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要くんと唯斗さん
夢の続き
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緑色の世界。地平線の彼方に小さく光るゴールマウスを目指して、ドリブルをする見覚えのある後ろ姿。
あっ、要くんだ。要くん待って! 俺を置いていかないでよ!
その後ろを追いかけようとするけど、足が地面に張り付いてしまって動かない。もがけばもがく程、体は緑の中に沈んでいく。
「要くんっ!」
自分の大声にびっくりして目が覚める。
体中に流れる嫌な汗。瞳から流れ出る水は、止まる術を忘れたかのように流れ続ける。
叫んでも振り向いてさえくれなかった後ろ姿に、声をあげて泣いた。
球を蹴れなくなって、どれくらい経っただろう。
今まで、休みらしい休みもなく試合に出続けていたので、いい休暇だとポジティブに考え、プレーの面でも精神面でもより成長してピッチの上に戻ろうと思っていた。
辛いリハビリにも、春の訪れを想像して耐えた。
でも、こんな寒い夜に一人で眠ると、不安に押し潰されそうになる。
本当に、足は治るんだろうか?
本当に、もう一度ピッチに立てるんだろうか?
また、自分の納得するプレーをする事が出来るんだろうか?
この夢には、ちゃんと続きがあるんだろうか?
夢の始まりは小さなものだった。
サッカーが好き。サッカーがしたい。
でも、この小さなきっかけが全てだ。
今考えると全然下手くそだったけど、その当時は自分の納得するプレーが出来て。
県選抜に選ばれて、有名高校に入って高校選手権で優勝できて。
プロになって、日本代表に選ばれて……。
小さな夢を積み重ねていって、夢へと続く大きな塔が立っていった。
でも、まだ夢へは届いていない。
まだ、夢の続きを見たい。
夢へと続く道を歩いていきたい。
当然、続いていくもんだと思っていた夢……。
「やめたくないよぉー」
辺りが明るくなるまで泣き続けた。
「唯斗さん、どうしました?」
会いたくて会いたくて、待ち焦がれていた要くんが来てくれた。
真っ赤に腫れ上がった俺の目元を見て、心配そうに聞いてくる。
「要くぅーん」
涙って、どれくらい出るもんなんだろう?
体中の水分が全て流れ出すんじゃないかって程、また泣いた。
抱きついてぐずる俺の背中を、優しく撫で続けてくれた要くん。
「俺の足、ちゃんと治るのかな?」
「治りますよ」
「ちゃんとピッチに戻れるかな?」
「戻れますよ」
「何で分かるんだよぉ」
大声を上げて拳で胸を叩く俺を、困った顔で見つめてくる要くん。
「何で怪我したんだよ。本当にもう一度サッカー出来るのかよ。要くんとワールドカップのピッチの上に一緒に立ちたいのに。要くんだけ立ったら許さないから」
駄々っ子のように何度も何度も叩いて泣き喚く俺に、益々困った顔をする要くん。
要くんだって、成績不振だったチームが新体制をとってガラッと環境が変わって、色々考えたり悩んだりしている事があると思うのに。
俺には弱音を吐いていいんだよって、優しく笑ってあげようと思っていたのに。
俺は、何をやっているんだろう……。
更に憤りが募り、泣くという行為を止める術が分からなくなってしまった。
「大丈夫。唯斗さんはもう一度ピッチに立って輝けますよ。一緒にワールドカップに行きましょう」
優しく笑いかけてくれた要くんの手が、俺の手を握る。
「何でそんな事、言えるんだよー」
「唯斗さんが頑張っているのを知ってますから」
「嘘。見てないくせに」
「見てなくても唯斗さんの顔を見たら分かりますよ」
「えっ?」
涙で滲んでぼやけて見える要くんの顔が近づいてきて、俺の額と要くんの額がくっつく。
「僕は、唯斗さんの事なら何でも分かりますから。そんな僕が言うんですから、信じてください」
ね、って恥ずかしそうに笑う要くんに、うんって微笑むと心地好い熱が俺を包んだ。
まだまだ、夢の続きを見たいから。
さぼってる時は、ちゃんと叱って。辛い時は側にいて。嬉しい時は一緒に笑って。
俺にも君の夢、聞かせてよ。君がしてくれたように、俺も君の助けになりたいから。
あっ、要くんだ。要くん待って! 俺を置いていかないでよ!
その後ろを追いかけようとするけど、足が地面に張り付いてしまって動かない。もがけばもがく程、体は緑の中に沈んでいく。
「要くんっ!」
自分の大声にびっくりして目が覚める。
体中に流れる嫌な汗。瞳から流れ出る水は、止まる術を忘れたかのように流れ続ける。
叫んでも振り向いてさえくれなかった後ろ姿に、声をあげて泣いた。
球を蹴れなくなって、どれくらい経っただろう。
今まで、休みらしい休みもなく試合に出続けていたので、いい休暇だとポジティブに考え、プレーの面でも精神面でもより成長してピッチの上に戻ろうと思っていた。
辛いリハビリにも、春の訪れを想像して耐えた。
でも、こんな寒い夜に一人で眠ると、不安に押し潰されそうになる。
本当に、足は治るんだろうか?
本当に、もう一度ピッチに立てるんだろうか?
また、自分の納得するプレーをする事が出来るんだろうか?
この夢には、ちゃんと続きがあるんだろうか?
夢の始まりは小さなものだった。
サッカーが好き。サッカーがしたい。
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今考えると全然下手くそだったけど、その当時は自分の納得するプレーが出来て。
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でも、まだ夢へは届いていない。
まだ、夢の続きを見たい。
夢へと続く道を歩いていきたい。
当然、続いていくもんだと思っていた夢……。
「やめたくないよぉー」
辺りが明るくなるまで泣き続けた。
「唯斗さん、どうしました?」
会いたくて会いたくて、待ち焦がれていた要くんが来てくれた。
真っ赤に腫れ上がった俺の目元を見て、心配そうに聞いてくる。
「要くぅーん」
涙って、どれくらい出るもんなんだろう?
体中の水分が全て流れ出すんじゃないかって程、また泣いた。
抱きついてぐずる俺の背中を、優しく撫で続けてくれた要くん。
「俺の足、ちゃんと治るのかな?」
「治りますよ」
「ちゃんとピッチに戻れるかな?」
「戻れますよ」
「何で分かるんだよぉ」
大声を上げて拳で胸を叩く俺を、困った顔で見つめてくる要くん。
「何で怪我したんだよ。本当にもう一度サッカー出来るのかよ。要くんとワールドカップのピッチの上に一緒に立ちたいのに。要くんだけ立ったら許さないから」
駄々っ子のように何度も何度も叩いて泣き喚く俺に、益々困った顔をする要くん。
要くんだって、成績不振だったチームが新体制をとってガラッと環境が変わって、色々考えたり悩んだりしている事があると思うのに。
俺には弱音を吐いていいんだよって、優しく笑ってあげようと思っていたのに。
俺は、何をやっているんだろう……。
更に憤りが募り、泣くという行為を止める術が分からなくなってしまった。
「大丈夫。唯斗さんはもう一度ピッチに立って輝けますよ。一緒にワールドカップに行きましょう」
優しく笑いかけてくれた要くんの手が、俺の手を握る。
「何でそんな事、言えるんだよー」
「唯斗さんが頑張っているのを知ってますから」
「嘘。見てないくせに」
「見てなくても唯斗さんの顔を見たら分かりますよ」
「えっ?」
涙で滲んでぼやけて見える要くんの顔が近づいてきて、俺の額と要くんの額がくっつく。
「僕は、唯斗さんの事なら何でも分かりますから。そんな僕が言うんですから、信じてください」
ね、って恥ずかしそうに笑う要くんに、うんって微笑むと心地好い熱が俺を包んだ。
まだまだ、夢の続きを見たいから。
さぼってる時は、ちゃんと叱って。辛い時は側にいて。嬉しい時は一緒に笑って。
俺にも君の夢、聞かせてよ。君がしてくれたように、俺も君の助けになりたいから。
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