72 / 73
それぞれの思い
それぞれの思い①
しおりを挟む
「みんなに集まってもらったのは他でもない……」
文化祭まであと10日……そんなある日の放課後。俺と由依と昴の3人はいつものファミレスに集まっていた。
「アレだよね!コスプレ喫茶が楽しみ!ってことだよね」
「違う!……いや、違くはないんだが」
「飛翔はコスプレ嫌なの?」
「ぶっちゃけ、超楽しみだな!じゃなくて……」
昴のズレっぷりに驚きながらも、俺は話を続ける。
「栞のことだよね?」
「さすがは由依だな。その通りだ」
「確かに、栞最近疲れてるかも」
昴も思い当たるところがあるようで、真剣な顔つきで呟く。
「最初は委員長の仕事がキツいのかと思ってたんだけどな……どうもそうじゃなさそうなんだ」
俺は由依と昴の目を見て、話を続ける。
「仕事をしてるのは他の実行委員ばかりでさ……」
「私も見たよ。何だか変な感じだったよね」
由依も俺が見たのと同じような現場を見たみたいだった。あれは、何というか嫌な感じがした。まるで栞が物静かな美少女だと決めつけているような、栞に仕事をさせてはいけないというような雰囲気が漂っていた。
それでは、俺たちが期待していた栞の計画性の高さや発想力が発揮されないし、委員長は別に誰でもいい気がしてならない。端から見た俺でさえそう思うのだから、当の本人は……
「栞が可哀想」
俺たちが栞を見かけたときの話をしていると、昴も何となく現場の想像がついたのだろう、小さく呟く。
「だから、何とかしたいんだけどさ……俺、ここ最近栞から避けられてるような気がして、二人はどうだ?」
俺は、栞の涙を見たあの日から今日まで、栞とまともに話せていない。学校であっても栞は「仕事があるので……」と言うだけで、何処かに行ってしまうのだ。
「う~ん、私は元々学校では栞とあんまり会えてなかったからなぁ」
由依は残念そうに言う。
栞は基本、教室か図書館にいるから外でテニスばかりしている由依とは、あまり会う機会がないのだろう。
「わたしは、よく会うと思う。今日もちょっと話したし」
「栞は何か言ってたか?」
「ううん、特には……」
「そっか」
栞が俺たちに何も言ってこないということは、大丈夫ということなのだろうか?
そうは思えないが。
「なあ、二人は栞ってどんな奴だと思う?」
俺は、今一番引っ掛かっていることを聞いた。これでもし、二人とも栞は物静かな美少女というようなイメージをもっていたら、俺が勝手に栞のことを勘違いしていたことになる。
俺の問いに対して、由依の方から口を開いた。
「私は、栞のこと……変態だし、おかしな行動というかテンションに付いていけないときもあるけど、家族思いで、友達思いの優しい女の子だと思う」
由依の語る栞は、俺の知っている栞とも重なる。
続いて、昴はメモ帳を見ながら話始めた。
「わたしは、栞ってかなり面白い人だと思う。話も合うし、料理上手で本が好きで、わたしによく抱きついて……あっ、あとわたしのライバル!」
昴の語る栞も俺の知っている栞と重なる。昴にも抱きついていたとは知らなかったが……もしかしたら、栞は抱きつきグセがあるのかもしれない。さすがは変態さんだ。
どうやら、俺たちの持っている栞のイメージは、他の生徒が持っているイメージとは違うようだ。
だったら、俺は今の栞の状況を変えたいと思う。今の、栞が物静かな美少女というイメージを押し付けられている状況を。ついでに言うなら、男子どもに「お前ら!栞は見た目はいいけど、変態だぞ!」と一言物申したい。
文化祭の準備自体は順調に進んでいて、栞からも特に何か頼まれた訳じゃない……ある意味、俺がやろうとしていることは、栞の邪魔をするだけかもしれない。だけど、俺は変態でどうしようもない栞に委員長として頑張ってもらいたいのだ。
そうと決まればやることは一つだ。
「二人とも栞を助けるために、力を貸してくれ」
俺は誠心誠意心を込めて頭を下げる。
すると、二人は何が可笑しいのかクスクス笑っていた。
「何言ってるの飛翔くん?私たちが栞のために動かないはずがないでしょ」
「うん。栞には面白い文化祭を作ってもらわないと困る」
「ああ!変態を助けようぜ!」
そう言って、俺は右手を前に出す。
由依も昴も俺の手の上に手を乗せた。
「「おおー!」」
俺たちの声はファミレスに響き渡り、店員さんに怒られてしまった。
文化祭まであと10日……そんなある日の放課後。俺と由依と昴の3人はいつものファミレスに集まっていた。
「アレだよね!コスプレ喫茶が楽しみ!ってことだよね」
「違う!……いや、違くはないんだが」
「飛翔はコスプレ嫌なの?」
「ぶっちゃけ、超楽しみだな!じゃなくて……」
昴のズレっぷりに驚きながらも、俺は話を続ける。
「栞のことだよね?」
「さすがは由依だな。その通りだ」
「確かに、栞最近疲れてるかも」
昴も思い当たるところがあるようで、真剣な顔つきで呟く。
「最初は委員長の仕事がキツいのかと思ってたんだけどな……どうもそうじゃなさそうなんだ」
俺は由依と昴の目を見て、話を続ける。
「仕事をしてるのは他の実行委員ばかりでさ……」
「私も見たよ。何だか変な感じだったよね」
由依も俺が見たのと同じような現場を見たみたいだった。あれは、何というか嫌な感じがした。まるで栞が物静かな美少女だと決めつけているような、栞に仕事をさせてはいけないというような雰囲気が漂っていた。
それでは、俺たちが期待していた栞の計画性の高さや発想力が発揮されないし、委員長は別に誰でもいい気がしてならない。端から見た俺でさえそう思うのだから、当の本人は……
「栞が可哀想」
俺たちが栞を見かけたときの話をしていると、昴も何となく現場の想像がついたのだろう、小さく呟く。
「だから、何とかしたいんだけどさ……俺、ここ最近栞から避けられてるような気がして、二人はどうだ?」
俺は、栞の涙を見たあの日から今日まで、栞とまともに話せていない。学校であっても栞は「仕事があるので……」と言うだけで、何処かに行ってしまうのだ。
「う~ん、私は元々学校では栞とあんまり会えてなかったからなぁ」
由依は残念そうに言う。
栞は基本、教室か図書館にいるから外でテニスばかりしている由依とは、あまり会う機会がないのだろう。
「わたしは、よく会うと思う。今日もちょっと話したし」
「栞は何か言ってたか?」
「ううん、特には……」
「そっか」
栞が俺たちに何も言ってこないということは、大丈夫ということなのだろうか?
そうは思えないが。
「なあ、二人は栞ってどんな奴だと思う?」
俺は、今一番引っ掛かっていることを聞いた。これでもし、二人とも栞は物静かな美少女というようなイメージをもっていたら、俺が勝手に栞のことを勘違いしていたことになる。
俺の問いに対して、由依の方から口を開いた。
「私は、栞のこと……変態だし、おかしな行動というかテンションに付いていけないときもあるけど、家族思いで、友達思いの優しい女の子だと思う」
由依の語る栞は、俺の知っている栞とも重なる。
続いて、昴はメモ帳を見ながら話始めた。
「わたしは、栞ってかなり面白い人だと思う。話も合うし、料理上手で本が好きで、わたしによく抱きついて……あっ、あとわたしのライバル!」
昴の語る栞も俺の知っている栞と重なる。昴にも抱きついていたとは知らなかったが……もしかしたら、栞は抱きつきグセがあるのかもしれない。さすがは変態さんだ。
どうやら、俺たちの持っている栞のイメージは、他の生徒が持っているイメージとは違うようだ。
だったら、俺は今の栞の状況を変えたいと思う。今の、栞が物静かな美少女というイメージを押し付けられている状況を。ついでに言うなら、男子どもに「お前ら!栞は見た目はいいけど、変態だぞ!」と一言物申したい。
文化祭の準備自体は順調に進んでいて、栞からも特に何か頼まれた訳じゃない……ある意味、俺がやろうとしていることは、栞の邪魔をするだけかもしれない。だけど、俺は変態でどうしようもない栞に委員長として頑張ってもらいたいのだ。
そうと決まればやることは一つだ。
「二人とも栞を助けるために、力を貸してくれ」
俺は誠心誠意心を込めて頭を下げる。
すると、二人は何が可笑しいのかクスクス笑っていた。
「何言ってるの飛翔くん?私たちが栞のために動かないはずがないでしょ」
「うん。栞には面白い文化祭を作ってもらわないと困る」
「ああ!変態を助けようぜ!」
そう言って、俺は右手を前に出す。
由依も昴も俺の手の上に手を乗せた。
「「おおー!」」
俺たちの声はファミレスに響き渡り、店員さんに怒られてしまった。
0
あなたにおすすめの小説
〖完結〗旦那様が私を殺そうとしました。
藍川みいな
恋愛
私は今、この世でたった一人の愛する旦那様に殺されそうになっている。いや……もう私は殺されるだろう。
どうして、こんなことになってしまったんだろう……。
私はただ、旦那様を愛していただけなのに……。
そして私は旦那様の手で、首を絞められ意識を手放した……
はずだった。
目を覚ますと、何故か15歳の姿に戻っていた。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全11話で完結になります。
別に要りませんけど?
ユウキ
恋愛
「お前を愛することは無い!」
そう言ったのは、今日結婚して私の夫となったネイサンだ。夫婦の寝室、これから初夜をという時に投げつけられた言葉に、私は素直に返事をした。
「……別に要りませんけど?」
※Rに触れる様な部分は有りませんが、情事を指す言葉が出ますので念のため。
※なろうでも掲載中
婚約破棄ですか?あなたは誰に向かって口をきいているのですか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
私、マリアンヌ・バークレーは王宮の誕生日パーティーでいきなり婚約破棄を言い渡された。は!?婚約破棄ですか?あなたは誰ですの?誰にモノを言っているのですか?頭大丈夫ですか?
俺の可愛い幼馴染
SHIN
恋愛
俺に微笑みかける少女の後ろで、泣きそうな顔でこちらを見ているのは、可愛い可愛い幼馴染。
ある日二人だけの秘密の場所で彼女に告げられたのは……。
連載の気分転換に執筆しているので鈍いです。おおらかな気分で読んでくれると嬉しいです。
感想もご自由にどうぞ。
ただし、作者は木綿豆腐メンタルです。
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる