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もう一人の主役
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難航していたジュリエットの配役は、どういうわけか男の僕に決まってしまった。声の問題に関しては、副部長が舞台の袖で僕の演技と同時に台詞を読み、その音声を流して対処することになった。普通に演じるよりもはるかに難しくはなるけれど、そうまでしてでも部長は僕にジュリエットを演じさせようとしたわけだ。
が、それですべての問題が解決したわけではなく、むしろ振り出しに戻ったとさえ言える。それは僕がジュリエットを演じる場合のロミオの身長の問題だ。
そもそも、演劇初心者の一年である僕が主役の一人であるロミオに抜擢されていたのには二つの理由があった。ひとつは僕が姉貴の弟であるという話題性。そしてもう一つは、今の演劇部には小柄な女子しかおらず、ロミオを演じて映える人がいないという問題。僕は男の中では決して身長の高い方ではないが、それでも今の演劇部の中ではおそらく一番大きい。仮にこのまま僕がジュリエットを演じるとすると、今度はこちらのロミオ役の問題が再び暗礁に乗り上げてしまうわけだ。
消去法でやはり僕がロミオを演じるべきか、それともよりハマりそうなジュリエットを演じるべきか、部内でも意見が分かれていた。
その話し合いの中で出て来た仰天の案が、なんとロミオ役を演劇部の外から連れて来てはどうか、というものだった。発案者は福島副部長だ。
「外からって……いったい誰を?」
夕陽の差し込む部室で、天野部長が尋ねる。部長だけではない。その場に集まった部員全員が、一様に怪訝そうな表情を浮かべている。
文化祭という大きなイベントで、三年生にとっては実質最後の舞台。部員はみんな気合が入っている。だからこそ、去年と比較されるリスクを冒してでもこの『ロミオとジュリエット』をやろうと決めたのだ。その大事な劇の主役を演劇部以外の人間に任せるなんて。副部長に向けられた眼差しには、困惑よりどちらかといえば非難の色が濃く混じっていたように思う。
その気持ちは僕も同じだ。去年の姉貴や藍子さんが作り上げた『ロミオとジュリエット』を間近で見て、その跡を継いだ副部長だって、想いは同じではないのか。
場の空気を鎮めるように、部長は努めて冷静な口調で質問を重ねる。
「今はどこも文化祭の準備で大忙しなんだし、他の部からそう簡単に人を借りて来られるわけないってことぐらい、舞も知ってるよね? それに助っ人を呼んだところで、演技の経験がない人を本番までに仕上げるなんて……」
「じゃあダリア、いったい誰がロミオをやるの? それともやっぱり今川くんをロミオにする? だったらあたしは責任持ってジュリエットをやるよ。『去年は良かったけど今年はちょっと』って言われるのがわかりきってる劇で、他の子に恥をかかせたくないもん」
副部長のいつになく真剣な表情に、部長も少し面食らったようだった。副部長はさらに続ける。
「ホントは夏休み前にこういうことを話し合って決めておかなきゃならなかった。時間がないのはわかってるよ。それがあたしのせいなのもわかってる」
「いや、それは舞のせいじゃないよ。麻美さんがあんなことになって、あたしたちだってショックで劇どころじゃなかったもの。それに、舞がいないと色々スムーズに進まないし、あんたがいないところで色々決めちゃうのはなんか違うって、あたしが判断したんだから」
「みんなの気遣いにはホントに感謝してる。でもそれはやっぱりあたしのせいなんだよ。だからこそ、あたしはこの劇を何としても、絶対成功させたい」
福島副部長の真摯な訴えに、天野部長も少し態度を軟化させた。
「……その気持ちはわかるけど……助っ人って、誰かあてがあるの?」
副部長はその小さな顔で重々しく頷いた。
「一人だけ、同じクラスで目星をつけてる人がいるんだ。今はどこの部にも所属してないし、実は演劇部に誘おうかって迷ってたぐらい。今川くんより背も高いし、舞台映えもすると思う。多分演技の才能もあると思うんだ。これはあたしの勘だけどね」
「同じクラス……? 三年ってことだよね。いたかな、そんな子……」
「もしその人に頼んでダメだったら、それかちょっと演技の練習してもらってやっぱり無理ってなったら、ロミオ役は今川くんでいこう。それしかない。ね、今川くん、明日の放課後、何か予定ある?」
突然話を振られて驚いたが、明日は部活以外にこれといって済ませなければならない用事はない。
「いえ、特にはありませんけど……」
「じゃあ、ちょっと顔貸してくれないかな。お願いするにも、相手役がいたほうが話が早いと思うからさ」
!i!i!i!i!i!i!i!i
翌日の放課後。僕は副部長に連れられて、副部長の教室へと向かった。
考えてみれば、三年生の校舎に来るのはこれが初めてかもしれない。一年の教室はどこも数人の男子がいるが、共学になる以前の三年生はもちろん全員が女子だ。やっぱり少し雰囲気が違うのだろうかと緊張していたけれど、既に放課後ということもあり、残っている人はまばらだった。
そして、目的の副部長の教室に辿り着くと、そこでは一人の女子生徒が窓辺に立って、外の風景を眺めていた。副部長の言葉通りにすらりと背が高く、姉貴ほどではないけれど僕よりは確実に大きい。見たところ170センチぐらいはあるのではないだろうか。腰まで届きそうな艶のある黒髪が印象的だ。その背中に、副部長が声を掛ける。
「ごめーん、袴田さん、待たせちゃった?」
女子生徒がこちらを振り返り、微笑を浮かべながら答えた。
「ううん、今日は暇だし、大丈夫」
袴田さんと呼ばれた人の笑顔、そのあまりの美しさに、僕は何故かぞわりと背筋が凍るような感覚がしたけれど、それは本当に一瞬のことだった。怖いわけではない。くりっとした目元、形の良い唇、笑った時頬にできるえくぼ。そのどれもが可愛らしくて、どちらかといえば童顔に見える顔立ちが、後姿から受けた印象からはいい意味でギャップを感じる。
袴田さんはどこか物憂げな眼差しで僕たちを見た。上級生に対して失礼かもしれないが、こんなにかわいい人が花倉にいたのか、というのが率直な感想だった。
副部長は単刀直入に、袴田さんに『ロミオとジュリエット』の主役を僕と一緒に演じて欲しい旨を伝えた。
「……ということなの。袴田さん、元テニス部のエースだから体力は問題ないし、今はどこの部にも所属してない。それに、袴田さんは演技の才能あるんじゃないかって、あたしずっと前から思ってたんだ。どうかな、もちろんあたしたちが全力でサポートするから、やってみない?」
そういえば、岡部さんからテニス部への勧誘を受けた時に、エースが部を辞めたという話を聞いた覚えがある。テニス部の元エースって、ここにいる袴田さんのことだったのか。それならたしかに僕たちが毎日必死こいてやっている体力づくりのトレーニングなんかは必要ないだろう。身長も僕よりあるし、ルックス的にも舞台映えしそうな感じはある。僕たちが求めるロミオ像に必要な条件は全て兼ね備えていると言ってもいい。
袴田さんは少し考え込むような素振りを見せたが、反応はやはり渋かった。
「そこまで見込んで誘ってくれるのはありがたいんだけど……演劇は全く未経験だし、文化祭でいきなり主役なんて、ちょっと難しいかな。受験勉強もあるし」
「う~ん、そこをなんとか……」
「そちらにも時間的な余裕はあんまりないはずだし、変に気を持たせちゃったら悪いから、はっきり言うね。ごめん、その話は受けられない」
袴田さんはきっぱりとそう言い切った。一瞬考えるふりをしてくれたのはおそらく僕たちに対する気遣いで、実質ほぼ即答だったと思う。彼女の言うことはもっともすぎる。いきなり主役を演じてほしいなんて、やっぱり無理な提案だったのだ。
これにはさすがの副部長もがっくりと肩を落とした。
「……うん……そうだよね……無理だよね、やっぱ。忙しいとこ、話聞いてもらってありがと」
「いいえ。こちらこそ、力になれなくてごめんね」
軽く言葉を交わした後、副部長はうなだれ気味にこちらを振り返った。
「そゆこと。帰ろう、今川くん。やっぱロミオは君でいこう」
「……はい。頑張ります」
「あ~、今川くんのジュリエット、超かわいくてハマり役だと思ったんだけどな~。あたしたちの中にロミオを演じられる人間さえいれば……ね」
と、副部長は残念そうに肩を竦める。僕がロミオ役に戻るということは、ジュリエットは副部長になるのだろう。これから二人で頑張らなければ――と気を引き締めたその時。
「ちょっと待って」
そのまま帰ろうとしていたところを不意に袴田さんに呼び止められ、僕と副部長は振り返った。袴田さんはさっきとはうってかわって真剣な表情でこちらを見つめている。
「ねえ、もしかして、私に演じて欲しい主役って、ジュリエットじゃなくてロミオの方なの?」
僕たちは顔を見合わせた。言われてみれば、副部長は『ロミオとジュリエットの主役を僕と一緒に』とは言ったけれど、ロミオ役で、という最も重要な部分は伝えていなかった気がする。男の僕の相手役なのだから、僕がロミオで袴田さんがジュリエットだと普通は思うだろう。
袴田さんの態度の変化に、僕たちは戸惑っていた。女装する僕の相手の男役ということで、もしかしたら気分を害したかもしれない。副部長は気まずそうに頭を掻きながら答えた。
「う、うん、実はそうだったんだ……ほら、今川くんってこの通りかわいい顔してるでしょ? 女装するとジュリエットにぴったりなんだわ。でもジュリエットを今川くんにすると、ロミオ役にハマる子がいなくってさ……」
「そう……だったんだ」
「そりゃ普通はジュリエットだと思うよね……ハハハ、もし怒らせちゃってたらゴメン」
「いいえ、違う。全然怒ってなんかない」
袴田さんは爛々と目を輝かせながら言った。
「私、やってみたい。ロミオとジュリエットの、ロミオ役の方だったら」
が、それですべての問題が解決したわけではなく、むしろ振り出しに戻ったとさえ言える。それは僕がジュリエットを演じる場合のロミオの身長の問題だ。
そもそも、演劇初心者の一年である僕が主役の一人であるロミオに抜擢されていたのには二つの理由があった。ひとつは僕が姉貴の弟であるという話題性。そしてもう一つは、今の演劇部には小柄な女子しかおらず、ロミオを演じて映える人がいないという問題。僕は男の中では決して身長の高い方ではないが、それでも今の演劇部の中ではおそらく一番大きい。仮にこのまま僕がジュリエットを演じるとすると、今度はこちらのロミオ役の問題が再び暗礁に乗り上げてしまうわけだ。
消去法でやはり僕がロミオを演じるべきか、それともよりハマりそうなジュリエットを演じるべきか、部内でも意見が分かれていた。
その話し合いの中で出て来た仰天の案が、なんとロミオ役を演劇部の外から連れて来てはどうか、というものだった。発案者は福島副部長だ。
「外からって……いったい誰を?」
夕陽の差し込む部室で、天野部長が尋ねる。部長だけではない。その場に集まった部員全員が、一様に怪訝そうな表情を浮かべている。
文化祭という大きなイベントで、三年生にとっては実質最後の舞台。部員はみんな気合が入っている。だからこそ、去年と比較されるリスクを冒してでもこの『ロミオとジュリエット』をやろうと決めたのだ。その大事な劇の主役を演劇部以外の人間に任せるなんて。副部長に向けられた眼差しには、困惑よりどちらかといえば非難の色が濃く混じっていたように思う。
その気持ちは僕も同じだ。去年の姉貴や藍子さんが作り上げた『ロミオとジュリエット』を間近で見て、その跡を継いだ副部長だって、想いは同じではないのか。
場の空気を鎮めるように、部長は努めて冷静な口調で質問を重ねる。
「今はどこも文化祭の準備で大忙しなんだし、他の部からそう簡単に人を借りて来られるわけないってことぐらい、舞も知ってるよね? それに助っ人を呼んだところで、演技の経験がない人を本番までに仕上げるなんて……」
「じゃあダリア、いったい誰がロミオをやるの? それともやっぱり今川くんをロミオにする? だったらあたしは責任持ってジュリエットをやるよ。『去年は良かったけど今年はちょっと』って言われるのがわかりきってる劇で、他の子に恥をかかせたくないもん」
副部長のいつになく真剣な表情に、部長も少し面食らったようだった。副部長はさらに続ける。
「ホントは夏休み前にこういうことを話し合って決めておかなきゃならなかった。時間がないのはわかってるよ。それがあたしのせいなのもわかってる」
「いや、それは舞のせいじゃないよ。麻美さんがあんなことになって、あたしたちだってショックで劇どころじゃなかったもの。それに、舞がいないと色々スムーズに進まないし、あんたがいないところで色々決めちゃうのはなんか違うって、あたしが判断したんだから」
「みんなの気遣いにはホントに感謝してる。でもそれはやっぱりあたしのせいなんだよ。だからこそ、あたしはこの劇を何としても、絶対成功させたい」
福島副部長の真摯な訴えに、天野部長も少し態度を軟化させた。
「……その気持ちはわかるけど……助っ人って、誰かあてがあるの?」
副部長はその小さな顔で重々しく頷いた。
「一人だけ、同じクラスで目星をつけてる人がいるんだ。今はどこの部にも所属してないし、実は演劇部に誘おうかって迷ってたぐらい。今川くんより背も高いし、舞台映えもすると思う。多分演技の才能もあると思うんだ。これはあたしの勘だけどね」
「同じクラス……? 三年ってことだよね。いたかな、そんな子……」
「もしその人に頼んでダメだったら、それかちょっと演技の練習してもらってやっぱり無理ってなったら、ロミオ役は今川くんでいこう。それしかない。ね、今川くん、明日の放課後、何か予定ある?」
突然話を振られて驚いたが、明日は部活以外にこれといって済ませなければならない用事はない。
「いえ、特にはありませんけど……」
「じゃあ、ちょっと顔貸してくれないかな。お願いするにも、相手役がいたほうが話が早いと思うからさ」
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翌日の放課後。僕は副部長に連れられて、副部長の教室へと向かった。
考えてみれば、三年生の校舎に来るのはこれが初めてかもしれない。一年の教室はどこも数人の男子がいるが、共学になる以前の三年生はもちろん全員が女子だ。やっぱり少し雰囲気が違うのだろうかと緊張していたけれど、既に放課後ということもあり、残っている人はまばらだった。
そして、目的の副部長の教室に辿り着くと、そこでは一人の女子生徒が窓辺に立って、外の風景を眺めていた。副部長の言葉通りにすらりと背が高く、姉貴ほどではないけれど僕よりは確実に大きい。見たところ170センチぐらいはあるのではないだろうか。腰まで届きそうな艶のある黒髪が印象的だ。その背中に、副部長が声を掛ける。
「ごめーん、袴田さん、待たせちゃった?」
女子生徒がこちらを振り返り、微笑を浮かべながら答えた。
「ううん、今日は暇だし、大丈夫」
袴田さんと呼ばれた人の笑顔、そのあまりの美しさに、僕は何故かぞわりと背筋が凍るような感覚がしたけれど、それは本当に一瞬のことだった。怖いわけではない。くりっとした目元、形の良い唇、笑った時頬にできるえくぼ。そのどれもが可愛らしくて、どちらかといえば童顔に見える顔立ちが、後姿から受けた印象からはいい意味でギャップを感じる。
袴田さんはどこか物憂げな眼差しで僕たちを見た。上級生に対して失礼かもしれないが、こんなにかわいい人が花倉にいたのか、というのが率直な感想だった。
副部長は単刀直入に、袴田さんに『ロミオとジュリエット』の主役を僕と一緒に演じて欲しい旨を伝えた。
「……ということなの。袴田さん、元テニス部のエースだから体力は問題ないし、今はどこの部にも所属してない。それに、袴田さんは演技の才能あるんじゃないかって、あたしずっと前から思ってたんだ。どうかな、もちろんあたしたちが全力でサポートするから、やってみない?」
そういえば、岡部さんからテニス部への勧誘を受けた時に、エースが部を辞めたという話を聞いた覚えがある。テニス部の元エースって、ここにいる袴田さんのことだったのか。それならたしかに僕たちが毎日必死こいてやっている体力づくりのトレーニングなんかは必要ないだろう。身長も僕よりあるし、ルックス的にも舞台映えしそうな感じはある。僕たちが求めるロミオ像に必要な条件は全て兼ね備えていると言ってもいい。
袴田さんは少し考え込むような素振りを見せたが、反応はやはり渋かった。
「そこまで見込んで誘ってくれるのはありがたいんだけど……演劇は全く未経験だし、文化祭でいきなり主役なんて、ちょっと難しいかな。受験勉強もあるし」
「う~ん、そこをなんとか……」
「そちらにも時間的な余裕はあんまりないはずだし、変に気を持たせちゃったら悪いから、はっきり言うね。ごめん、その話は受けられない」
袴田さんはきっぱりとそう言い切った。一瞬考えるふりをしてくれたのはおそらく僕たちに対する気遣いで、実質ほぼ即答だったと思う。彼女の言うことはもっともすぎる。いきなり主役を演じてほしいなんて、やっぱり無理な提案だったのだ。
これにはさすがの副部長もがっくりと肩を落とした。
「……うん……そうだよね……無理だよね、やっぱ。忙しいとこ、話聞いてもらってありがと」
「いいえ。こちらこそ、力になれなくてごめんね」
軽く言葉を交わした後、副部長はうなだれ気味にこちらを振り返った。
「そゆこと。帰ろう、今川くん。やっぱロミオは君でいこう」
「……はい。頑張ります」
「あ~、今川くんのジュリエット、超かわいくてハマり役だと思ったんだけどな~。あたしたちの中にロミオを演じられる人間さえいれば……ね」
と、副部長は残念そうに肩を竦める。僕がロミオ役に戻るということは、ジュリエットは副部長になるのだろう。これから二人で頑張らなければ――と気を引き締めたその時。
「ちょっと待って」
そのまま帰ろうとしていたところを不意に袴田さんに呼び止められ、僕と副部長は振り返った。袴田さんはさっきとはうってかわって真剣な表情でこちらを見つめている。
「ねえ、もしかして、私に演じて欲しい主役って、ジュリエットじゃなくてロミオの方なの?」
僕たちは顔を見合わせた。言われてみれば、副部長は『ロミオとジュリエットの主役を僕と一緒に』とは言ったけれど、ロミオ役で、という最も重要な部分は伝えていなかった気がする。男の僕の相手役なのだから、僕がロミオで袴田さんがジュリエットだと普通は思うだろう。
袴田さんの態度の変化に、僕たちは戸惑っていた。女装する僕の相手の男役ということで、もしかしたら気分を害したかもしれない。副部長は気まずそうに頭を掻きながら答えた。
「う、うん、実はそうだったんだ……ほら、今川くんってこの通りかわいい顔してるでしょ? 女装するとジュリエットにぴったりなんだわ。でもジュリエットを今川くんにすると、ロミオ役にハマる子がいなくってさ……」
「そう……だったんだ」
「そりゃ普通はジュリエットだと思うよね……ハハハ、もし怒らせちゃってたらゴメン」
「いいえ、違う。全然怒ってなんかない」
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