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第一章 先祖還り
その1 始まりはいつも、ここから
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まぶしい。
光と熱を感じて、あたしは手をのばす。
なぜかうまく動かない、手、指。
それに喉に何かつかえてるみたいで、しゃべれない。
声が出ないのだ。
いろいろ、動きがぎこちなくて、もどかしいけれども、それなのに、ふしぎに安心感があった。
奇妙な感覚だ。
ふっくらと柔らかなものの上にあたしは横たわっていた。
ここはどこだろう?
あたしはどうなっているんだろう?
しばらくして、
なにやら暖かいぬくもりが、あたしの全身を包んで、持ち上げた。
どうしてかな、目が開かない。
穏やかで優しそうな、女性の声が間近で聞こえた。
「見て、この子ったらなんて可愛いの! 名前もずっと前から決めてあるのよ。ようこそアイリス、いい子ね」
自分のことを指しているのだと、その時にはまだ気づかなかった。
アイリス・ティス・ラゼル。
それが、あたしの名前だと理解したのは、いま少し後のことになる。
背中をトントンと軽く叩かれ、さすられた。
けふっとしたとき、喉のつかえが取れた。
「……ふ……」
あたしは声をあげる。
おかしい。言葉にならない。
あれ?
これなに?
「……ぎゃ…おぎゃ……ふ……」
これって、人間の嬰児の鳴き声じゃないかな?
つまり、生まれたばかりの、赤ちゃん。
……って、え?
どういうこと?
この声、あたしが発してるの!?
まぶしい。
光と熱を感じて、あたしは手をのばす。
なぜかうまく動かない、手、指。
それに喉に何かつかえてるみたいで、しゃべれない。
声が出ないのだ。
いろいろ、動きがぎこちなくて、もどかしいけれども、それなのに、ふしぎに安心感があった。
奇妙な感覚だ。
ふっくらと柔らかなものの上にあたしは横たわっていた。
ここはどこだろう?
あたしはどうなっているんだろう?
しばらくして、
なにやら暖かいぬくもりが、あたしの全身を包んで、持ち上げた。
どうしてかな、目が開かない。
穏やかで優しそうな、女性の声が間近で聞こえた。
「見て、この子ったらなんて可愛いの! 名前もずっと前から決めてあるのよ。ようこそアイリス、いい子ね」
自分のことを指しているのだと、その時にはまだ気づかなかった。
アイリス・ティス・ラゼル。
それが、あたしの名前だと理解したのは、いま少し後のことになる。
背中をトントンと軽く叩かれ、さすられた。
けふっとしたとき、喉のつかえが取れた。
「……ふ……」
あたしは声をあげる。
おかしい。言葉にならない。
あれ?
これなに?
「……ぎゃ…おぎゃ……ふ……」
これって、人間の嬰児の鳴き声じゃないかな?
つまり、生まれたばかりの、赤ちゃん。
……って、え?
どういうこと?
この声、あたしが発してるの!?
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