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メイドさんも大変なようで。
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「えっと……なにアレ?」
窓掃除をなんとか終え、次は床掃除をするということで城の中で一番広いフロアへと移動すると、そこにはなんかキモい緑色の生き物がたくさんいた。
見た目はマリモに毛を生やしたみたいで、その奇妙な生き物は床の上でピョンピョン跳ねたりコロコロ転がったりしていた。
「なにって、モフモフ知らないんですか?」
リイリが教えてくれたことによると、変な生き物はモフモフという魔物らしく、床の上を跳ねたり転がったりするときに床の汚れを毛で取ってくれているのだとか。……なんか、可哀想な生き物だな。
「それじゃあ、仕事を始めましょう」
「ん?床掃除はモフモフがしてくれたんだから別に仕事無いんじゃないの?」
モフモフが床の上で跳ねたり転がったりしてくれたおかげで、床はかなり綺麗になっているのだが、仕事って何をするのだろうか?
気になってリイリの方を見ると、リイリが顔を赤くしてハァハァ言っていた。……なにこれ?リイリがライラに!?……じゃなくて変態みたいになってる?
「シノさん来ますよ!」
「来るって何が!?てか、俺的にはリイリの変わりようが怖いんだけど!」
すると、どうしたものかさっきまで跳ねたり転がったりしていたモフモフたちが一点に集まり始めた。
そして、あっという間にモフモフたちの山が出来上がった。心なしか、モフモフが助けて欲しそうにこちらを見ている気がする。
「……か、かわいい……」
「はい?」
「じゃなくて!仕事ですよ!仕事!モフモフたちを助けましょう!」
リイリはそう言うと、モフモフの山にダイブした。それは幸せそうに……リイリさん~!それゴミついてるから汚いですよ?てか、仕事ってなにするの。全く分からないんだけど……
仕方なくモフモフの山に埋もれているリイリを引きずり出すと、朗らかな笑みを浮かべたリイリが出てきた。
「もう……シノさんも手伝って下さいよ」
「なにを!?ボケなんてリイリらしくないんだけど!」
「ほら、モフモフが絡まってるからほどいて下さい」
よく見てみると、モフモフたちの山はモフモフ一匹一匹の毛が複雑に絡まることで出来上がっていた。
つまるところ、俺たちの仕事は絡まってしまったモフモフたちの毛をほどいて助けることだった。
「それにしても、なんでコイツら絡まるって分かってるのに集まったんだろうな」
「それは、モフモフの性質のせいですね。モフモフは自分の毛に餌をつけて持ち運ぶ癖があるので、たぶん掃除中なのを忘れて毛についているゴミを餌と勘違いしちゃうことがあるんです。それでゴミを食べちゃう子が出てくるんですけど、ゴミは体に悪いからみんなで止めようとしてこうなるんです……かわいいですよね」
モフモフってバカだな。
頬を赤くして興奮したように話すリイリだったが、俺にはモフモフのかわいさは分かりそうもない。
とりあえず、可哀想でバカなことは分かった。
「リイリはモフモフが好きなんだな」
「そうですね。3匹は飼ってますよ」
「そ、そうですか……」
あの奇妙な生き物をペットにするなんて、女の子はよく分からない。……リアもケルベロス飼ってるしな。ペットってもう少し可愛くてもいいはずなんだけど……
「終わっちゃいましたね……」
しばらくモフモフの山に埋もれてモフモフの毛をほどいていると、悲しそうにリイリがそう呟いた。
どうやら今俺がほどいているモフモフ以外は毛がほどけて嬉しそうにピョンピョン床の上を跳ねている。
どうでもいいけど、俺がほどいてあげたモフモフは俺のことが珍しいのか俺に引っ付くようにピョンピョン跳ねてきている。……なんか、凄い羨ましそうな目でリイリが俺のこと見てくるんだけど……
「えっと……場所変わる?」
「はい!」
リイリは嬉しそうにそう言うと、目にも止まらぬ速さでモフモフの毛をほどきはじめた。
あっという間にモフモフを助けると、何故かそのモフモフたちは俺に飛びついてきた。
「じー」
「あはは……リイリさん?目が怖いんですけど。なんでジリジリ俺に近づいてきてるんですか……」
「ワタシなんて一度も飛びついてきてもらったことないのにー!」
悲しいかな。モフモフをペットにしているのに、一度も飛びついてきてもらえないなんて。
「普段は嬉しいけど、今は追いかけてこないでくれ~!なんか怖い!」
「何でですか!ワタシにもモフモフ成分を分けてください!」
俺はモフモフに埋もれながら死ぬほどリイリに追いかけられた 。
ちなみに、リイリが俺を捕まえたあともモフモフたちはリイリに飛びつかずに俺の回りを跳ねていて、少しリイリがかわいそうだった。
窓掃除をなんとか終え、次は床掃除をするということで城の中で一番広いフロアへと移動すると、そこにはなんかキモい緑色の生き物がたくさんいた。
見た目はマリモに毛を生やしたみたいで、その奇妙な生き物は床の上でピョンピョン跳ねたりコロコロ転がったりしていた。
「なにって、モフモフ知らないんですか?」
リイリが教えてくれたことによると、変な生き物はモフモフという魔物らしく、床の上を跳ねたり転がったりするときに床の汚れを毛で取ってくれているのだとか。……なんか、可哀想な生き物だな。
「それじゃあ、仕事を始めましょう」
「ん?床掃除はモフモフがしてくれたんだから別に仕事無いんじゃないの?」
モフモフが床の上で跳ねたり転がったりしてくれたおかげで、床はかなり綺麗になっているのだが、仕事って何をするのだろうか?
気になってリイリの方を見ると、リイリが顔を赤くしてハァハァ言っていた。……なにこれ?リイリがライラに!?……じゃなくて変態みたいになってる?
「シノさん来ますよ!」
「来るって何が!?てか、俺的にはリイリの変わりようが怖いんだけど!」
すると、どうしたものかさっきまで跳ねたり転がったりしていたモフモフたちが一点に集まり始めた。
そして、あっという間にモフモフたちの山が出来上がった。心なしか、モフモフが助けて欲しそうにこちらを見ている気がする。
「……か、かわいい……」
「はい?」
「じゃなくて!仕事ですよ!仕事!モフモフたちを助けましょう!」
リイリはそう言うと、モフモフの山にダイブした。それは幸せそうに……リイリさん~!それゴミついてるから汚いですよ?てか、仕事ってなにするの。全く分からないんだけど……
仕方なくモフモフの山に埋もれているリイリを引きずり出すと、朗らかな笑みを浮かべたリイリが出てきた。
「もう……シノさんも手伝って下さいよ」
「なにを!?ボケなんてリイリらしくないんだけど!」
「ほら、モフモフが絡まってるからほどいて下さい」
よく見てみると、モフモフたちの山はモフモフ一匹一匹の毛が複雑に絡まることで出来上がっていた。
つまるところ、俺たちの仕事は絡まってしまったモフモフたちの毛をほどいて助けることだった。
「それにしても、なんでコイツら絡まるって分かってるのに集まったんだろうな」
「それは、モフモフの性質のせいですね。モフモフは自分の毛に餌をつけて持ち運ぶ癖があるので、たぶん掃除中なのを忘れて毛についているゴミを餌と勘違いしちゃうことがあるんです。それでゴミを食べちゃう子が出てくるんですけど、ゴミは体に悪いからみんなで止めようとしてこうなるんです……かわいいですよね」
モフモフってバカだな。
頬を赤くして興奮したように話すリイリだったが、俺にはモフモフのかわいさは分かりそうもない。
とりあえず、可哀想でバカなことは分かった。
「リイリはモフモフが好きなんだな」
「そうですね。3匹は飼ってますよ」
「そ、そうですか……」
あの奇妙な生き物をペットにするなんて、女の子はよく分からない。……リアもケルベロス飼ってるしな。ペットってもう少し可愛くてもいいはずなんだけど……
「終わっちゃいましたね……」
しばらくモフモフの山に埋もれてモフモフの毛をほどいていると、悲しそうにリイリがそう呟いた。
どうやら今俺がほどいているモフモフ以外は毛がほどけて嬉しそうにピョンピョン床の上を跳ねている。
どうでもいいけど、俺がほどいてあげたモフモフは俺のことが珍しいのか俺に引っ付くようにピョンピョン跳ねてきている。……なんか、凄い羨ましそうな目でリイリが俺のこと見てくるんだけど……
「えっと……場所変わる?」
「はい!」
リイリは嬉しそうにそう言うと、目にも止まらぬ速さでモフモフの毛をほどきはじめた。
あっという間にモフモフを助けると、何故かそのモフモフたちは俺に飛びついてきた。
「じー」
「あはは……リイリさん?目が怖いんですけど。なんでジリジリ俺に近づいてきてるんですか……」
「ワタシなんて一度も飛びついてきてもらったことないのにー!」
悲しいかな。モフモフをペットにしているのに、一度も飛びついてきてもらえないなんて。
「普段は嬉しいけど、今は追いかけてこないでくれ~!なんか怖い!」
「何でですか!ワタシにもモフモフ成分を分けてください!」
俺はモフモフに埋もれながら死ぬほどリイリに追いかけられた 。
ちなみに、リイリが俺を捕まえたあともモフモフたちはリイリに飛びつかずに俺の回りを跳ねていて、少しリイリがかわいそうだった。
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