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11、足りない
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朝起きると、泣いていた。
覚えている、恐怖もあの痛みも、はっきりと全て。
病院に向かうとやはりそこには美夜の姿があった。
2人の空間。
「なぁ、昨日のこと…覚えてるか?」
限界だった。
「覚えてるよな?」
もうあの恐怖の中でまともでいる自信がなかった。
毎日同じ時間に目が覚めることも、同じニュースを観るのも聞くのも、美夜の一言一句違わない話を聞くのも……忘れ…られるのも。
全てが……限界だった。
知らぬまに涙を流してしまっていた僕のことを、彼女は心配してくれた。
「どうしたの?何かあった…」
「覚えてるって、忘れてないって言ってくれッ!!」
思わず叫んだ僕に「ご、ごめん。何のことか分かんない」
そう美夜は謝った。
わかっていた。
知っていた。
それでも……それでも悲しかった。苦しくて仕方がなかった。
「美夜?」
「ん、何?」
「好きだったよ。」
「は?」
困惑の表情を浮かべる彼女。
「なんで……過去形?」
僕は笑った。やはり涙はとまらないけれど、名一杯の笑顔を作った。
きっと、くしゃくしゃになった僕の顔は笑えるほどに変かもしれない。
彼女に…キスをした。
「えっ?」
戸惑った顔をする彼女の頭をくしゃっと撫でた。
サラサラの髪。
キスの時触れた頬は温かかった。
柔らかくて、愛しかった。
「大好きだったぞ?」
僕はベッドの上の彼女をまたいで、開いた窓に足をかける。
・・・
「またな」
僕は飛び下りた。
「輝也ぁッ!!」(こうや)
後ろから、美夜の叫び声が聞こえる。
息が苦しい。
中庭に、男がいたのを見た。めくれたフードの下、思ったよりも若くキレイな顔をしていたのは少しばかり驚いた。
地面が近い。
「美夜、ごめんな。」
ドチャッ……。
12時39分…。
(こ……や、こう…や、こうや………輝也。)
呼ばれている。また、死ねなかった。
うるさいぞ……美夜。
目を開けて見えたのは真っ白な天井だった。
「こうやっ!輝也が起きたっ!!」
「うるさい、今何時だ?」
「ろくじさんじゅっぷんだよ」
え…と、17時22分を過ぎているということは…一日が終わったのか?
いや、だとしたら何故僕の家で目を覚まさないんだ?
「大丈夫?なんともない?」
「いや、飛び下りて大丈夫なわけないだろうが」
「……何、いってんの?」
「お前こそ何が言いたい。目の前で飛び下りた人間になんともないかなんて、とうとう頭までおかしくなったか?」
美夜は意味がわからないといった顔をしていた。
「輝也は……刺されたんだよ?」
「知ってる」
「飛び下りたって何?」
「病室からお前の目の前で飛び下りたろ?」
「輝也が刺されたのは一月前だよ…それで、ずっと目ぇ覚まさなかったんじゃん」
そう言った彼女の目からは涙が溢れていた。透明な水滴は次から次へと床に落ちてゆく。
夢だったのか?あれは全て夢だったと?
いつのまにか、僕の目からも涙が流れていた。
最近泣いてばかりな気がする。
いや、夢はカウントしないか。
「どうしたの!?お腹まだ痛いの?」
慌てる彼女に手を伸ばして抱き寄せた。
温かい。シャンプーの甘い香りがする。
美夜が、本物の美夜が腕の中にいるんだ。
そう思うと、更に涙がボロボロと止まることなく溢れてくる。
急に起き上がったせいでギリギリと腹が痛むけれど、大して気にならない。
「…好きだ。」
「ふぇ!?」
「好きだ、愛してる、大好きだよ。」
突然のことで戸惑う彼女。
「告白…うけてやってもいいよ…」
返事はそんな、遠回しなものだった。
それでも僕にとっては嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。
3日後、退院することになった。
「輝也ぁ、林檎剥いてほしーなぁ」
「自分で剥け」
「私ミカン剥いたげるから」
「…。いいだろう」
あれからなにもおこることはない、毎日が平凡で普通。
今日も、僕の隣には彼女がいる。
正直言って幸せだ、幸せ…。けれど、何かが足りなかった。
「いっ、っぅ」
ナイフで指を切ってしまった。じわりと痛む。
ツゥっと指をなぞる血が手首までつたってゆく。
ゾクリとした感覚がはしった。
あぁ、そう。これだ…この感覚。
「ハハっ、気持ちいぃ…」
僕に足りなかったのは、求めていたのは…いつしか日常となったこの痛みだった……。
17時22分……。 僕はその事に気づいた。
end
(宮川より)
えー、やっとここまで書き終えました。
最終話となりましたが、中学3年生なりに精一杯頑張って書いた物語でした。
なので言葉が変であるとか、漢字が間違ってる。なんてこともあったかとおもわれます。(泣)
最後が納得いかねぇよ!って方がいるのでしたらごめんなさい。
宮川は最後のまとめが苦手なようでして。(汗)
また、これから様々なジャンルに挑戦しようと思っているのですが、とりあえず次作も頑張って制作しております!
ですので、気が向いたらどうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださった方、お気に入り登録して下さった方。
本当に本当にありがとうございましたっ!!
覚えている、恐怖もあの痛みも、はっきりと全て。
病院に向かうとやはりそこには美夜の姿があった。
2人の空間。
「なぁ、昨日のこと…覚えてるか?」
限界だった。
「覚えてるよな?」
もうあの恐怖の中でまともでいる自信がなかった。
毎日同じ時間に目が覚めることも、同じニュースを観るのも聞くのも、美夜の一言一句違わない話を聞くのも……忘れ…られるのも。
全てが……限界だった。
知らぬまに涙を流してしまっていた僕のことを、彼女は心配してくれた。
「どうしたの?何かあった…」
「覚えてるって、忘れてないって言ってくれッ!!」
思わず叫んだ僕に「ご、ごめん。何のことか分かんない」
そう美夜は謝った。
わかっていた。
知っていた。
それでも……それでも悲しかった。苦しくて仕方がなかった。
「美夜?」
「ん、何?」
「好きだったよ。」
「は?」
困惑の表情を浮かべる彼女。
「なんで……過去形?」
僕は笑った。やはり涙はとまらないけれど、名一杯の笑顔を作った。
きっと、くしゃくしゃになった僕の顔は笑えるほどに変かもしれない。
彼女に…キスをした。
「えっ?」
戸惑った顔をする彼女の頭をくしゃっと撫でた。
サラサラの髪。
キスの時触れた頬は温かかった。
柔らかくて、愛しかった。
「大好きだったぞ?」
僕はベッドの上の彼女をまたいで、開いた窓に足をかける。
・・・
「またな」
僕は飛び下りた。
「輝也ぁッ!!」(こうや)
後ろから、美夜の叫び声が聞こえる。
息が苦しい。
中庭に、男がいたのを見た。めくれたフードの下、思ったよりも若くキレイな顔をしていたのは少しばかり驚いた。
地面が近い。
「美夜、ごめんな。」
ドチャッ……。
12時39分…。
(こ……や、こう…や、こうや………輝也。)
呼ばれている。また、死ねなかった。
うるさいぞ……美夜。
目を開けて見えたのは真っ白な天井だった。
「こうやっ!輝也が起きたっ!!」
「うるさい、今何時だ?」
「ろくじさんじゅっぷんだよ」
え…と、17時22分を過ぎているということは…一日が終わったのか?
いや、だとしたら何故僕の家で目を覚まさないんだ?
「大丈夫?なんともない?」
「いや、飛び下りて大丈夫なわけないだろうが」
「……何、いってんの?」
「お前こそ何が言いたい。目の前で飛び下りた人間になんともないかなんて、とうとう頭までおかしくなったか?」
美夜は意味がわからないといった顔をしていた。
「輝也は……刺されたんだよ?」
「知ってる」
「飛び下りたって何?」
「病室からお前の目の前で飛び下りたろ?」
「輝也が刺されたのは一月前だよ…それで、ずっと目ぇ覚まさなかったんじゃん」
そう言った彼女の目からは涙が溢れていた。透明な水滴は次から次へと床に落ちてゆく。
夢だったのか?あれは全て夢だったと?
いつのまにか、僕の目からも涙が流れていた。
最近泣いてばかりな気がする。
いや、夢はカウントしないか。
「どうしたの!?お腹まだ痛いの?」
慌てる彼女に手を伸ばして抱き寄せた。
温かい。シャンプーの甘い香りがする。
美夜が、本物の美夜が腕の中にいるんだ。
そう思うと、更に涙がボロボロと止まることなく溢れてくる。
急に起き上がったせいでギリギリと腹が痛むけれど、大して気にならない。
「…好きだ。」
「ふぇ!?」
「好きだ、愛してる、大好きだよ。」
突然のことで戸惑う彼女。
「告白…うけてやってもいいよ…」
返事はそんな、遠回しなものだった。
それでも僕にとっては嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。
3日後、退院することになった。
「輝也ぁ、林檎剥いてほしーなぁ」
「自分で剥け」
「私ミカン剥いたげるから」
「…。いいだろう」
あれからなにもおこることはない、毎日が平凡で普通。
今日も、僕の隣には彼女がいる。
正直言って幸せだ、幸せ…。けれど、何かが足りなかった。
「いっ、っぅ」
ナイフで指を切ってしまった。じわりと痛む。
ツゥっと指をなぞる血が手首までつたってゆく。
ゾクリとした感覚がはしった。
あぁ、そう。これだ…この感覚。
「ハハっ、気持ちいぃ…」
僕に足りなかったのは、求めていたのは…いつしか日常となったこの痛みだった……。
17時22分……。 僕はその事に気づいた。
end
(宮川より)
えー、やっとここまで書き終えました。
最終話となりましたが、中学3年生なりに精一杯頑張って書いた物語でした。
なので言葉が変であるとか、漢字が間違ってる。なんてこともあったかとおもわれます。(泣)
最後が納得いかねぇよ!って方がいるのでしたらごめんなさい。
宮川は最後のまとめが苦手なようでして。(汗)
また、これから様々なジャンルに挑戦しようと思っているのですが、とりあえず次作も頑張って制作しております!
ですので、気が向いたらどうぞよろしくお願いいたします。
最後まで読んでくださった方、お気に入り登録して下さった方。
本当に本当にありがとうございましたっ!!
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完結と受け取って良いでしょうか、お疲れさまでした。読んでいて辛い展開でしたが、最後がどうまとまるのか気になって、読み続けました。たくさん書いて宮川さんのスタイルを見つけてください。
お話楽しかったです。
私、こういうお話好きです!
で引き続き頑張ってください。
次の作品を楽しみにしています、