白銀の薔薇にキスを

秋月リア

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第1章 少女と将軍

第8話 将軍と少女

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「っ・・・・・」

玄関から出てきた将軍を見て、思わず手に持っていた袋を落としてしまう。

(こ、こわいっ・・・・な、なぜっ。)

「おかえり。イヴ。」

良い香りに包まれ、抱き締められたことに気づく。

「?」

「もう帰って来ないと思ったよ。」

「っ・・・・な、何故怒らない。」

「君は必死に抑えようとしているのに。叩かなくても分かっていると思っていたんだが。」

「っ・・・・わ、私は悪くないっ!!」

将軍から逃れようともがく。

「イヴ。」

とても低い声が上から降る。

「っ・・・・・」

「君はそんなに怒ってほしいのか?」

将軍の表情かおが、声色こわいろが物語っていた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・・」

俯く。

殴られるだろと身構えるが、一向に痛みは訪れない。

「・・・・さ、お茶にしよう。今度女将にはお礼を言わなくてはいけないね。」

優しく手を引かれる。

「・・・・」

もう片方の手にはクッキーが入った紙袋があった。



「美味しいね。」

満面の笑みを浮かべ、紅茶を啜る。

泣く子も黙る将軍がかたなしだ。

「・・・・・生地こねただけ。」

恥ずかしさを感じ、俯く。

「うん。美味しい。」

クッキーを頬張る。

「ここは家だと思ってほしい。私らを家族だとも思ってほしいんだ。」

「家・・・?家族?」

「ああ。無理に話してはほしくないが、少しは話してほしいな。何が好きで、何が嫌いなのか。何が嬉しくて、何が悲しいのか。」

「・・・・・・でれっとした将軍は嫌い。」

そっぽを向く。

「え。」

「「ぷっ。」」

笑いを堪える双子メイド。

「ちょっ。君たちひどくない?」

「し、失礼しました。」

「さ。お嬢様。お召替えを。」

「っ・・・・着せ替え人形になるのは嫌だ。」

「ふふ。嫌ですよ。」

「へ。」

「だってお嬢様を着飾るのって、楽しいんですもの。将軍おっさんを着飾ったってしょうがないではありませんか。」

「「なっ!」」

「ちょっとリサくん。扱い酷くない?!」

「せっかくのお衣装を破ったからですよ。」

冷淡な笑みを浮かべ、去っていく。

「本当に脳筋は嫌ですわ。さ、参りましょう。」

リカに手を引かれ、テラスを後にする。

「??」

疑問に思ったが、聞けない雰囲気だった。

◇◇

「・・・・・・」

(なぜだ。)

心の中でぼやく。

双子メイドについて行くと、お風呂に入れられ、全身を磨かれ、ドレスに着替えさせられた。
それに薄く化粧を施され、次に向かった先は広場だった。

そこにいたのはきっちりとタキシードを着たジークフリートだった。


さっきから頰が熱い。

「君が無事でよかった。」

と耳元で囁かれる。

「っ!」

ダンスを踊りながらしゃべるなど、実に器用な人だ。

「すまない。君の気も知らずあんなこと・・・・大人げなかったと思う。」

「・・・・・・・・・・・」

(大人気ないというのは解らないけど、謝らなければならないのは私の方だ。)

「?イヴ?」

(このひとは兄上にどこまでも似ている。兄上・・・・)

「?つ、」

顔をしかめる。

「あっ・・・・ご、ごんなさいっ。」

彼から離れ、部屋を飛び出す。

ー「イヴ。聞くんだ。この力やここで起きた事は絶対に誰にも話しちゃだめだよ。」

「・・・・誰にも?」

「ああ。にはない特別な力だからだよ。それにこんな奇跡、あってはならないんだ。だからいいね?」

「ぐすっ。わかった。」

頷く。ー

「おや。こんなところにいた。」

木の葉っぱがいっぱい付いた将軍が現れた。

「・・・・・将軍。」

「ん?どうした。」

「将軍は、神様信じる?」

「ああ。」

「あったことあるの?」

「いや、まあね。」

珍しく言葉を濁す。

「?」

「で、今度は何かあった?あいつジークフリートが何かした?」

「べ、別に何もない・・・・・・ジークは兄上に似ている。だから、」

「・・・・・・」

「それに、また謝れなかった。手のキズ、痛そうだった・・・・・いや、でもあれは私のせいじゃない・・・・」

「謝るきっかけがほしいんだな?」

「そ、そんなのっ、いらないっ。」

走り出す。

(将軍なんてきらいだ・・・・でも、こんな自分が一番・・・嫌いだ。)

膝を抱える。

「ならば我のところに来るか?」

「!シキ?何故こんなところに。」

契約者おまえが困っているようだったしな。」

「・・・・・・」

「こっちはいいぞ?」

「・・・・」

「それは困りますね。精霊王。」

「!将軍。」

「・・・・姫よ。我はいつでも歓迎ぞ。我の真名を呼べば、迎えに来てやろうぞ。」

姿を消す。

「さ。帰ろう。シェフが美味しい夕飯を作って待ってる。」

手を引かれ、屋敷へ戻る。

ーこの時はまさか、あんなことが起こるなんて思いもしなかった。
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