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桜色に体を染めるおまえに我慢ならない
しおりを挟む桜を見ると、友人の穂高を思いだす。
生まれつき肌が白く、それが気に食わず「男らしくない!」と日焼けサロンに行った結果。
肌は黒くならず、赤く腫れて「いーたい」と泣きながら病院に行く羽目になったという、まぬけで愛おしいやつだ。
肌が紫外線に弱いと発覚してからは、できるだけ直射日光を避けて過ごし、おかげで今も、幼いころから変わらず白いまま。
女子より肌が美白なうえ、恥ずかしがり屋で、感情的になると、顔だけでなく全身が薄紅に染まるから、おもしろい。
よく、まわりにからかわれ、俺も「嘘なのばればれ」と茶化していたが、いつの間にか笑えなくなった。
きっかけは体育の時間だったと思う。
着替えをして「おまえ、太ったんじゃね?」と笑い声が。
見やれば、持ちあげられた穂高の腕が「ほら、二の腕柔らかすぎ」と指でつつかれていて。
「やめろ放せ!」と薄紅の二の腕が揺れるのを見て、ある強烈な衝動に駆られたのだ。
その衝動は決して、友人に抱くものではない。
百も承知だったから、胸の奥にしまって封印。
もともと「のりわるい」「つまらない」と文句をつけられるほど理性的だから、そう苦心せず、穂高と良好な友人づきあいをつづけていたのだが。
「なーに、桜を見て憂いた顔してんの」
ぼうっとしていたら、穂高が肩に顔を乗せたのにびっくり。
思わず、ふりはらったのを誤魔化すため「や、約束の時間、とっくに過ぎているぞ」と咎める。
「いやあ、それがさあ聞いてよお」と情けない顔をしたと思えば、シャツをまくり、よりによって、あの白く眩しい二の腕を見せつけやがって。
「人に跳ねとばされて、手すりにぶつかって、ほら、痣になっているだろ?
痛がっていたら、電車が走りだして駅に降りられなかったんだよ。
おまけにスマホを家に忘れたから。
慌てて一駅分、走ってきたってわけよ」
たしかに、穂高は息を切らし、顔を真っ赤、全身を薄紅に、そして二の腕にうっすら汗を。
薄紅の二の腕が汗ばみ、ぷるぷるするのは、なおのこと艶めかしい。
直前まで桜を見ていたせいか、二の腕から、むせるような甘い香りが放たれている錯覚が。
目を眩ませた俺は、穂高の手首をつかみ、濡れて震える桜色の二の腕に噛みついた。
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