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11.どこまでも許していく
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金曜日の夜。半月ぶりにショーコママのバーへと顔を出した。
「久しぶりじゃない。仕事忙しかったんだって? ハルちゃんに聞いたわよ」
「アイツ……」
話したらダメなことじゃないからいいけど、当たり前に高瀬がここに馴染んでいることにはどうしても驚いてしまう。
「あの子今日はまだ来てないのよね~。いつもこれくらいの時間にいるんだけど」
「今日は大学の友達と飲みに行くんだってさ。寄りたいとは言ってたけど」
「へぇ~」
カウンターに着いたオレへといつも通りの一杯を用意しながら、ママはニヤニヤと物言いたげな視線を送ってきた。
「いい子じゃない、あの子」
グラスには、苦々しげな自分の顔が映っていた。別に初めから、嫌なヤツなんて思ってはいなかった。
「ちょっと緩いけど……でも、自分の考えはしっかり持ってるみたいだし。付き合ってみちゃえばいいのに」
笑みは浮かべているけれど、別にからかっているわけじゃないことはわかっている。だけど、簡単には頷けなくて、ため息とともに出されたグラスに口を付けた。
「簡単に言うなよ。アイツはノンケだぞ」
「だから何よ。好きになってくれたなら別にアリでしょ?」
「……そんなの一時の気の迷いかもしれないだろ」
高瀬との距離に、居心地の良さは感じている。だけど、付き合うかどうかは別の話だ。
大体、まだ大学生の高瀬をこっちに引っ張りたいとも思わない。だから、高瀬をどうこうしようなんて考えられなかった。
ママは何も言わずにじっとオレを見つめている。
目を合わせなくても、その眼差しがオレを臆病者だと呆れているのは伝わってきた。
「高瀬のこと気に入ってるのはウソじゃない。だからこのまま友達として付き合っていくでも十分だよ」
「強がっちゃって。アンタ、これでハルちゃんが結婚したら泣くくせに」
泣くわけないだろ。辛うじて返した声は、少しだけ震えていた。
泣きはしないだろうけど、恨めしくは思うだろうな。
恋をしたいなんて言ってきて、結局女と結婚しちゃうのかよ、なんて。
「……ちょっと、外の空気吸ってくる」
「ハルちゃん来たら一緒に上がってきなさいよ。アタシが会いたいんだから」
わかったよ、と頷いて席を立つとバーを出た。
肌に触れる外の空気はひんやりと気持ちが良く、街のざわめきに誘われるように階段を降りていく。
ふと、星空が見たくなった。高瀬と行ったプラネタリウムの星空は覚えてないけれど、あれはこの都会の空を映しているんだろうか。
人の増えた夜の街の中、空を見上げて見ても星明かりなんて全然見えない。街はこんなにも明るいのに、夜空を照らすことが出来ないなんて不思議だよな。
高瀬は、この見えない空の向こう側に光る星空をまだ覚えているんだろうか。
「あれ? 三本さん?」
「へ? あ、陸人さん……!」
ぼんやりと空を見上げていたオレは、不意に掛けられた声で我に返る。見慣れない私服姿の陸人さんが、オレに片手を上げてこっちへ駆け寄ってきていた。
「お店の外で会うなんて珍しいですね」
「そうですね。ここ、僕の店からも離れていますし本当に偶然ですね」
思いがけないところで陸人さんと遭遇し、胸が弾んでいるのは酔っているからではないだろう。どうこうなりたいとは思っていなくても、やっぱり惹かれた相手とたまたまでも会えたとなれば多少はテンションも上がる。
自然と頬が緩んでいることにも、自分自身気が付いていた。だから、普段よりも饒舌になる。
「オレはこの辺りで飲んでたんですよ」
「え? この辺りでですか?」
陸人さんの反応の理由がわからず、オレは一瞬だけ目を丸くした。
けれど、すぐにその怪訝そうな表情の意味を理解して、首を絞められるような息苦しさに視界が揺らぐ。
この辺りはショーコママの店だけでなく、ゲイバーが多く、なんとなくそういうところだと認識されている場所だ。
浮かれていたから、そこまで頭が回らなかった。
このままじゃ陸斗さんに、ゲイだということがバレてしまう。
きっと陸斗さんは、オレがお店を気にいって頻繁に顔を出していると思っていたはずだ。まさか、そういう意味で好かれているなんて想像もしたことがなかっただろう。
腹の奥でさっき飲んだ酒がぐるぐると上下左右もなく渦巻いている。頭の中は真っ白で、何をどう誤魔化せば良いのか考えているのに全く頭が働かない。
バレたくない。嫌われたくない。
確かに陸斗さんに密かに惹かれていたが、それを差し引いてもオレはあのお店が好きだから、もう陸斗さんの料理が食べられないなんて嫌だ。
どうしよう、とそれだけで頭がいっぱいだったオレの背中が思い切り叩かれる。
「恭ちゃん先輩! お待たせしました!」
「うわっ、高瀬……?」
びっくりして隣を見れば、ニコニコと微笑む高瀬がそこにいた。
「あ、陸人さんも! こんばんはー、こんなところで奇遇ですね」
「こんばんは、高瀬くん。今から二人で飲みに行くんですか?」
「そうなんですよ。俺の兄貴がこの辺でバーやってて、ちょっと安くしてくれるんです」
笑顔を浮かべたまま、高瀬はすらすらと有りもしない話を口にする。
「陸斗さんも飲むとこ探してたら声かけて下さい! 兄貴の店紹介しますから!」
高瀬はオレの背中を押すと陸斗さんへと片手を振って、ショーコママのバーが入っている建物の方へと足を向けた。陸斗さんがどんな表情を浮かべているのか気になるけれど、背中に触れる高瀬の手が足を止めることを許さなかった。
階段を使えばいいのに、高瀬はエレベーターの前に立つとボタンを押す。もういませんよ、と小さな声が人気のない通路に消えていった。
「……余計なお世話でしたか?」
エレベーターの稼働音に混ざった高瀬の声。顔を上げれば、高瀬の不安げな眼差しが遠くの街の明かりに揺れていた。
「いや……」
余計なお世話なんかじゃない。むしろ、ほっとした。
なんて答えればいいのか迷って目を逸らせば、オレの背中から離れた高瀬の手が、強くオレの手を握り締めていた。
「高瀬?」
「恭ちゃん先輩って、やっぱ陸斗さんのこと好きですよね」
「はぁ? だから、別に……」
「本気じゃないっていうのはわかります。好きなアイドルとか……多分そういう感じの好きなんだろうなって」
「そうだよ、だから……」
「でも、恭ちゃん先輩って俺に対して陸斗さんに向けるような笑顔は見せてくれないじゃないですか」
「は?」
何を言っているんだろう。不思議に思い高瀬へと顔を向ければ、まず真っ先に耳を飾るたくさんのピアスが目に入って、そして、真っ赤になっている高瀬の耳たぶに気付いてしまった。
「あ~……すみません、なんか俺……多分、陸斗さんに妬いてます」
高瀬はオレの方を見ないまま、空いていた手で反対の頬を掻いた。その仕草が高瀬にはあまり似合っていなくて、ついオレは吹き出してしまった。
「なんで笑うんですか」
「意外な一面が見れたなと思って」
ますます唇を尖らせて、高瀬が口を開こうとした瞬間にエレベーターの扉が開く。
「ありがとな、高瀬。助かった」
「……はい」
やっぱりまだ照れ臭そうな高瀬の手を握り返し、オレが先にエレベーターへと一歩踏み出した。
「あとさ、妬かなくていいよ。オレ、陸斗さんと鉢合わせする直前までお前のこと考えてたし」
「へ……?」
オレに手を引かれ、前のめりになりながら顔を上げた高瀬は、随分と間の抜けた顔をしていた。
また見えた知らない一面に笑っていたオレは、多分油断していたんだ。
高瀬は繋いでいたオレの手に、自分の指先を絡めると、あまり広くないエレベーターの中へと体を押し込み、オレとの距離をゼロにする。
目の前には、高瀬の怖いくらいに真剣な眼差し。オレは、それを笑って誤魔化そうとした。
「こら、狭いだろ」
「……助かったなら、俺に、ご褒美を下さい」
「ご褒美……?」
何を、と開きかけた唇が、高瀬によって塞がれる。しっかりと絡められた指先はもう逃さないと告げているようで、高瀬の肩を押し返そうとした手も高瀬によって捕まってしまう。
「たか、せっ、待てっ……!」
さっきまで乾いていた高瀬の唇が、何度も角度を変えながらオレの唇に触れていた。小鳥が啄むような控えめなキスをしたと思ったら、次の瞬間には下唇を甘噛される。そんな浅い口付けを繰り返し、気付けば高瀬の舌がオレの口内へと差し込まれていた。
「ん……!」
高瀬の舌の上から、焼けるようなアルコールの残り香が喉の奥へと流れ込む。
甘くない、知らない酒の味。
高瀬がこんな酒を好んで飲むことを、オレは知らない。
「げほっ……」
ようやく高瀬に開放されたと思ったら、今度はそのまま強く抱きしめられてしまう。
高瀬の表情を窺い知ることは出来ない。オレはとりあえず、掴まえる力が緩んでいた左手を伸ばして、エレベーターのボタンを押した。
「高瀬、酔ってるのか?」
臆病なオレは、高瀬のキスの理由を勝手に決めつける。高瀬はしばらく黙ったあと、エレベーターが止まる音で渋々といった様子で頷いた。
そして、ゆっくりと顔を上げた高瀬は、不安げな眼差しでオレを見上げる。
「ごめんなさい。……俺のこと、嫌いになりましたか?」
「その聞き方はずるいだろ……」
嫌いになんてなるわけがない。オレの答えに満足気な笑みを浮かべた高瀬は、良かったと小さく零してオレの頬にキスをした。
「久しぶりじゃない。仕事忙しかったんだって? ハルちゃんに聞いたわよ」
「アイツ……」
話したらダメなことじゃないからいいけど、当たり前に高瀬がここに馴染んでいることにはどうしても驚いてしまう。
「あの子今日はまだ来てないのよね~。いつもこれくらいの時間にいるんだけど」
「今日は大学の友達と飲みに行くんだってさ。寄りたいとは言ってたけど」
「へぇ~」
カウンターに着いたオレへといつも通りの一杯を用意しながら、ママはニヤニヤと物言いたげな視線を送ってきた。
「いい子じゃない、あの子」
グラスには、苦々しげな自分の顔が映っていた。別に初めから、嫌なヤツなんて思ってはいなかった。
「ちょっと緩いけど……でも、自分の考えはしっかり持ってるみたいだし。付き合ってみちゃえばいいのに」
笑みは浮かべているけれど、別にからかっているわけじゃないことはわかっている。だけど、簡単には頷けなくて、ため息とともに出されたグラスに口を付けた。
「簡単に言うなよ。アイツはノンケだぞ」
「だから何よ。好きになってくれたなら別にアリでしょ?」
「……そんなの一時の気の迷いかもしれないだろ」
高瀬との距離に、居心地の良さは感じている。だけど、付き合うかどうかは別の話だ。
大体、まだ大学生の高瀬をこっちに引っ張りたいとも思わない。だから、高瀬をどうこうしようなんて考えられなかった。
ママは何も言わずにじっとオレを見つめている。
目を合わせなくても、その眼差しがオレを臆病者だと呆れているのは伝わってきた。
「高瀬のこと気に入ってるのはウソじゃない。だからこのまま友達として付き合っていくでも十分だよ」
「強がっちゃって。アンタ、これでハルちゃんが結婚したら泣くくせに」
泣くわけないだろ。辛うじて返した声は、少しだけ震えていた。
泣きはしないだろうけど、恨めしくは思うだろうな。
恋をしたいなんて言ってきて、結局女と結婚しちゃうのかよ、なんて。
「……ちょっと、外の空気吸ってくる」
「ハルちゃん来たら一緒に上がってきなさいよ。アタシが会いたいんだから」
わかったよ、と頷いて席を立つとバーを出た。
肌に触れる外の空気はひんやりと気持ちが良く、街のざわめきに誘われるように階段を降りていく。
ふと、星空が見たくなった。高瀬と行ったプラネタリウムの星空は覚えてないけれど、あれはこの都会の空を映しているんだろうか。
人の増えた夜の街の中、空を見上げて見ても星明かりなんて全然見えない。街はこんなにも明るいのに、夜空を照らすことが出来ないなんて不思議だよな。
高瀬は、この見えない空の向こう側に光る星空をまだ覚えているんだろうか。
「あれ? 三本さん?」
「へ? あ、陸人さん……!」
ぼんやりと空を見上げていたオレは、不意に掛けられた声で我に返る。見慣れない私服姿の陸人さんが、オレに片手を上げてこっちへ駆け寄ってきていた。
「お店の外で会うなんて珍しいですね」
「そうですね。ここ、僕の店からも離れていますし本当に偶然ですね」
思いがけないところで陸人さんと遭遇し、胸が弾んでいるのは酔っているからではないだろう。どうこうなりたいとは思っていなくても、やっぱり惹かれた相手とたまたまでも会えたとなれば多少はテンションも上がる。
自然と頬が緩んでいることにも、自分自身気が付いていた。だから、普段よりも饒舌になる。
「オレはこの辺りで飲んでたんですよ」
「え? この辺りでですか?」
陸人さんの反応の理由がわからず、オレは一瞬だけ目を丸くした。
けれど、すぐにその怪訝そうな表情の意味を理解して、首を絞められるような息苦しさに視界が揺らぐ。
この辺りはショーコママの店だけでなく、ゲイバーが多く、なんとなくそういうところだと認識されている場所だ。
浮かれていたから、そこまで頭が回らなかった。
このままじゃ陸斗さんに、ゲイだということがバレてしまう。
きっと陸斗さんは、オレがお店を気にいって頻繁に顔を出していると思っていたはずだ。まさか、そういう意味で好かれているなんて想像もしたことがなかっただろう。
腹の奥でさっき飲んだ酒がぐるぐると上下左右もなく渦巻いている。頭の中は真っ白で、何をどう誤魔化せば良いのか考えているのに全く頭が働かない。
バレたくない。嫌われたくない。
確かに陸斗さんに密かに惹かれていたが、それを差し引いてもオレはあのお店が好きだから、もう陸斗さんの料理が食べられないなんて嫌だ。
どうしよう、とそれだけで頭がいっぱいだったオレの背中が思い切り叩かれる。
「恭ちゃん先輩! お待たせしました!」
「うわっ、高瀬……?」
びっくりして隣を見れば、ニコニコと微笑む高瀬がそこにいた。
「あ、陸人さんも! こんばんはー、こんなところで奇遇ですね」
「こんばんは、高瀬くん。今から二人で飲みに行くんですか?」
「そうなんですよ。俺の兄貴がこの辺でバーやってて、ちょっと安くしてくれるんです」
笑顔を浮かべたまま、高瀬はすらすらと有りもしない話を口にする。
「陸斗さんも飲むとこ探してたら声かけて下さい! 兄貴の店紹介しますから!」
高瀬はオレの背中を押すと陸斗さんへと片手を振って、ショーコママのバーが入っている建物の方へと足を向けた。陸斗さんがどんな表情を浮かべているのか気になるけれど、背中に触れる高瀬の手が足を止めることを許さなかった。
階段を使えばいいのに、高瀬はエレベーターの前に立つとボタンを押す。もういませんよ、と小さな声が人気のない通路に消えていった。
「……余計なお世話でしたか?」
エレベーターの稼働音に混ざった高瀬の声。顔を上げれば、高瀬の不安げな眼差しが遠くの街の明かりに揺れていた。
「いや……」
余計なお世話なんかじゃない。むしろ、ほっとした。
なんて答えればいいのか迷って目を逸らせば、オレの背中から離れた高瀬の手が、強くオレの手を握り締めていた。
「高瀬?」
「恭ちゃん先輩って、やっぱ陸斗さんのこと好きですよね」
「はぁ? だから、別に……」
「本気じゃないっていうのはわかります。好きなアイドルとか……多分そういう感じの好きなんだろうなって」
「そうだよ、だから……」
「でも、恭ちゃん先輩って俺に対して陸斗さんに向けるような笑顔は見せてくれないじゃないですか」
「は?」
何を言っているんだろう。不思議に思い高瀬へと顔を向ければ、まず真っ先に耳を飾るたくさんのピアスが目に入って、そして、真っ赤になっている高瀬の耳たぶに気付いてしまった。
「あ~……すみません、なんか俺……多分、陸斗さんに妬いてます」
高瀬はオレの方を見ないまま、空いていた手で反対の頬を掻いた。その仕草が高瀬にはあまり似合っていなくて、ついオレは吹き出してしまった。
「なんで笑うんですか」
「意外な一面が見れたなと思って」
ますます唇を尖らせて、高瀬が口を開こうとした瞬間にエレベーターの扉が開く。
「ありがとな、高瀬。助かった」
「……はい」
やっぱりまだ照れ臭そうな高瀬の手を握り返し、オレが先にエレベーターへと一歩踏み出した。
「あとさ、妬かなくていいよ。オレ、陸斗さんと鉢合わせする直前までお前のこと考えてたし」
「へ……?」
オレに手を引かれ、前のめりになりながら顔を上げた高瀬は、随分と間の抜けた顔をしていた。
また見えた知らない一面に笑っていたオレは、多分油断していたんだ。
高瀬は繋いでいたオレの手に、自分の指先を絡めると、あまり広くないエレベーターの中へと体を押し込み、オレとの距離をゼロにする。
目の前には、高瀬の怖いくらいに真剣な眼差し。オレは、それを笑って誤魔化そうとした。
「こら、狭いだろ」
「……助かったなら、俺に、ご褒美を下さい」
「ご褒美……?」
何を、と開きかけた唇が、高瀬によって塞がれる。しっかりと絡められた指先はもう逃さないと告げているようで、高瀬の肩を押し返そうとした手も高瀬によって捕まってしまう。
「たか、せっ、待てっ……!」
さっきまで乾いていた高瀬の唇が、何度も角度を変えながらオレの唇に触れていた。小鳥が啄むような控えめなキスをしたと思ったら、次の瞬間には下唇を甘噛される。そんな浅い口付けを繰り返し、気付けば高瀬の舌がオレの口内へと差し込まれていた。
「ん……!」
高瀬の舌の上から、焼けるようなアルコールの残り香が喉の奥へと流れ込む。
甘くない、知らない酒の味。
高瀬がこんな酒を好んで飲むことを、オレは知らない。
「げほっ……」
ようやく高瀬に開放されたと思ったら、今度はそのまま強く抱きしめられてしまう。
高瀬の表情を窺い知ることは出来ない。オレはとりあえず、掴まえる力が緩んでいた左手を伸ばして、エレベーターのボタンを押した。
「高瀬、酔ってるのか?」
臆病なオレは、高瀬のキスの理由を勝手に決めつける。高瀬はしばらく黙ったあと、エレベーターが止まる音で渋々といった様子で頷いた。
そして、ゆっくりと顔を上げた高瀬は、不安げな眼差しでオレを見上げる。
「ごめんなさい。……俺のこと、嫌いになりましたか?」
「その聞き方はずるいだろ……」
嫌いになんてなるわけがない。オレの答えに満足気な笑みを浮かべた高瀬は、良かったと小さく零してオレの頬にキスをした。
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