魔王さんは大変なようで。

五月七日 外

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異世界行ったら、魔王の城の中でした。

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「うわあああぁぁぁーーー!!!」

 とにかく走った。階段やら長い廊下を……去年のマラソン大会よりも全力で走った。
 すると、突然黒いモヤモヤしたものが全身を包み込んだ。

「なんだ!?」

 目の前が真っ暗になり、しばらくすると地面に落とされた?よく分からないけど、地面に尻を打ち付けた。

「いたたた……」
「カロス、お主がシノと仲良くせんから、シノが怖がったではないか?」
「申し訳ありません……」
「そういうところだぞ。真面目もいいがもう少し砕けんと、若い者から遠ざけられるぞ。ライラもそんなことを言っておったしな」

 俺には目の前の光景がもう、訳が分からなかった。
 逃げたはずなのに、さっきの部屋に俺はいて、リアもカロスもいる。
 
「シノ……少しは落ち着いたか?」

 気が付くと、リアの顔が目の前にあった。

「え、あ……はい」
「驚かせて悪かったの。別に、妾たちはお主をとって食おうなんて考えてない。むしろ、大切なパートナーにしていきたいと思う」
「はぁ……は!?」

 リアの口からとんでもない言葉が聞こえた気がする。パートナーって言ったら、アレですよね。伴侶てきなアレですよね!むしろ、それ以外に無いですよね。
 もう、ポジティブにいかないとやっていけそうにないので、そんなどうでもいいことを考えることにした。
 すると、あろうことか、リアが頭を下げた。

「頼む。妾たちにお主の力を貸してくれ……異世界の者が持つと言う、チート能力とやらを」 
「別にいいですよ」  

 もうどうにでもなれ。俺は逃げることを諦め、リアの頼みとやらを聞くことにした。





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