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死神はじめました。
死神はじめました。②
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「ヨーロッパって感じだね!」
「まあ、そうだな」
扉の向こうに行ってみると、レンガ造りの家がたくさん建っており、まるでヨーロッパに来たようだった。
「死神の世界って言ってたから、ジメジメして暗い嫌な場所かなぁって思ったけど、いいところだね」
「俺達の世界にどんなイメージを持ってるんだ……」
死神は、ショックを受けたのかガッカリしている。
この街並みといい、目の前の死神の立ち振る舞いといい本当に、人間の世界と変わらない気がする。もしかしたら、凄く異なることがあるかもしれないけど。
「でも、ここまで人間の世界と似ているなんて不思議だね」
「死神は、昔から〈時間〉を集めるために人間の世界に行っていたからな。きっと、人間の街を気に入った死神たちがこの街を作ったんだろ。それと、少しここから離れるが……」
グギュルル!
死神が話している途中で、私のお腹からそんな音がした。
「もしかして、おなか空いてるのか?」
「……うん。実は、お昼ご飯食べる前に死んじゃったから……それに、ダイエット中で朝ご飯も抜いてて」
「それなら近くにレストランがあるからそこで、飯でも食うか?」
「……うん」
……なんというか私も一応、女の子なので男の人の前でお腹を鳴らしてしまうのは、かなり恥ずかしい。こんなことになるなら、朝ご飯をきちんと食べておけばよかった……
私がそんなことを考えていると、本当にレストランは近くにあったようで、もう着いてしまった。
死神のレストランってどんな料理がでてくるんだろ?
「ふぅ~!おいしかった~」
「それは、よかった」
レストランの料理は、ステーキやハンバーグ、オムライスなど人間の世界と同じものだった。
ちなみに、私はステーキを死神はビーフシチューを食べた。ビーフシチューを何口か分けてもらったが、今まで食べたビーフシチューで一番おいしかった。
こんなに美味しいレストランもあるし、死神の世界は、想像以上に良い世界かもしれない。
「よし!ここは、私が奢っちゃうよ~」
「待て、お前意味が分かってるのか?」
「大丈夫、大丈夫。私、死ぬ前に銀行でお金引き出したから、任せなさい!」
「いいか。俺は、少しお手洗いに行ってくるが、絶対に支払いはするなよ。そもそも……」
死神がまだ何か言っているけど、まあ、男が女に奢られる訳にはいかないとかでしょ?そんなこと気にしないで、黙って奢られときなさい。
死神がお手洗いに行っちゃったので、私は、支払いを済ませるためにレジを探すが見当たらない。
すると、店員の姿が目に入った。
「すいませ~ん。支払いをしたいんですけど」
「わかりました!えっと、合計で2ヶ月ですね」
「は~い……って、2ヶ月?」
「ちょっと待った~!!!」
死神が慌ててこっちに駆けてくるのと同時に私の体から青白い光が出ていった。
「くっ、遅かったか……」
死神がまるで重大なミスを犯してしまったかのようにそんなことを言う。
「えっと、もしかして今のって……」
「ああそうだ。今のはお前の〈時間〉を使ったんだ」
「え!私お金持ってるのにどうして〈時間〉なんて……って、あれ?お財布がない!?」
「全く……死神の世界では、お金なんて無いから代わりに〈時間〉を使ってやり取りをするんだよ。それから言っておくと、お前は死んだんだから1文無しだぞ」
「そ、そんなぁ……」
「まあ、ショックなのは分かるが〈時間〉は集められるんだから、そんなに落ち込むな」
死神は、私を慰めるために頭に手を置いてポンポンとしてくれた。店員さんが不思議そうに見ていて少し恥ずかしいが、まあ、いいや。
「ありがとう。私の貯金が全部無くなったのはかなりショックだけど、がんばるよ!」
「〈時間〉が減ったことよりお金が無くなったことにショックを受けるとはな……」
死神は私がまるで、金の亡者みたいに見てくるけど、こればっかりは仕方がない。
〈時間〉なんて曖昧なものが減るより、お金みたいに数えられるものが無くなる方がショックだ。
とりあえず、一つだけ人間の世界と違うことが分かった。
〈時間〉=お金
そして、今の私の〈時間〉は、2ヶ月使ってしまったので、残り……あと10ヶ月
「まあ、そうだな」
扉の向こうに行ってみると、レンガ造りの家がたくさん建っており、まるでヨーロッパに来たようだった。
「死神の世界って言ってたから、ジメジメして暗い嫌な場所かなぁって思ったけど、いいところだね」
「俺達の世界にどんなイメージを持ってるんだ……」
死神は、ショックを受けたのかガッカリしている。
この街並みといい、目の前の死神の立ち振る舞いといい本当に、人間の世界と変わらない気がする。もしかしたら、凄く異なることがあるかもしれないけど。
「でも、ここまで人間の世界と似ているなんて不思議だね」
「死神は、昔から〈時間〉を集めるために人間の世界に行っていたからな。きっと、人間の街を気に入った死神たちがこの街を作ったんだろ。それと、少しここから離れるが……」
グギュルル!
死神が話している途中で、私のお腹からそんな音がした。
「もしかして、おなか空いてるのか?」
「……うん。実は、お昼ご飯食べる前に死んじゃったから……それに、ダイエット中で朝ご飯も抜いてて」
「それなら近くにレストランがあるからそこで、飯でも食うか?」
「……うん」
……なんというか私も一応、女の子なので男の人の前でお腹を鳴らしてしまうのは、かなり恥ずかしい。こんなことになるなら、朝ご飯をきちんと食べておけばよかった……
私がそんなことを考えていると、本当にレストランは近くにあったようで、もう着いてしまった。
死神のレストランってどんな料理がでてくるんだろ?
「ふぅ~!おいしかった~」
「それは、よかった」
レストランの料理は、ステーキやハンバーグ、オムライスなど人間の世界と同じものだった。
ちなみに、私はステーキを死神はビーフシチューを食べた。ビーフシチューを何口か分けてもらったが、今まで食べたビーフシチューで一番おいしかった。
こんなに美味しいレストランもあるし、死神の世界は、想像以上に良い世界かもしれない。
「よし!ここは、私が奢っちゃうよ~」
「待て、お前意味が分かってるのか?」
「大丈夫、大丈夫。私、死ぬ前に銀行でお金引き出したから、任せなさい!」
「いいか。俺は、少しお手洗いに行ってくるが、絶対に支払いはするなよ。そもそも……」
死神がまだ何か言っているけど、まあ、男が女に奢られる訳にはいかないとかでしょ?そんなこと気にしないで、黙って奢られときなさい。
死神がお手洗いに行っちゃったので、私は、支払いを済ませるためにレジを探すが見当たらない。
すると、店員の姿が目に入った。
「すいませ~ん。支払いをしたいんですけど」
「わかりました!えっと、合計で2ヶ月ですね」
「は~い……って、2ヶ月?」
「ちょっと待った~!!!」
死神が慌ててこっちに駆けてくるのと同時に私の体から青白い光が出ていった。
「くっ、遅かったか……」
死神がまるで重大なミスを犯してしまったかのようにそんなことを言う。
「えっと、もしかして今のって……」
「ああそうだ。今のはお前の〈時間〉を使ったんだ」
「え!私お金持ってるのにどうして〈時間〉なんて……って、あれ?お財布がない!?」
「全く……死神の世界では、お金なんて無いから代わりに〈時間〉を使ってやり取りをするんだよ。それから言っておくと、お前は死んだんだから1文無しだぞ」
「そ、そんなぁ……」
「まあ、ショックなのは分かるが〈時間〉は集められるんだから、そんなに落ち込むな」
死神は、私を慰めるために頭に手を置いてポンポンとしてくれた。店員さんが不思議そうに見ていて少し恥ずかしいが、まあ、いいや。
「ありがとう。私の貯金が全部無くなったのはかなりショックだけど、がんばるよ!」
「〈時間〉が減ったことよりお金が無くなったことにショックを受けるとはな……」
死神は私がまるで、金の亡者みたいに見てくるけど、こればっかりは仕方がない。
〈時間〉なんて曖昧なものが減るより、お金みたいに数えられるものが無くなる方がショックだ。
とりあえず、一つだけ人間の世界と違うことが分かった。
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そして、今の私の〈時間〉は、2ヶ月使ってしまったので、残り……あと10ヶ月
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