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監獄島の惨劇 ジャンル:ホラー
2時56分 鮫太郎
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菅山の自殺を見届けた俺は、屋上に上がり、手摺りに凭れかかりながら、真っ暗な海を眺めていた。
なんとなく夜風が恋しくなったのだ。ずっと埃っぽい室内にいたせいかもしれないし、一仕事を終えたという達成感もあったかもしれない。収容所内に残されているのは、姉貴と瞬さんと真紀の三人だけだ。もう危険はないだろう。
福田明美と遭遇し、別行動をとった後で、俺は一度休憩室に立ち寄った。そこで、変わり果てた姿となった明美を発見したのだ。ここにいる人間の中に殺人者がいる――そう判断した俺は、真紀の捜索と併せて、その殺人者を探すことにした。真紀はついに見つける事ができなかったが、殺人者の方は始末する事ができた。もはや肝試しがどうのと言ってくる奴もいないし、ここで少しのんびりと時間を潰しても、誰にも文句は言われないはずだ。
夜風が頬を撫で、体温を奪ってゆく。
火照った体を冷やすのにちょうどいい寒さだ。
昂った心を収め、冴えた神経を宥めて、
再び、普通の高校生の顔に戻らなければ。
俺が初めて動物を手にかけたのは、12歳の時だ。
道端で見つけた子猫だった。全身が真っ黒な黒猫。段ボールに一匹だけ、押し込まれて捨てられていた。縋るように俺を見上げるその瞳が、とても可愛かった。愛おしかった。段ボールごと近くの廃ビルにこっそり運び込んで、僅かな小遣いをはたいて、毎日キャットフードを買い与えていた。
子猫はとてもよく俺に懐いた。俺の姿を見つけると、にゃあにゃあと鳴きながら駆け寄ってきて、ごろごろと喉を鳴らしながら、子猫特有の、ぽわぽわした柔らかい被毛を頻りに擦りつけてくるのだ。
俺はこの子の事をもっとよく知りたくなった。しかし、言葉が通じないのがもどかしい。日に日にフラストレーションが溜まっていって、自分でもどうすればいいのかわからなくなった。
俺が出した答えは、解剖だった。
完全に無防備な子猫の首に、ナイフを振り下ろす。即死だった。きっとこの子は、何が起こったかもわからなかっただろう。自分が何をしているのか、俺自身わからなかったぐらいなのだから。
動かなくなった子猫を見て、俺が最初に感じたのは、それまでに感じた事のない喪失感だった。心にぽっかりと穴が空いたようだった。
俺は何をしているんだ?
どうしてこんな事をしてしまったのだろう……。
しかし一方で、その虚無感を心地よく感じている自分もいた。この時俺は、自分の心の中に穿たれた虚無の穴から、奈落の底を覗き込んでしまったのだ。
子猫の体を隅々まで調べ尽くした俺は、とても感動した。この子の全てを知ることができた、手に入れることができた、という征服感。そして、言葉では言い尽くせない高揚感が、俺の中に芽生えた虚無と好奇心を満たし、カタルシスを齎したのだ。
それから俺は、その廃ビルで、ありとあらゆる小動物を解剖した。犬、猫、鼠、雀、烏、時には虫さえもその対象になった。
その対象が人間にまで及んだのは、俺が14歳の頃だ。
廃ビルの屋上に登って飛び降り自殺をしようとしていた、年上の綺麗な女の子だった。それから、まあ色々あって、彼女と俺は愛し合うようになったのだが、それはまた別の話。
彼女を殺したのは、初めて結ばれた夜のことだった。
「私を殺して」
彼女は何度もそう言った。
俺は躊躇した。彼女は特別な存在だったから。
しかし彼女は、死に、救済を求めていた。俺は彼女に抗う事ができなかった。
その細い首に手をかけた時、彼女は恍惚とした表情を浮かべていた。
俺は涙を流しながら、親指に力を込めた。彼女の命が消えていく感触が、今でも指先に残っている。
彼女は最後まで、ぴくりとも動かなかった。その死に顔は、人形のように綺麗だった。
それから、彼女の美しい裸体を、俺は切り開いた。
彼女の体内は、やはり美しかった。彼女の思考、彼女の人生、ふとした時に見せる陰のある笑顔、さりげなく髪をかき上げる仕草、抱き合う度に鼓動を伝えてきた小さな心臓、そしてついさっき、俺を受け入れた胎内。
それらを形作っていた精巧なメカニズムを、俺は一つ一つ確かめていった。鮮やかな肉の色彩、柔らかな心臓の感触、艶やかな目玉の輝き……今でも、その全てを克明に思い出せる。
本当に、夢のような時間だった。
しかし、人間を殺すという事は、小動物とはわけが違う。
彼女は家族から愛されない孤独な人間だったが、それでも、彼女の失踪はニュースとして大々的に報じられた。彼女のことを愛していなかった両親が、テレビカメラの前で偽りの涙を流し、これ見よがしに彼女の名を叫んだ。制服姿の彼女の写真が毎日のようにニュースのネタにされ、訳知り顔の芸能人やコメンテーターが的外れなコメントを吐いた。それを見るたびに、俺は反吐が出そうだった。
彼女の死体は、あの廃ビルに隠されたまま、未だに発見されていない。
それ以降、俺は廃ビルに行く事をやめた。やはり人間を殺すのは難しい。とはいえ、今更小動物を解剖する気にもなれなかった。それに、どれだけ人間を切り裂いたところで、彼女以上の満足感は得られずに、虚しくなるばかりだろう。そう思っていた。真紀と出会うまでは……。
解剖に飽きた俺が次に興味を持ったのは、人間の心だった。
ヒトの精神。それは、人体の小宇宙に引けを取らないぐらい精巧で、神秘に満ちている。おそらく、彼女との交歓が性癖を変えたのだろう、と俺は自己分析した。こっそりと精神分析や心理学の本を読み漁り、そこから得た知識を元に、その辺で死にそうな顔をしている人間を詰ってみた。
だが、相手は人間である。しかも、ほとんどが年上だった。最初はなかなかうまくいかず、殴り合いの喧嘩に発展する事さえあった。現在の格闘スキルは主に、その当時に磨かれたものである。
しかし、試行錯誤しているうちに段々とコツが掴めてきて、コンスタントに相手を自殺に追い込む事ができるようになってきた。
人間が精神的に追い詰められていく様は、解剖とはまた違った趣があった。いや、そもそも、俺がしている事は、元々追い詰められている人間の心を強引に暴露させるだけであって、それはある意味、カウンセリングにも似ているかもしれない。その結末が、死という形のカタルシスである。それだけの違いではないか、と俺は思うようになった。
そして、色々な人間を自殺に追い込んでいくうちに、どこから聞きつけたのか、依頼が舞い込むようになった。その中には報酬が発生するものさえあった。それが今では、趣味と実益を兼ねたアルバイトとなっているのである。
仕事をこなしていくうちに、噂を嗅ぎ付けたある組織がそれを仲介するようになって……。
おっと。
少し感傷的な気分になって、昔の事を思い出してしまったようだ。これも冬の夜風のせいだろうか。体の冷え具合から察するに、屋上に上がってから、既にだいぶ時間が経っているはず。スマホを取り出して液晶画面を確かめた。
3時32分。
もう30分以上ここで過ごしていたらしい。そろそろ戻るか……。
俺は、屋上の手摺りを離れ、5階への下り階段へと足を向けた。その時である。
ざわっ……
音が聞こえたわけではない。しかし、明らかに空気が変わった。風がざわついた、そんな感覚があった。それは、冬の乾燥した冷気ではない、もっとじめじめとした、重苦しい空気だ。
不審に思って辺りを見回してみると、屋上の周囲に何か、濁った膜のようなものがかかっている。もちろん、ついさっきまでは存在しなかったものである。
近付いて手を触れてみると、バチッと、電流が走ったような痛みを覚えた。
「何だ、これ……?」
その呟きに被せるように、
ゴーン……
ゴーン……
ゴーン……
ゴーン……
ゴーン……
ゴーン……
脳を揺らすような大きな鐘の音が、何度も何度も、繰り返し鳴り響いた。
なんとなく夜風が恋しくなったのだ。ずっと埃っぽい室内にいたせいかもしれないし、一仕事を終えたという達成感もあったかもしれない。収容所内に残されているのは、姉貴と瞬さんと真紀の三人だけだ。もう危険はないだろう。
福田明美と遭遇し、別行動をとった後で、俺は一度休憩室に立ち寄った。そこで、変わり果てた姿となった明美を発見したのだ。ここにいる人間の中に殺人者がいる――そう判断した俺は、真紀の捜索と併せて、その殺人者を探すことにした。真紀はついに見つける事ができなかったが、殺人者の方は始末する事ができた。もはや肝試しがどうのと言ってくる奴もいないし、ここで少しのんびりと時間を潰しても、誰にも文句は言われないはずだ。
夜風が頬を撫で、体温を奪ってゆく。
火照った体を冷やすのにちょうどいい寒さだ。
昂った心を収め、冴えた神経を宥めて、
再び、普通の高校生の顔に戻らなければ。
俺が初めて動物を手にかけたのは、12歳の時だ。
道端で見つけた子猫だった。全身が真っ黒な黒猫。段ボールに一匹だけ、押し込まれて捨てられていた。縋るように俺を見上げるその瞳が、とても可愛かった。愛おしかった。段ボールごと近くの廃ビルにこっそり運び込んで、僅かな小遣いをはたいて、毎日キャットフードを買い与えていた。
子猫はとてもよく俺に懐いた。俺の姿を見つけると、にゃあにゃあと鳴きながら駆け寄ってきて、ごろごろと喉を鳴らしながら、子猫特有の、ぽわぽわした柔らかい被毛を頻りに擦りつけてくるのだ。
俺はこの子の事をもっとよく知りたくなった。しかし、言葉が通じないのがもどかしい。日に日にフラストレーションが溜まっていって、自分でもどうすればいいのかわからなくなった。
俺が出した答えは、解剖だった。
完全に無防備な子猫の首に、ナイフを振り下ろす。即死だった。きっとこの子は、何が起こったかもわからなかっただろう。自分が何をしているのか、俺自身わからなかったぐらいなのだから。
動かなくなった子猫を見て、俺が最初に感じたのは、それまでに感じた事のない喪失感だった。心にぽっかりと穴が空いたようだった。
俺は何をしているんだ?
どうしてこんな事をしてしまったのだろう……。
しかし一方で、その虚無感を心地よく感じている自分もいた。この時俺は、自分の心の中に穿たれた虚無の穴から、奈落の底を覗き込んでしまったのだ。
子猫の体を隅々まで調べ尽くした俺は、とても感動した。この子の全てを知ることができた、手に入れることができた、という征服感。そして、言葉では言い尽くせない高揚感が、俺の中に芽生えた虚無と好奇心を満たし、カタルシスを齎したのだ。
それから俺は、その廃ビルで、ありとあらゆる小動物を解剖した。犬、猫、鼠、雀、烏、時には虫さえもその対象になった。
その対象が人間にまで及んだのは、俺が14歳の頃だ。
廃ビルの屋上に登って飛び降り自殺をしようとしていた、年上の綺麗な女の子だった。それから、まあ色々あって、彼女と俺は愛し合うようになったのだが、それはまた別の話。
彼女を殺したのは、初めて結ばれた夜のことだった。
「私を殺して」
彼女は何度もそう言った。
俺は躊躇した。彼女は特別な存在だったから。
しかし彼女は、死に、救済を求めていた。俺は彼女に抗う事ができなかった。
その細い首に手をかけた時、彼女は恍惚とした表情を浮かべていた。
俺は涙を流しながら、親指に力を込めた。彼女の命が消えていく感触が、今でも指先に残っている。
彼女は最後まで、ぴくりとも動かなかった。その死に顔は、人形のように綺麗だった。
それから、彼女の美しい裸体を、俺は切り開いた。
彼女の体内は、やはり美しかった。彼女の思考、彼女の人生、ふとした時に見せる陰のある笑顔、さりげなく髪をかき上げる仕草、抱き合う度に鼓動を伝えてきた小さな心臓、そしてついさっき、俺を受け入れた胎内。
それらを形作っていた精巧なメカニズムを、俺は一つ一つ確かめていった。鮮やかな肉の色彩、柔らかな心臓の感触、艶やかな目玉の輝き……今でも、その全てを克明に思い出せる。
本当に、夢のような時間だった。
しかし、人間を殺すという事は、小動物とはわけが違う。
彼女は家族から愛されない孤独な人間だったが、それでも、彼女の失踪はニュースとして大々的に報じられた。彼女のことを愛していなかった両親が、テレビカメラの前で偽りの涙を流し、これ見よがしに彼女の名を叫んだ。制服姿の彼女の写真が毎日のようにニュースのネタにされ、訳知り顔の芸能人やコメンテーターが的外れなコメントを吐いた。それを見るたびに、俺は反吐が出そうだった。
彼女の死体は、あの廃ビルに隠されたまま、未だに発見されていない。
それ以降、俺は廃ビルに行く事をやめた。やはり人間を殺すのは難しい。とはいえ、今更小動物を解剖する気にもなれなかった。それに、どれだけ人間を切り裂いたところで、彼女以上の満足感は得られずに、虚しくなるばかりだろう。そう思っていた。真紀と出会うまでは……。
解剖に飽きた俺が次に興味を持ったのは、人間の心だった。
ヒトの精神。それは、人体の小宇宙に引けを取らないぐらい精巧で、神秘に満ちている。おそらく、彼女との交歓が性癖を変えたのだろう、と俺は自己分析した。こっそりと精神分析や心理学の本を読み漁り、そこから得た知識を元に、その辺で死にそうな顔をしている人間を詰ってみた。
だが、相手は人間である。しかも、ほとんどが年上だった。最初はなかなかうまくいかず、殴り合いの喧嘩に発展する事さえあった。現在の格闘スキルは主に、その当時に磨かれたものである。
しかし、試行錯誤しているうちに段々とコツが掴めてきて、コンスタントに相手を自殺に追い込む事ができるようになってきた。
人間が精神的に追い詰められていく様は、解剖とはまた違った趣があった。いや、そもそも、俺がしている事は、元々追い詰められている人間の心を強引に暴露させるだけであって、それはある意味、カウンセリングにも似ているかもしれない。その結末が、死という形のカタルシスである。それだけの違いではないか、と俺は思うようになった。
そして、色々な人間を自殺に追い込んでいくうちに、どこから聞きつけたのか、依頼が舞い込むようになった。その中には報酬が発生するものさえあった。それが今では、趣味と実益を兼ねたアルバイトとなっているのである。
仕事をこなしていくうちに、噂を嗅ぎ付けたある組織がそれを仲介するようになって……。
おっと。
少し感傷的な気分になって、昔の事を思い出してしまったようだ。これも冬の夜風のせいだろうか。体の冷え具合から察するに、屋上に上がってから、既にだいぶ時間が経っているはず。スマホを取り出して液晶画面を確かめた。
3時32分。
もう30分以上ここで過ごしていたらしい。そろそろ戻るか……。
俺は、屋上の手摺りを離れ、5階への下り階段へと足を向けた。その時である。
ざわっ……
音が聞こえたわけではない。しかし、明らかに空気が変わった。風がざわついた、そんな感覚があった。それは、冬の乾燥した冷気ではない、もっとじめじめとした、重苦しい空気だ。
不審に思って辺りを見回してみると、屋上の周囲に何か、濁った膜のようなものがかかっている。もちろん、ついさっきまでは存在しなかったものである。
近付いて手を触れてみると、バチッと、電流が走ったような痛みを覚えた。
「何だ、これ……?」
その呟きに被せるように、
ゴーン……
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ゴーン……
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