29 / 136
第三章◆◆◆夏輝
第二十九話
しおりを挟む
俺は撮りためた映像の編集に明け暮れていた。
幸い、同室の夏輝は1年なので、授業が多く部屋に一人の時間は多かった。
夏輝もあれ以来、伸一に絡むこともなく、逆に少し避けているようだった。
しかしその頃から、夏輝は急に怒り出したり、涙を流したり、ボーッとしてたりしている。
情緒不安定と言うやつか。
あの日の出来事は、夏輝に何かしらの影響があったのだろう。
あれから2週間が経った
俺は、授業以外は編集作業で追われる日々を過ごしていた。
今日は水曜日なので、午後から授業がある。
寮からキャンパスに向かう途中で「あの」と若者から声をかけられた。
「なんですか?」俺は聞き返した。
「目白台大学の須藤さんですよね」
そう言われ、俺は警戒した。
「突然すみません。僕、三浦淳と言います」
(誰だ?)
「進藤夏輝の友達です。寮の同室だと思うんですが」
「ああ。で、何か?」
とそっけなく言った。
「夏輝のことなんですが」
深刻そうに話し出した。
「2週間ほど前からなんか様子が変なんです。目白台大学の1年に共通の友達がいて、聞いても原因がわからないので、寮の方で何かあったのではないかと思って」
そう言うと、俺の方をじっと見ている。
(夏輝の友達なら18才か。なかなか凛々しい顔立で、“昭和のイケメン”という感じだ)
「ゴメン、俺これから授業なんだ。三時には終わるから」
そう言って、俺はキャンパスに向かった。
授業が終わり、校門を出ると淳が待っていた。
仕方がないので近くのドトールで話をすることに。
「寮で何があったか教えてください」
淳はいきなり、確信があるような言い方をした。
「夏輝はどのように変なんだ」
俺は逆に聞いた。
「なんか、遊びに行ってもボーッとしてて、急に怒ってる帰っちゃうし、飲むと泣きながら“辛いんだよ”って、くだ巻くし」
と説明し出した。
実は、、俺は説明を始めた
「2年の鈴木って奴がいるんだけど、前に会ったことがあるから挨拶をしてくる、と言って部屋に行って、そのあとから様子が変なんだ。鈴木って、君知ってる?」
と、聞いてみた。
「いや。知りません」と、即答したが、(鈴木)
って名前を出したとき、眉毛がピクッと動いた。
「鈴木を知らないんだね、なら、話は終わりだ俺もなにも知らない」
少し怒ったように俺は席を立った。
「あ、ちょっと待ってください」慌てて淳は呼び止めた。
「まだ、何か?」
振り向いて俺は言った。
「すみませんでした。話しますので、先ずは座って下さい」観念したかのように、淳は話し出した。
それは、SM現場への出前から、寮の庭の件まで、夏輝から聞いた内容と一致した。
俺は初めて聞いたふりをした
「鈴木を恐喝しようとと思ってたのか!」
と、俺が言うと、焦った淳は「恐喝だなんて、、先輩の秘密を知ってれば、大学生活でいろいろ役に立つとは考えてたようですが」
「なるほど、ではやはり何かあったとしたら鈴木とだな。他に何かヒントはないか」
俺は聞いた。
「夏輝は最近あなたの話ばかりしています」
こう言われ、俺は驚いた。
「俺のはなし?例えばどんな?」
「はじめのうちは3年と同室だから、鈴木さんと同じ棟なんだ」とか、
「その、同室になった3年性が、なんと庭でのパフォーマンスを仕切ってた須藤さんなんだ」と話してたけど、最近は「須藤さんにいろいろよくしてもらった、とか、須藤さんが俺のなかではヤバイんだ」とか、口を開くとあなたの話ばかりなんです。」
俺はしばらく考えて、「もっと具体的なことは言ってなかったか?」と聞いた。
「具体的なことですか?えーと、、先週は須藤さんに大人の世界を教えてもらって、世の中の見方が変わったって言ってました」
俺は確信した。
夏輝は俺に惚れたんだ。
そして
淳は夏輝を想ってる。
淳とはこれからも夏輝の様子が変なら、こちらからも連絡する。と言って、LINEを交換して別れた。
俺は本郷さんを訪ねた。
「こんにちは、本郷さんもポン太もお元気そうで」
俺が訪ねたことにより、ポン太が興奮しすぎてションベン撒き散らしながら家中駆け回ってる。
「今度来るときは事前に連絡くれ、ポン太のお昼寝の時間を指定するから」
そう言ってポン太に餌を与え静めようとしている。
「もう、手足のベルトはしてないんですね」ポン太の様子を見ながら聞いた。
「ああ、撮影会から帰った日に外したが、立ち上がるのは、俺の顔を嘗めようとするときだけなんだ。あとは犬として生活してるよ。ここら辺の地域にも認められたし、毎朝お散歩が日課なんだ」
ようやく落ち着いたポン太をなぜながら満足そうに話した。
「それで、相談というのが、、」
俺は、また若くて格好いい奴のビデオ撮影をお願いした。
「でも、俺は今ポン太がいるから出演できないぞ、、」
といわれた。
俺はすこし考え、「相手役ですが斎藤にやらせます」と言った。
「なら、俺がそれまでに斎藤を指導してやる。壊した4kカメラの弁償代だって、言ってやれ」
下準備が整った。
幸い、同室の夏輝は1年なので、授業が多く部屋に一人の時間は多かった。
夏輝もあれ以来、伸一に絡むこともなく、逆に少し避けているようだった。
しかしその頃から、夏輝は急に怒り出したり、涙を流したり、ボーッとしてたりしている。
情緒不安定と言うやつか。
あの日の出来事は、夏輝に何かしらの影響があったのだろう。
あれから2週間が経った
俺は、授業以外は編集作業で追われる日々を過ごしていた。
今日は水曜日なので、午後から授業がある。
寮からキャンパスに向かう途中で「あの」と若者から声をかけられた。
「なんですか?」俺は聞き返した。
「目白台大学の須藤さんですよね」
そう言われ、俺は警戒した。
「突然すみません。僕、三浦淳と言います」
(誰だ?)
「進藤夏輝の友達です。寮の同室だと思うんですが」
「ああ。で、何か?」
とそっけなく言った。
「夏輝のことなんですが」
深刻そうに話し出した。
「2週間ほど前からなんか様子が変なんです。目白台大学の1年に共通の友達がいて、聞いても原因がわからないので、寮の方で何かあったのではないかと思って」
そう言うと、俺の方をじっと見ている。
(夏輝の友達なら18才か。なかなか凛々しい顔立で、“昭和のイケメン”という感じだ)
「ゴメン、俺これから授業なんだ。三時には終わるから」
そう言って、俺はキャンパスに向かった。
授業が終わり、校門を出ると淳が待っていた。
仕方がないので近くのドトールで話をすることに。
「寮で何があったか教えてください」
淳はいきなり、確信があるような言い方をした。
「夏輝はどのように変なんだ」
俺は逆に聞いた。
「なんか、遊びに行ってもボーッとしてて、急に怒ってる帰っちゃうし、飲むと泣きながら“辛いんだよ”って、くだ巻くし」
と説明し出した。
実は、、俺は説明を始めた
「2年の鈴木って奴がいるんだけど、前に会ったことがあるから挨拶をしてくる、と言って部屋に行って、そのあとから様子が変なんだ。鈴木って、君知ってる?」
と、聞いてみた。
「いや。知りません」と、即答したが、(鈴木)
って名前を出したとき、眉毛がピクッと動いた。
「鈴木を知らないんだね、なら、話は終わりだ俺もなにも知らない」
少し怒ったように俺は席を立った。
「あ、ちょっと待ってください」慌てて淳は呼び止めた。
「まだ、何か?」
振り向いて俺は言った。
「すみませんでした。話しますので、先ずは座って下さい」観念したかのように、淳は話し出した。
それは、SM現場への出前から、寮の庭の件まで、夏輝から聞いた内容と一致した。
俺は初めて聞いたふりをした
「鈴木を恐喝しようとと思ってたのか!」
と、俺が言うと、焦った淳は「恐喝だなんて、、先輩の秘密を知ってれば、大学生活でいろいろ役に立つとは考えてたようですが」
「なるほど、ではやはり何かあったとしたら鈴木とだな。他に何かヒントはないか」
俺は聞いた。
「夏輝は最近あなたの話ばかりしています」
こう言われ、俺は驚いた。
「俺のはなし?例えばどんな?」
「はじめのうちは3年と同室だから、鈴木さんと同じ棟なんだ」とか、
「その、同室になった3年性が、なんと庭でのパフォーマンスを仕切ってた須藤さんなんだ」と話してたけど、最近は「須藤さんにいろいろよくしてもらった、とか、須藤さんが俺のなかではヤバイんだ」とか、口を開くとあなたの話ばかりなんです。」
俺はしばらく考えて、「もっと具体的なことは言ってなかったか?」と聞いた。
「具体的なことですか?えーと、、先週は須藤さんに大人の世界を教えてもらって、世の中の見方が変わったって言ってました」
俺は確信した。
夏輝は俺に惚れたんだ。
そして
淳は夏輝を想ってる。
淳とはこれからも夏輝の様子が変なら、こちらからも連絡する。と言って、LINEを交換して別れた。
俺は本郷さんを訪ねた。
「こんにちは、本郷さんもポン太もお元気そうで」
俺が訪ねたことにより、ポン太が興奮しすぎてションベン撒き散らしながら家中駆け回ってる。
「今度来るときは事前に連絡くれ、ポン太のお昼寝の時間を指定するから」
そう言ってポン太に餌を与え静めようとしている。
「もう、手足のベルトはしてないんですね」ポン太の様子を見ながら聞いた。
「ああ、撮影会から帰った日に外したが、立ち上がるのは、俺の顔を嘗めようとするときだけなんだ。あとは犬として生活してるよ。ここら辺の地域にも認められたし、毎朝お散歩が日課なんだ」
ようやく落ち着いたポン太をなぜながら満足そうに話した。
「それで、相談というのが、、」
俺は、また若くて格好いい奴のビデオ撮影をお願いした。
「でも、俺は今ポン太がいるから出演できないぞ、、」
といわれた。
俺はすこし考え、「相手役ですが斎藤にやらせます」と言った。
「なら、俺がそれまでに斎藤を指導してやる。壊した4kカメラの弁償代だって、言ってやれ」
下準備が整った。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる