Flower and pupa repair shop

江呂川蘭子

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第1章

ジャンクの島

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 長期にわたる星間戦争も、やっと終焉の様相を見せ始めたころ、私たち五人のチームは補給物資の輸送任務中に、宇宙船のトラブルで漂流するはめに陥る。
 我々はいままで交流のなかった知的生命体の惑星の海に不時着することになった。
 これは、偶然などではなく、最初から計画されていたプロジェクトに私たち五人は利用されたものと思われた。
 我々の宇宙船は、この惑星の海に含まれる塩分に腐食されて行くことを船の知能が知らせる。
 しかし、惑星の海は我々五人のインセクトイドに害を与えないと判明する。
 私たちの船は、この星の海に沈む前に地上へと流れ着くことが出来た。
 この惑星は、何らかな原因により数百年前に大半の文明が海に飲み込まれ水の惑星へと姿を変えてしまったと、我々の宇宙船の知能が最後に教えてくれた。
 不幸中の幸いは、我々が漂着した陸地は食料となる植物が豊富で、原住民のヒューマノイドよりも我々は肉体的にも科学的にも優れていたということだった。
 我々は容易く原住民たちを支配下に置き、五人が生きるには、なんの問題もなく意図せず植民地が手に入ったようなものであった。
 母性と通信手段がない事が、我々五人だけの楽園を維持する格好の理由となった。

 インセクトイドの宇宙船は、この星の海によって腐食し消滅したが、海の影響を受けない材質で出来た様々な物資は海底に沈んだり、海流に流されて遠くへ運ばれて行った。

 それから数十年後のインセクトイドの住処から遠く離れた小さな島で起こった、この惑星の原住民であるヒューマノイドたちのお話し。
「華さん、修理できた?」高齢の男性がアンドロイドの修理を生業とする華という女に話しかける。
「ああ!コメちゃんちょうどいいや、アンタにも見てほしいことがあるんだ。うちの店まできてよ」華は、かつて大勢の人々が集まったマーケットの出入口で、コメちゃんという高齢男性にこたえる。
 いまは生き残った数少ないヒューマノイド達が集まる市場も商品がめっきり少なくなってしまった。
「じゃ買い物を済ましたら、すぐに行くよ」コメちゃんが言うと、華は食材の入った大きな布袋を小脇に抱えて手を振って、帰っていった。

 華は、コメちゃんが来ると、彼のアンドロイドの脚部にある整備ボックスを開けて説明をした。
「もう脚部のギアから干渉パーツまでガタガタで、いまウチには、そいつを治すためのパーツがないんだ。コメちゃんとこのアンドロイドは、けっこうな旧式だしパーツも見つかりにくい。パワーが必要な作業は、もう無理だよ。明日からパーツ探しにジャンク島に行くんだけどコメちゃんも行くかい?自分でパーツ見つけたら安くつけたげるよ。女ひとりより安心だしね」と華が言う。
「いやぁー!いま収穫しねぇと、メシの食いあげだ。最低限の修理でも、いまの状態で動かすから起動しとくれ」そういうと、コメちゃんはアンドロイドの修理代を置いた。
 華は、何も言わずにコメちゃんのアンドロイドを起動した。
 旧式のアンドロイドは、華とコメちゃんに目覚めの挨拶をすると、コメちゃんに連れられ右脚からギシギシと異音を鳴らしながら引きずるように帰っていった。
「みんな勝手ですね」修理の補助を手伝う、看護アンドロイドのサナギが言った。
「うん、無理させて動かなくなると、また泣きついてくる。でも次は治すことも出来ないんだろうなぁ」華が、いつも煙草を入れている空き缶を探る。
「華ちゃん!ごめん。もう煙草ないんですよ」とサナギが言う。
「そっかぁ、ジャンク島から戻ってから買うわ。サナギにもそろそろ、新しいボディが必要だしね……」元々は医療用の精密アンドロイドに無理矢理セクサロイドのパーツで代用していたのだが、そんなサナギのボディも経年劣化により、相当ガタが来ていることを華は気にしていたのだった。
「華ちゃん。アタシは、この顔もボディも好きだよ!男性にモテモテですからね」とサナギは笑った。だが、そのボディもそろそろ限界がきている事は、サナギ当人がいちばん分かっているのだった。

 ジャンク島は、急いでも華のホバークラフトで片道三日程はかかるような場所にあった。
 その島は、周りの海流の加減で様々なゴミの流れ着く島で、比較的大きなパーツが流れ着く事が多く、以前は機械部品を扱える者たちが挙って過去の遺物を探しにやってくるような場所であったのだが、年月が過ぎ去り段々と機械部品を扱える技術者が居なくなっていき、ジャンク島にもめっきり人気が無くなってしまった。
「サナギに、いいパーツがあればいいのにね」と華はホバークラフトをジャンク島の近くの海上に停止させる。
「華ちゃんのボディは大丈夫なの?」とサナギがきいた。
「うん、私は後期型の生体型ナノパーツで造られてるボディだから、五百年以上は大丈夫だよ。その代わりパワーは人間以下だけどね」と華は、サナギにこの話しをするのは何度目だろう?彼女のメモリーも相当な劣化が始まっていることに危機感を感じた。
 華は、いつものようにホバークラフトから空中と海中に探査機を射出し様子を伺う。
 大きな部品ならホバークラフトのマニュピレーターで引き上げも可能だが、微妙なサイズのモノは華の力で引き上げる必要があり、サナギの不調から、非力な華としてはコメちゃんに同行して欲しかったのだった。
「お!」華が水中の探査機が大物を発見した事に反応する。
「華ちゃん、これスゴく大きいねぇ。オーパーツかも知れないよ」とサナギも反応する。ちょうど棺桶ぐらいのサイズ箱が水深5メートル付近に見つかった。探査機を操作しワイヤーを巻きつけてウインチで引き上げる。サイズ的にもちょうどホバークラフトの小さな検査室に置けるサイズだった。
「やった!サナギひょっとしたら大破壊の前に造られた新品のボディかもよ」そう、滅多にある事ではないのだが、華はいまのボディを随分前に、この海域で見つけたのだった。
「サナギ!」華はサナギが動作していない事に気づく。
「サナギ!サナギ」華はサナギを叩いて見るが首と手脚が軽く震えるだけであった。華はボディの寿命が来たのだと考える。内蔵のメモリーがあるので、新しいボディがあればサナギを復活させることは可能だ。
 華は、サナギを座席に座らせると棺桶を検査室に収納し、調べる。
「なんだろうこれ?」棺桶のなかにアンドロイドの素体らしきものが入ってはいるのだが、棺桶から出すことも出来ないどころか、棺桶に書かれている文字らしきものを読むことも出来なかった。華の眼を通して現在この星に残った電子頭脳にサーバーを通してアクセスするのだが、回答は不明だが棺桶を構成する物質から、この惑星外のモノの可能性が高いとしか、わからなかった。
 華は、動かないサナギを抱きしめた。
「起きてよ!あんたが居なきゃ、もう嫌だよ!もう疲れたよ……」そういうとボロボロと泣きだすのであった。
 華は作業ジャケットのポケットから曲がった煙草を見つけると、ホバークラフトをジャンク島の浜辺に停めた。
 上部のハッチを開けて外にでると潮の香りがした。
 華は煙草に火をつけると、このままサナギの居なくなった世界で生きる意味を考えた。
 元々、華は人間であったが高度な義体に年老いた意識を移して生きながらえ、自分の世話をしてくれていた医療用アンドロイドのサナギのパーツを治しながら、共に生きてきた。
 華にとって自分が人間だった頃の記憶は、はっきりとあるものの何処か現実感がなく映画でも見ているような気持ちになるのだ。
 彼女の記憶の中の懐かしいホームドラマのには、現在の華は、もう存在しないのであった。
 華は、護身用の銃を腰から抜くと銃口を見つめた。オートマチック拳銃の安全装置を外しサナギとの思い出を脳裏に浮かべた。
 サナギから、華ちゃん!勝手に死んじゃダメだよ。という声が聞こえたような気がした。
 華は銃の安全装置をかけ直すと腰のホルスターに納めてホバークラフトのなかに戻った。
 車内では聞きなれない音がして、回収した棺桶から無数のパイプが出てサナギに絡みついていた。
「え!」華は、サナギに駆け寄るが彼女は動きを止めたまま、眉一つ動かさなかった。
「この子を復活させるかい?」と突然幼い子供の声が聞こえた。
「えっ」華は声のした方向を見ると、棺桶の横にホログラムの少年が立っていた。
「僕らの星とは言葉がだいぶと違うみたいだけど、ヒューマノイドタイプだし、復活させる事は可能だよ。」とホログラムが話し出した。華は異星のマシンがサナギのプログラムにアクセスし、言語データを学習したのだろうかと推測した。
「サナギを元に戻せるの」華はホログラムに話しかけた。
「停止前の状態に、そのまま戻すのは簡単にできるけど、もったいないとおもうよ!記憶はそのままで、かなり高性能な状態に出来るけど、どうする?」とホログラムの少年は言った。
「お願い!サナギをできる限り高性能にして復活させてちょうだい」と華は躊躇うことなく言った。
「わかった!僕にまかして。それにね、この子が復活しても、僕がサポートシステムとして学習させれるから、なんの心配も要らないよ。」とホログラムの少年はいう。華はホログラムの少年の美しい容姿に少しうっとりとする。
「それでね、サブシステムにセクサロイドの機能がメモリーされてるんだけど、それも移しとく?」とホログラムの少年があどけない声で質問をした。
 華には、その機能も二人の大切な記憶だったので、
「勿論、そのメモリーも移して」と口速に告げる。
「おう!とんだ変態さんだね。まかせよ」とホログラムが笑うように話す。華は、少年の声で発せられるには不釣り合いな言葉に少し頬を赤らめる。
「顔やスタイルなんかは、どうするんだい変態さん?」とホログラムは、ユーモラスに言葉を続ける。
 華は、破廉恥な妄想を思い浮かべるのだが、羞恥心から言い淀んでしまう。
 返事のない華に、痺れを切らしたのか、棺桶から新しいチューブが伸びて華に接続する。
「おお!いい趣味だね。それで行きましょう」と華の意識を読み取ったホログラムが言った。

 華は自分が意識を失っていた事に気づく、
「はい、ついでに華さんのボディもメンテナンスしておいたよ。パワーも人間よりはあるようにしておいたから、色々便利にはなったと思うよ」とホログラムの少年が言う。その横には幼い少女の姿をした新しいボディのサナギがいた。
「わあ素敵!華ちゃん、ありがとうアタシ好みの外見に変えてくれて」と衣服のない少女のサナギが素っ裸で悦んでいる。
「サナギは、こんな幼い容姿でもパワーが出るのかな?」華が聞く。
「勿論、このサナギのボディは僕らの星の軍部が作ったものだらね。ひとりでもちょっとした軍隊並みだよ」と言ったホログラムの言葉に、華は自分の失態に気づく。
「あなたたちの星の軍部に、管理されるって事?」華の言葉にホログラムの少年が頷いた。
「でもね!この星に降りたインセクトイド……昆虫型の宇宙人さえ始末してくれたら、それ以上仕事はないよ。僕が受けた指令はそれだだから、僕は母性と通信手段もなければ宇宙船もないから、僕が与えられた任務だけやってほしいってことなんだ。」とホログラムは笑う。
「ええ!華ちゃんアタシは虫キライだからヤダ!華ちゃんひとりでやってくれない」とサナギが言う。
「名前は、サナギなのに?」ホログラムが言う。
「あれ?サナギって、そういうの平気だったような……」と華が言う。
「サナギちゃんは、もともと人工知能のアンドロイドだけど、全てをこの星の人間以上にアップデートしたから、繊細さも生まれたのかもしれないね」とホログラムの少年が言った。

 華とサナギは、棺桶型メンテナンスマシーンのレンチを乗せて自分たちの島へと戻る事にした。
「ねえ、レンチ!私は島でアンドロイドの修理屋をやっているんだけれど、あんたに手伝ってもらう事って可能かなぁ」華はホバークラフトを操縦しながら、ホログラムのレンチに聞いてみた。
「ナノマシーンで、修理可能なアンドロイドだったら、ある程度は可能だけどね。僕がホバークラフトを修復できないように、君たちが言う旧式の金属メカは、ほぼ無理だと思うよ。サナギちゃんだって、僕が持ってた新品のボディに記憶データを移しただけだからね。僕は基本サナギちゃんのメンテナンスマシーンだと思ってね。華ちゃんのボディはナノマシーンで修復させるタイプだったから、改良やメンテナンスも可能だよ!君たち二人は、僕を見つけてラッキーだよ」とレンチは上機嫌だった。
「そうか、じゃあジャンクパーツ集めは続けなくちゃなぁ。でも、今回は帰るしかないわ!この棺桶が重いんで、これ以上荷物が積めないんだよね」華は、不具合が解消された自分のボディが扱いやすくなっている事を実感していた。

 レンチによると、棺桶は非常時のサナギの修復システムが組み込まれたカプセルであり、通常は使用することもないので、店の隅にでも置いておけばいいとのことだった。
 棺桶の中には、超小型の核融合炉が入っており原子力で駆動していると聞いた華はホバークラフトを慎重に運転するのっだった。
「まあ、棺桶は店に置いておくとして。また、こんな風にサナギとジャンク島に来る時って、レンチは無線かなんかでサナギのサポートができるのかなぁ」華の質問への答えが返って来なくなった。
「レンチ!どうしたの?まさか、壊れちゃったの……」華は、海上にホバークラフトを停止させて、振り向くが棺桶から少年のホログラム映像が出ていない。その横に可愛らしい黒いワンピースを着た天使のようなサナギが楽しげに微笑んでいる。
「あれ、服どうしたの」と華がきくと、
「この子にもらったんだ」とサナギが、華の足下を指差す。
 そこには、五十センチほどの二足歩行で歩き出しそうな白いウサギのぬいぐるみが置いてあった。
「え!こんなもの拾ってないけど……」華は、そのウサギが随分と綺麗なことに違和感を感じる。
「僕だよ、レンチだよ」と、ぬいぐるみの白いウサギは言った。
「アタシの微調整してもらっているときに、サポートするときは、どんな外見がいいかってレンチがきくから、ウサギさんをイメージしたんだ」とサナギはいう。
「僕の体内に、超小型原子力発電機が収まっているから、棺桶を置いて留守にしても安心だよ。」とレンチは言った。
「ねえ、華。あの棺桶の中にある3Dプリンターで服やぬいぐるみも作れるんだよ。洋服屋さんとかやってみない。みんな喜ぶと思うよ物々交換でもいいんじゃない」サナギが言った。華は現実問題として貨幣経済が殆ど機能しなくなっている現在では物々交換の方が現実的なのだが、小さな街では食料が穫れるまでの仮の形として代金としてのコインを使っているに過ぎない。その事を少し前までのサナギの頭脳は認識できなくなっていたことを知り、改めて実質的な文明の死を説明する。
 サナギは、記憶の断片がつながった事で少しづつ思い出していくのであったが、レンチはこの惑星の衰退ぐあいを知り驚きを隠せないのであった。
「この星の人類は、どれぐらい残っているんだい」とウサギのぬいぐるみは言った。
「わからない……私が人間の子供を最後に見たのは五十年は前だね、その家族も人間の集落を探して旅をしていたよ……ねぇインセクトイドって、人間を食べたりするのかな?」と華は運転席に戻りながら言った。
「基本的に彼らは草食なんだけれど、この星に彼らが降り立って五十年は経っているんだ。彼らが生き残って繁殖できていた場合、どうなっているかは僕にもわからないね」とレンチは言った。
「じゃあインセクトイドを始末するって話はなんなの?」華はいう。
「ちょっと待ってあげて、レンチはいま収集した知識を演算してるから……アタシと華の記憶とホバークラフトやジャンク島のコンピューターのデータと自分がこの星に来た時のデータを照合してしたりしてるみたいよ」レンチと、システムがリンクしたサナギが説明する。
「おそらく、レンチが受けた指令は無効になる可能性が高いわ。レンチの母星では種の絶滅した星を植民する方が優先度が高いから、アタシ達は人類の生き残りを探すことになるんじゃないかなぁ」とサナギは言った。
 
 華は、ホバークラフトを始動させ帰路に向かう。
 目的地は自分たちの住処『Flower and pupa repair shop』
「新しい家族のウサギさんと家に帰ろう」と言う華の横で、ウサギのぬいぐるみを抱いた幼い少女のボディを手に入れたサナギが微笑む。

 
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