おーい!お月様

江呂川蘭子

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おーい!お月様

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 この都会のオフィス街から少し離れた地域は、数年前からめっきりと田畑も減ってしまった。消えていった農地のかわりには、いま流行りの新築の一戸建てが林立していた。そんな住宅街の片隅に、小さい怪し気な喫茶店がある。それは随分と築年数の経った五階建て集合住宅の一階にぽつりとその店は異端で退廃的な雰囲気を放っていた。店の前のプラスチック製の立て看板は、店主の自筆らしく喫茶・過失致死とサイケデリックでカラフルな色づかいの文字が乱暴に描かれていた。
 店の中に入ると、大きなカウンターと三つのテーブル席があり照明は薄暗く壁や天井一面に怪しげな装飾品や古い雑誌の切り抜きに、どこから探して来たのかと目を疑うような猥褻なポスター。奇怪にも今の時代では滅多にお目にかかることもなくなった本当の虎の顔の剥製が壁に埋め込まれてカッと口を開き牙を剥いている。そして棚には何百枚ものアナログレコードが並び、今スピーカーからはピンクフロイドのルシファーサムが大きな音で鳴っている。シド・バレットの頼りなくもエッジの効いたギターサウンドがミラーボールから放たれ弱々しく揺れる光を斬り裂いているようにさえ見える。

「ジロウちゃん今日は、もう帰るわ」と一人の異形な男が席を立った。それは小学生の低学年ぐらいの小さな男で薄汚れた服を着て、背中は大きく曲がりヒトコブラクダのように膨れ、その顔は歪んで醜く腫れ上がっている。この醜い顔は生まれつきの遺伝子の損傷から生ずるものであった。奇妙で恐ろし気な容姿から年齢は判断し難いのだが四十歳はこえているようである。その奇怪な中年男は甲高いが意外にも明るい声で喫茶・過失致死のマスターに親しげに声をかけた。
「もう帰るの。ゆっくりして行けよ。遠慮なんかすんなよな」マスターは奇怪な男とは相反して長身で彫りの深い顔立ちで体格も良く手脚もがっちりと筋肉に守られているがすらりとスリムな印象で、長い髪を後ろでひとつに束ねている。
「ゴロちゃん、さっきのババアのことなら気にしなくって良いって」先程店に入って来た女性客のことを言ったのだ。この醜い男の名は五郎丸という。ほんの数分前に彼の容姿を見るなり、驚いて悪態をつくとすぐに出て行った二人組の年配の女性客のことをマスターの蒼井ジロウは不愉快そうに言った。
「いやいや、そんなんじゃねえんだ。オイラ赤井さんに頼まれてたことを思い出したんだよ。それにブッダも散歩に行きたそうだからよう」と照れ臭そうにポツリとつぶやいた。勿論、五郎丸はジロウに気を使っているだけである。そしてジロウは、そんな五郎丸の気持ちなどお見通しなのだ。彼はなんとなく、この心優しく醜い容姿をもった緑一寸法師五郎丸と名乗る男のことが好きなのである。
「そうかい。でもブッダの散歩なら、俺が連れてってやるよ。ちょうどハジメちゃんに用事があるしな。もうすぐ四葉ちゃん来る時間だし、もうちょっと居ろよ。ゴロちゃんヨツバちゃんのこと好きだろ」ジロウはそう言うと五郎丸の傍で寝ころがるブッダと名付けられた茶色い中型の雑種犬の頭を撫でた。ブッダは嬉しそうにクウーンと鼻を鳴らす。その時、
「ヤッホー」という若い女の子の声とともにステッカーがベタベタと貼られたガラス戸が開く。喫茶・過失致死でアルバイトをしている桃色四葉がやってきた。背は小さめ150センチぐらいだろう。肌の色は白く髪は白に近い金色に脱色しており二十代前半ぐらいにしか見えないのだが、本人が言うには自分は主婦で二十代後半の息子がおり、その子は自分で産んだ子だと言う。だが誰も四葉の家族を見たことはない。ジロウもアルバイトを採用する為に履歴書を催促するような男でもなかった。客で何回か来た四葉が店を気に入って、アルバイトをさせて欲しいと言いだしたので、容姿の良い若い女の子だし資本家を父に持ち裕福な育ちのジロウは赤井ハジメという男との計画遂行のためにも簡単に四葉を店のアルバイトとして採用したのだ。そのため数少ない仲間うちで皆が四葉の謎と彼女の年齢を楽しんでいた。
「じゃ、俺はハジメちゃんとこ行ってくるから、あと頼むね」とジロウはブッダの首輪に散歩用の綱をかけた。
「ねえ。それじゃあ一番星も呼んで来ればいいじゃない。早い目の定例会やろうよ。アタシね、とうとう五人目を見つけたかもしれないの。だからリーダーの一番星に、その人と会って決めてもらいたいの」桃色四葉は美しい顔立ちをほころばせながら言う。リーダーの赤井ハジメとは、この近所の山に掘立て小屋を自分で作り、自給自足をしている近辺の名物男で、蒼井ジロウとは小学校の同級生でもある。そして住み家を追われて、どこか別の街から、この地域にたどり着いた緑一寸法師五郎丸と愛犬ブッダを助け養っている男でもある。赤井ハジメは無口な男である。昔のことはジロウも詳しくは知らないのだが二人が中学生の頃に赤井の家は原因不明の火事で焼け一家離散しハジメは自衛隊に入ったと聞いていた。噂では放火が原因ではないかと言われていた。それが数年前にひょっこりと帰ってきて、元自分の家があった近くの山の中に、小屋を作って暮らしていたのである。そんな赤井を山路を散歩していたジロウが偶然見つけての再会となった。そのとき二人は子供時代の話に花が咲き、無口なハジメも父がたの方言と色々なものが混じりあったおかしな言葉でなまりながらよく喋った。
 蒼井は赤井と子供の頃に約束したテレビの特撮番組のような五人組の特殊な戦隊を作ろうという少年時代の約束を思い出して二人は大いに盛り上がり、赤井ハジメがリーダーと決まり五人のメンバーを探す大人気ないバカバカしい計画が始まる。そして五郎丸が入り四葉が入り四人のメンバーとなり今に至る。名前のない五郎丸に緑一寸法師五郎丸と名付けたのは赤井だった。おそらく五郎丸には戸籍がない。それは五郎丸が言っていた。だが赤井と山で暮らす限りなんの問題もない。赤井の小屋のある山は資産家である蒼井家の持ち物で長男を亡くした蒼井家の資産はジロウが受け継ぐ予定なのである。あくまで予定は予定でしかないのだが今の所はなんの問題もないといっていいのではないだろうか。名前さえない特殊な戦隊はなんの活動をする事もなく月に何回か、この喫茶・過失致死に集まり五人揃えば何かが出来るのだと信じて疑わないのであった。
 
 蒼井ジロウは鍵を開けてフェンスの扉を開き、蒼井家が所有する山に入る。山の上へと繋がる小道を少し歩いて行くとトンカントンカンと金槌をふるう赤井ハジメの大工仕事の音が聴こえて来た。悪戯者のジロウは赤井にわからぬように、こっそりと近づいて行くのだ。
「ハジメちゃんなに作ってんの」ジロウは真後ろにまで近づいて耳元で話しかけた。
「おお!ジロウ脅かすでねえ。びっくりしてもうたやないか」ハジメはギョロリとした目をカッと見開き怒鳴る。ハジメは昔のトラック野郎という映画の一番星というキャラクターに似ていると桃色四葉が言うのだが、四葉以外はそのキャラクターを知らない。それでも四葉は赤井ハジメのことを敬愛の念を込めて一番星と呼ぶ。
「いやぁゴロウとブッダにも部屋作ったろう思てのう。もうすぐ寒うなるさかいのぅ」ハジメは言葉を切って思い出したように自分の小屋に走って行くと、すぐに戻ってきた。手には肉がぎっしり詰まった大きなビニール袋が握られていた。
「このあいだ捕まえた猪だ。食え。助かっとる」と凍った肉を指差す。ジロウは前に提供したソーラーパネルと発電機に冷蔵庫のことを感謝していると言っているのだと理解した。
「いいよ。いつもありがとうな」とひとこと言ってニコリと微笑む。
「そうだハジメちゃん四葉ちゃんがさぁ。五人目になれそうなヤツを見つけたってさ。皆んな店に居るから来ない」
「おお!行く行く。イエローが見つかったんじゃ。今日は喫茶・過失致死で猪肉パーテェやのう」はしゃぐハジメ。
「喫茶・過失致死だけに、食中毒で過失致死なーんちゃって」とふざけるジロウ。
「おめえの冗談は黒すぎてわらえん。ちいっとも、おもろうねえんじゃ」真面目なハジメがむくれる。
「そんなことで怒るなよ。店に行こうぜ」ブッダの綱を引きいま登って来た小道を降りて行くジロウ。振り返ってハジメを見るブッダ。
「ちょう着替えるから待っとれ」ジロウも振り返りブッダの横に座る。

 喫茶・過失致死は、まだ夕方の五時だというのに閉店のプレートをかけて、猪肉パーティーで浮かれていた。調理はハジメがまかされていた。
「マスターは料理やんないの?」四葉の質問に、
「店の食べ物は全部冷凍食品だから、俺って料理できないの」と笑う。
「四葉ちゃんこそ料理どうなの?主婦なんでしょ」こんどはジロウが聞いた。
「アタシ肉の血とか苦手だから」と笑う。
「いやいや四葉ちゃんが一番食べてるし。いったいその身体のどこに入んのその量。ビールだって、もう5リットルぐらい飲んでない?」呆れ顔のジロウ。満腹で動けない様子の五郎丸とブッダ。黙々と料理を続けるハジメ。
「ううん。6リットルは飲んでる。それより一番星も食べようよ」厨房のハジメを呼ぶ四葉。
「今、猪肉のシチュー作っとるから」とだけハジメは答えて調理を続けていたが、しばらくすると厨房から出てきて四葉の横に座った。
「五人目は、どんなやつじゃ」と四葉の目を見つめる。四葉は妙な笑みを浮かべて、
「すんごい大きいのマスターの倍ぐらいあると思う」
「すげえ奴じゃの」とハジメ。
「そんな奴いねえよ」と笑うジロウ。ジロウの身長は183センチあり大男と呼ばれることも多いのだ。
 五郎丸が小さな目を開いて、
「オイラそいつ見たよ。うちの家の裏にいるよ」その瞳は真剣に見たと訴えている。
「マジかよ」静止するジロウ。
「五郎!なんで教えてくれんのん」嘆くハジメ。
「赤井さん。オイラ夢だと思ってたんだ」甲高い声をうわずらせながら話す。楽しそうな四葉。
「そんなデカい奴、店に入れねえよ。ちゅうか見るまで信じねえよ」と冷静なジロウ。
「でもね。ゴロちゃんの見たのは違うと思うなぁ。その人は山になんか行かないから」そう言うとサラサラっとメモ用紙に絵を描く四葉。
「ゴロちゃんの見たのは、こんな人じゃない」と描いた絵を五郎丸に見せる。
「うん、この人。オイラが見たのコレだ」うんうんと何度も頷く。
「ゴロちゃん。それは熊よ」理解できずフリーズする五郎丸。
「なんじゃ熊かぁ」ガッカリするハジメ。
 横で笑い転げるジロウ。
「今から、その人の家に皆んなで行かない」また大ジョッキを飲み干す四葉。
「その人は、もう何年も外に出てないの。だからね、こっちから会いに行かなきゃ彼には会えないの。それとマスター、ビールおかわり」白目を剥いて返事の代わりにしようとするジロウ。
「でさあ、そんな外にも出ない奴をどうやって見つけたの」と不思議そうにジロウが聞く。ハジメがうんうんと頷く。五郎丸はまだフリーズが解けない。
「ネットよ。彼は食べ物系の動画作家で料理に使っている食べ物のサイズがおかしいの、人間に比べてあらゆる物が小さすぎるの。あれは巨人族に違いないって。それが話題になった途端に彼はサイトを辞めちゃったの。いまは見れなくなったサイトよ。でもね今は手書き風のアニメーションを使って、また食べ物系の動画サイトをやってて、かなり儲けてるんじゃないかなぁ。実は昔からの知り合いでね。いまは山吹アストロゼネカって名乗ってるわ。聞いた事あるんじゃない」と少し自慢気に言う桃色四葉。
 だが皆が口を揃えて、
「知らん」と言う。
「昔の友達だけでええじゃろ」ハジメがいつもの突き放すような口調で言う。その横で笑い転げるジロウ。何がおかしいか考える五郎丸。
「ジロウは昔から人を馬鹿にし腐る」とハジメはジロウを睨みつける。
「ハジメちゃんの、そういうとこ大好き」と喜ぶ四葉。
「四葉ちゃんお願いがあるんじゃ」真っ直ぐに桃色四葉を見つめる赤井ハジメ。
「なんですか、改まって」少し四葉の頬にあかみがさす。
「ワシに四葉ちゃんの本当の歳を教えてくれんかのぉ」くず折れる四葉。ニヤニヤと笑うジロウ。興味深そうな五郎丸。また猪肉を喰らい出したブッダ。
「いいわよ。今年で六十六億六千六百六十六歳になりました」と不機嫌に言い放つ。誰も四葉の言葉に反応せず静観していた。
「五人目に会いに行くの?行かないの?」また不機嫌な四葉の声がこだまする。
「行きまーす」皆が憑かれたかのように返事をした。
 
 四葉がタクシーを呼んだというので、店の前で、ぼさっと突っ立っている四人と一匹。
「タクシーって、あれ!か」動揺を隠せないジロウ。大きな黄色いアメ車のタクシーがやって来た。
「日本にこんなタクシー。あったんかぁ」幼い子供のように嬉々と見惚れる赤井ハジメ。1970年代のアメリカ映画に出て来るようなタクシーが目の前に止まった。
「珍しいでしょ。イエローキャブよ」と四葉が笑う。運転手はエムエーワンと呼ばれるカーキグリーンのフライトジャケットを着ていた。おまけに夜だというのに古い大きなレイバンのナス型サングラスをかけて髪型は短いモヒカン刈りという怪しげな男だった。
「ヨンちゃん。メッチャ久しぶりやなぁ」運転手が車から降りて来て親しげに四葉に話しかける。
「とうとう買ったんだ映画で見たアメ車のイエローキャブ。トラビスの夢だって、ずうっと言ってたもんね」
「大学ん時から言うとったさかいなぁ」
「皆んな彼のことはトラビスって呼んでね。大学時代の友達」と四葉がおかしな関西弁を使う白人を紹介した。
「赤井さん蒼井さん緑一寸法師さんと犬のブッダやね。大学のころに、よく皆んなの話を聞かされましてん。ホンマに居たはってんねぇ。絶対ヨンちゃんの嘘やと思うてましたわぁ」ってことは四葉は去年大学を卒業したばかりなのだなと考えるジロウだった。
 四人を乗せてタクシーは走りだした。タクシーと言っても四葉の大学時代の友人が車ごとコスプレしているタクシー型の自家用車だと聞かされる。
「僕ら学校で映画研究所ちゅうサークルに入っとりましてん。ほいでね、そこで知り合いましてん。そん時からヨンちゃんと赤井さんは、つきおうてはってんね。トラック野郎の桃次郎にそっくりや言うとったから、もうすぐにこの人が赤井さんってわかったで」
「ちょっと余計なこと喋らないの」四葉がトラビスという友人の言葉をさえぎる。
「ハジメちゃん?なにソワソワしてんの」とジロウが赤井をからかう。そうこうしているうちに目的地に到着する。
「トラビスありがとうね」四葉が手を振る。
「ホンマ五年ぶりやもんなぁ。またゆっくり会おなあ」トラビスはそういうとイエローキャブの向きを変えて来た道を戻って行った。皆の耳に車内で流れていたトム・スコットのサキソフォンの音色が絡みついて離れなかった。しかし二人の会話を聞いていたジロウが一人驚愕していた。
 おいおい、五年前って… 四葉がうちで働き出したのは去年だぜ。ゴロちゃんが来たのも三年前だし… 五年前って言やハジメと俺が再会した頃だぜっ。
「どしたの店長?」ジロウの様子に気づいたのか四葉が声をかけてきた。
「いやね、やっぱり四葉ちゃん二十代なんだって思ってただけ」ジロウは自分の考えに気づかれぬように慌てた。
「バレちゃった。それとトラビスとはSNSでは、いまもしょっちゅうやりとりしてるんだ。一番星のことも、ちょっと大袈裟に言っただけだから」ジロウはこの言葉は嘘のような気がした。じゃあ、どうして嘘をつく必要がある。なんとなく四葉はなにかを俺たちに隠している。そんな疑惑の種がジロウの中に芽生えた。
「皆んな、ここの倉庫に五人目の候補者が暮らしているの。行きましょ」四葉は目のまえの倉庫を指差し暗がりを入り口へと向かっていく。その足取りは速く何度もここに来ているようだった。
「ここ来るのはじめて?」ジロウが思いとは逆のことを聞くと、
「いいえ、下見に何度か来て本人にも会って話したこともあるの」四葉は前を向いたまま答えた。皆がここに来ると知っていたように中から鍵がガシャと解錠される音が夜の倉庫街に響く。
 
 四人は倉庫の中に入ったのだが、灯りもなく真っ暗で何もみえない。
「照明はつけた方がいいかな。ワタシには必要ないのだがパソコンを使うので電気は通っている」と太い声が室内に響く。この声の主が山吹アストロゼネカという巨漢のようだ。
「俺は明かりがないと何も見えねえんで照明をつけてくれないかな」ジロウがいうと天井に吊るしてある蛍光灯が一斉に点灯した。真っ暗闇からいきなり明るい光に包まれたため一瞬目がくらんだ。だが視界がハッキリすると目の前にいたのは、本当の巨人だった。四葉以外の三人は目の前にそびえ立つような大男の存在が信じられない様子で、口をポカンと開けたまま呆けていた。
「この三人の者たちがそうなのですか」巨人は四葉に聞いているようだった。
「あんた人間なのか…」ジロウがいうと、
「選ばれし者たちよ。君達のいう人間という定義がワタシには、よく分からないのだが、大きな意味では君達とおなじヒューマノイドに属するとは思っている。この星の人間とは寿命も身体の大きさも、かなり違い過ぎはするのだがな」山吹アストロゼネカが話すと声の音圧で空気が震えた。ような気がした。
「あんた、宇宙人なんか」ハジメの瞳は少年のようにキラキラと輝いていた。
「おそらく君達のいう宇宙人という認識にワタシは、かなり大きな確率であてはまっている」
「ホンマかいな。宇宙人って居ったんやねえぇ。で、どっから来はったん。背は何センチあるん」赤井ハジメは子供に戻ったかのようにはしゃいでいた。
「ワタシは君達のいうプラネットナインから五千年ほど前にやって来た。年齢は二十二億歳ほどになる。身長はセンチメートルでいうと250だ」
「二メートル五十の宇宙人…ってどういうこと?」ジロウは四葉に聞いた。
「さぁ、アタシにもわかんない」と両手を上げて笑った。そんな四葉を見て、コイツ驚いてもいない。この女は知ってたんだ。異星人の存在も目的も、もしかしたら宇宙人の手先なのかも…
「触ってエエか。ホンマに大きいのぉ」ハジメが、山吹アストロゼネカの足を引っ張りだした。
「あ!ちょっと待って、やめてください。コケるって危ないからやめて」巨人の態度がおかしい。
「うわー」っと叫び声をあげてひっくり返る巨人。
「やっぱりなぁ、上げ底のブーツやと思うとったわ」ハジメは三十センチ程のロンドンブーツを右手に持って振り回していた。
「さすが一番星。気づいてたんだ」四葉はキャッキャと笑い飛び跳ねる。
「おまえー騙したなぁ」顔を真っ赤にして怒るジロウ。
「面白かったやないか、そんな怒りなや」となだめる。ジロウは自分がこんなかたちで人から笑われた事がないので、そうとうプライドを傷つけられたようだ。
「ジロウちゃんが、いつも人にやっとることと変わらんやないか」とハジメは続けた。
「ごめん。そうだな!四葉にやられたよ」と恥ずかしそうにうつむき照れ笑いを浮かべていた。山吹アストロゼネカはもう片方のブーツも脱ぐと立ち上がり、
「僕、本当は198センチしかないんですよ。四葉ちゃんに頼まれまして、皆んなを喜ばせたいって言うもんだから」
「デカいわ」とハジメとジロウが声をそろえて言った。あまりにも息が合っていたので、言った本人達が吹き出してしまった。
「ジロウ、五人目決定でええのう」
「うん、山吹だから愛称はブッキーで行こうぜ」
「はい、ブッキーです。よろしくお願いします」と山吹アストロゼネカは頭をヘコヘコと下げた。
「ブッキーって普段なにしてる人?」ジロウが聞く。
「飲食店を回って食レポの記事書いたり編集したりしてます。派遣なんでよくわかってないんですけどね。身体がデカいから食費を仕事中にうかせれるんで辞めれないっすわ」見たところ二十代前半のようだ。
「僕、ヨンちゃんの大学の後輩なんすよ。最近面白いことないって愚痴ってたら面白いことあるよって話聞かされて、コレです」ブッキーは頭をかきながら言う。
「店に戻って猪肉パーティーの続きでもやっか、四葉ちゃんまたタクシー呼んでよ」すっかり機嫌のなおったジロウだった。
「ヤマブキちゃん…いやブッキーが車持ってるから大丈夫よ」倉庫の隅に黒いセダンが置いてあった。ジロウはまじまじと、その車を眺めていた。
「三菱のデボネアしかも初代。すんごい綺麗じゃん」
「僕、車の事はあんましよく知らないんですけど、いまは珍しい車なんですよね。じゃ、コレで行きましょう。僕飲めないから運転手やりますわ」ブッキーは運転席に乗る、デボネアは運転席側のシートもベンチシートになっているのだが、彼の身長にあわせて改造されたようで運転席側のシート位置がかなり後方に固定されていた。それでもその大きな身体はギチギチでかろうじて収まる風にしか見えない。さすがに、この巨体では軽自動車には収まりきらないだろう。
「五人揃ったんじゃ。きっとエエ事があるでなあ。デボネア号出発じゃあ」後部座席でハジメはご満悦だった。
 
 そして半年ほどの時間がながれた。ハジメが特殊戦隊スゴインジャーと名付け皆、はバラバラに活動をしていた。
 ハジメは、
「ワシらは五人の戦士じゃ。ワシは山で天然野菜や果物に川魚と山でとれた天然の水を安うで売ろうと思うちょる。大自然のレッドじゃ」と嬉しそうに今日も空き地で商品を並べていた。近所の老人や主婦から美味しくて安いと評判になっていた。
 ジロウは、
「俺は絵を描いたり、アクセサリーとか自分で作ったものを店に並べて売る芸術のブルーな」喫茶・過失致死に商品を並べると、ジロウは知り合いの放送局関係の友人に根回しをして店にテレビの取材を入れて宣伝活動をした。メディアが大衆にうったえる力は強力である。そのおかげで新しい客も信じられないぐらい増えて店はおそろしいほどに繁盛していった。
 ブッキーは、
「僕はバイトの休みの日に、一人暮らしの老人なんかの家に行って、パソコンを教えたり家の中の掃除とか雑用を安価でやりだしました。心のイエローです」
 四葉は
「アタシは喫茶・過失致死の隅っこで、占いや悩み相談をはじめたわ。最初はおじさんや学生でも男の人しかいなかったんだけど、お店にお客さんが増えてからは、若い女の子のお客さんが増えだして人気者になっちゃったの。ジロウさんのアクセサリー販売にも一躍買ってます。癒やしのピンクよ」
 五郎丸は、
「オイラは、こんな容姿だから人目につかんように、こっそりとゴミやタバコの吸い殻を集めたり掃除をしたりして街の中をブッダといっしょに綺麗にしとる。アルミ缶だって、集める人たちが持って行きやすいように瓶やペットボトルと分類しとります。オイラ皆んなの清潔のグリーンになったよ」
 
 
 月に一度の定例会はブッキーの倉庫でおこなわれるようになった。その日は四葉とブッキーしかいなかった。
「あなたと二人で話すなんて、何百年ぶりかしら」四葉が笑う。
「僕はエフェクターになりました。あなたはまだエディターをされているのですよね」ブッキーがいつになく落ち着いた声で話す。
「そういえばライターが変更されるって知っていました」ブッキーは続けた。
「あれ、トラビスはクビなんだ。知らなかったわ…で次のライターって誰」四葉は少し驚いた様子だ。
「あの悪名高いパサーカーホークマンです。視聴者がもっと過激なものを求めているようなんで変えるそうです。秘密裏にホークマンの書いた台本の下書きを手に入れときましたよ。なんせ僕らは今メインアクターでもありますからね。読んでおいた方がいいですよ」ブッキーは何もない空間をまるで引き出しのように使い紙の原稿を取り出す。四葉は原稿を読み出す。困惑の表情から激しい怒りの表情へと変わっていく。
「ホークマンは何処にいるの。月の裏側で執筆しているのかしら」四葉がハジメやジロウたちに決っして見せることのない厳しい表情で聞く。
「とにかく皆んなのところにいかなくちゃ。車をだしてちょうだい」ブッキーは勢いよくデボネアを走らせる。
「この台本もう動いてる。皆んなが危ないの出来るだけ修正するから、あなたは皆んなのところまで運転をお願い。急いで」四葉は後部座席で何もない空間をモニターに変えるとその下の空間を切ってキーボードを取り出した。
「ちょっと遅かった。でも一番星とジロウさんは助けれるわ。ホークマンの野郎」激しく雄叫びのように怒鳴りながら亜空間キーボードを激しく操作する四葉。
「よーし!エンター。これ以上修正できないようにロック。コレでこのプログラムが完了するまで誰も触れない」不敵に笑う四葉。
「僕にも、編集し終わったシナリオを読ませてもらっていいですか」ブッキーは喫茶・過失致死の前に車を停める。四葉は目の前の空間に手を突っ込むと、紙の台本を引っ張り出してブッキーに渡す。
 四葉が店の中に入ると、首がありえない角度にねじ曲がったブッダの死骸が転がり、ハジメがボロボロ泣いていた。声を殺して咽び泣いていた。横でジロウが煙草をくゆらしている。
「四葉ちゃん、ゴロウが掃除してるところを怪しい男がうろついてるって警察に通報した奴がいて、そいつらがゴロちゃんを捕まえて袋叩きにしてたんだって…それを見たブッダがゴロちゃんを守ろうとしたんだけど、そいつらに殴り殺されたらしいんだ。ゴロちゃんもブッダが殺されたのを見て、さすがに我慢できなくなって暴れたんだって…あの、おとなしいゴロちゃんがさぁ…そんなところに警察がきて、暴れるゴロちゃんに警察は発砲したみたい。銃で撃たれてゴロちゃん連れて行かれたらしいよ…撃たなくったっていいのにさぁ。ブッダの死体は、トラビスが持って帰ってきてくれたよ。トラビスが偶然その場にいたんだ。いまの話は全部トラビスが教えてくれた話だ。俺、今から警察に行ってくるわ。ゴロちゃん返してもらうわ」力なく話すジロウ。
「そう…」うつむき泣きじゃくるハジメを抱きしめる四葉。パトカーのサイレンが聞こえる。しかも一台や二台ではなくおびただしい数のパトカーと装甲車が喫茶・過失致死に集まって来たのだった。ジロウが外に出るとブッキーが台本を見て笑っていた。
「もう、あなたって人は」そして台本を四葉に返す。四葉はまた何もない空間を切って台本をしまった。
「俺、目がおかしくなったじゃないかなぁ。ブッキーが滅茶苦茶デカく見えるんだけど」ジロウがブッキーを見上げる。
「いやぁ誰かが設定変えちゃったんですよ。身長は5メートルあります。何故か今から警察車両をオモチャみたいに投げてきます」ブッキーはドシドシと走りほんとうにパトカーや装甲車を投げ出した。ブッキーに一斉射撃をする警官隊。空から轟音を唸らせ自衛隊のヘリコプターが現れブッキーに砲撃をはじめた。ブッキーは足元の車やスクーターなんかをヘリコプターのプロペラ目がけ投げつけると面白いようにヘリコプターは墜落していったかと思うとこんどは陸上自衛隊の戦車まででてきたのだ。
「十式戦車と九十式戦車…」ジロウは頭をかかえる。
「ジロウさん、これは夢よ。お店に戻りましょう」四葉はジロウの左手をしっかりと握り歩きだす。ジロウと四葉は店に戻りハジメを落ち着かせた。一時間程すると嘘のような爆音も止み、おもては静かになった。ジロウとハジメが様子を見にいこうといいドアをあけた。
[#phonto 9(fig20220919174555.jpg、横1536×縦2048)入る]
「あれ何」と三人で店からでると装甲車や戦車の瓦礫の上に座る巨人を見てハジメがいう。
「多分、ブッキー…夢かも知れんけど」とジロウが言う。音もなく空に突然無数の空飛ぶ円盤が現れる。その円盤の群れはあっという間に空を覆いつくすほどの数となり、ブッキーをアブダクションするかのように彼を取り巻いた。そのとき何処かからおびただしい光弾が飛んできた。空は閃光につつまれ一瞬なにも見えなくなった。もとの空に戻ったときには円盤の姿はどこにもなかった。
「灰にしてやったわ…」四葉が小声でつぶやいた。四葉の目の前の空間が放電されているのかバチバチと光ったかと思うと目のまえに突然巨大モニターが現れる。
「やめろワタシの作品がめちゃめちゃじゃないか、早く元に戻せエディターが勝手にシナリオを書き換えるなんて許せるべきことではないんだ。ワタシの作品を楽しみにしている視聴者がいるんだぞ」丸い小さなサングラスをかけた短い銀髪の男性が四葉に文句を言っているようだ。
「ホークマン!どうせ汚い手を使ってトラビスをライターから下ろしたんでしょ。今度という今度は本当に許さないから」四葉がモニターに向かって中指を立てる。
「ふん、ワタシが月の裏側の安全な場所に居るのはご存知かな」ふふんと嫌味に笑うホークマン。
「この国に古墳というものが有るのをご存知かしら」と四葉が笑った。
「あの下に置いてある宇宙船でワタシのところまで来ようって算段かね。それまでにワタシはどこかもっと安全なところに隠れるとするか」
「もう手遅れよ。バイバーイ」空が震え恐ろしい震動が地球を襲う。ホークマンの小さな悲鳴とともに四葉の前のモニターは消えた。
「何があったんじゃ」ハジメが四葉に詰め寄る。
「何もないのよ。全部夢だから、もう少し眠りましょう」そ言うと四葉は店の中に戻って行くのだった。ハジメとジロウには空間が歪みまるで世界が溶けていくような幻覚で真っ直ぐに歩けない。それでも恐ろしくはなかった。優しい暖かい光につつまれていると確信できたからだ。やがて眠るように意識は遠のいていった。
 
 四葉は喫茶・過失致死のカウンターで目が覚めた。
「早く五人目を見つけなきゃな。ハジメのヤツちゃんとメンバーを探してんの」ジロウが言う。
「多分ね」と赤井四葉が笑う。
「四葉ちゃん、月ってさぁ前から真ん中に穴空いてたっけ」ジロウがポカンとして店の窓から見える月を見ていた。
「六十年に一回見える現象よ。ジロウさん知らなかったの」四葉は下を向いて笑いを必死で堪えた。
「そろそろハジメちゃん達が迎えに来る時間だから帰るわ店長」と言って四葉は店をでた。少し歩くとブッキーとトラビスがコンビニエンスストアの駐車場で立っていた。
「ヨンちゃん。キミさあ上層部から、すんごい事怒られるよ」真ん中がポッカリとぬけドーナツのようになった満月を指差していう。
「大丈夫。六十七億年近く生きてると色々あるわよ。ホークマンみたいな新米を消したところで問題ないわよ」笑う四葉を見て、
「母さん。非常用の宇宙船を弾丸がわりに使って月を撃ち抜くなんてとんでもない事をしたんだよ。わかってんの。死んだのホークマンだけじゃないし中継システム自体が破壊された状態なんですよ。もうあなたは会う度に問題を起こすんだから」ブッキーがため息を漏らした。
「じゃ、亭主と新しい息子が迎えに来たから。バイバーイ。トラビスは良い台本書いてね」と四葉は近づいて来る影に向かって走りだす。
「大変な母さんだね」とトラビスが笑う。
「この星に来たのは僕の方が先なんですけど、母が来てから、問題解決のためと毎回問題を起こすので、僕が上と話をつけてます。でも本当は上も怒ってないです。母の行動はいつも正しいと言ってくれます。でもそれを言うと、あの人が調子にのるので…ああ言っておかないとね」月を見て苦笑いする二人。

 ふたつの影とは別に一匹の犬がいた。四葉は二人と一匹をかわるがわる抱きしめた。それは大切なものに対する愛おしさを抑えられないように見えた。
「ハジメちゃんゴロちゃんただいま。ブッダも嬉しそうね」ブッダはブンブンと尻尾を振りじゃれつく。
「明日はゴロウの誕生日じゃ。ゴロウも十歳か、産まれたんが昨日のことみたいじゃ。母親似の美少年と言われて、ワシも鼻が高い」コンビニの近くにある自分の家に帰る四葉。表札には赤井と書かれ、その下にハジメ、四葉、五郎丸、ブッダと書かれていた。
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