調布奇伝

左藤 友大

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第六話

あの世へ。そして、あの世から現世へ(2)

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調布市のとある病院
暗い外で銀座から調布まで走って来た辰巳の車が病院の駐車場に着いた。慌てて車から降りた辰巳は真っ先に病院の中へと入った。すると、病院の出入り口に翼と一緒に留守番をしていた大葉がいた。
「大葉さん。翼くんは⁈」
辰巳は血相をかけながら翼はどこにいるのか訊いた。
「今、救急救命室にいます」
辰巳は大葉の話を聞いて走り出した。

二人が着いた頃、病院の先生が救急救命室から出てきた所だった。
「せ、先生!甥は⁈甥の容体は⁈」
白衣を着た男の先生は血相をかきながら息切れをしている辰巳を見た。
「あなたが、小山翼くんのご親戚ですか?」
「は、はい」
病院の先生は翼の容体を説明した。
「あなたの甥っ子さんは、無事です。と、言いたいところですが・・・」
「どうかされたんですか・・・?」
「実は、甥っ子さんの心臓は止まっているのですが、体がほんのり暖かくて・・・・」
「体が・・暖かい?」
「はい。こちらへどうぞ。」
辰巳と大葉がお互い顔を合わせて病院の先生の後を付いて行った。

救急救命室の台の上には、仰向けで眠っている翼の姿が見えた。翼は目を閉じたまま動かない。辰巳はピクリともしない翼の姿を見て言葉を出せなかった。
「甥っ子さんの心臓に手を当ててみてください」
辰巳は病院の先生に言われた通り、自分の手を翼の心臓に手を当てた。そして、すぐ分かった。本当に翼の心臓は停止している。でも、体からほんのり暖かい体温を感じる。普通は、心臓が止まると死んで体が冷たくなる。でも、翼の場合は心臓が止まっているのに、全く冷たくない。まだ温かいというのは、生きている証拠。だとすれば、原因はただ一つ。

「臨死体験⁈臨死体験ってあの?」
大葉は病院内が響かないぐらいの声で言った。
「はい」
辰巳は頷いた。
「心臓が止っているのに体が温かいのは、臨死状態に遭っている可能性が高いんです。つまり、翼くんは仮死状態となってあの世へ行っているんです」
「あの子は何か持病を持っていましたか?」
「いいえ。ごく普通の元気な子です。持病を持っているなんて聞いた事ありません。でも、なぜ翼くんがこんな目に・・・。大葉さん。いつ、翼くんが心肺停止になっていたことを気付いたのですか?」
大葉はいつ翼が仮死状態になったのか教えた。
「山崎さんの部屋から翼くんの声が聞こえたんです。初めは気のせいかと思いましたが、妙な胸騒ぎがして様子を見に行ったんです。そしたら、寝ているはずの翼くんがいる山崎さんの部屋から微かな妖気を感じたんです」
「妖気⁈僕の部屋から?」
「はい」
「なぜ、僕の部屋に妖気が?」
大葉は首を振った。
「分かりません。でも、微かな妖気でも油断はできないので、一旦、翼くんをリビングへ移した方がいいなと思い翼くんを起こそうとしたんです。そしたら・・・・」
「今に至るわけ・・・ですか」
大葉は頷いた。辰巳は顎を手に乗せて考え込んだ。翼が臨死状態になっているというのは、下手をすれば帰らぬ人になる可能性が十分ある。でも、あくまで臨死状態。今頃、あの世体験をしているに違いない。しかし、病気や持病を持っていない翼がなぜこんな目になったのかは未だに分からない。誰かが意図的にやったにしか考えられない。大葉が翼をこんな目に遭わせるような人でもないし、辰巳の部屋から微かな妖気を感じたというのも気になる。もしかすると、辰巳の部屋にある妖気と翼の臨死状態に何か深い関わりがあるのではないかと辰巳は一瞬思った。
「僕、一旦、自分の家へ戻ります」
「ですが、翼くんの方は?あの子の親御さんに連絡した方が・・・・」
辰巳は首を振った。
「いや。姉貴とあの子のお父さんには連絡しません。翼くんはまだ死んではいないし、姉貴達を悲しませたくないんです。それに、姉貴と旦那さんがいたら、翼くん、嫌がるし・・・・・」
「なぜ、翼くんが親御さんの事を嫌がっているんですか?」
大葉はなぜ、翼くんが両親を嫌っているのかその理由を聞いた事がなかったのだ。しかし、辰巳はその話をするより自分の部屋へ行って妖気があるか確かめるのが優先する事を選んだ。
「その話は、後々お話します。そんなことよりも、僕は一旦、家へ帰って自分の部屋を確かめに行きます。大葉さんは翼くんの方をお願いします」
大葉はドンッと胸を叩いた。
「任せてください」
「ありがとうございます。留守番させたあげく、翼くんの看病までやらせてしまい申し訳ございません」
大葉は笑った。
「いえいえ。辰巳さんのお力になれるのなら、俺は喜んで辰巳さんに協力しますよ」
辰巳は大葉の心の広さに感謝していた。
「ありがとうございます」
辰巳は頭を下げた。
「うちへ戻る前に、先生に翼くんの両親と親戚には連絡しないことを伝えないと。」
頭を上げた辰巳は救急救命室の方へ向かった。

病院の救急救命室にいた先生に翼の両親と親戚に連絡をしないと伝えた辰巳は自分の家に着いた。大葉は辰巳がお願いしたとおり、仮死状態になっている翼の看病させている。辰巳は車から降り家へ入り真っ先に自分の部屋へ入った。部屋の中は荒らされた形跡もなく何も変わっていないと思ったが、大葉の言う通り微かだが妖気を感じた。辰巳は妖気を辿って進もうと思ったが、微かな妖気が残っているのはこの辰巳の部屋だけ。窓の鍵は閉まったままだが、もしかすると、妖術を使って開け閉めしたに違いない。でも、この現世にいる妖怪の仕業だとすれば翼は体ごと持って連れ去る事になる。だとすれば考えられるのはただ一つ。今、辰巳がいるあの世に関わる妖怪の仕業の可能性が高い。でも、あの世にいる妖怪は現世とは違って見た事もない妖怪共がいるに違いない。それに、あの世へ行くとなれば幽霊電車に乗って行く方法しかない。しかし、幽霊電車は、夜中の24時から24時30分までしか調布駅の地下ホームに停車してくれない。それに、一回だけしか駅に来ない。今の時間帯だともう幽霊電車はとっくにあの世へ戻っている。翼の容体が急変しないよう何とか、あの世へ行きたいのだが全く、検討がつかない。しかし、自分へあの世へ行くとなるともしかしたら、もう二度とこの現世に帰って来られないかもしれない。かといって、魂となった自分の甥っ子をあの世に残し肉体を持つ翼を死なせるなんてできない。それに、翼の体はほんのりと温かいのでいつ、冷たくなってもおかしくない。それに、恵と約束したのだ。責任もって翼を預けると。もし、自分が預けた翼が本当に死んだら恵に何て言われるのか。いや、それどころか半殺しにされる事は間違いない。辰巳は微かな妖気を感じながらもあの世へ行ける手段はないか、考えていた。すると、ある事を思いついた。そのある事というのは、誰かに相談すること。つまり、大正寺にいる高徳和尚に相談する事だ。きっと、彼なら幽霊電車を使わないあの世へ行ける方法を知っているかもしれない。そう思った辰巳は急いで家を出た。そして、車を使わないで大正寺まで自分の足で走った。
蒸し暑い夜の中、辰巳は汗を流しながらも懸命に走り続けていた。翼を助ける為だけ必死に走っているのだ。きっと、高徳和尚なら幽霊電車を使わないであの世へ行ける方法を知っているに違いないと信じながら辰巳は汗水流しながら大正寺へ向かった。そして、走っている辰巳は絶対に翼を助けて現世へ連れ戻すとの事で頭が一杯だった。もしかすると、あの世へ行ったらもう現世へ帰れなくなり本当に帰らぬ人になってしまうのではないかと思うが、辰巳は現世へ帰れなくなるかもしれないという恐怖より翼を助けたい事だけで恐怖なんて気にする必要はなかった。全速力で走り続けている辰巳は苦しい表情をしながらも決して歩こうとはしなかった。

辰巳は大正寺の門前に着いた。しかし、今は夜中なので門は閉まっている。そこで、辰巳はスマホを取り出し大正寺に住んでいる高徳和尚に電話をかけた。

「なるほど・・。そんなことが」
浴衣を着た高徳和尚は正座をしながら辰巳の話を聞いた。夜遅い時間、辰巳のお願いを聞いて会ってくれたのだ。
「何かいい方法はありますか?」
辰巳は幽霊電車を使わないであの世へ行く方法を高徳和尚に訊いたのだ。高徳和尚は真剣な表情で辰巳に言った。
「・・・方法はあります。ですが、本当に行くつもりですか?生者があの世へ行くということは、現世へ帰れなくなる恐れもあるということですよ?本来なら生者はあの世へ行くのは厳しく禁じられています」
「ですが、どうしても、僕の甥を連れ戻したいんです。それに、甥を攫った犯人はあの世にいる妖怪の仕業の可能性も高いんです。僕は、甥の為なら何だってやります。例え、現世に帰れなくなったとしても、甥だけを現世へ帰して僕だけあの世に残る覚悟もできています。現世にある甥の肉体が死ぬ前にどうしても、あの世へ行きたいんです!」
高徳和尚は、じっと辰巳の目を見ていた。辰巳の目は真剣で強い眼差しを持っていた。彼は本当にあの世へ行く覚悟を決めていて、本当に現世へ戻れなくなり死人になっても構わないぐらい本気だった。本気だという事を知った高徳和尚はゆっくりと目を閉じて落ち着いた表情を辰巳に見せた。
「・・・・・・分かりました。そこまで覚悟があるのでしたら、お力をお貸ししましょう」
その一言で辰巳は喜んだ。
「ありがとうございます!」
辰巳は自分の気持ちを分かってくれた高徳和尚に感謝しつつお礼を言った。すると、高徳和尚はゆっくりと立ち上がった。
「では、私は準備をしていきますので、ここで待っていてください」
そう言って高徳和尚は部屋を出た。

それから20分後、二枚のギザギザとした白い紙が付いている大幣(おおぬさ)を持った高徳和尚が戻って来た。
「お待たせしました。こちらへ」
辰巳は立ちあがり高徳和尚の後を付いて行った。

辰巳は高徳和尚に連れられ別の部屋へ入った。そこは、畳にガムテープで作り貼った五芒星のマークと周りには、4本の小さい蝋燭の火が灯っていた。これを見た辰巳は高徳和尚に訊いた。
「高徳和尚様。これは・・?」
「これは、相手に幽体離脱をさせる儀式です。山崎さんはあの五芒星の中心に入って仰向けになって寝てください」
辰巳は高徳和尚に言われた通り、五芒星の中に入り真ん中で仰向けになって寝た。
「そして、ゆっくりと目を閉じてください」
辰巳はゆっくりと目を閉じた。
「そのままでいてください。今から、呪文を唱えます」
高徳和尚は目を閉じて両手で持っている大幣を前に出し左右振りながら呪文を唱えた。高徳和尚が唱えている呪文はちょっと不気味でお経とは少し違う感じがした。目を瞑っている辰巳はこの呪文を聞いてちょっとだけ怖くなった。でも、これで肉体から離れ零体になればあの世へ行ける。それに、辰巳は自分の体の変化に気付いた。今ちょっとだけ体が軽くなってきた様な感覚がしたのだ。軽くなったという事は、もしかすると魂が本体から離れようとしているのかもしれない。高徳和尚は目を閉じながらも強張った表情をしながら呪文を唱え続けた。辰巳はちょっとずつ体が軽くなってきている感覚を感じながらじーっと口を閉じたまま体を動かさず静かに儀式を続けていた。

儀式を始めてから30分経過した。辰巳は目を閉じたまま動かない。まるで、深い眠りについているみたいだ。全く起きない辰巳に儀式で呪文を唱え続けていた高徳和尚が声をかけた。
「山崎さん。山崎さん、起きてください。儀式が終わりましたよ」
辰巳はうんともすんとも動かない。
「ゆっくりと起き上がってください」
高徳和尚は全く起きる様子がない辰巳に声をかけていた。何も返事がない辰巳に声をかけているという事は、辰巳の身に何か変化が起きたらしい。すると、辰巳の肉体からもう一人の辰巳がゆっくりと起き上がるかのように現れた。辰巳はゆっくりと目を開き自分の両手と体を見た。そして、仰向けで寝ている辰巳の本体を見た。本体を見た途端、辰巳は自分のミニ何が起きたか理解できた。
「高徳和尚様。もしかして、僕・・・」
高徳和尚は頷いた。
「ええ。成功です」
成功。それは、辰巳が自分の本体から一時的に離れる幽体離脱ができたのだ。魂だけとなった辰巳はゆっくりと立ち本体から離れた。
「魂になると、肉体より大分軽くなるんですね」
高徳和尚は頷いた。
「もちろんです。魂は肉体とは違って実体を持ちませんからね」
「ですが、幽霊電車を使わずどうやってあの世へ行けばよろしいんでしょうか?」
辰巳はもう一つの疑問、どうやってあの世へ行くか。幽霊電車は夜中の24時から24時30分まで調布駅に停車しない。それに、幽霊電車を使わなければあの世へはいけないのだ。その疑問に高徳和尚は答えた。
「その手筈は準備できています」
「できてる?」
すると、襖(ふすま)から声が聞こえた。襖の奥には人の影が映っていた。
「高徳さん。お待たせしました」
「どうぞ中へお入りください」
高徳和尚がそう言った途端、襖が開いた。襖から出てきたのは、黒スーツを着た男だった。でも、その男は辰巳が見かけた事がある人物だった。
「102号さん⁉」
その男の正体は死神102号だった。
「こんばんは。辰巳さん。佐々木祐三さんの件の時はお世話になりました」
死神102号は手を挙げながら挨拶した。
「全く。生者であるあなたがあの世へ行くなんて無防備にも程がありますよ」
「な、なぜ、僕があの世へ行こうとしているのを知っているんですか?」
「高徳さんからお話を聞いたんですよ。」
辰巳は高徳和尚を見た。
「そうなんですか?でも、どうやって・・。死神局に連絡するには代行人ファイルに書いてある死神局宛の電話番号を見ながらダイヤルボタンを打たなくちゃいけないのに・・。それに、任務が終わったら死神局の電話番号は自動的に削除されるはず」
しかし、辰巳の質問を聞かず高徳和尚は話した。
「それよりも、ここからが肝心ですぞ。山崎さん。先程、言ったように生者があの世へ行けば現世へ帰れなくなる恐れがあると。あなたは、無事に甥っ子さんを助け出し無事に現世へ帰る事だけ考えてください」
辰巳は頷いた。
「分かっております。必ず、甥を連れ戻し帰ってきます」
高徳和尚は死神102号に言った。
「102号さん。山崎さんをお願いします」
死神102号は頷いた。
「はい。お任せください」
「私は、ここであなたの肉体を守っています。ご武運を祈りっておりますぞ」
「はい。お願いします」
辰巳は頷き死神102号に誘われ部屋を出た。辰巳の肉体と共に一人だけ部屋に残った高徳和尚は無事に辰巳が現世に帰ってくる事を合掌して祈った。

大正寺を出た辰巳は死神102号に連れられたのは、神奈川県にある鎌倉のとある海岸。夜の海岸は、誰もいなくただ聞こえるのは海の波の音だけだった。なぜ、ここに連れてこられたのかは知らない。ただ、辰巳は死神102号の後を付いていた時にこの鎌倉の海岸にいたのだ。鎌倉も調布と同じく見えない世界がある。魂だけとなった辰巳は海岸で死神102号と一緒に夜の海を眺めながら立っていた。辰巳にとって夜の海は今回で初めて見るのだ。普段、海へ行く時は昼ぐらいしか行った事がないので夜の海は静かすぎて心細いと初めて思っていた。しかし、死神102号はなぜ、辰巳を鎌倉の海岸まで連れてきたのであろうか?彼が調布から海岸まで連れてきたのはここに何かあるのであろうか?じゃなければ、ここに来た理由がない。辰巳は海岸を眺めている死神102号に声をかけた。
「102号さん」
死神102号は返事をした。
「はい?」
「ここで一体何をしようとしているんですか?」
その質問に死神102号は答えた。
「しようではありません。待っているんです。」
「待っている?」
「あれ?102号さん?」
二人は後ろから声がしたので振り向いた。そこには、白装束を着たお婆さんと一緒にいる黒スーツの女性が立っていた。
「これはこれは、310号さん。」
女性の死神310号は死神102号と話していた。
「102号さんがここに来るなんて久しぶりね」
死神102号はいつもの明るい声で言った。
「まぁね。310号さんは?お迎えで来てたのかい?」
「うん。今日の夜10時に亡くなった亡者を迎えにね」
今日の夜死んだ亡者というのは、彼女の隣にいるお婆さんだろう。すると、死神310号に続いて続々と亡者を連れた死神達が三人現れた。どうやら、他の三人の亡者も何らかの理由で死んだみたいだ。
「そちらの方も病気か何かで亡くなられたの?」
死神310号は辰巳を見て訊いた。ここはさすがに、幽体離脱をしましたなんて言えない。
「いいえ。僕は、死神102号さんにはいつもお世話になっている辰雄といいます。死神の皆さんをお手伝いする為に、アルバイトとして天国から来ました。今は、お手伝いしながら見学しているところだったんです。」
死神102号が何を言って誤魔化そうか迷っていたところ、辰巳はハッキリと答えた。
「バイトで102号さんのお手伝いを?そうなの?」
死神310号は死神102号に訊いた。死神102号は笑って誤魔化しながら頷いた。
「そ、そうんなんだよ!いや~、お陰様で助かってまぁ~っス!」
死神102号はいつものチャラい口調で嘘がばれないよう話した。
「アルバイト社員にしては、服装がスーツじゃないわね」
それを聞かれ死神102号は感づかれないよう嘘を言った。
「今、彼が着るスーツを調達してるとこなんだ。今回は特別に私服で手伝いをしてくれているんだ」
死神310号は納得したかのような表情で軽く頷いた。
「そうなんだぁ。じゃあ、先輩として良いトコ見せなきゃね」
その言葉を聞いて死神102号は頷いた。何とか、辰巳が生者だという事はバレていないみたいだ。もしも、死神310号含めて他の死神が辰巳は生者だと気付かれたらどんな目に遭うか。それどころか、死神102号の首が飛ぶに違いない。
すると、目の前に一つの光が見えた。青白い光は大きくなり煌々と海岸の周りを明るくした。そして、光の中から門らしき形が見えた。青白い光が消えるとそこにはなんと、とても美しい大きな門が現れた。門は青白い光によってしっかりとした形になっていて、門全体には繊細に作られた蓮(はす)の花や彼岸花の装飾がたくさん飾られている。青白く美しく光る門に辰巳と死者達は見とれていた。
「あれは、鎌倉だけにしか現れない「あの世への扉」です。丑三つ時になると、門が現れ死神と死者達を迎えに来るんですよ」
辰巳は幽霊電車だけではなく場所によってあの世への行き方が違う事を初めて知った。すると、あの世への門の扉がゆっくりと開いた。死神達は死者を連れて順番ずつ門の中へと入った。もちろん、死神102号と辰巳も門の中へ入った。
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