僕は何度も

宮川 涙雨

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1、10月18日

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10月18日
17時21分  痛みが走った。これまで経験したことのないほどの激痛。
見えたのは赤。聞こえるのは薄い笑い声と自分の荒い呼吸の音。
痛みは徐々に熱へと変わっていく。
「大丈夫?」
優しい問いかけがこの人が狂っているのだと感じさせる。
激痛を与えるものが引き抜かれると、熱はますます増していった。
その熱を冷ますように降る雨さえ気になることがないほど
自分の意識はそこに集中している。
鼻をついたのは鉄の匂い。
「痛い?」
相手の声が耳をくすぐった。あいつが言っていたのと同じ。
この日僕は、知らない男に刺された。
相手の手には赤い汚れのついた果物包丁がしっかりと握られている。  
           ・・・
これが一度目の通り魔にあった瞬間。
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