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或る騎士たちの恋愛事情(完結)
2話
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一方、無事新入生挨拶を終えたノクスは、そっと息を吐いて緊張を解くと、壇上から新入生の列に戻る。
ノクスがこの学校に入学した理由は、少しでも早く家から離れたかったからだ。
あの家に居れば、次男の自分はいつか適当な金持ちか権力者の娘と結婚させられ、婿養子になってその家で生涯暮らしていくことになるだろう。
そんな人生は嫌だった。一度きりの人生、自分の将来は己の力で切り開きたい。
16歳になったある日、士官学校に入りたい旨を両親に伝えると、意外にあっさりと承諾した。両親としても賢く自我の強い次男を持て余しており、いい厄介払いができたと思ったのだろう。
ノクスはそんな両親を見返すように入学試験でトップの成績を取り、首席で士官学校入学を決めた。
ノクス・ヴァレンシュタインはパレシアの北にあるオーエンベルクの領主、ヴァレンシュタイン家の次男として生まれた。
母フィリアはブルウィアというオーエンベルクよりもさらに北の領主の娘で、貧しかったブルウィアは支度金と支援金目当てに、33歳であったオーエンベルク領主ヨハン・ヴァレンシュタインの元に16歳のフィリアを嫁がせた。
ヨハンは、前妻との間に子供ができなかったため離縁し、後妻を探していたところであった。
年の離れた夫婦の壁は高く、それは子供ができても崩れることはなかった。
ヨハンは跡継ぎができれば妻が何をしようが興味はなく、若いフィリアが愛人を作ろうが妻の務めさえ果していれば基本放置していた。
好きでもない男の子供をフィリアは愛することができず、生んだ後はほぼ乳母に任せきりで自分は愛人との逢瀬におぼれた。
またフィリアは本当は娘が欲しかったと、自分によく似た幼いノクスに戯れで女の子の格好をさせた。ノクスも母が喜ぶならと我慢していたが、体が成長しドレスが似合わなくなると母の興味はなくなっていった。
そんな母の気を少しでも引きたくて、ノクスは幼いころから勉学にも運動にも励んだ。そのおかげで利発で賢い神童だと呼ばれ、平凡な兄は嫉妬からノクスを煙たがるようになっていた。
愛される努力はしたつもりだ。でも、もうあの家に自分がいる意味はないのかもしれない。家族に絶望したノクスはそう思い、家を出ることを決意した。
退屈な入学式が終わると、新入生はそれぞれの5つの寮に振り分けられた。
第一寮から第三寮まではほぼ貴族の子弟で、第四、第五寮は庶民出身のもので構成されていた。
ノクスは第一寮、リカルドは第五寮に振り分けられ、寮での生活や授業は寮単位で行われた。
寮は基本二人一部屋で、一階が一年生、その上は進級するごとに階層が上がっていき、四階が最上級生の四年生の部屋になっていた。
士官学校の前身はパブリックスクールで、今でもその名残で、各寮、各学年から一人、リーダーである監督生を選出する「監督生制度」、最上級生になると希望者はファグ(当番下級生)と呼ばれる自身の身の回りを世話する下級生を同じ寮から一人つけることができる「ファギング制度」というものがあった。
ファギング制度は現在ではほぼ形式上のものであり、ファグを持たない者もいれば、下級生もファグになることを拒否することができた。
それでも将来のために上級生とのつながりを作りたい下級生たちは四年生へのアピールで必死だった。
第一寮の四年生の監督生であったベルナール・ロワ・メドヴェデットは王太子でありながら士官学校に入学した変わり者で、彼のファグになりたいものは多く、何人もの下級生がファギングを申し込んだが、ベルナールの首を縦に振らせるものはいなかった。
ある日の夜、夕食後の自由時間に自習をしていたノクスの元に突然ベルナールから呼び出しがかかる。
ノクスは何の用事だろうかと緊張しつつ、四階一番奥にあるベルナールの部屋を訪れた。
迎え入れたのは以前遠くから見た金髪の王太子ではなく、黒髪の背の高い、鋭い目つきをした男だった。制服の肩章を見ると四年生の青色だったので、ベルナールの同級生なのだろうとノクスは思った。
「よく来たな。ベルナール様がお待ちだ」
男は無表情でノクスを部屋の中に招き入れる。
監督生は特権として一人部屋が与えられており、ノクスも一年生の監督生に選ばれ一人部屋だったが、その倍はあるであろう広さに目を見開く。
ベットに書棚、書き物机、ソファにテーブルと一通りそろっていて、最上級生の監督生ともなるとこんなにも待遇が違うのかと。
そのソファにゆったりと肘をかけ座っていたのがデュラン王国王太子ベルナール・ロワ・メドヴェデットであった。
黒髪の男はベルナールを守る騎士のように傍らに立つ。
「ノクス・ヴァレンシュタイン、よく来たな。私はベルナール・ロワ・メドヴェデット。まあ、知っているか」
そう言ってベルナールは優雅に微笑む。こんなに近くで王族を見るのは初めてで、さすがのノクスもその雰囲気に圧倒され緊張から声が出なかった。
「まあ、そんなに緊張するな。今はお前と同じ学生の身分だ。他の先輩と同じように接してくれて構わない」
「そういうわけにもいかないでしょう。どんな立場になろうともあなたが王太子であることは変わりません」
ノクスの緊張を解そうと声をかけるベルナールに、横からピシャリと黒髪の男が口をはさむ。王太子にこんな口を利くこの男は何者だとノクスは信じられない気持ちで男を眺める。
「ああ、こいつか。こいつはジークフリード・ラインバッハ。私の幼馴染だから気を使う必要はないぞ」
「よろしく、ヴァレンシュタイン」
ベルナールに紹介されジークフリードと呼ばれた男が挨拶をする。
そこでノクスはまだ自分が挨拶をしていないことに気づき、慌てて口を開く。
「挨拶が遅れて申し訳ございません。殿下、ラインバッハ様。ノクス・ヴァレンシュタインです。どうぞお見知りおきを」
「殿下など呼ぶな。せっかくの学生気分が台無しだ。ベルナールでよい」
「はい。ではベルナール様。本日呼んでいただいたのは、どのようなご用件でしょうか?」
無駄のないノクスの受け答えにベルナールは好感を持ち、本題に入る。
「お前、チェスは得意か?」
「チェス……ですか。家庭教師くらいしか相手をしてくれる者がおりませんでしたので強いかどうかは分かりかねますが、チェスは好きです」
「ほう、では私と勝負しろ」
「……ベルナール様と、ですか?」
「ああ、私もなかなか相手をしてくれる者がいなくてな。こいつは弱すぎて話にならん」
ベルナールはそう笑いながらジークフリードを指さす。ジークフリードは気まずそうに目線をそらした。
「私は強い相手と戦いたい。遠慮はいらん」
「……私などでベルナール様の相手が務まるかは分かりませんが……少しでも楽しんでいただけるよう全力を尽くします」
「ふっ、なかなか度胸がある。気に入った。さあ、私を楽しませてくれ」
全力で相手をしなければ失礼にあたる。相手が王太子だという事は一時忘れてノクスは全力で頭を働かせ、駒を動かした。
ベルナールはかなり好戦的で少しでも判断を間違えれば一瞬にして負けてしまう。
精神を集中して駒を動かしていたら気づけば就寝時間が近づき、結局勝負はつかなかった。
「なんだ、あと少しで勝てそうだったのに。なんで就寝時間なんてものがあるんだ」
「ベルナール様、規則ですから。監督生なのですから見回りにいきませんと」
「ふん、就寝時間までには勝負がつくと思っていたのだが、時間を決めてやるべきだったな」
不満そうなベルナールを無表情でジークフリードがたしなめる。
ベルナールはまだ納得していない様子で、意外と子供っぽいところがあるんだなとけして口には出せないことをノクスは思った。
「ノクス、明日の夜も私の部屋へ来い。この続きをやるぞ」
「かしこまりました」
どうやら自分はそれなりに、この方を楽しませられたようだと、ノクスは心の中で安堵の息を吐く。
翌日、ノクスは再びベルナールの部屋を訪れチェスの続きをすると、ベルナールの勝利でゲームは終わった。負けてしまったが、ベルナールはノクスを気に入り、自分のファグに指名してきた。ノクスはそれを有難く拝受する。
次期王のファグ、それに学年首席で有力貴族の次男であるノクスの周りには、そのおこぼれに与ろうとする者たちが集まり、ノクスは辟易したが、いちいち追い払うのも面倒で好きにさせていた。
ノクスとリカルド、生まれも性格も正反対の二人は一度も会話することなく、士官学校を卒業していたかもしれない。
しかし、1年生のある夏の夕方、二人は初めて言葉を交わすことになる。
ノクスがこの学校に入学した理由は、少しでも早く家から離れたかったからだ。
あの家に居れば、次男の自分はいつか適当な金持ちか権力者の娘と結婚させられ、婿養子になってその家で生涯暮らしていくことになるだろう。
そんな人生は嫌だった。一度きりの人生、自分の将来は己の力で切り開きたい。
16歳になったある日、士官学校に入りたい旨を両親に伝えると、意外にあっさりと承諾した。両親としても賢く自我の強い次男を持て余しており、いい厄介払いができたと思ったのだろう。
ノクスはそんな両親を見返すように入学試験でトップの成績を取り、首席で士官学校入学を決めた。
ノクス・ヴァレンシュタインはパレシアの北にあるオーエンベルクの領主、ヴァレンシュタイン家の次男として生まれた。
母フィリアはブルウィアというオーエンベルクよりもさらに北の領主の娘で、貧しかったブルウィアは支度金と支援金目当てに、33歳であったオーエンベルク領主ヨハン・ヴァレンシュタインの元に16歳のフィリアを嫁がせた。
ヨハンは、前妻との間に子供ができなかったため離縁し、後妻を探していたところであった。
年の離れた夫婦の壁は高く、それは子供ができても崩れることはなかった。
ヨハンは跡継ぎができれば妻が何をしようが興味はなく、若いフィリアが愛人を作ろうが妻の務めさえ果していれば基本放置していた。
好きでもない男の子供をフィリアは愛することができず、生んだ後はほぼ乳母に任せきりで自分は愛人との逢瀬におぼれた。
またフィリアは本当は娘が欲しかったと、自分によく似た幼いノクスに戯れで女の子の格好をさせた。ノクスも母が喜ぶならと我慢していたが、体が成長しドレスが似合わなくなると母の興味はなくなっていった。
そんな母の気を少しでも引きたくて、ノクスは幼いころから勉学にも運動にも励んだ。そのおかげで利発で賢い神童だと呼ばれ、平凡な兄は嫉妬からノクスを煙たがるようになっていた。
愛される努力はしたつもりだ。でも、もうあの家に自分がいる意味はないのかもしれない。家族に絶望したノクスはそう思い、家を出ることを決意した。
退屈な入学式が終わると、新入生はそれぞれの5つの寮に振り分けられた。
第一寮から第三寮まではほぼ貴族の子弟で、第四、第五寮は庶民出身のもので構成されていた。
ノクスは第一寮、リカルドは第五寮に振り分けられ、寮での生活や授業は寮単位で行われた。
寮は基本二人一部屋で、一階が一年生、その上は進級するごとに階層が上がっていき、四階が最上級生の四年生の部屋になっていた。
士官学校の前身はパブリックスクールで、今でもその名残で、各寮、各学年から一人、リーダーである監督生を選出する「監督生制度」、最上級生になると希望者はファグ(当番下級生)と呼ばれる自身の身の回りを世話する下級生を同じ寮から一人つけることができる「ファギング制度」というものがあった。
ファギング制度は現在ではほぼ形式上のものであり、ファグを持たない者もいれば、下級生もファグになることを拒否することができた。
それでも将来のために上級生とのつながりを作りたい下級生たちは四年生へのアピールで必死だった。
第一寮の四年生の監督生であったベルナール・ロワ・メドヴェデットは王太子でありながら士官学校に入学した変わり者で、彼のファグになりたいものは多く、何人もの下級生がファギングを申し込んだが、ベルナールの首を縦に振らせるものはいなかった。
ある日の夜、夕食後の自由時間に自習をしていたノクスの元に突然ベルナールから呼び出しがかかる。
ノクスは何の用事だろうかと緊張しつつ、四階一番奥にあるベルナールの部屋を訪れた。
迎え入れたのは以前遠くから見た金髪の王太子ではなく、黒髪の背の高い、鋭い目つきをした男だった。制服の肩章を見ると四年生の青色だったので、ベルナールの同級生なのだろうとノクスは思った。
「よく来たな。ベルナール様がお待ちだ」
男は無表情でノクスを部屋の中に招き入れる。
監督生は特権として一人部屋が与えられており、ノクスも一年生の監督生に選ばれ一人部屋だったが、その倍はあるであろう広さに目を見開く。
ベットに書棚、書き物机、ソファにテーブルと一通りそろっていて、最上級生の監督生ともなるとこんなにも待遇が違うのかと。
そのソファにゆったりと肘をかけ座っていたのがデュラン王国王太子ベルナール・ロワ・メドヴェデットであった。
黒髪の男はベルナールを守る騎士のように傍らに立つ。
「ノクス・ヴァレンシュタイン、よく来たな。私はベルナール・ロワ・メドヴェデット。まあ、知っているか」
そう言ってベルナールは優雅に微笑む。こんなに近くで王族を見るのは初めてで、さすがのノクスもその雰囲気に圧倒され緊張から声が出なかった。
「まあ、そんなに緊張するな。今はお前と同じ学生の身分だ。他の先輩と同じように接してくれて構わない」
「そういうわけにもいかないでしょう。どんな立場になろうともあなたが王太子であることは変わりません」
ノクスの緊張を解そうと声をかけるベルナールに、横からピシャリと黒髪の男が口をはさむ。王太子にこんな口を利くこの男は何者だとノクスは信じられない気持ちで男を眺める。
「ああ、こいつか。こいつはジークフリード・ラインバッハ。私の幼馴染だから気を使う必要はないぞ」
「よろしく、ヴァレンシュタイン」
ベルナールに紹介されジークフリードと呼ばれた男が挨拶をする。
そこでノクスはまだ自分が挨拶をしていないことに気づき、慌てて口を開く。
「挨拶が遅れて申し訳ございません。殿下、ラインバッハ様。ノクス・ヴァレンシュタインです。どうぞお見知りおきを」
「殿下など呼ぶな。せっかくの学生気分が台無しだ。ベルナールでよい」
「はい。ではベルナール様。本日呼んでいただいたのは、どのようなご用件でしょうか?」
無駄のないノクスの受け答えにベルナールは好感を持ち、本題に入る。
「お前、チェスは得意か?」
「チェス……ですか。家庭教師くらいしか相手をしてくれる者がおりませんでしたので強いかどうかは分かりかねますが、チェスは好きです」
「ほう、では私と勝負しろ」
「……ベルナール様と、ですか?」
「ああ、私もなかなか相手をしてくれる者がいなくてな。こいつは弱すぎて話にならん」
ベルナールはそう笑いながらジークフリードを指さす。ジークフリードは気まずそうに目線をそらした。
「私は強い相手と戦いたい。遠慮はいらん」
「……私などでベルナール様の相手が務まるかは分かりませんが……少しでも楽しんでいただけるよう全力を尽くします」
「ふっ、なかなか度胸がある。気に入った。さあ、私を楽しませてくれ」
全力で相手をしなければ失礼にあたる。相手が王太子だという事は一時忘れてノクスは全力で頭を働かせ、駒を動かした。
ベルナールはかなり好戦的で少しでも判断を間違えれば一瞬にして負けてしまう。
精神を集中して駒を動かしていたら気づけば就寝時間が近づき、結局勝負はつかなかった。
「なんだ、あと少しで勝てそうだったのに。なんで就寝時間なんてものがあるんだ」
「ベルナール様、規則ですから。監督生なのですから見回りにいきませんと」
「ふん、就寝時間までには勝負がつくと思っていたのだが、時間を決めてやるべきだったな」
不満そうなベルナールを無表情でジークフリードがたしなめる。
ベルナールはまだ納得していない様子で、意外と子供っぽいところがあるんだなとけして口には出せないことをノクスは思った。
「ノクス、明日の夜も私の部屋へ来い。この続きをやるぞ」
「かしこまりました」
どうやら自分はそれなりに、この方を楽しませられたようだと、ノクスは心の中で安堵の息を吐く。
翌日、ノクスは再びベルナールの部屋を訪れチェスの続きをすると、ベルナールの勝利でゲームは終わった。負けてしまったが、ベルナールはノクスを気に入り、自分のファグに指名してきた。ノクスはそれを有難く拝受する。
次期王のファグ、それに学年首席で有力貴族の次男であるノクスの周りには、そのおこぼれに与ろうとする者たちが集まり、ノクスは辟易したが、いちいち追い払うのも面倒で好きにさせていた。
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