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パパ・ジェイ、帰ってきた
鳥さんふたつ
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リビングのドアが開いて、パパ・ジェイが入ってきた。
「パパ・ジェイ! おかえりなさい!」
あたしは、パパ・ジェイのところに走って行った。
「なにか!」パパ・ジェイは、あたしを抱き上げた。「大きくなったな、なにか!」
「ほら、なにか、言ったとおりだろ」
パパ・エムが、あたしにウインクして笑った。
あたしも、パパ・エムにウインクした。
「ああ、なにかだ、本物のなにかだ!」パパ・ジェイは、あたしに頬ずりをした。「なにか、ぼくのこと、忘れていなかったかい? ぼくは、病院で、いつも、なにかのことばかり考えて、ずっと、なにかに会いたかったんだよ」
「あたしも、パパ・ジェイが病院から帰ってくるの、ずっと、ずっと、待っていたんだよ!」
「そうかい、そうかい。なにかも、ぼくのこと、ずっと忘れずにいてくれたんだね。ありがとう」
パパ・ジェイは、パパ・エムとちがって、あたしの鳴いてること、ちゃんとわかる。パパ・エムは、あたしの鳴くことが半分も、わからないのにね。
「ジェイ、コーヒー」
パパ・エムが、コーヒーを入れて持ってきた。
パパ・ジェイが、カップの中を見て、鳴いた。
「ミルクが、入っていないよ」
パパ・エム、ちょっとフリーズした。
パパ・ジェイが、パパ・エムを見た。
「ミルク、ないの?」
「あー、えっと…… そうだ! なにか用のヤギミルクならある!」
「ぼくたちのミルクは、買ってないの?」
「うん。新しいミルクは」
「いつも、言っているだろ。なくなったら、買うんだよ。オッケー?」
「オッケー」
「ミルクがないんなら、アイスクリームが、ほしい。エム、持ってきてくれない?」
「……」
「もしかしたら、エム、ぼくのアイスクリーム、全部食べた?」
「…… うん」
パパ・エムのおっきな身体が、パパ・ジェイの前で、だんだん小さくなっていく。
あたし、パパ・ジェイに、告げ口をした。
「あのね、パパ・エムったら、夜中に目がさめるとね、パパ・ジェイのアイスクリーム、食べてたんだよ」
だけど、パパ・エムがちょっとだけ、あたしにもアイスクリームをなめさせてくれたのは、黙っていた。
だって、パパ・エムだけじゃなくて、あたしも叱られるもの。人間の食べるものを食べちゃダメっていうのは、パパ・ジェイの決めた『禁止条例』のひとつなんだ。
「エム、夜中にアイスクリームを食べて、次の日、おなかを壊したりはしなかったろうね」
ほら、パパ・ジェイには、あたしの告げ口、ちゃんと通じてるでしょ。
「あっ、いや、うん…… そうだ、ジェイ、退院祝いの食事に行こう」
パパ・エム、なんとかごまかそうと、必死になってきたよ。パパ・エム、まだまだいっぱい、禁止条例をやぶっているんだもの。
「その帰りに、ミルクやアイスクリームを買い行けばいい。ジェイ、どこで、何が食べたい? 予約、入れるからさ」
「食事は、ぼくが作るよ。レストランには、なにかは連れて行けないだろ。外に食べに行くより、今日は、なにかと家にいたい」
「あっ、でもさ、ジェイ。退院したばかりなんだから、今日ぐらい、ゆっくりして、外に食べに行こうよ」
パパ・ジェイは、疑わしげな目でパパ・エムを見た。
「だから、エム、ぼくは、家でゆっくりしたいんだ。久しぶりに、料理だってしたい。そんなにあなたが外に出たいんなら冷蔵庫をチェックするから、今夜のディナーの材料に足りないものを、ミルクやアイスクリームといっしょに買ってきてよ」
パパ・ジェイは、あたしを肩に乗っけて、冷蔵庫に行った。
パパ・エムってば、しまったって顔をした。
冷蔵庫を開けたとたん、パパ・ジェイは、絶叫した。
だって、中のものが、ドドッて雪崩を起こして、崩れ落ちてきたんだもの。
「エム! 何、このテイクアウトの残骸は?!」
「捨てるの、もったいないじゃないか。食品ロス……」
パパ・エムったら、買ってきたごはんの残り、毎日どんどん冷蔵庫に押し込んでいたんだよ。
「なにが食品ロスなんだよ、エム! だったら、入れっぱなしにせずにちゃんと食べろよ! 冷蔵庫は、食物を永久保存できる箱じゃないんだぞ! 一番奥にあるのは、ぼくが入院した日の日付けじゃないか! うわっ! ミルクがヨーグルトになっている! だから、きみは『新しいミルク』は買っていないって言ったのか! 野菜は萎びているだけならまだしも、溶けかけているし!」
あたしは窓ガラスの向こうから、鳥さんがパパたちを見ているのに、気が付いた。
それも、鳥さんはふたついる。
ひとつは、意地悪なあの鳥さんだ。もうひとつは、初めて見る鳥さん。
ふたつの鳥さんたちはニヤニヤ笑いで、あたしたちを見ている。
なんか、あたし、すごくムカついた。
「パパ・ジェイ! おかえりなさい!」
あたしは、パパ・ジェイのところに走って行った。
「なにか!」パパ・ジェイは、あたしを抱き上げた。「大きくなったな、なにか!」
「ほら、なにか、言ったとおりだろ」
パパ・エムが、あたしにウインクして笑った。
あたしも、パパ・エムにウインクした。
「ああ、なにかだ、本物のなにかだ!」パパ・ジェイは、あたしに頬ずりをした。「なにか、ぼくのこと、忘れていなかったかい? ぼくは、病院で、いつも、なにかのことばかり考えて、ずっと、なにかに会いたかったんだよ」
「あたしも、パパ・ジェイが病院から帰ってくるの、ずっと、ずっと、待っていたんだよ!」
「そうかい、そうかい。なにかも、ぼくのこと、ずっと忘れずにいてくれたんだね。ありがとう」
パパ・ジェイは、パパ・エムとちがって、あたしの鳴いてること、ちゃんとわかる。パパ・エムは、あたしの鳴くことが半分も、わからないのにね。
「ジェイ、コーヒー」
パパ・エムが、コーヒーを入れて持ってきた。
パパ・ジェイが、カップの中を見て、鳴いた。
「ミルクが、入っていないよ」
パパ・エム、ちょっとフリーズした。
パパ・ジェイが、パパ・エムを見た。
「ミルク、ないの?」
「あー、えっと…… そうだ! なにか用のヤギミルクならある!」
「ぼくたちのミルクは、買ってないの?」
「うん。新しいミルクは」
「いつも、言っているだろ。なくなったら、買うんだよ。オッケー?」
「オッケー」
「ミルクがないんなら、アイスクリームが、ほしい。エム、持ってきてくれない?」
「……」
「もしかしたら、エム、ぼくのアイスクリーム、全部食べた?」
「…… うん」
パパ・エムのおっきな身体が、パパ・ジェイの前で、だんだん小さくなっていく。
あたし、パパ・ジェイに、告げ口をした。
「あのね、パパ・エムったら、夜中に目がさめるとね、パパ・ジェイのアイスクリーム、食べてたんだよ」
だけど、パパ・エムがちょっとだけ、あたしにもアイスクリームをなめさせてくれたのは、黙っていた。
だって、パパ・エムだけじゃなくて、あたしも叱られるもの。人間の食べるものを食べちゃダメっていうのは、パパ・ジェイの決めた『禁止条例』のひとつなんだ。
「エム、夜中にアイスクリームを食べて、次の日、おなかを壊したりはしなかったろうね」
ほら、パパ・ジェイには、あたしの告げ口、ちゃんと通じてるでしょ。
「あっ、いや、うん…… そうだ、ジェイ、退院祝いの食事に行こう」
パパ・エム、なんとかごまかそうと、必死になってきたよ。パパ・エム、まだまだいっぱい、禁止条例をやぶっているんだもの。
「その帰りに、ミルクやアイスクリームを買い行けばいい。ジェイ、どこで、何が食べたい? 予約、入れるからさ」
「食事は、ぼくが作るよ。レストランには、なにかは連れて行けないだろ。外に食べに行くより、今日は、なにかと家にいたい」
「あっ、でもさ、ジェイ。退院したばかりなんだから、今日ぐらい、ゆっくりして、外に食べに行こうよ」
パパ・ジェイは、疑わしげな目でパパ・エムを見た。
「だから、エム、ぼくは、家でゆっくりしたいんだ。久しぶりに、料理だってしたい。そんなにあなたが外に出たいんなら冷蔵庫をチェックするから、今夜のディナーの材料に足りないものを、ミルクやアイスクリームといっしょに買ってきてよ」
パパ・ジェイは、あたしを肩に乗っけて、冷蔵庫に行った。
パパ・エムってば、しまったって顔をした。
冷蔵庫を開けたとたん、パパ・ジェイは、絶叫した。
だって、中のものが、ドドッて雪崩を起こして、崩れ落ちてきたんだもの。
「エム! 何、このテイクアウトの残骸は?!」
「捨てるの、もったいないじゃないか。食品ロス……」
パパ・エムったら、買ってきたごはんの残り、毎日どんどん冷蔵庫に押し込んでいたんだよ。
「なにが食品ロスなんだよ、エム! だったら、入れっぱなしにせずにちゃんと食べろよ! 冷蔵庫は、食物を永久保存できる箱じゃないんだぞ! 一番奥にあるのは、ぼくが入院した日の日付けじゃないか! うわっ! ミルクがヨーグルトになっている! だから、きみは『新しいミルク』は買っていないって言ったのか! 野菜は萎びているだけならまだしも、溶けかけているし!」
あたしは窓ガラスの向こうから、鳥さんがパパたちを見ているのに、気が付いた。
それも、鳥さんはふたついる。
ひとつは、意地悪なあの鳥さんだ。もうひとつは、初めて見る鳥さん。
ふたつの鳥さんたちはニヤニヤ笑いで、あたしたちを見ている。
なんか、あたし、すごくムカついた。
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