愛しの彼氏がいるようで」のつづき
(https://www.alphapolis.co.jp/novel/987002062/624877237)
王道学園に王道転校生がやってきた
だけど、生徒会のメンバーは王道ではないようで…
【月見里学園】
生徒会
〈会長〉御宮司 忍 (おんぐうじ しのぶ)
〈副会長〉香月 絢人 (かづき あやと)
〈書記〉相園 莉央 (あいぞの りお)
〈会計〉柊 悠雅 (ひいらぎ ゆうが)
〈庶務〉一色 彩葉/日彩 (いっしき いろは/ひいろ)
風紀委員
〈風紀委員長〉伊武 征太郎 (いぶ せいたろう)
相園莉央親衛隊
〈親衛隊長〉早乙女 楓真 (さおとめ ふうま)
王道転校生
浅見翔大 (あさみ しょうた)
※他サイトにも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる