20 / 450
光の入らない部屋と笑わない少女
マイペースキング
しおりを挟む
ここ数日依頼が来ていない事務所はとても穏やかだった。
基本、九条さんは本を読んでるか昼寝をしてるかテレビを眺めているかで、それでいいのか責任者と突っ込みたかったがやめた。
現場での彼の働きぶりは見てきた。ろくに寝ることもせず調査を進めることもあるし、依頼が来ない時くらいゆっくりしてていいのかなと思った。(それにしてはリラックスしすぎだが)
そういう私も、そこまで大した仕事をこなしてはいない。
伊藤さんに聞いて任される簡単なデータ入力や書類の管理ぐらいで、時間を持て余していた。
伊藤さん自身は依頼のない日も結構忙しそうだった。まず初めて知った事だが、調査が終了した後、九条さんから口頭で依頼主には結果報告をしていたが、その後も伊藤さんが報告書を作成して送っているらしい。
またこなした調査は内容を事務所でもファイリングしていた。いずれ役立つこともあるかもしれない……との事で、狭い事務所の一角にはこれまでこなした依頼たちのファイルが並んでいる。
それらを見てため息が漏れた。九条さん、これだけの数の霊たちと向き合って一人で解決してきたんだなぁ、と改めて感心する。今度時間がある時に、ゆっくり中身を読んでみたいと思った。
変人だけど、やるべき事はちゃんとやってるんだよね、九条さん。
そしてもう一つ、伊藤さんは調査終了した後の依頼人へのフォローも行っていた。電話をしてその後は怪奇な現象がないか再確認し、更には「もし知り合いに同様の事で悩んでる人がいたら是非うちの事務所を!」なんて宣伝もサラリとしていて、伊藤さんのコミュニケーション能力というか、営業能力に脱帽した。
ああ、気遣いの神様、裏でこんなフォローをたくさんしてくれているんだ……。
自分はとりあえず出来る事から始めるしかないので、伊藤さんに教わりながらコツコツ仕事をこなしていった。新しく始まった仕事、今回は骨を埋める覚悟で臨んでいるのだ。
「あ~手伝って貰うとめちゃくちゃ助かる……本当にありがとう!」
「い、いえ……私なんか簡単な事しかしてないですし」
「いやいや、本当ありがたいよ。ありがとうね」
新しい職場の先輩は今まで出会った中で最高に優しい人である事は確定だ。今日何度目か分からない感嘆のため息を漏らす。
伊藤さんは一度大きく伸びをすると、時計を眺めて言った。
「あ、そろそろお昼だ!僕今日外に行ってこようっと。光ちゃん行く?」
「あ、私は弁当で……引っ越しして金欠でして」
「偉いね!さすが!えーと九条さんは……」
二人でチラリと九条さんを振り返る。本人は黒い皮のソファに寝そべり、昼寝の真っ最中だった。お腹の上には読みかけの本が置いてある。
伊藤さんと無言で視線を合わせ、放っておこうね、と心を通じ合った。寝起きの悪い人をわざわざ起こさなくてもいい。
伊藤さんは財布をポケットに入れてコートを羽織った。
「じゃ僕行ってこよーっと。ゆっくり休んでて!事務所裏にあるお菓子食べていいよ!」
「あ、ありがとうございます!」
ひらひらと手を振りながら、伊藤さんは事務所から出て行った。パタンと扉が閉まり、彼の姿が見えなくなる。
私は持ってきた鞄から弁当を取り出した。昨日百均で購入した弁当箱だ。余裕ができたらもう少し可愛いお弁当箱も欲しい。
節約生活を心がけている弁当のおかずは簡素な物だ。卵焼きは絶対。卵って安いし栄養あるし弁当の隙間埋めるしで最高の食材だと思う。
箸を取り出して手を合わせ、食事を始める。事務所内は、九条さんが付けっぱなしにしていたテレビの音声が流れていた。
ソファからは、九条さんの長い足が少し飛び出している。仰向けに眠る彼の寝顔は悔しいほど綺麗だ。
ぼんやりとそれを眺めながら卵焼きを食べる。
自分はとことん恵まれていると思う。死のうとしたのを止めてもらい、更には仕事を紹介され、いいアパートまで見つけられた。
それも全てことの始まりは、九条さんが声を掛けてくれたからなんだよなぁ。
人生とは不思議な物だ。本来とっくに死んでたはずの自分が、こんなに明るい場所にいるなんて。
どうしてもまだ半年前の色々を思い出しては心が苦しくなる事もあるけど、それはだいぶ過去の事として扱えるようにはなっている。ここ数日色々あったせいかな。
ふっと一人笑った。
「ほんと、頑張りたいなぁ。お仕事」
「やる気十分なのはいいことですね」
突如そんな声が聞こえてぎょっとする。見れば、先程まで閉じていた九条さんの目はぼんやりと開いていた。いつのまにか目を覚ましていたらしい。
「あ!く、九条さん!起きてたんですか!」
「今起きました、おはようございます」
彼はのっそりと起き上がる。後頭部は寝癖が派手についていた。なるほど、半乾きのまま寝るからいつも寝癖酷いんだな。私は納得する。
九条さんは時計を見上げて眉をひそめる。
「もう昼でしたか……」
「伊藤さんは外に食べに行きましたよ」
「そうですか」
「九条さんはお昼は?」
「どうしましょうね。ポッ」
「キーはおやつですよ、昼食にはなりません」
私が先回りしていうと、彼は不服そうにこちらを見た。そんな光景が面白くて、私はつい笑う。
子供ですか、ほんとに。
「もう、ポッキーばかり食べないでくださいよ。食べに行くかコンビニでも行ってきては」
「めんどくさいですね」
「言うと思った」
「あまりお腹も空いてないですしね……
黒島さんはなにを食べてるんですか」
「へ?弁当です。質素な」
食べかけの弁当を見下げる。決して豪華でも色鮮やかでもないよくある弁当。SNS映えなんてまるでしない代物だ。
九条さんは一つ頷くと、私に言った。
「ポッキーあげるから分けてください」
「…………
……へ!??」
大きな声で聞き返してしまう。なんて言ったの今? 分ける、って!?
九条さんは平然と繰り返した。
「事務所裏のポッキーあげるから弁当分けてください。伊藤さんのお菓子も食べていいですよ」
「伊藤さんの物勝手に人にあげないでください」
そう突っ込んだ後冷静になって慌てる。待って、まさか、この食べかけの弁当を九条さんに? てゆうか、普通人に弁当分けて下さいって言う? やっぱりこの人、マイペースにも程がある!
あわあわと慌てる私をよそに、九条さんはソファから立ち上がってこちらに歩み寄る。そして私の百均の弁当箱を覗いた。
はっとした時にはすでに遅い。適当に作った弁当見られてしまった。
「私卵焼きとブロッコリーと唐揚げください」
九条さんはそう言い放った。
彼はやはりと言うか何も考えずに発言してるだけのようだった。私といえば、恥ずかしさと緊張で体を小さくさせる。
……九条さんが食べるって分かってたら、もう少しちゃんと作ったのに。
基本、九条さんは本を読んでるか昼寝をしてるかテレビを眺めているかで、それでいいのか責任者と突っ込みたかったがやめた。
現場での彼の働きぶりは見てきた。ろくに寝ることもせず調査を進めることもあるし、依頼が来ない時くらいゆっくりしてていいのかなと思った。(それにしてはリラックスしすぎだが)
そういう私も、そこまで大した仕事をこなしてはいない。
伊藤さんに聞いて任される簡単なデータ入力や書類の管理ぐらいで、時間を持て余していた。
伊藤さん自身は依頼のない日も結構忙しそうだった。まず初めて知った事だが、調査が終了した後、九条さんから口頭で依頼主には結果報告をしていたが、その後も伊藤さんが報告書を作成して送っているらしい。
またこなした調査は内容を事務所でもファイリングしていた。いずれ役立つこともあるかもしれない……との事で、狭い事務所の一角にはこれまでこなした依頼たちのファイルが並んでいる。
それらを見てため息が漏れた。九条さん、これだけの数の霊たちと向き合って一人で解決してきたんだなぁ、と改めて感心する。今度時間がある時に、ゆっくり中身を読んでみたいと思った。
変人だけど、やるべき事はちゃんとやってるんだよね、九条さん。
そしてもう一つ、伊藤さんは調査終了した後の依頼人へのフォローも行っていた。電話をしてその後は怪奇な現象がないか再確認し、更には「もし知り合いに同様の事で悩んでる人がいたら是非うちの事務所を!」なんて宣伝もサラリとしていて、伊藤さんのコミュニケーション能力というか、営業能力に脱帽した。
ああ、気遣いの神様、裏でこんなフォローをたくさんしてくれているんだ……。
自分はとりあえず出来る事から始めるしかないので、伊藤さんに教わりながらコツコツ仕事をこなしていった。新しく始まった仕事、今回は骨を埋める覚悟で臨んでいるのだ。
「あ~手伝って貰うとめちゃくちゃ助かる……本当にありがとう!」
「い、いえ……私なんか簡単な事しかしてないですし」
「いやいや、本当ありがたいよ。ありがとうね」
新しい職場の先輩は今まで出会った中で最高に優しい人である事は確定だ。今日何度目か分からない感嘆のため息を漏らす。
伊藤さんは一度大きく伸びをすると、時計を眺めて言った。
「あ、そろそろお昼だ!僕今日外に行ってこようっと。光ちゃん行く?」
「あ、私は弁当で……引っ越しして金欠でして」
「偉いね!さすが!えーと九条さんは……」
二人でチラリと九条さんを振り返る。本人は黒い皮のソファに寝そべり、昼寝の真っ最中だった。お腹の上には読みかけの本が置いてある。
伊藤さんと無言で視線を合わせ、放っておこうね、と心を通じ合った。寝起きの悪い人をわざわざ起こさなくてもいい。
伊藤さんは財布をポケットに入れてコートを羽織った。
「じゃ僕行ってこよーっと。ゆっくり休んでて!事務所裏にあるお菓子食べていいよ!」
「あ、ありがとうございます!」
ひらひらと手を振りながら、伊藤さんは事務所から出て行った。パタンと扉が閉まり、彼の姿が見えなくなる。
私は持ってきた鞄から弁当を取り出した。昨日百均で購入した弁当箱だ。余裕ができたらもう少し可愛いお弁当箱も欲しい。
節約生活を心がけている弁当のおかずは簡素な物だ。卵焼きは絶対。卵って安いし栄養あるし弁当の隙間埋めるしで最高の食材だと思う。
箸を取り出して手を合わせ、食事を始める。事務所内は、九条さんが付けっぱなしにしていたテレビの音声が流れていた。
ソファからは、九条さんの長い足が少し飛び出している。仰向けに眠る彼の寝顔は悔しいほど綺麗だ。
ぼんやりとそれを眺めながら卵焼きを食べる。
自分はとことん恵まれていると思う。死のうとしたのを止めてもらい、更には仕事を紹介され、いいアパートまで見つけられた。
それも全てことの始まりは、九条さんが声を掛けてくれたからなんだよなぁ。
人生とは不思議な物だ。本来とっくに死んでたはずの自分が、こんなに明るい場所にいるなんて。
どうしてもまだ半年前の色々を思い出しては心が苦しくなる事もあるけど、それはだいぶ過去の事として扱えるようにはなっている。ここ数日色々あったせいかな。
ふっと一人笑った。
「ほんと、頑張りたいなぁ。お仕事」
「やる気十分なのはいいことですね」
突如そんな声が聞こえてぎょっとする。見れば、先程まで閉じていた九条さんの目はぼんやりと開いていた。いつのまにか目を覚ましていたらしい。
「あ!く、九条さん!起きてたんですか!」
「今起きました、おはようございます」
彼はのっそりと起き上がる。後頭部は寝癖が派手についていた。なるほど、半乾きのまま寝るからいつも寝癖酷いんだな。私は納得する。
九条さんは時計を見上げて眉をひそめる。
「もう昼でしたか……」
「伊藤さんは外に食べに行きましたよ」
「そうですか」
「九条さんはお昼は?」
「どうしましょうね。ポッ」
「キーはおやつですよ、昼食にはなりません」
私が先回りしていうと、彼は不服そうにこちらを見た。そんな光景が面白くて、私はつい笑う。
子供ですか、ほんとに。
「もう、ポッキーばかり食べないでくださいよ。食べに行くかコンビニでも行ってきては」
「めんどくさいですね」
「言うと思った」
「あまりお腹も空いてないですしね……
黒島さんはなにを食べてるんですか」
「へ?弁当です。質素な」
食べかけの弁当を見下げる。決して豪華でも色鮮やかでもないよくある弁当。SNS映えなんてまるでしない代物だ。
九条さんは一つ頷くと、私に言った。
「ポッキーあげるから分けてください」
「…………
……へ!??」
大きな声で聞き返してしまう。なんて言ったの今? 分ける、って!?
九条さんは平然と繰り返した。
「事務所裏のポッキーあげるから弁当分けてください。伊藤さんのお菓子も食べていいですよ」
「伊藤さんの物勝手に人にあげないでください」
そう突っ込んだ後冷静になって慌てる。待って、まさか、この食べかけの弁当を九条さんに? てゆうか、普通人に弁当分けて下さいって言う? やっぱりこの人、マイペースにも程がある!
あわあわと慌てる私をよそに、九条さんはソファから立ち上がってこちらに歩み寄る。そして私の百均の弁当箱を覗いた。
はっとした時にはすでに遅い。適当に作った弁当見られてしまった。
「私卵焼きとブロッコリーと唐揚げください」
九条さんはそう言い放った。
彼はやはりと言うか何も考えずに発言してるだけのようだった。私といえば、恥ずかしさと緊張で体を小さくさせる。
……九条さんが食べるって分かってたら、もう少しちゃんと作ったのに。
57
あなたにおすすめの小説
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。
鞠目
ホラー
「変な配達員さんがいるんです……」
運送会社・さくら配達に、奇妙な問い合わせが相次いだ。その配達員はインターフォンを三回、ノックを三回、そして「さくら配達です」と三回呼びかけるのだという。まるで嫌がらせのようなその行為を受けた人間に共通するのは、配達の指定時間に荷物を受け取れず、不在票を入れられていたという事実。実害はないが、どうにも気味が悪い……そんな中、時間指定をしておきながら、わざと不在にして配達員に荷物を持ち帰らせるというイタズラを繰り返す男のもとに、不気味な配達員が姿を現し――。
不可解な怪異によって日常が歪んでいく、生活浸食系ホラー小説!!
アルファポリス 第8回ホラー・ミステリー小説大賞 大賞受賞作
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
みえる彼らと浄化係
橘しづき
ホラー
井上遥は、勤めていた会社が倒産し、現在失職中。生まれつき幸運体質だったので、人生で初めて躓いている。
そんな遥の隣の部屋には男性が住んでいるようだが、ある日見かけた彼を、真っ黒なモヤが包んでいるのに気がついた。遥は幸運体質だけではなく、不思議なものを見る力もあったのだ。
驚き見て見ぬふりをしてしまった遥だが、後日、お隣さんが友人に抱えられ帰宅するのを発見し、ついに声をかけてしまう。
そこで「手を握って欲しい」とわけのわからないお願いをされて…?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。