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剣帝
剣帝⑨
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一式・睦月の剣……ライオネルがそう語った剣技は、ましろとせつなの二人がましろの左腕が切り落とされたことを感知することはおろか、腕が地面に落ちる音を聞くまで気づくことが出来ないほどの早業だった。
そして、驚くことにライオネルはその場から全く移動していなかった。
「ましろ……」
せつなが気にかけて、ましろに声をかけようとするがライオネルの剣技を警戒してか視線をライオネルから外せずにいる。
「左腕は、義手だから大丈夫。それよりも……」
「わかってる。ましろは、ライオネルをお願い。わたしは……」
ビュンッ!
せつなが言い終わらないうちに、何かが後ろから攻めてきた。
風切り音を響かせながら何かは、せつなの首を切り落とそうとする。
しかし、ましろはそんなことを気にせずにライオネルに向かって走り出す。
「ーヴッ!ーーーヴァッ!!ーー」
すると、後ろか何かの叫び声が響く。さらに、いくつかの叫び声が連続して響く。
「死霊どもの相手をしてる間に倒そうかと思ったが……なるほど、二手に別れたか。だが、お前だけで俺様と戦えるのか?」
「わからない……けど、せつなは俺ならやれるって信じてくれたんだ。だったら全力で戦うまでだ!」
現れた死霊はせつなが相手をしている。つまり、ライオネルの言うとおり、ましろ一人でライオネルと戦わねばならない。
「ははっ!片腕でいつまでやれるか見してもらおうか!」
ライオネルは、そう言うと一瞬で間合いを詰めてくる。
「くっ!」
ましろは、ライオネルの剣撃を辛うじてふさぐ。しかし、片腕では力が足りず、何度もライオネルの剣が体に当たり血飛沫が上がる。
「なかなかやるじゃねえか!だが、二式……」
……ヤバい!!……
ライオネルの構えが再び変わる。
ましろは右手の指を鳴らし、慌ててライオネルから離れる。
「二式・如月の剣」
ドガッ!!!
ましろの時間の流れが加速されるのと同時に、物凄い音がして土煙が上がる。
気がつくと、ついさっきまでましろが立っていた場所には大穴が空いていた。
「かはっ!……うっ」
避けたはずなのに、ましろの全身には内臓を直接殴られたような激痛が走っていた。
視界の端にせつなが入ったが、大量の死霊たちの相手をしており、こっちの手助けはできなさそうだ。
「かわしたことは誉めてやる。だが、遅かったな……」
「ぐっ!……」
ライオネルが背後に立っているがましろは、まだ動けずにいた。
「これで、終わりだ」
ライオネルの剣が降り下ろされる。
ましろは、最後の意地で無銘に残留思念を流し込む。
しかし、何も起こらずライオネルの剣がましろに迫る。
「左に回転!!!」
剣が当たる瞬間、せつなの声が聞こえた。
ましろは、無銘に流し込んだ残留思念をほとんど無意識で左向きに回転させた。
すると、無銘が青白く輝きはじめライオネルの剣を弾いた。
「なにっ!?」
「えっ!?」
突然、剣を弾かれたライオネルも驚いていたが、このとき一番驚いていたのはましろだった。
……こいつ、勝手に!?……
まるで、意識があるかのように無銘が勝手にライオネルの剣を弾いたのだ。
さらに、青白い光がましろを包み込むと、全身に走っていた激痛が和らいできた。
……これならまだ戦える!……
「どうなってやがる……?」
「俺にもわからないけど、まだ負けるわけにはいかないってことだけはわかるさ!」
「よく言ったわ」
すると、死霊を倒し終えたのか、せつなが隣に飛び降りた。
「なあ、これって……?」
「ええ。無銘はましろ専用の剣なの。だから、ましろの残留思念に反応してましろが思ったとおりに動くの……けど、まだ馴染んでないからましろが残留思念を左向きに回転させたら防御型、右回転で攻撃型になるようにしてるわ」
せつなは、さらっと言うが無銘は、とんでもない代物だったらしい。
誰かの専門の武器を作ることですら長年の修行が必要なのに、残留思念で自由に操れるようにするなんて、ましろには想像もできない技術である。
これも、せつながリリアという名の自称天使と修行した成果なのかもしれない。
「こういう感じかな?」
試しに、残留思念を右向きに回転させると、無銘の青白い光が赤に変わった。
さらに、赤い光がましろを包み込む。
「すごい体が軽い?」
「無銘がましろを強化してるの」
ましろは、軽くなった体で無銘を構える。
「うん、何だか強くなった気分?」
「ちゃんと強くなってるわ」
せつなが自信満々にそう言うので、本当に強くなってる気がする。
「どれだけ強くなったか知らねえが……」
すると、ライオネルが再び剣を構え直した。
……あの構えは!……
「こいつは、避けられねえだろ?……一式・睦月の剣」
そして、驚くことにライオネルはその場から全く移動していなかった。
「ましろ……」
せつなが気にかけて、ましろに声をかけようとするがライオネルの剣技を警戒してか視線をライオネルから外せずにいる。
「左腕は、義手だから大丈夫。それよりも……」
「わかってる。ましろは、ライオネルをお願い。わたしは……」
ビュンッ!
せつなが言い終わらないうちに、何かが後ろから攻めてきた。
風切り音を響かせながら何かは、せつなの首を切り落とそうとする。
しかし、ましろはそんなことを気にせずにライオネルに向かって走り出す。
「ーヴッ!ーーーヴァッ!!ーー」
すると、後ろか何かの叫び声が響く。さらに、いくつかの叫び声が連続して響く。
「死霊どもの相手をしてる間に倒そうかと思ったが……なるほど、二手に別れたか。だが、お前だけで俺様と戦えるのか?」
「わからない……けど、せつなは俺ならやれるって信じてくれたんだ。だったら全力で戦うまでだ!」
現れた死霊はせつなが相手をしている。つまり、ライオネルの言うとおり、ましろ一人でライオネルと戦わねばならない。
「ははっ!片腕でいつまでやれるか見してもらおうか!」
ライオネルは、そう言うと一瞬で間合いを詰めてくる。
「くっ!」
ましろは、ライオネルの剣撃を辛うじてふさぐ。しかし、片腕では力が足りず、何度もライオネルの剣が体に当たり血飛沫が上がる。
「なかなかやるじゃねえか!だが、二式……」
……ヤバい!!……
ライオネルの構えが再び変わる。
ましろは右手の指を鳴らし、慌ててライオネルから離れる。
「二式・如月の剣」
ドガッ!!!
ましろの時間の流れが加速されるのと同時に、物凄い音がして土煙が上がる。
気がつくと、ついさっきまでましろが立っていた場所には大穴が空いていた。
「かはっ!……うっ」
避けたはずなのに、ましろの全身には内臓を直接殴られたような激痛が走っていた。
視界の端にせつなが入ったが、大量の死霊たちの相手をしており、こっちの手助けはできなさそうだ。
「かわしたことは誉めてやる。だが、遅かったな……」
「ぐっ!……」
ライオネルが背後に立っているがましろは、まだ動けずにいた。
「これで、終わりだ」
ライオネルの剣が降り下ろされる。
ましろは、最後の意地で無銘に残留思念を流し込む。
しかし、何も起こらずライオネルの剣がましろに迫る。
「左に回転!!!」
剣が当たる瞬間、せつなの声が聞こえた。
ましろは、無銘に流し込んだ残留思念をほとんど無意識で左向きに回転させた。
すると、無銘が青白く輝きはじめライオネルの剣を弾いた。
「なにっ!?」
「えっ!?」
突然、剣を弾かれたライオネルも驚いていたが、このとき一番驚いていたのはましろだった。
……こいつ、勝手に!?……
まるで、意識があるかのように無銘が勝手にライオネルの剣を弾いたのだ。
さらに、青白い光がましろを包み込むと、全身に走っていた激痛が和らいできた。
……これならまだ戦える!……
「どうなってやがる……?」
「俺にもわからないけど、まだ負けるわけにはいかないってことだけはわかるさ!」
「よく言ったわ」
すると、死霊を倒し終えたのか、せつなが隣に飛び降りた。
「なあ、これって……?」
「ええ。無銘はましろ専用の剣なの。だから、ましろの残留思念に反応してましろが思ったとおりに動くの……けど、まだ馴染んでないからましろが残留思念を左向きに回転させたら防御型、右回転で攻撃型になるようにしてるわ」
せつなは、さらっと言うが無銘は、とんでもない代物だったらしい。
誰かの専門の武器を作ることですら長年の修行が必要なのに、残留思念で自由に操れるようにするなんて、ましろには想像もできない技術である。
これも、せつながリリアという名の自称天使と修行した成果なのかもしれない。
「こういう感じかな?」
試しに、残留思念を右向きに回転させると、無銘の青白い光が赤に変わった。
さらに、赤い光がましろを包み込む。
「すごい体が軽い?」
「無銘がましろを強化してるの」
ましろは、軽くなった体で無銘を構える。
「うん、何だか強くなった気分?」
「ちゃんと強くなってるわ」
せつなが自信満々にそう言うので、本当に強くなってる気がする。
「どれだけ強くなったか知らねえが……」
すると、ライオネルが再び剣を構え直した。
……あの構えは!……
「こいつは、避けられねえだろ?……一式・睦月の剣」
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