死霊使いと精霊姫

五月七日 外

文字の大きさ
24 / 45
商人の国パッチオ

商人の国パッチオ③

しおりを挟む
「ちょっとまってよ~!そんなに急がなくてもいいでしょう」
 ましろが走って教会に向かっているとせつなが後ろから話しかけてきた。
「早くこの本を持ってたやつに会わないと!」
「どうしてそんなに慌ててるの?ましろは死霊術 デスベルを使えるし研究ならその本があれば充分じゃないの?」
死霊術 デスベルって俺の一族しか使わなかったからさ……今となっては詳しい人もいないし、もしかしたら死霊術 デスベルについて俺の知らないことも知ってるかもって思ったら、いてもたってもいられないよ」
「それなら急がないとね!……もしかしたら一族の生き残りとかだったりして?」
 せつながましろのことを気遣ってかそんなことを言う。
「もしかしたらそうかもな」
 ……あのとき殺された一族のみんなは墓を作って埋めたからほとんど可能性は無いけどもし、一族の人だったら嬉しいよな……
 ましろがそんなことを考えていると教会が見えてきた。
「あとは、この大通りを抜けるだけね」
「よし、ラストスパートだぁ!」
 ましろは教会に向かって走っていたのだが、信じられないものを見つけてしまい立ち止まってしまった。突然ましろが立ち止まったのでせつながぶつかってきた。
「なんで急に止まるのよ」
 せつなが文句を言っているがましろは、それどころではなかった。
 ……今のは、ティナ?でもアイツは死んだはずなのに……
「ましろ?」
「今、人混みの中に金髪の女の子いなかったか?」
「それなら見た気がするけど、それがどうかしたの?」
「教会は後回しだ!その女の子を追いかけないと!」
「え!なんで!?」
「説明はあとでするから!探知でも何でもいいから使ってその子を探してくれ!」
「もう、わかったわよ……」
 せつなは文句を言いながらだが、探知で金髪の少女を探してくれている。
「いた、そこの路地裏に入ってすぐ右のところ!」
「助かる!取り合えず追いかけるぞ!」
 ましろは急いでせつなに言われたところまで走っていくと、金髪の少女がのんびり歩いていた。
「ティナ!」
「え……?」
 ましろが少女に向かって叫ぶと一瞬だけビクッとして少女はこちらを振り返った。しかし、少女がこちらの姿を確認したかと思うと、まるで最初から誰もいなかったかのように消えてしまった。
「消えた?……せつな探知は?」
「……ダメ、全く見つからない」
「そっか……」
「それであの子は誰なの?」
 せつなが何だか少しだけ不機嫌そうに聞いてきた。
「アイツはティナって言って……俺を助けてくれた死霊殺しなんだ、それに一番の親友の……」
「もしかして黄金の夜明けって人?あれ、でもその人って死んだはずでしょ?」 
「俺もそう思ってたけど、やっぱり生きてた」
「どうして生きてるなら消えちゃったの?少しくらい話してあげればいいのに……」
「確かに、話したいことはいっぱいあるけど、きっと大きい仕事をしてて忙しいんだろ、世界で一番強いって言われた死霊殺しだからな……まあ、生きてることが分かっただけでも良かったよ」
「ふ~ん……それじゃあ早く教会に行きましょう」
「そうだった!そっちも急がないと!」
 ましろたちは、そんなことを話ながら教会に向かって走り出した。

 ましろたちが走っていった後……景色が歪み突然金髪の少女が現れた。その背後には巨大な〈頭蓋骨〉が浮かび上がっている。
「あぶなぁ~、こんなところでましろに会うなんて……これも全部こんなところの教会にいたレインのせいだよ!」
 ……それにしても、今回の精霊姫は大丈夫かな?わたしの『幻想肢体』も感知できないなんて……
「まあいいや、それよりも今は他の準備をしないと!」
 少女は一人そんなことを話して、またどこかに消えてしまった。

「ハァハァ……ついた……」
「やっぱり、走るのって疲れるわね……今度からは空を飛びましょう」
「目立ち過ぎるから止めてくれ……」
「早く入りましょ」
「そうだな……」
 ましろは教会の前で少し息を整えてから扉を開けた。
 すると教会の中には……翼を生やした銀髪の少女が宙に浮かびながら若い神父の髪の毛を弄って遊んでおり、神父さんはそんなこと気にせずに祈りを捧げているという不思議な光景があった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

道化たちの末路

希臘楽園
ファンタジー
母亡き後、継承権もない父と愛人母娘が公爵家を狙い始めた。でも私には王太子という切り札がいる。半年間、道化たちが踊るのを、私たちは静かに楽しんで見ていた。AIに書かせてみた第3弾。今回も3000文字程度のお気楽な作品です。

「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」

歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。 「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは 泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析 能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り 続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。 婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?

木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。 彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。 公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。 しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。 だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。 二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。 彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。 ※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...