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第1章 少女と将軍
第8話 将軍と少女
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「っ・・・・・」
玄関から出てきた将軍を見て、思わず手に持っていた袋を落としてしまう。
(こ、こわいっ・・・・な、なぜっ。)
「おかえり。イヴ。」
良い香りに包まれ、抱き締められたことに気づく。
「?」
「もう帰って来ないと思ったよ。」
「っ・・・・な、何故怒らない。」
「君は必死に抑えようとしているのに。叩かなくても分かっていると思っていたんだが。」
「っ・・・・わ、私は悪くないっ!!」
将軍から逃れようともがく。
「イヴ。」
とても低い声が上から降る。
「っ・・・・・」
「君はそんなに怒ってほしいのか?」
将軍の表情が、声色が物語っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・」
俯く。
殴られるだろと身構えるが、一向に痛みは訪れない。
「・・・・さ、お茶にしよう。今度女将にはお礼を言わなくてはいけないね。」
優しく手を引かれる。
「・・・・」
もう片方の手にはクッキーが入った紙袋があった。
◇
「美味しいね。」
満面の笑みを浮かべ、紅茶を啜る。
泣く子も黙る将軍がかたなしだ。
「・・・・・生地こねただけ。」
恥ずかしさを感じ、俯く。
「うん。美味しい。」
クッキーを頬張る。
「ここは家だと思ってほしい。私らを家族だとも思ってほしいんだ。」
「家・・・?家族?」
「ああ。無理に話してはほしくないが、少しは話してほしいな。何が好きで、何が嫌いなのか。何が嬉しくて、何が悲しいのか。」
「・・・・・・でれっとした将軍は嫌い。」
そっぽを向く。
「え。」
「「ぷっ。」」
笑いを堪える双子メイド。
「ちょっ。君たちひどくない?」
「し、失礼しました。」
「さ。お嬢様。お召替えを。」
「っ・・・・着せ替え人形になるのは嫌だ。」
「ふふ。嫌ですよ。」
「へ。」
「だってお嬢様を着飾るのって、楽しいんですもの。将軍を着飾ったってしょうがないではありませんか。」
「「なっ!」」
「ちょっとリサくん。扱い酷くない?!」
「せっかくのお衣装を破ったからですよ。」
冷淡な笑みを浮かべ、去っていく。
「本当に脳筋は嫌ですわ。さ、参りましょう。」
リカに手を引かれ、テラスを後にする。
「??」
疑問に思ったが、聞けない雰囲気だった。
◇◇
「・・・・・・」
(なぜだ。)
心の中でぼやく。
双子メイドについて行くと、お風呂に入れられ、全身を磨かれ、ドレスに着替えさせられた。
それに薄く化粧を施され、次に向かった先は広場だった。
そこにいたのはきっちりとタキシードを着たジークフリートだった。
さっきから頰が熱い。
「君が無事でよかった。」
と耳元で囁かれる。
「っ!」
ダンスを踊りながらしゃべるなど、実に器用な人だ。
「すまない。君の気も知らずあんなこと・・・・大人げなかったと思う。」
「・・・・・・・・・・・」
(大人気ないというのは解らないけど、謝らなければならないのは私の方だ。)
「?イヴ?」
(このひとは兄上にどこまでも似ている。兄上・・・・)
「?つ、」
顔をしかめる。
「あっ・・・・ご、ごんなさいっ。」
彼から離れ、部屋を飛び出す。
ー「イヴ。聞くんだ。この力やここで起きた事は絶対に誰にも話しちゃだめだよ。」
「・・・・誰にも?」
「ああ。普通の人間にはない特別な力だからだよ。それにこんな奇跡、あってはならないんだ。だからいいね?」
「ぐすっ。わかった。」
頷く。ー
「おや。こんなところにいた。」
木の葉っぱがいっぱい付いた将軍が現れた。
「・・・・・将軍。」
「ん?どうした。」
「将軍は、神様信じる?」
「ああ。」
「あったことあるの?」
「いや、まあね。」
珍しく言葉を濁す。
「?」
「で、今度は何かあった?あいつが何かした?」
「べ、別に何もない・・・・・・ジークは兄上に似ている。だから、」
「・・・・・・」
「それに、また謝れなかった。手のキズ、痛そうだった・・・・・いや、でもあれは私のせいじゃない・・・・」
「謝るきっかけがほしいんだな?」
「そ、そんなのっ、いらないっ。」
走り出す。
(将軍なんてきらいだ・・・・でも、こんな自分が一番・・・嫌いだ。)
膝を抱える。
「ならば我のところに来るか?」
「!シキ?何故こんなところに。」
「契約者が困っているようだったしな。」
「・・・・・・」
「こっちはいいぞ?」
「・・・・」
「それは困りますね。精霊王。」
「!将軍。」
「・・・・姫よ。我はいつでも歓迎ぞ。我の真名を呼べば、迎えに来てやろうぞ。」
姿を消す。
「さ。帰ろう。シェフが美味しい夕飯を作って待ってる。」
手を引かれ、屋敷へ戻る。
ーこの時はまさか、あんなことが起こるなんて思いもしなかった。
玄関から出てきた将軍を見て、思わず手に持っていた袋を落としてしまう。
(こ、こわいっ・・・・な、なぜっ。)
「おかえり。イヴ。」
良い香りに包まれ、抱き締められたことに気づく。
「?」
「もう帰って来ないと思ったよ。」
「っ・・・・な、何故怒らない。」
「君は必死に抑えようとしているのに。叩かなくても分かっていると思っていたんだが。」
「っ・・・・わ、私は悪くないっ!!」
将軍から逃れようともがく。
「イヴ。」
とても低い声が上から降る。
「っ・・・・・」
「君はそんなに怒ってほしいのか?」
将軍の表情が、声色が物語っていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・」
俯く。
殴られるだろと身構えるが、一向に痛みは訪れない。
「・・・・さ、お茶にしよう。今度女将にはお礼を言わなくてはいけないね。」
優しく手を引かれる。
「・・・・」
もう片方の手にはクッキーが入った紙袋があった。
◇
「美味しいね。」
満面の笑みを浮かべ、紅茶を啜る。
泣く子も黙る将軍がかたなしだ。
「・・・・・生地こねただけ。」
恥ずかしさを感じ、俯く。
「うん。美味しい。」
クッキーを頬張る。
「ここは家だと思ってほしい。私らを家族だとも思ってほしいんだ。」
「家・・・?家族?」
「ああ。無理に話してはほしくないが、少しは話してほしいな。何が好きで、何が嫌いなのか。何が嬉しくて、何が悲しいのか。」
「・・・・・・でれっとした将軍は嫌い。」
そっぽを向く。
「え。」
「「ぷっ。」」
笑いを堪える双子メイド。
「ちょっ。君たちひどくない?」
「し、失礼しました。」
「さ。お嬢様。お召替えを。」
「っ・・・・着せ替え人形になるのは嫌だ。」
「ふふ。嫌ですよ。」
「へ。」
「だってお嬢様を着飾るのって、楽しいんですもの。将軍を着飾ったってしょうがないではありませんか。」
「「なっ!」」
「ちょっとリサくん。扱い酷くない?!」
「せっかくのお衣装を破ったからですよ。」
冷淡な笑みを浮かべ、去っていく。
「本当に脳筋は嫌ですわ。さ、参りましょう。」
リカに手を引かれ、テラスを後にする。
「??」
疑問に思ったが、聞けない雰囲気だった。
◇◇
「・・・・・・」
(なぜだ。)
心の中でぼやく。
双子メイドについて行くと、お風呂に入れられ、全身を磨かれ、ドレスに着替えさせられた。
それに薄く化粧を施され、次に向かった先は広場だった。
そこにいたのはきっちりとタキシードを着たジークフリートだった。
さっきから頰が熱い。
「君が無事でよかった。」
と耳元で囁かれる。
「っ!」
ダンスを踊りながらしゃべるなど、実に器用な人だ。
「すまない。君の気も知らずあんなこと・・・・大人げなかったと思う。」
「・・・・・・・・・・・」
(大人気ないというのは解らないけど、謝らなければならないのは私の方だ。)
「?イヴ?」
(このひとは兄上にどこまでも似ている。兄上・・・・)
「?つ、」
顔をしかめる。
「あっ・・・・ご、ごんなさいっ。」
彼から離れ、部屋を飛び出す。
ー「イヴ。聞くんだ。この力やここで起きた事は絶対に誰にも話しちゃだめだよ。」
「・・・・誰にも?」
「ああ。普通の人間にはない特別な力だからだよ。それにこんな奇跡、あってはならないんだ。だからいいね?」
「ぐすっ。わかった。」
頷く。ー
「おや。こんなところにいた。」
木の葉っぱがいっぱい付いた将軍が現れた。
「・・・・・将軍。」
「ん?どうした。」
「将軍は、神様信じる?」
「ああ。」
「あったことあるの?」
「いや、まあね。」
珍しく言葉を濁す。
「?」
「で、今度は何かあった?あいつが何かした?」
「べ、別に何もない・・・・・・ジークは兄上に似ている。だから、」
「・・・・・・」
「それに、また謝れなかった。手のキズ、痛そうだった・・・・・いや、でもあれは私のせいじゃない・・・・」
「謝るきっかけがほしいんだな?」
「そ、そんなのっ、いらないっ。」
走り出す。
(将軍なんてきらいだ・・・・でも、こんな自分が一番・・・嫌いだ。)
膝を抱える。
「ならば我のところに来るか?」
「!シキ?何故こんなところに。」
「契約者が困っているようだったしな。」
「・・・・・・」
「こっちはいいぞ?」
「・・・・」
「それは困りますね。精霊王。」
「!将軍。」
「・・・・姫よ。我はいつでも歓迎ぞ。我の真名を呼べば、迎えに来てやろうぞ。」
姿を消す。
「さ。帰ろう。シェフが美味しい夕飯を作って待ってる。」
手を引かれ、屋敷へ戻る。
ーこの時はまさか、あんなことが起こるなんて思いもしなかった。
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