チャラ男なんか死ねばいい

ルルオカ

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ほんとうに俺はあなたを、あなたが俺をスキなのだろうか①

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俺は、玉木さんを、先輩俳優のなかでも、とくに慕っていた。

入団倍率は鬼高く、審査が鬼キビシイ、我が劇団に、団長のお眼鏡にかなって入団。

活躍を期待されたのが、その団長が、まわりともめて退団。
権力争いに敗れた側面もあったから、団長のオキニイリだった玉木さんにもトバッチリが。

脇役しか当てられず、裏方スタッフの手伝いに回されるなど、コキ使われたものの、腐らないで、どんなショウモナイ仕事にも励みつづけた結果。
五年後くらいから、三番手、四番手を演じるように。

今では、二番手以上を演じることが多く、運営のサポートなど重要な役割も担う、劇団の看板俳優の一人。
頼りになる、アラフォーの立派なベテランとなった。

玉木さんのいいところは、大御所だろうと新人だろうと、監督、演出家だろうと下っ端のスタッフだろうと、態度を変えず、親しげに接することだ。

大御所には基本の礼を尽くしつつ、媚びすぎず、へりくだりすぎず、気さくに笑いかけ話しかける。

新人だからといって、失礼な扱いをせず、手助けしながら、いっしょにバカ騒ぎもする。

監督や演出家の云いなりにならず、ときには反感を買うのを覚悟に噛みつき、でも、現場のテンションが落ちたり、空気が重くならないよう気をつける。

下っ端スタッフにはカナラズ挨拶し、なにかと一言声をかけ、労うのを欠かさず、差しいれが、全員にいきわたるようになど、配慮も忘れない。

できるだけ、現場にいる人に平等に公平に対応しようとする姿勢は、バツグンに好感が持たれ、あまり反感を抱かれなかった。

この世に、すべての人に愛される完璧人間はいないし、そう褒められる人は、うさんくさいものだが、玉木さんだけは、ひねくれた俺も、ケチをつけにくい。

人に愛されるだけ、人一倍、努力をし時間や手間、労力をかけていたから。
そもそも、彼がいい人であろうとするのは「出世したい」「有名になりたい」といった、ミミッチイ目的ありきでは、なさそうだったから。

劇団の権力闘争のあおりで、干されて、云いかたを返れば、長く、仲間外れにされイジメられた玉木さん。

とことん、自分がツラク悲しい目にあったからこそ、同じように誰かが不当なワケで、ムシされたり、ないがしろにされたり、のけ者にされるのを、放っておけないのだろう。

キビシイ試練にたちむかい苦行に耐えたすえ、生き仏のようになった人だが、とはいえ、だ。

やっぱり、この世にはオールパーフェクトはいない。

誰もが認める、努力家のお人好しながら、俳優の力量は圧倒的ではない。
というか、プロとして、ぎりぎり合格点といったところ。

人一倍、緊張しいだし、よく台詞を噛むし、立ち位置をマチガエルシ、パニックが極まって、呆けて立ちつくすことがあるし・・・。

まあ、とんだヘマをしたり、ありえない失態をさらすのは、リハーサルだけで、本番では、まだマシ。

ほかの俳優なら、観客にブーイングされかねないところ、そこは人柄満点の玉木さんだから。

ファンは「今日は何回、噛むか、賭けよう」とまたチガッタ鑑賞のタノシミかたをしたり「玉木さんが失敗しないと、今はもう物足りなく思うね」と変なハマりかたをしたり。

はじめは「俳優失格」と一刀両断した評論家も「きれいに台詞を読むことを気にせず、役になりきって乱れるのが、逆にいい」とややこしく捉えて、賞賛する始末。

ここまでの説明でも分かるとおり、玉木さんが成りあがれたのは、俳優の能力よりは、人のよさを買われてのこと。

玉木さんがいれば、現場の人間関係や雰囲気が良好に保たれ、円滑に物事がすすめられる。
だから重宝されると、いっていい。

一発合格で入団、一年目で主役をはった、エリートの俺とは、かけはなれた俳優人生を歩んでいるが、かといって「ニセモノが」とバカにはしていなかった。

俺とタイプがチガウからこそ、興味がひかれるし、感心もする。

ただ、後輩といえど、年が近く、役を取りあう仲だから「まあ、俳優としての才能や能力は、俺が上だけどな」と勝気でもいたが。

いや、実際、いろいろと比べて、俺のほうが上回っていると思う。

ほぼ主役をはっているし、劇団以外からのオファーが殺到しているし、映画やドラマにもちょこちょこ顔をだして、あるテイド、世間一般の知名度があるし、まわりの認識や扱いも「玉木さん<俺」だし。

劇団のイベントなどで、あえて俺様キャラで、玉木さんにナメタ態度をとるのがネタになっているし。

「すこしは、後輩らしくしろよ!」とキーキー云うのに「だったら、俺より年収、稼いでください」と返し、玉木さんが「うぐぐ・・・」と呻くという。

熱狂的ファン以外は、笑ってくれるテッパンで、コントのようなノリの芝居だから、お互い気にしちゃいない。

そうしてネタにしつつ、後輩として甘えて懐くこともあり、玉木さんもカワイガッテくれ、ときにライバルとして火花を散らす、よりよき関係でいて、この平和な日日がずっとつづくと思っていたのが・・・。





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