41 / 41
11月
みのむし きぐるみ ふゆじたく
しおりを挟む
いつも、遊びに来る時間になっても、クマパンちゃんが来ない。
どうしたのかな。風邪でも、ひいたのかな。
心配になって、あたしは、クマパンちゃんの所にようすを見に行くことにした。
公園の木も、そろそろ、紅葉。赤や黄色に染まってきたよ。あっ、みのむしさん、みっけ!
もう、11月だものね。
もうすぐ、木枯らしが吹いて、また、冬がやってくる。
あたしは、思わず、身震いしちゃった。猫なんだもの。寒いのきらい。
冬は、みのむしさんみたいに、お部屋でぬくぬくしてるのが一番だよね。
本格的に寒くなる前に、あたしも、そろそろ、冬支度しなきゃ。
みのむしさんも蓑の中で、木枯らしや雪に負けずに、がんばってね。
トントン。クマパンちゃんちのドアをノックする。
「クマパンちゃん、いますかぁ」
「いるよ~」って、お返事があるのに、いっこうにクマパンちゃんは出てこない。やだ、そうとう具合でも、悪いのかな。
「おじゃましまぁす」
勝手知ったるクマパンちゃんち。あたしは、クマパンちゃんのお部屋の戸を開けるなり、驚いた。
「クマパンちゃん、どうしたの!?」
クマパンちゃんたら、毛布にくるまって、まるで、みのむしさん! たいへん、きっと、お熱があるんだわ!
「食欲、ある? なにか、食べたいものがあったら買ってきてあげる」
「スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリン。あと、あったかいあんまんも食べたい」
「…… 食欲は、あるみたいね。うん、ちょっと、待ってて」
あたしはコンビニまで走って行って、スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあったかいあんまんとおでこに貼る冷却シートを買ってきた。
「はい、クマパンちゃん」
「うわぁ、ミケちゃん、ありがとう! なんだか、お誕生日とクリスマスがいっぺんに来たみたい! …… ところで、ミケちゃん、これ何?」
クマパンちゃんが、毛布にくるまったまま、冷却シートを指差した。
「何これって、お熱が出た時、おでこに貼るやつ。クマパンちゃん、お熱、あるんじゃないの?」
「ないよ」
クマパンちゃんは、あっさり答えた。
あたしは、クマパンちゃんのおでこに前足を当てた。
「ほんとだ。お熱は、ないみたい」
「ミケちゃんの方が、あるんじゃないの? ピンクのお鼻が真っ赤だよ」
確かに。コンビニまで走って行って、超特急でお買い物して、また走って帰ってきたんだもの。
クマパンちゃんは、あたしのおでこに冷却シートをペタンと貼った。
「やだ。クマパンちゃんに、買ってきたのに」
「ぼくは、スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあんまんだけでいいよ。冷却シートは、ミケちゃんにあげた」
あげたって、これ、あたしが買ってきたんじゃないの!
クマパンちゃんは、毛布に作った切り込みからニュッと手を出して、あんまんをハフハフ食べだした。なんか、毛布にしては変な感じ。
「クマパンちゃん、それって、毛布じゃないの?」
「毛布じゃないよ、ミケちゃん。きぐるみだよ。ぼく、きぐるみ、着てんの。もっとも、元は毛布だったんだけど。ぼくのお手製」
「えっ? クマパンちゃん、ぬいぐるみだよね? それなのに、きぐるみ、着てんの?」
「そうだよ」
きぐるみって言われても、どう見たって、毛布を着たテディベアにしか見えないけど。あっ! そうか、寝袋か! よく見たら、毛布、袋になっているし。
「ねぇ、クマパンちゃん、寝袋なら、きぐるみって言わないよ」
「失礼だな、ミケちゃんは。寝袋じゃないよ。みのむしだよ、みのむし! これは、みのむしのきぐるみなの!」
「えっ! みのむしさんなの?」
さっき、公園の木の枝で、みのむしさんを見たばっかり。どう見たって、みのむしさんには見えないよ。やっぱり、寝袋だよ。
「みのむしのきぐるみでも、寝袋でも、どっちでもいいけど、なんで、そんなもの着てるのよ。あたし、クマパンちゃんが風邪でもひいたのかと思って、心配したんだからね!」
あたしは今まで心配していた反動で、カッカしてきた。
「ミケちゃん、頭に血が上ってるみたいだから、もう一枚、冷却シート、貼ってあげようか?」
「いいわよ!」
「ほらほら、熱くならない。ぼく、クマだから、冬支度してんの」
クマパンちゃんは、スイートポテトに手をのばした。
「なに言ってんのよ。クマって言っても、クマパンちゃん、ぬいぐるみなんだから、冬眠なんてしないでしょ」
「冬眠は、しないよ。冬眠したら、クリスマスケーキも、お雑煮も食べれないじゃないか」
さすが、食欲の王者……。
「冬眠じゃなくて、冬ごもりの冬支度だよ。木枯らしの吹く冬の間は、みのむしさんのきぐるみを着て、みのむしさんになって、ぬくぬくしてようと思ったの。それでさ、出来上がったばっかりのきぐるみを来たら、あったかくて、もう、出たくなくなっちゃったんだ」
「呆れた。まだ、秋なのよ。今から、そんなで、冬が来たら、どうすんのよ」
「ミケちゃんも、そっちの毛布に包まってごらん。きぐるみ作って、みのむしさんになりたくなるから」
あたしは、チラッと、毛布を見た。ふかふか毛布が、あたしを誘惑してくる。おでこの冷却シートと毛布の熱い誘惑がバチバチと火花を散らす。冷却シートが一歩引き、冷静な判断が熱い誘惑に負けそうになった時、きつねこちゃんの声が玄関から、聞こえてきた。
「クマパンちゃーん、いますかぁ? ミケちゃん、来てますかぁ?」
「はーい、あたしもクマパンちゃんも、いるよぉ。きつねこちゃんも、上がっておいでよぉ」
口いっぱいにスイートポテトを頬張っているクマパンちゃんの代わりに、あたしは返事をした。
「おじゃましまぁす…… あれっ? クマパンちゃん、風邪ひいた? 熱でも、あるの?」
「ちがうよ、きつねこちゃん。クマパンちゃんたら、冬ごもり用に、みのむしのきぐるみ作ったんだって。それで、試しに入ってみたら、あんまり気持ちよくて出たくなくなっちゃったんだって」
「だったら、クマパンちゃん、ほんとに、みのむしさんになっちゃったんだ」きつねこちゃんも、呆れ顔だ。「それと、ミケちゃんは、なぜおでこに冷却シート貼ってんの? ミケちゃん、お熱あるの?」
「あるわけないでしょ。あたしがクマパンちゃんに文句言ったら、クマパンちゃんが貼ったのよ、あたしのおでこに」
「わたし、ぜんぜん、意味読めないんですけど」
きつねこちゃんは、あたしとクマパンちゃんを見比べた。それから、クマパンちゃんに言った。
「クマパンちゃん、みのむしなのに、なんで、プリン食べてんの?」
「あたしが、買ってきたのよ。スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあんまん。クマパンちゃんが食べたいって言ったから。熱でもあるかと思って、心配して冷却シートといっしょに」
「お見受けしたところ、冷却シート以外に、残っているのはどら焼きとクマパンちゃんが食べているプリンだけなんですけれども」
「あんまんとスイートポテトは、すでに、みのむしクマパンちゃんのおなかの中」
「ああ、それで、ミケちゃん、クマパンちゃんにカッカして文句言ったんだ」
クマパンちゃんは涼しい顔で、どら焼きに手を伸ばしたが、食欲の女帝きつねこちゃんがさっと取り上げて、半分に割ってから片方を、あたしにくれた。
「クマパンちゃん、みのむしなのに、あんまんとスイートポテトとプリンとなんて、食べていいの?」
「いいよ、いいに決まってるでしょ、きつねこちゃん」
「みのむしになったら、もう、なにも食べれないんだよ、クマパンちゃん。みのむしのオスのおとなは、口がないんだから」
きつねこちゃんは、パクってどら焼きを食べた。
「えっ? ウソ! ほんと?」びっくりしたクマパンちゃんが、ゴニョゴニョ言い出した。「だって、ぼく、まだ、こどもだし」
あたしはクマパンちゃんを横目に、どら焼きを食べながらながらたずねた。
「きつねこちゃん、あたしとクマパンちゃんに、なんか用?」
「そうなの、ミケちゃん! 焼き芋屋さんを、半年ぶりに駅前で見かけたのよ! いっしょに行かない?」
「わぁ! 行く行く!」
でも、待てよ。あたしは、お財布をのぞいた。さっき、コンビニで使っちゃったんだ。
「いいよ、ミケちゃん、今日はあたし、おごってあげる。焼き芋屋さん、行っちゃう前に、早く行こう!」
やった! 持つべきものは、親友よね!
「きつねこちゃん、ミケちゃん、ぼくも行く」
「クマパンちゃんは、みのむしなんでしょ」
あたしは、おでこの冷却シートをはがして、みのむしクマパンちゃんのおでこにぺたんと貼った。
それから、きつねこちゃんと焼き芋屋さんを探しに行った。
でもね、すぐに、クマパンちゃんは、みのむしのきぐるみを脱ぎ捨てて、あたしたちを追ってきた。あんなに食べたのに。焼き芋は、別腹だって。まったく、もう。
食欲の秋が終わって、冬になっても、クマパンちゃんは、きっと、みのむしさんには、なれそうもないよ。
三毛猫 ミケ
***
みのむしというのは、不思議な生き物です。
きつねこちゃんが言っていたように、成虫のオスには口がないのだそうです。だから、成虫になって、蓑から出ても、ずっと飲まず食わず。やっとメスのみのむしを見つけて交尾し終わると、そのまま死んでしまいます。
そして、みのむしのメスは、一生、蓑の外に出ることもなく、オスと交尾をしたあと産卵して息絶えます。メスが蓑の外に出るのは、死んでからのこと。
地球という母は、様々な生き物を創り、それぞれの生態を与えました。
もしかしたら、みのむしさんたちから見たら、人間の方こそ落ち着きもなく、あくせくと一生動き回っている不思議な生き物なのかもしれませんね。
どうしたのかな。風邪でも、ひいたのかな。
心配になって、あたしは、クマパンちゃんの所にようすを見に行くことにした。
公園の木も、そろそろ、紅葉。赤や黄色に染まってきたよ。あっ、みのむしさん、みっけ!
もう、11月だものね。
もうすぐ、木枯らしが吹いて、また、冬がやってくる。
あたしは、思わず、身震いしちゃった。猫なんだもの。寒いのきらい。
冬は、みのむしさんみたいに、お部屋でぬくぬくしてるのが一番だよね。
本格的に寒くなる前に、あたしも、そろそろ、冬支度しなきゃ。
みのむしさんも蓑の中で、木枯らしや雪に負けずに、がんばってね。
トントン。クマパンちゃんちのドアをノックする。
「クマパンちゃん、いますかぁ」
「いるよ~」って、お返事があるのに、いっこうにクマパンちゃんは出てこない。やだ、そうとう具合でも、悪いのかな。
「おじゃましまぁす」
勝手知ったるクマパンちゃんち。あたしは、クマパンちゃんのお部屋の戸を開けるなり、驚いた。
「クマパンちゃん、どうしたの!?」
クマパンちゃんたら、毛布にくるまって、まるで、みのむしさん! たいへん、きっと、お熱があるんだわ!
「食欲、ある? なにか、食べたいものがあったら買ってきてあげる」
「スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリン。あと、あったかいあんまんも食べたい」
「…… 食欲は、あるみたいね。うん、ちょっと、待ってて」
あたしはコンビニまで走って行って、スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあったかいあんまんとおでこに貼る冷却シートを買ってきた。
「はい、クマパンちゃん」
「うわぁ、ミケちゃん、ありがとう! なんだか、お誕生日とクリスマスがいっぺんに来たみたい! …… ところで、ミケちゃん、これ何?」
クマパンちゃんが、毛布にくるまったまま、冷却シートを指差した。
「何これって、お熱が出た時、おでこに貼るやつ。クマパンちゃん、お熱、あるんじゃないの?」
「ないよ」
クマパンちゃんは、あっさり答えた。
あたしは、クマパンちゃんのおでこに前足を当てた。
「ほんとだ。お熱は、ないみたい」
「ミケちゃんの方が、あるんじゃないの? ピンクのお鼻が真っ赤だよ」
確かに。コンビニまで走って行って、超特急でお買い物して、また走って帰ってきたんだもの。
クマパンちゃんは、あたしのおでこに冷却シートをペタンと貼った。
「やだ。クマパンちゃんに、買ってきたのに」
「ぼくは、スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあんまんだけでいいよ。冷却シートは、ミケちゃんにあげた」
あげたって、これ、あたしが買ってきたんじゃないの!
クマパンちゃんは、毛布に作った切り込みからニュッと手を出して、あんまんをハフハフ食べだした。なんか、毛布にしては変な感じ。
「クマパンちゃん、それって、毛布じゃないの?」
「毛布じゃないよ、ミケちゃん。きぐるみだよ。ぼく、きぐるみ、着てんの。もっとも、元は毛布だったんだけど。ぼくのお手製」
「えっ? クマパンちゃん、ぬいぐるみだよね? それなのに、きぐるみ、着てんの?」
「そうだよ」
きぐるみって言われても、どう見たって、毛布を着たテディベアにしか見えないけど。あっ! そうか、寝袋か! よく見たら、毛布、袋になっているし。
「ねぇ、クマパンちゃん、寝袋なら、きぐるみって言わないよ」
「失礼だな、ミケちゃんは。寝袋じゃないよ。みのむしだよ、みのむし! これは、みのむしのきぐるみなの!」
「えっ! みのむしさんなの?」
さっき、公園の木の枝で、みのむしさんを見たばっかり。どう見たって、みのむしさんには見えないよ。やっぱり、寝袋だよ。
「みのむしのきぐるみでも、寝袋でも、どっちでもいいけど、なんで、そんなもの着てるのよ。あたし、クマパンちゃんが風邪でもひいたのかと思って、心配したんだからね!」
あたしは今まで心配していた反動で、カッカしてきた。
「ミケちゃん、頭に血が上ってるみたいだから、もう一枚、冷却シート、貼ってあげようか?」
「いいわよ!」
「ほらほら、熱くならない。ぼく、クマだから、冬支度してんの」
クマパンちゃんは、スイートポテトに手をのばした。
「なに言ってんのよ。クマって言っても、クマパンちゃん、ぬいぐるみなんだから、冬眠なんてしないでしょ」
「冬眠は、しないよ。冬眠したら、クリスマスケーキも、お雑煮も食べれないじゃないか」
さすが、食欲の王者……。
「冬眠じゃなくて、冬ごもりの冬支度だよ。木枯らしの吹く冬の間は、みのむしさんのきぐるみを着て、みのむしさんになって、ぬくぬくしてようと思ったの。それでさ、出来上がったばっかりのきぐるみを来たら、あったかくて、もう、出たくなくなっちゃったんだ」
「呆れた。まだ、秋なのよ。今から、そんなで、冬が来たら、どうすんのよ」
「ミケちゃんも、そっちの毛布に包まってごらん。きぐるみ作って、みのむしさんになりたくなるから」
あたしは、チラッと、毛布を見た。ふかふか毛布が、あたしを誘惑してくる。おでこの冷却シートと毛布の熱い誘惑がバチバチと火花を散らす。冷却シートが一歩引き、冷静な判断が熱い誘惑に負けそうになった時、きつねこちゃんの声が玄関から、聞こえてきた。
「クマパンちゃーん、いますかぁ? ミケちゃん、来てますかぁ?」
「はーい、あたしもクマパンちゃんも、いるよぉ。きつねこちゃんも、上がっておいでよぉ」
口いっぱいにスイートポテトを頬張っているクマパンちゃんの代わりに、あたしは返事をした。
「おじゃましまぁす…… あれっ? クマパンちゃん、風邪ひいた? 熱でも、あるの?」
「ちがうよ、きつねこちゃん。クマパンちゃんたら、冬ごもり用に、みのむしのきぐるみ作ったんだって。それで、試しに入ってみたら、あんまり気持ちよくて出たくなくなっちゃったんだって」
「だったら、クマパンちゃん、ほんとに、みのむしさんになっちゃったんだ」きつねこちゃんも、呆れ顔だ。「それと、ミケちゃんは、なぜおでこに冷却シート貼ってんの? ミケちゃん、お熱あるの?」
「あるわけないでしょ。あたしがクマパンちゃんに文句言ったら、クマパンちゃんが貼ったのよ、あたしのおでこに」
「わたし、ぜんぜん、意味読めないんですけど」
きつねこちゃんは、あたしとクマパンちゃんを見比べた。それから、クマパンちゃんに言った。
「クマパンちゃん、みのむしなのに、なんで、プリン食べてんの?」
「あたしが、買ってきたのよ。スイートポテトと栗入りどら焼きとかぼちゃのプリンとあんまん。クマパンちゃんが食べたいって言ったから。熱でもあるかと思って、心配して冷却シートといっしょに」
「お見受けしたところ、冷却シート以外に、残っているのはどら焼きとクマパンちゃんが食べているプリンだけなんですけれども」
「あんまんとスイートポテトは、すでに、みのむしクマパンちゃんのおなかの中」
「ああ、それで、ミケちゃん、クマパンちゃんにカッカして文句言ったんだ」
クマパンちゃんは涼しい顔で、どら焼きに手を伸ばしたが、食欲の女帝きつねこちゃんがさっと取り上げて、半分に割ってから片方を、あたしにくれた。
「クマパンちゃん、みのむしなのに、あんまんとスイートポテトとプリンとなんて、食べていいの?」
「いいよ、いいに決まってるでしょ、きつねこちゃん」
「みのむしになったら、もう、なにも食べれないんだよ、クマパンちゃん。みのむしのオスのおとなは、口がないんだから」
きつねこちゃんは、パクってどら焼きを食べた。
「えっ? ウソ! ほんと?」びっくりしたクマパンちゃんが、ゴニョゴニョ言い出した。「だって、ぼく、まだ、こどもだし」
あたしはクマパンちゃんを横目に、どら焼きを食べながらながらたずねた。
「きつねこちゃん、あたしとクマパンちゃんに、なんか用?」
「そうなの、ミケちゃん! 焼き芋屋さんを、半年ぶりに駅前で見かけたのよ! いっしょに行かない?」
「わぁ! 行く行く!」
でも、待てよ。あたしは、お財布をのぞいた。さっき、コンビニで使っちゃったんだ。
「いいよ、ミケちゃん、今日はあたし、おごってあげる。焼き芋屋さん、行っちゃう前に、早く行こう!」
やった! 持つべきものは、親友よね!
「きつねこちゃん、ミケちゃん、ぼくも行く」
「クマパンちゃんは、みのむしなんでしょ」
あたしは、おでこの冷却シートをはがして、みのむしクマパンちゃんのおでこにぺたんと貼った。
それから、きつねこちゃんと焼き芋屋さんを探しに行った。
でもね、すぐに、クマパンちゃんは、みのむしのきぐるみを脱ぎ捨てて、あたしたちを追ってきた。あんなに食べたのに。焼き芋は、別腹だって。まったく、もう。
食欲の秋が終わって、冬になっても、クマパンちゃんは、きっと、みのむしさんには、なれそうもないよ。
三毛猫 ミケ
***
みのむしというのは、不思議な生き物です。
きつねこちゃんが言っていたように、成虫のオスには口がないのだそうです。だから、成虫になって、蓑から出ても、ずっと飲まず食わず。やっとメスのみのむしを見つけて交尾し終わると、そのまま死んでしまいます。
そして、みのむしのメスは、一生、蓑の外に出ることもなく、オスと交尾をしたあと産卵して息絶えます。メスが蓑の外に出るのは、死んでからのこと。
地球という母は、様々な生き物を創り、それぞれの生態を与えました。
もしかしたら、みのむしさんたちから見たら、人間の方こそ落ち着きもなく、あくせくと一生動き回っている不思議な生き物なのかもしれませんね。
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
*「第3回きずな児童書大賞」エントリー中です*
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版
ナナの初めてのお料理
いぬぬっこ
児童書・童話
ナナは七歳の女の子。
ある日、ナナはお母さんが仕事から帰ってくるのを待っていました。
けれど、お母さんが帰ってくる前に、ナナのお腹はペコペコになってしまいました。
もう我慢できそうにありません。
だというのに、冷蔵庫の中には、すぐ食べれるものがありません。
ーーそうだ、お母さんのマネをして、自分で作ろう!
ナナは、初めて自分一人で料理をすることを決めたのでした。
これは、ある日のナナのお留守番の様子です。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。

ベトナムには猫年があるんですね!٩(๑>▽<๑)۶
卯年が猫年ということは、代わりにうさぎさんの年がないんでしょうか?(;'∀')
干支は中国と日本だけと勝手に思い込んでましたが、ちょっと調べたら、他にも使われてる国はあったんですね!勉強になりました!((φ(・д・。)ナルホド
かがみんさん、コメントありがとうございます(,,•ω•,,)ウレシイデス
猫に置き換わったうさぎさんは、どこ行ったんでしょうね?
もしかしたら、リゼさんたちの所に行ったとか……₍ᐢ• ·̫ •ᐢ₎⸝⸝ෆ⸒☕️ෆ⸒⸒⸜₍ᐢ• ·̫ •ᐢ₎
世界って広いようでも、いろんなところで繋がっていますよね。
民間伝承とかも調べていくと面白いです(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク
日本の民話とそっくりの民話が北欧スウェーデンにもあったりして。不思議……。
チャコマロンがミケちゃんと一緒に幸せに暮らす夢を見るのですがやっぱり今までの生活環境や性格、年齢などを考えると難しくて…。でもこうして物語を読んでいくと夢が叶ったような気持ちになります(^_^)
ありがとうございます(*^^*)
そう言ってくださると、こつこつ書き続けてきたことが、報われます。
幸せなチャコマロンちゃんとミケちゃんのお写真から、毎日、可愛いのおすそ分けをいただいています。
いつも読んでくださって、ありがとうございます(*=^-^=*)
ミケちゃんファミリーの楽しい豆まき、鬼さんもきっと優しい気持ちになりますね\(^o^)/
はい(*=^-^=*)
ミケちゃんたちの豆まきは、鬼さんたちだってニコニコにしてくれます♡
無敵のひまわりスマイルです!