生徒会庶務のお仕事!

五月七日 外

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とある休日談

とある休日談⑥

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「うわぁ。凄いね」
 
 俺と和泉さんは町の高台にある公園に来ていた。
 俺が歩き疲れたので、今はベンチに二人して座っていて、町の夜景を見ていた。

「ここはそんなに人も来ないし、風も気持ちいんで俺のお気に入りなんですよ」
「へぇ、ちょっとした隠れスポットだね」

 和泉さんもこの公園の良さが分かったようで、ぐい~っと背伸びをしてくつろいでいる。

「フッフッフ……けど、本当の隠れスポットはこんなもんじゃないですよ」
「え!?そんなすごいところがあるの?」
「う~ん、そうでもないかも……」
「どっちなの?」
「たぶん、凄いですよ」

 和泉さんが頭の上にはてなマークを浮かべているのだが、俺の頭の上にもはてなマークが浮いていると思う。
 この公園の中でも俺のお気に入りの場所は超隠れスポットと言えるのだが、最後に行ったのがかなり前なので、ぶっちゃけ残っているのか分からない。まあ、残ってなくても景色はいいと思うので及第点だと思うが……

「よし……少し回復したんで、行きますか?隠れスポットに」
「うん。かなり期待してるよ」
「あの、だからそんなに期待しないでください。ハードル上がると良くないんで」

 ベンチから立ち上がり、しばし公園の中を歩くと雑木林が見えてきた。あとは、この雑木林を抜けて行けば隠れスポットに到着する。

「何か秘密基地に行くみたい」

 雑木林の中を歩いていると、和泉さんがポツリとそんなことを呟いた。

「和泉さんはなかなか俺と似た感性をしてますね」
「え?……あ、うんそうだね!」

 あれ?もしかしなくても、和泉さん。今、ショック受けてませんでしたか?何とか取り繕おうとしていますけど、目が泳いでて全然隠せてませんよ。

「まあ、今からいくとこって、昔俺の秘密基地だったんですよ」
「そうなの!?ヒナが秘密基地作るなんて意外だね」
「意外って……俺にも、夢見る少年時代があったんですよ」
「そうだよね。流石のヒナも男の子だし、秘密基地くらい作るよね」
「そうですよ。まあ、友達いないし、意外と疲れるしで未完成なんですけどね」
「あはは、ヒナはその時からヒナなんだね」
「何かバカにされてるような……」
「そ、そんなことないよ。凄いなって思ったの。私はけっこう他の人に流されやすいから、自分っぽいってのが無いし」

 和泉さんは、すこし寂しそうに下を向いていた。
 俺も何となく和泉さんが言わんとしていることは分かる。
 生徒会でも、和泉さんは自分の考えをそんなに言わないし、会長さんの謎意見に賛同することもしばしば……まあ、あれは会長さんが怖いから賛同せざる終えないよね……
 和泉さんは、そんな自分のことを良くないみたいに言うが、俺はそうは思わない。
 だって、和泉さんは他の人のことをちゃんと考えて行動しているのだ。俺みたいに自分が楽することしか考えていない人間よりはよっぽどいいと思う。
 それに、和泉さんは言うときはきっちりと自分のしたいことを言うタイプだと思う。トランプ大会のときもそうだし、さっきの買い物だって最後に、キモいカエルを買っていたし……あれ?俺って和泉さんのことに詳しすぎない?和泉さん検定があったら、準一級くらいはとれそうな気がする。もしや、俺は和泉さんに恋する青少年なのではなかろうか?いや、それはないね。……

「まあ、俺的には和泉さんも充分個性あると思いますけどね。お礼の品にキモいカエル買うくらいだし」
「キモい……?あれは可愛いでしょ!」
「はは、そうですね」
「もう、ヒナのバカ!……でもありがと」
「は、はあ。どういたしまして?」

 よく分からないが、お礼を言われた。まあ、今日一日付き合ったからその事だろう。
 和泉さんとそんなことを話ながら歩いているとほんの少し、月の光が当たって明るい場所が見えてきた。

「確か、あそこら辺ですよ」

 そして、数メートル歩くと、開けた場所に出てきた。

「おお~、これがヒナの秘密基地かぁ」
「まあ、未完成ですけどね」

 目の前に広がる空間は、昔何かあったのだろうか、大きな木が生えることもなく、背丈の小さな草が生えているだけだった。
 そして、真ん中の少し土が盛り上がった所に、俺が昔運んできたベンチがポツンと置かれていた。

「おっ、まだあったのか……和泉さん、このベンチに寝転がると最高ですよ」

 懐かしいなと思いながらも、ベンチを和泉さんに譲ってやり、俺は適当なところで、草の上に寝転がる。和泉さんも俺に言われて、ベンチの上で寝転がった。

「す、すごい……こんなに、綺麗な星空初めてみたかも」
「ここら辺は明かりも少ないからきれいに見えるんですよ」

 実際のところ、今日は月が明るいからそんなに星が見える方じゃないが、それは黙っておくことにした。

「今日は楽しかったよ。ありがと」
「まあ、いいですよ。どうせ、家に居てもたいしたことしてないですし、たまにはこんなのも。……それで、どうでした?」
「ん?」

 和泉さんは俺が聞きたかったことを理解できなかったようで、ベンチから起き上がり俺の方を見ていた。

「ほら、男の人が怖いってやつですよ。今はどうですか」
「う~ん、ヒナだからかな。今は普通というか、落ち着いてる。恐いとかは全然ないよ」
「そっすか」

 なら、良かったのかもしれない。まあ、俺みたいな男らしくない奴だから、恐くないだけかもだけど。

「ねぇ、ヒナ」
「なんです?」
「また今日みたいに付き合ってもらってもいい?」

 また、和泉さんは勘違いしそうなことを言っているが、まあ、普通に遊びに誘ってくれているのだろう。
 俺としては、誰かに誘われるなんてこと滅多にないので、正直なところ嬉しいのだが、「ぜひ行きます!」何て言うのは恥ずかしいものがある。
 それに、もしかしたらこんな風に嬉しく思っているのは今だけかもしれないしな。
 だから、俺はいつものように、こう答えた。

「止めときますよ……けど、また男の人が恐くなったとかだったら、協力しないこともないですかね」
「うん。それじゃあ、そのときはよろしくね」

 和泉さんは夜空を見上げながら、そう答えた。
 ここからはよく見えないけれど、心なしか和泉さんは笑っているように見えた。
 
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