こんなわたしでもいいですか?

五月七日 外

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彼らの夏祭り

彼らの夏祭り⑤

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「こうやって歩いていると、なんだか色々思い出すなぁ」
「へぇ~」

 わたしの大好きな男の子……大魔王さんは、ポカンと口を開けた間抜けな顔をしている。
 わたしと大魔王さんは、夏祭りを二人でまわっていた(すばるんと栞は空気を読んだのか、どこかに走っていってしまった)のだが、彼はさっきからボーッとしていて、あまり楽しそうに見えない。
 わたしは、この夏祭りで初めて彼と出会ったので、また一緒にまわれるのを楽しみにしていたのだが……
 
「もしかして、あまり楽しくない?」 
 
 つい、そんなことを聞いてしまった。

「え!?いやいや、そんなことはないぞ!」

 大魔王さんは、なにやら慌てた様子で手を顔の前で振ったかと思えば、突然立ち止まってしまった。

「そうだ!前のときみたいに勝負しようぜ!」

 大魔王さんは、金魚すくいを見ながらそう言ってきた。
 ……そう言えば、すばるんを探してたのにこの人と勝負をしててすっかり忘れてたんだっけ……
 
「いいわよ。その代わりわたしが勝ったら……勝ったらどうしようか?」
「俺に聞くなよ……」

 大魔王さんは、困ったように頬を掻いている。

「じゃあ、後で決めよっと。何されるか分からない方がこわいもんね!」
「どっかで聞いたことあるセリフだなぁ」
「そう?とりあえず、最初の勝負は金魚すくいからね!」

 



「また、負けた……」
「今のところ俺の全勝だな」

 あれから射的やくじ引き、綿菓子の早食いなどよく分からないものも含めて勝負をしたがわたしの全敗だった。

「こうなったらかき氷の早食いで勝負よ!」
「へへっ!今回は、負けないぜ~」

 大魔王さんは、小学生の悪ガキみたいに鼻を擦って偉そうにしている。
 前回、わたしが唯一勝てたのが、このかき氷早食い対決だった。
 ちなみに、わたしのわがままでこの勝負に勝ったらわたしの勝ちにしてもらった。

「えっと、イチゴ練乳下さい」
「俺は、コーラで!」

 それぞれ、かき氷を購入し近くのベンチに座る。

「それじゃあ……」
「おう……」
「「よーい、スタート!」」

 スタートと同時に、かき氷を口の中に放り込む。

「いってぇ~!」

 隣で大魔王さんが、頭を抱えながら叫んでいる。かき氷を食べると必ず襲われるアレにやられたのだろう。
 一方のわたしは2、3口食べたところで練乳がたっぷりかかった所を食べる。なぜかは、よく分からないが練乳を間に挟むとキーンッとくる頭痛に襲われないのだ。
 そのお陰でわたしはどんどんかき氷を食べていく。

「これは、わたしの勝ちね!」
「くっ……」

 わたしはもう少しで食べ終わるが、大魔王さんは、まだ半分くらい残っている。

「悪いが今日だけは負けらんね~!」
「なっ!?」

 大魔王さんがそう叫んで、なんと、残り半分もあったかき氷を口の中に全部かきこんでしまった。

「ふぅ、今回は俺の全勝だな」
「ま、負けた……」

 勝ったら、また何処かデートに行ってもらうつもりだったが負けてしまった。
 それにしても……

「なんで今日は、そんなに負けたくなかったの?」
「え?えっと……それは、あとのお楽しみで」

 なぜか、大魔王さんは困ったようにそんなことを言う。かなり様子が怪しいがここでとやかく言っても無駄そうなので、保留することにした。

「そう?じゃあ楽しみにしとくね」
「おう。そ、そろそろ花火会場の方に移動するか?」
「そうだね」

 わたしたちは、少し早いけど花火会場に行くことにした。
 ……そう言えば、すばるんと栞に全然会わなかったけど二人はなにしてるのかなぁ……


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