若者たち

ザボン

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第四章◆◆◆淳

第三十話

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俺は斎藤を呼び出した。
「本郷さんから呼び出された」
斎藤はドキリとした。
「4Kカメラの弁償代、毎月少しずつと言っていたが、最初の1回しか払ってないそうじゃないか」
斎藤は焦りがら「忙しくて、バイトができないんです」
と言い訳していた。
俺は斎藤が弁償のためにバイトを始めたが伸一との遊びで使ってしまっていることを知っている。
「だから、稼げるバイトを紹介するから、それをやれ」
斎藤は何を言われるかドキドキしていた。
「お前は男優になるんだ」
そう言うと、「いや、無理です。恥ずかしいです」と、当然の回答をしてきた。
「これは、本郷さんからも言われている。本郷さんに指導を受けて本番に備えろ」
「い、嫌です」と涙を流しだした。
「4Kカメラの弁償代、すぐに一括で返せるのか」
しばらく考え、こう答えた
「親に借りてきます」
「そうか、そうすると、うーん困ったな」
そう言い、
「じゃあ撮影は中止で代わりにこの動画をアップするしかないな」
そう言い俺は斎藤に動画をみせた。

それには貸別荘の庭でまっ裸の斎藤が俺に体をデッキブラシで洗われ、その後よつん這いでケツの穴から茶水と糞を噴射している動画。次にシンーンが変わり、伸一と射精マシンを装着されて喘いでいる動画。
その後、多くのギャラリーの前で、伸一と自ら進んで射精マシンのパフォーマンスをしている動画。
伸一をはじめ、他に映っている人の顔にはモザイクがかけられている。

斎藤は「やめてください」と、泣き出した。

俺は斎藤に優しく言った。「動画を見る人はモデルをみる。男優側なんて、見やしないよ。だけど今見た動画は主演がお前だ。見る奴はお前をみて、笑ったり、発情したり、おかずにするんだ」
斎藤は泣く泣く同意した。

数日後、本郷さんから斎藤は一応男優らしくなった。そして、指導を受けているうちに踏ん切りがついたようだと、連絡があった。

連絡があった翌日曜日、部屋には夏輝がいた。
夏輝がトイレに立った時に夏輝のスマホの電源を切り、机の隙間に隠した。
夏輝がトイレから戻ると、俺は困った顔をして夏輝に言った。
「悪いが、今日お使いを頼まれてくれないか?実は1年の誓約書を出し忘れていて、日曜だけど学務科に3時に届けるように言われてるのだけど、ちょっと用事ができてしまって」
それは、1年が入寮するときにサインさせた誓約書で、事務手続きの書類の1枚だ。当然夏輝のものもある。
「わかりました。届けるだけですよね。楽勝です」夏輝は俺の役に立てるのが嬉しいようだ。
「ありがとう、じゃあ、ちょっと出掛けてくる」
と言って書類を渡し、でてきた。

淳に、「夏輝の元気がない理由がわかった、会って話すから。夏樹には言うな」と連絡してあった。
前と同じドトールには、既に淳が来ていた。

僕は須藤さんに呼び出された。
須藤さんと会ってから、高校の友達で江ノ島に遊びにいったが夏輝は来なかった。
電話で誘っても、行きたくない。と言って元気がなかった。
今日、須藤さんから原因が聞ければ、夏輝の力になれるかもと期待している。

ドアが開き、須藤さんが入ってきた。
「お待たせ」
そう言ってアイスコーヒーを買って席に座った
「夏輝が元気がない原因が分かったんですか?」僕は即座に言った。
須藤さんは間をおき、「俺はお前と夏輝の関係をよく知らない。夏輝はこの事を誰にも言わないで、と俺に打ち明けてくれた。夏輝に言わずにお前に相談すべきか、散々迷ったが、お前を信用するならば、俺よりお前の方が夏輝との付き合いも長いし、よくわかってると思う。だから、お前を信用することにした。これで、いいんだよな」
須藤さんは坦々と話した。
「須藤さんの言うことはよくわかります」
と言ってスマホの写真を見せてくれた。
そこには夏輝と淳が、まだ子供の時の写真から、一緒に遊んだり、学校行事に参加したりした写真が多数あった。小学校からの友達らしい。
どれも夏輝は楽しそうに淳と笑っている
「分かった」と、須藤さんは言った。
僕は夏輝の秘密を話すのに、これだけ慎重になる須藤さんは信用できる人だ。と警戒心をすっかり解いた。
「繰り返しになるが、これから言うことは夏輝にとって、とても人に言われたくないことだ。君が知ったことも、絶対に秘密にしてくれ」といい、僕がうなずくのを確認してからスマホで動画を見せてくれた。

それは、夏輝の恥ずかしい動画だった。
自らジャージのズボンとパンツをおろしてペニスをシゴキだし、途中で上着を脱いで続けて、プラコップへ射精する動画。
次のシーンでは誰か(顔は映ってない)にペニスをシゴかれながら、よつん這いにさせられ、ケツの穴に指を突っ込まれ、そのあと、、、夏輝のケツの穴に、その男がペニスをぶっこみ、「痛っ、痛っっっっ、やめてください」と夏輝が叫ぶが、そのうち喘ぎだし射精に至り、男が夏輝の中に射精し、ケツの穴から精液と血が垂れてくる動画だった。
僕は涙を流しながら見おえた。
「この動画を撮影され、公開すると脅されてるようだ」と、須藤さんから聞かされ、僕は涙が止まらなかったが、震える声で何とか絞り出した「それで、何を脅されてるのですか」
「今日、改めて撮影させろ、といわれているらしい。来なければ寮に押し掛ける、とも。俺は夏輝に行くなと言っある。俺がこれから撮影現場に行って掛け合うつもりだ」
と説明した。
僕は須藤さんに「くれぐれもよろしく頼みます」と言って、ドトールを出た。
まだ震えが止まらない。
できるなら夏輝のそばにいてやりたい。
でも、今会えば俺は泣いてしまい動画を見たことを感ずかれてしまうだろう。
そう考え、(俺が今の夏輝にしてやれることは、何だ?)と、悶々としていた。
すると、また須藤さんから着信があった。凄く焦っている。
「君と別れてすぐに事故にあった。怪我は大したことないのだが、警察が来たり相手と話したりで、行かれそうもないんだ」
そういうと、「頼む、代わりに行ってくれないか」
僕は夏輝の一大事と、須藤さんのこんな時でも夏輝の事を考え僕に連絡してくる優しさに、二つ返事で引き受けた。
場所を聞き、急いで向かった。
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