10 / 19
メイドさんも大変なようで。
6
しおりを挟む
「ん?ここは……」
「やっと起きましたか、変態のシノさん」
気がつくと、俺の部屋のベッドの中にいた。ベッドの側にはリイリが座っており、クズかゴミを見るような目で俺のことを見ていた。……あれ?確か俺は、リイリの仕事を手伝おうとして……
「あはは……さっきは悪かったなリイリ。何か俺も変なテンションだったというか」
「いえ、許しません」
リイリはそう言うと、プイッとそっぽを向いてしまった。
リイリの膨らんでいる頬をプニプニと指で押したいところだが、ここでそんなことをしたら本格的にリイリに嫌われてしまう。俺は何とか理性を保つために素数を数え始めた。
「あれ?そう言えば誰が俺に服着せてくれたんだ?」
自分の格好を見てみると、制服ではなく布で出来た服で、一言で言うなら、いかにも冒険者みたいな服装だった。
「それはカロスさんが持ってきてくれました。何でも昔城にやって来た人間の服だとか」
「こわ!この服呪われてるんじゃないの!?」
魔王の城に来た人間とか……絶対、殺されてるじゃん!しかも、壁にはローブと杖もかけられてるし、この服の持ち主呪いかけるの超得意そうじゃん!
「術式も無いですし、呪いはかけられていないと思いますよ」
「術式の無い呪いとかないの?」
「ワタシは聞いたことないですね。もしかしたらあるかもしれないですけど、そんな呪い使えるのは世界に十人といないと思いますよ」
リイリはようやくこっちを向いて話してくれた。
「そっか。それにしても、カロスに着替えまでさせちまうとは……あとでお礼を言わないとだな」
俺がそう言うと、リイリは顔から湯気でも出てくるんじゃないかと思うほど、顔が赤くなっていた。
「その……シノさんの着替えはワタシが、カロスさんも忙しいようでしたし……世話係りですから」
……なるほど、つまりはリイリは俺の裸を見たと。
「リイリのエッチ……」
「いや、これは!不可抗力といいますか、仕事ですし……」
「いや許さないね。俺の純情な感情は傷ついてしまった……」
「何とか許してもらえませんか?」
リイリはうるうるとした瞳で俺のことを見つめてくる。そんな顔して見てこられたらライラじゃなくても許してしまいそうだ。
「許してもいいかも」
「本当ですか!?」
リイリが前のめりになって立ち上がる。……ちょっ、顔近いって!それに、そんなに前のめりになったら胸元が見え……あっ、リイリはその心配ないか。
「ただし、条件がある」
「何でもします!……エッチなこと以外は」
「いやいや、そこまで要求しないから。ただ、俺のことも許してほしいなぁと」
「……分かりました。シノさんもわざと?じゃないと思うので許します。でも、次は許しませんよ?」
「ああ、約束する。リイリも次からは俺が起きてるときに着替えさせてくれよ?」
「はい、約束します……え?シノさん今なんて?」
リイリがワタワタして「今のは無しで!」とか言っているが、言質は取ったので、いつかしてもらおう。
とにもかくにも、風呂場での出来事は許してもらえたので、俺は仕事をするべく庭に向かうのだった。
「やっと起きましたか、変態のシノさん」
気がつくと、俺の部屋のベッドの中にいた。ベッドの側にはリイリが座っており、クズかゴミを見るような目で俺のことを見ていた。……あれ?確か俺は、リイリの仕事を手伝おうとして……
「あはは……さっきは悪かったなリイリ。何か俺も変なテンションだったというか」
「いえ、許しません」
リイリはそう言うと、プイッとそっぽを向いてしまった。
リイリの膨らんでいる頬をプニプニと指で押したいところだが、ここでそんなことをしたら本格的にリイリに嫌われてしまう。俺は何とか理性を保つために素数を数え始めた。
「あれ?そう言えば誰が俺に服着せてくれたんだ?」
自分の格好を見てみると、制服ではなく布で出来た服で、一言で言うなら、いかにも冒険者みたいな服装だった。
「それはカロスさんが持ってきてくれました。何でも昔城にやって来た人間の服だとか」
「こわ!この服呪われてるんじゃないの!?」
魔王の城に来た人間とか……絶対、殺されてるじゃん!しかも、壁にはローブと杖もかけられてるし、この服の持ち主呪いかけるの超得意そうじゃん!
「術式も無いですし、呪いはかけられていないと思いますよ」
「術式の無い呪いとかないの?」
「ワタシは聞いたことないですね。もしかしたらあるかもしれないですけど、そんな呪い使えるのは世界に十人といないと思いますよ」
リイリはようやくこっちを向いて話してくれた。
「そっか。それにしても、カロスに着替えまでさせちまうとは……あとでお礼を言わないとだな」
俺がそう言うと、リイリは顔から湯気でも出てくるんじゃないかと思うほど、顔が赤くなっていた。
「その……シノさんの着替えはワタシが、カロスさんも忙しいようでしたし……世話係りですから」
……なるほど、つまりはリイリは俺の裸を見たと。
「リイリのエッチ……」
「いや、これは!不可抗力といいますか、仕事ですし……」
「いや許さないね。俺の純情な感情は傷ついてしまった……」
「何とか許してもらえませんか?」
リイリはうるうるとした瞳で俺のことを見つめてくる。そんな顔して見てこられたらライラじゃなくても許してしまいそうだ。
「許してもいいかも」
「本当ですか!?」
リイリが前のめりになって立ち上がる。……ちょっ、顔近いって!それに、そんなに前のめりになったら胸元が見え……あっ、リイリはその心配ないか。
「ただし、条件がある」
「何でもします!……エッチなこと以外は」
「いやいや、そこまで要求しないから。ただ、俺のことも許してほしいなぁと」
「……分かりました。シノさんもわざと?じゃないと思うので許します。でも、次は許しませんよ?」
「ああ、約束する。リイリも次からは俺が起きてるときに着替えさせてくれよ?」
「はい、約束します……え?シノさん今なんて?」
リイリがワタワタして「今のは無しで!」とか言っているが、言質は取ったので、いつかしてもらおう。
とにもかくにも、風呂場での出来事は許してもらえたので、俺は仕事をするべく庭に向かうのだった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる