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番外編 準備を手伝いたい高瀬の話
①
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元々性に奔放なとこのある高瀬は、最初の頃こそ手こずる様子も見られたけど、何度か肌を重ねるうちに男同士であることにも慣れてきたようだった。
「恭ちゃんって、本当に俺に準備手伝わせてくれてます?」
金曜の夜。ママのバーで飲んだ後はうちに泊まるのが定番となった。ヤるかヤらないかはその時々だけど、何かしら触れ合うことは多く、オレも少しずつだが高瀬の体温に慣れ始めていた。
高瀬を部屋に招き入れると靴を脱ぐ時間も与えずに抱き締められ、耳元で囁かれたのがさっきの言葉。
「……手伝わせてるじゃん。いつも高瀬が挿れる前にお前が自分で解してるだろ」
嘘だ。本当は最初の時と同じで、ある程度は洗いながら自分で解してしまっている。
昔から自分で準備するのに慣れてしまったのもそうだけど、やっぱり高瀬はゲイじゃないから面倒な思いは少しでもさせたくないと思ってしまうんだ。
高瀬は納得していないらしく、オレを抱き締める両腕の力を緩めようとはしない。
「一応、俺なりにも色々調べてるんです。恭ちゃんのお尻いつも柔らかいから、もし本当に自分で準備してないんだったら毎日一人でシてるドすけべってことになると思うんですけど」
「誰がドすけべだ」
高瀬の背中に腕を回して、無駄な肉はついていない背中をつねってやる。
痛い痛いと悲鳴を上げ、高瀬はオレから身体を離すとしょぼくれた犬のような顔でオレを見上げていた。
「俺とじゃ満足できてないですか?」
「そういうわけじゃ、ないけどさぁ……」
健気さに揺れる眼差しを向けられ、オレはぐっと息を飲み込んだ。
オレだって、本当は全部をお前に委ねて甘えてしまいたい。
だけど、ちっぽけな年上のプライドとノンケの高瀬に対する不安が邪魔をする。
いっそのこと、高瀬がもっと強引にオレのことを奪いに来てくれればいいのに。
高瀬は律儀にオレの許可を取って事を進めようとするから、強がるオレは上手くお前に身を任せられない。
年下の高瀬相手にそこまで求めてしまうのも情けない話だ。
だけど、こいつとなら。
そんな期待が、胸に灯る。
「好きにしていいよ」
オレは高瀬の眼差しから逃げるように、高瀬の肩へと顔を埋めた。
「……本当にイヤなことは、ちゃんとイヤって言うから」
「え?」
「だからその……高瀬の好きにして、いいから」
今のオレには、これが精一杯だった。高瀬の指先が、そっとオレの髪を払い、うなじに触れた。
羽が撫でるような手付きに、ぞくぞくと背中を駆けていく快感に思わず腰が震える。
咄嗟に高瀬の腕を掴み、頬が火照っていることにも構わずに顔を上げた。
「高、瀬っ……」
物足りなさを訴える眼差しを隠すことなく、高瀬はオレの唇を自分のもので塞いだ。
熱っぽい唇が呼吸を奪い、何度も何度も角度を変えながら互いの名を呼ぶ余裕もなく吐息だけを漏らしていく。
「ん……きょー、ちゃん……」
高瀬の手のひらが、オレの肩から下の方へとするする移動していく。そして、オレのベルトに指先が触れた。
「待った!」
慌ててその手を掴み、オレは高瀬の肩を押し返した。ここは玄関で、お互いまだシャワーも浴びてない。
「玄関で盛るな! 先にシャワー浴びてこい」
「はぁ~い」
不服そうな声で頷いて、高瀬はオレの肩へぐいぐいと頭を押し付ける。中々離れようとしない高瀬の背中を、オレはしばらく撫でていた。
「恭ちゃんって、本当に俺に準備手伝わせてくれてます?」
金曜の夜。ママのバーで飲んだ後はうちに泊まるのが定番となった。ヤるかヤらないかはその時々だけど、何かしら触れ合うことは多く、オレも少しずつだが高瀬の体温に慣れ始めていた。
高瀬を部屋に招き入れると靴を脱ぐ時間も与えずに抱き締められ、耳元で囁かれたのがさっきの言葉。
「……手伝わせてるじゃん。いつも高瀬が挿れる前にお前が自分で解してるだろ」
嘘だ。本当は最初の時と同じで、ある程度は洗いながら自分で解してしまっている。
昔から自分で準備するのに慣れてしまったのもそうだけど、やっぱり高瀬はゲイじゃないから面倒な思いは少しでもさせたくないと思ってしまうんだ。
高瀬は納得していないらしく、オレを抱き締める両腕の力を緩めようとはしない。
「一応、俺なりにも色々調べてるんです。恭ちゃんのお尻いつも柔らかいから、もし本当に自分で準備してないんだったら毎日一人でシてるドすけべってことになると思うんですけど」
「誰がドすけべだ」
高瀬の背中に腕を回して、無駄な肉はついていない背中をつねってやる。
痛い痛いと悲鳴を上げ、高瀬はオレから身体を離すとしょぼくれた犬のような顔でオレを見上げていた。
「俺とじゃ満足できてないですか?」
「そういうわけじゃ、ないけどさぁ……」
健気さに揺れる眼差しを向けられ、オレはぐっと息を飲み込んだ。
オレだって、本当は全部をお前に委ねて甘えてしまいたい。
だけど、ちっぽけな年上のプライドとノンケの高瀬に対する不安が邪魔をする。
いっそのこと、高瀬がもっと強引にオレのことを奪いに来てくれればいいのに。
高瀬は律儀にオレの許可を取って事を進めようとするから、強がるオレは上手くお前に身を任せられない。
年下の高瀬相手にそこまで求めてしまうのも情けない話だ。
だけど、こいつとなら。
そんな期待が、胸に灯る。
「好きにしていいよ」
オレは高瀬の眼差しから逃げるように、高瀬の肩へと顔を埋めた。
「……本当にイヤなことは、ちゃんとイヤって言うから」
「え?」
「だからその……高瀬の好きにして、いいから」
今のオレには、これが精一杯だった。高瀬の指先が、そっとオレの髪を払い、うなじに触れた。
羽が撫でるような手付きに、ぞくぞくと背中を駆けていく快感に思わず腰が震える。
咄嗟に高瀬の腕を掴み、頬が火照っていることにも構わずに顔を上げた。
「高、瀬っ……」
物足りなさを訴える眼差しを隠すことなく、高瀬はオレの唇を自分のもので塞いだ。
熱っぽい唇が呼吸を奪い、何度も何度も角度を変えながら互いの名を呼ぶ余裕もなく吐息だけを漏らしていく。
「ん……きょー、ちゃん……」
高瀬の手のひらが、オレの肩から下の方へとするする移動していく。そして、オレのベルトに指先が触れた。
「待った!」
慌ててその手を掴み、オレは高瀬の肩を押し返した。ここは玄関で、お互いまだシャワーも浴びてない。
「玄関で盛るな! 先にシャワー浴びてこい」
「はぁ~い」
不服そうな声で頷いて、高瀬はオレの肩へぐいぐいと頭を押し付ける。中々離れようとしない高瀬の背中を、オレはしばらく撫でていた。
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