~Reue~(ロイエ) 優美

敷金

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第5話 急変

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翌日の午後三時頃。

まるで死人のような顔つきで、敏明がアパートに帰って来た。



「お帰りなさ――ど、どうなさったんですか?!」



「……」



「あの、も、もしかして、面接――」



「クソァッ!!」



バアァン!!



「きゃっ!」



カバンを床に叩きつけ、敏明は引き千切るように上着を脱ぎ捨てた。



「ご主人様……」



「ユーミ! 脱げ! 今すぐだ」



「は、はい?! で、でも、準備がまだ――」



「いいから来い! 犯してやる!!」



「は、はい、わかりました!」



敏明の怒気に圧され、ユーミは素直に服を脱ぎ、全裸になった。

床に押し付けられるように伏せさせられ、尻を高々と上げる。

敏明の舌が、ユーミのアヌスに乱暴にねじ込まれた。



「あ、あ、あ……!! ああ、ああん!」



ぬぷっ、ぬぽっ、ぬぴゅっ、にゅぽっ……



数分ほど嘗め回した後、今度は太い指を、挿入する。

ユーミのアヌスは、敏明の人差し指を、難なく咥え込んだ。



「ひうっ?! あ、ああ……あ――っ!

 ご、ご主人様ぁ♪」



「くそ、クソ、くそぉ!!

 皆で、俺の事バカにしやがって!」



「ご、ご主人様、いったい何が――ん、あぁっ!!」



布団の脇に転がっていたローションを強引に塗り込み、ユーミの尻穴をほぐし切ると、敏明は汚れた手のままで、服を全部脱いだ。

そして、ユーミに覆い被さる。



「あっ、ご主人様♪」



「……!! ……っ!!」



「ご、ご主人様?」



「……」



「ご主人様……」



「……ち、畜生、ちくしょおっ!!」



「……」



敏明は、ユーミの中に入ることなく、むせび泣いた。

タオルケットで身体を隠したユーミは、声をかける術もなく、ただ主人の姿を見つめるしかなかった。



「――自分に都合よく、物事を考えすぎだって」



「面接で、そんなことを言われたのですか?」



「俺、ユーミの教えてくれた通りにやったんだ、ちゃんと言ったんだ。

 でも、給料の話をされた時に――」



「……」



「俺、いっぱい金稼ぎたいと思ったんだ!

 ユーミにばっかり稼がせて、何にもしてないから、だから俺……!!」



「ご主人様……ありがとうございます」



「?」



「僕のこと、そんなに考えてくださって……光栄です」



「ユー……」



涙まみれの敏明の唇に、ユーミはそっと口付けをした。

それはとても優しく、深い愛情すら感じられる程、甘くせつなく――



「ご主人様……」



ユーミに頭を優しく抱かれ、敏明は、母親に包まれた子供のような安らかさを覚えた。









ユーミとの同棲も、半年を過ぎようという頃。

相変わらず、敏明はユーミを最後まで抱くことが出来ず、ユーミも半ば諦め始めていた。

しかし、彼らの夜の生活も、徐々に変化を見せ始めていた。





「――あっ、ああっ! ああああ――っ♪」



「うふふ、ご主人様♪

 女の子みたいな、可愛い声が漏れてますよ」



「う……は、恥ずかし……ひぐぅっ?!」



くにゅっ、くにゅっ♪



「いかがですか?

 男の子が一番感じる所を、指で直接……優しく触られると」



「はあぁっ! あ、や、すご……ぃ!!」



「ホレ、もう指が二本も、楽に入るようになっちゃいましたね」



「う、嘘だろ……俺、オレ……」



「うふふっ、まさかご主人様が、こんなにお尻にハマるなんて。

 思ってもみませんでしたよ」



「や……! やめ……恥ずかしいから! あうんっ!」



にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ、にゅるっ――



「あらあら、おちんちんから、こんなにヨダレが……。

 じゃあ今日は、お尻だけでイッてみましょうね?」



「え、あ、そんな、無理――あ、ああああああっ?!」



ずにゅっ――!



「やっぱり、指三本、楽に入っちゃいましたね。

 これならもう、おちんちんだって普通に――」



「あ、ああああっ!! で、出るっ!!」



どぴゅっ! どぴゅ、どぴゅぅぅっ――っ!



まるで赤ん坊のように、仰向けで両足を曲げた姿勢のまま、敏明は自らの腹部に、大量の精液を解き放った。

アヌスから指を抜き取り、ユーミは、そのザーメンを丁寧に舐め取っていく。



「いかがでしたか? ご主人様」



「あ、あ、ああ……なんか、頭が真っ白になって」



「お望みでしたら、もっとして差し上げますね。

 ――例えば、こういうもので」



そう言うと、ユーミは、ピンク色の異形の物体を取り出し、敏明に示した。



「え…! そ、それは……!!」



「これは、僕のおちんちんとだいたい同じくらいの太さのディルドです。

 今度はこれで、ご主人様のお尻を、掻き回して差し上げますね♪」



「ひっ! そ、そんな……!」



「お望みでしたら、これを僕に使ってくださってもいいんですよ?

 どうせご主人様は、僕の中に挿れることも出来ないんですから♪」



「あ、あうぅ……」



「悔しいのでしたら、早く僕の中に……

 ご主人様のおちんちんを挿れてくださいね」



「……」





「――えっと、あの、ご主人様?

 本当に、こんな調子で、宜しかったのですか?」



それまでのSっぽい振舞いから、急にオロオロしだしたユーミは、ぐったりしている敏明に寄り添った。



「う、ああ、うん、大丈夫」



「ぼ、僕、こういう……サディスティックな演技、やっぱり苦手ですぅ~」



「そうか? すごく上手だったぞ。

 本気で蔑まれてるみたいだった」



「そんな!

 僕はご命令通り、一生懸命、思ってもいないことを――」



「わかってるって」



敏明は、うろたえるユーミを抱き締めた。

ふと、そういうことが自然に出来るようになっていた事に気付き、驚く。



「でも、僕、ご主人様に挿れて欲しい気持ちは、本当ですよ?」



「あ、う、うん」



「もしかして、僕が男の子だから――

 普通の女の子じゃないから、嫌なんですか?」



「いや、そうじゃないよ」



「それとも、僕に何か至らないことが――」



「上手く出来なかったら……そう考えると、怖くて」



「そんな、僕がちゃんと……」



「そうじゃなくてさ!

 そうじゃなくて……お、オレ……ちゃんと、自分で……」



「わかりました。じゃあ、ご主人様がその気になるまで、僕、待ちます」



「ユーミ……」



「僕はですね。

 えっちな関係だけじゃなくて、ご主人様と、心でも繋がっていたいんです」



「どうして、俺にそこまで?」



「それは、貴方が、僕にとって大切なご主人様だからですよ♪」



そう言うと、ユーミは敏明の頬に軽くキスをした。



「ユーミ……あのさ」



「はい、なんでしょう、ご主人様?」



「これからも、俺と……その、ずっと一緒に……」



「はい! こちらこそ、よろしくお願いします!」



敏明は、恥ずかしそうに、ユーミの手を握った。



「そ、それでさ、あの……さっきのソレ――」



「はい、えっと……もしかして、コレですか?」



一瞬、ユーミの目がパッと輝いた。

だが敏明は、ソレを受け取ろうとはせず……



「寝る前に、それで俺の――さ、最後まで……頼むよ」



「は、はぁ……」



敏明は、今度は四つんばいになり、大きな尻を突き出してきた。







それから一週間ほど過ぎたある日。

相変わらずニートの敏明は、特に目的もなく、街をぶらついていた。



(ん? あれは――)



ふと見ると、見覚えのある姿の少女が、こちらに向かって走ってくる。

否、少女ではない……少年ユーミだ!

しかしユーミは、しきりに後ろを気にしながら走っており、敏明に気付かない。



「おーい、ユー……」



(あれ、脇道に? あいつ、何やって――)



しばらくすると、黒いスーツをまとった屈強な体格の男性が二人、こちらに走って来た。

まるで誰かを捜しているような仕草で、男達は慌て気味に走り去る。

その様子をぼうっと眺めていた敏明の肩を、何者かが不意に叩いた。



「?!」



「失礼します。青野敏明さんで、宜しかったでしょうか?」



背後に立っていたのは、黒いスーツを着た細身の女性だった。





見覚えのない女性に声をかけられた敏明は、無言のまま頷く。

かなりの美人だが、どこか冷たくロボットのような印象を与える女性は、名刺を差し出した。







 イーデル製薬株式会社日本支部Reue管理課主任



 谷川沙貴







「貴方に大切なお話があります。

 よろしければ、僅かなお時間で結構ですので、ご一緒いただけませんでしょうか?」



即座に怪しい勧誘だと判断し、敏明は首を横に振る。



「悪いけど、興味ないんで。それじゃ」



「ご興味がない筈はありませんわ。

 ユーミの事についてなのですが」



「えっ?」



谷川と名乗る女性は、近間の喫茶店を指差し、あらためて同道を願い出た。



「ユーミにつきまして、貴方にどうしても、お伝えしなければならないお話があるのです」
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